狩野川とは? わかりやすく解説

狩野川

自然とロマン魅力あふれる伊豆回廊
狩野川は、静岡県伊豆市天城山系にその源を発し伊豆半島中央部大見川等の支川合わせながら、大仁町から田方平野出て途中伊豆長岡町狩野川放水路分派し北に流れ箱根山等を源とする来光川大場川韮山町函南町にて、富士山等を源とする柿田川黄瀬川三島市清水町にて合わせ沼津市において駿河湾注いでいる流域面積852km2幹川流路延長46kmの河川です。

伊豆半島を北流する狩野川
伊豆半島北流する狩野川

河川概要
水系狩野川水系
河川名狩野川
幹川流路延長46km
流域面積852km2
流域内人64万人
流域関係都県静岡県

狩野川流域図
○拡大図
1.狩野川の歴史
"伊豆半島中央部北上した後、箱根山富士山麓部から流下する来光川柿田川等を合流し駿河湾に注ぐ狩野川は、その地形特性等からたびたび氾濫繰り返してきました治水対策古く鎌倉時代の「守山開削」などが行われ、昭和40年先人達の念願であった放水路完成によりその治水安全度著しく向上させました。"

流域の歴史人々暮らし

流路の変遷
流路の変遷
その昔南の海からプレート乗ってやってきたと言われる伊豆半島。その中央部天城山系の山々水源に、太平洋側の川としてはめずらしく南から北に向かって流れる狩野川は、千年以上も前から人々暮らし中心にありました一方で下流部狭窄部を持つという地形的特徴多雨地帯流域抱えることから往古より幾多洪水発生させてきました往時の狩野川が自由奔放に流れていた様は、源頼朝流刑地蛭ヶ小島」など、川にまつわる地名各所点在することからもうかがい知ることができます
鎌倉時代には、大きな洪水のたびに流路変えてきた狩野川の流れを、西に迂回させるという「守山開削が行われたと伝えられています。この結果狩野川の流れ現在の流路に近い形状安定するようになり、韮山付近田方平野利用開発進みました
狩野川は農業用水としての利用はもちろん、江戸時代には上流天城切り出され木材などを下流沼津まで運び出す流通路としても利用されました。その一方満水」と呼ばれる大規模な洪水被害の他、小規模な氾濫数年一度発生し、川を鎮める祭事盛んに行われ狩野川流域に暮らす人々洪水恐ろしさ知りつつ狩野川を利用してきました明治時代以降多く洪水襲われきましたが、昭和33年狩野川台風は、この流域にとって最も大きな意味を持つ災害でした。経済成長急速に進む時代起こった災害で、ひとたび河川暴れれば生活基盤失い生命をも奪われるということ思い知らされ台風でした。
狩野川放水路
狩野川放水路
先人達からの念願であった狩野川放水路昭和40年完成し治水安全度著しく向上しました。しかし、洪水被害経験少なくなるにつれ、かつての氾濫であった田方平野中心にした低地にまで市街化一気進行するなど、狩野川と人々との付き合い方の見直し求められているように思われます。
2.地域の中の狩野川
"アユ友釣り発祥の地と言われ多く釣り客で賑わう狩野川。温泉場観光地多く文学作品の舞台としてもしばしば登場します湧水のみを源とする柿田川貴重な自然を守っていくため市民団体の活動も盛んです。"

