日本外務省とその関係者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 15:01 UTC 版)
「大使閣下の料理人」の記事における「日本外務省とその関係者」の解説
倉木和也(くらき かずや) 外交官。初登場時は在越日本国全権大使(58歳)。T大(東京大学を指していると思われる。以降同じ)卒。外務省ではチャイナスクールに属するが、その中で唯一人中国に媚びない異色の存在。 1970年代に日中国交正常化の交渉を担当していたが、ニクソン・ショックにより更迭される。出世のための閨閥入りはせず恋愛結婚したため出世街道から外れたが、彼をよく知る人々からはその能力を惜しまれていた。ベトナム赴任後は公邸料理人大沢公を懐刀としてタレーランばりの「食卓外交」を繰り広げ、大いに国益に貢献した。駐越大使を最後に辞官するつもりだったが、外交面の強化を図る平泉首相の懇願で国家情報担当大使(無任所)に就任。物語の終盤には、念願であった在中国大使に任命された。 ベトナム編終盤では、新たに共産党書記長(最高指導者)に就任したノン・ドク・マンを招いての晩餐会でデザートに「パーキン」を提供し、日越関係の進展に寄与した。公との信頼関係について「パーキンに感謝したいくらいの気持ち」、「外交も人間関係も時間をかけて育てあげるからこそ」のものであると語り、公を新たな道へと送り出した。 名前や設定は元ベトナム大使の鈴木勝也、小倉和夫などから。 倉木洋子(くらき ようこ) 倉木大使の一人娘。一般の看護婦から外交官夫人となった母が、他家の夫人たちから存在を軽んじられて奴隷のごとく扱われ、結果としてロンドンで過労死してしまったと感じ、父親を恨んでいた。しかし大使夫人の代理として接宴に出席したことをきっかけに、母が父の戦友として、自ら命がけで外交に挑んでいたことや、母の真心が尽くした相手に通じており、感謝されていたことなどを知ってわだかまりが解け、父と和解する。 大学卒業後はキャリアになる実力を持ちながらも、あえて外務省専門職員を受験、恋人と離別してもベトナム語のスペシャリストとなる道を選択した。愛や江口を姉・兄と呼び、慕っている。 ミン・ホア 在越日本国大使公邸に勤務するベトナム人料理補助(ベトナム編においてのヒロイン的存在)。初登場時28歳。 容姿端麗で民族衣装アオザイが良く似合う。離婚した夫との間に一人娘ランがいる。訪日経験は一度もないが日本語が日本人並に達者で、日本文化や明治以降の文学にも造詣が深い。日本語以外の他国語も堪能で北京語も話せるため、大使館になくてはならない存在。日本食も食べるが、納豆とイナゴだけは拒絶反応を示す。 物語冒頭でベトナムの食材事情に失望する公を「お茶漬けナショナリスト」(三島由紀夫の造語)と批判し、日本の物差しでベトナムを測らないよう諭した。公に恋心を抱くが、彼が一向に反応しないため悲しむ。日本人観光客達に公と夫婦と間違われた際には嬉々として喜んだ。 古田誠一(ふるた せいいち) 在越日本国大使館員。ノンキャリ(三等書記官)だが仕事熱心で、大のベトナム好き。『前菜』時26歳。離婚後のホアを支え親密な関係になったが、性格の不一致や公の登場で距離を置かれる。その後、同名のホアと付き