地域の生活を支え文化育むふるさとの川」

鯉のぼりフェスティバル
鯉のぼりフェスティバル
アユ友釣り発祥の地と言われる狩野川は、流域内に温泉地多く上流から中流部にかけ初夏になると季節の風物詩として多くアユ釣り客が訪れます中下流部の高水敷公園緑地運動場等として利用され夏季花火大会灯籠流し鯉のぼりフェスティバル等のイベント催され地域住民憩いの場コミュニケーションの場として親しまれています。また、河口部では、「我入道の渡し」が復活運行され新たな魅力となってます。
筏の松明に火をつけて流す川神浄(かわかんじょう)、盆おどり慰霊祭等の伝統行事のほか、地元青年会議所主催イカダ下り競漕が行われています。さらに上流部では、多く観光客親しまれている浄蓮の滝万城の滝等の景勝地のほか、キャンプ場文学碑を巡る散策道修善寺川岸辺に湧く独狐の湯を有す等、全川にわたり人々とのつながりを持つ河川です。
狩野川流域文学とも深い関わりがあり数多く作品の舞台として登場します明治大正、昭和初期、及び戦後三十年代まで、狩野川流域舞台とした多く文学作品書かれきました天城湯ヶ島舞台とした川端康成井上靖北原白秋木下杢太郎修善寺舞台とした岡本綺堂沼津舞台とした芹沢光治良若山牧水井上靖など、多く人々が狩野川流域題材文学作品残してます。
湧水のみを水源とする支川柿田川は、清冽な河川として広く知られており、絶滅恐れのある貴重な動植物生息してます。柿田川そばにある小学校では、柿田川水辺一部自然観察園に整備し様々な自然、生物観察する場として子供たち学習利用してます。柿田川貴重な自然を後世に残すために、地域住民中心となりナショナル・トラスト運動柿田川水源である富士山麓地下水を守るために、富士山麓国有林ブナなどの苗木植え植樹活動柿田川周辺地道な環境美化活動などが行われ、環境への意識の高い地域となってます。
3.狩野川の自然環境
"富士箱根の山々と一体となった変化に富む景観を持つとともに動植物良好な生息環境提供してます。特に支川柿田川は、市街地ありながら一般的には渓流などの清流にしか見られない種が生息するなど貴重な環境有してます。"

人と川が関われる豊かな環境

狩野川支川柿田川
狩野川支川柿田川
狩野川の上流部には、浄蓮の滝万城の滝滑沢渓谷等、変化に富んだ渓流があり、周辺部には、渓流沿ってカシカエデ類の自然林発達し山腹にはスギヒノキ人工林みごとに茂ってます。また、ヤマセミカワセミ等の渓流鳥類アマゴ等の清流生息する魚類多く動植物にとっても良好な生息環境となってます。
田方平野蛇行しながら緩やかに流れ中流部では、ツルヨシ等の自然度の高い草本が茂り河道には瀬や洲が発達しアユ釣りバードウォッチングカヌーなどの適地として親しまれています。
下流部は、沼津市等の市街地流れることから、河川空間公園広場等に利用され特筆すべき自然環境少ないものの、カモ類、カモメ類等の鳥類見られる等、水辺富士箱根等の山々が一体となって、心なごむ都市景観示してます。

ホームページ画面
ホームページ画面
狩野川水系最大支川である黄瀬川は、富士山愛鷹山丘陵地流下するため、河床急勾配であり、五竜の滝鮎壺の滝等、変化に富んだ流れをみせています。鳥類は、ほぼ全川に渡りヤマセミカワセミ等の渓流鳥類分布し魚類は、マス類鮎壺の滝より上流)、アユ類(鮎壺の滝より下流)が分布してます。
また、狩野川の支川にあたる柿田川は、日本の名水百選・自然百選にも選ばれ、その清冽な流れ全国知られています。この柿田川は、湧水のみを水源とする全国でも珍しい川です。
その湧水量は日量100万m3/s誇り、「東洋一湧水」と呼ばれてます。水温年間通じ15安定していることから、ミシマバイカモヤマセミカワセミアマゴゲンジボタル等、市街地ありながら一般的には渓流などの清流にしかみられない種が生息する等、貴重な自然が残され区域となってます。なお、柿田川には水中カメラ設置されており、沼津河川国道事務所作成したホームページインフォメーションかのがわhttp://www.nwo.go.jp/)」より、インターネット通じて誰でも気軽に現在の湧水口(沸き間)の様子を見ることができます
4.狩野川の主な災害

発生発生原因被災市町村被害状況
S33,9,26狩野川台風修繕寺町
11市町
死者行方不明者 約850
負傷者 約740
被災家屋 約6,800
S49,7,7台風8号清水町
4市町
死者行方不明者 5名
負傷者 2名
被災家屋 約4,500
S57,8,1台風10号沼津市
7市町
負傷者 3名
被災家屋 約1,500
H10,8,28台風4号函南町
3町
被災家屋 約820棟
H10,9,15台風5号函南町
3町
被災家屋 約230
H14,10,1台風21号韮山町
3町
被災家屋 約250

(注:この情報2008年2月現在のものです)




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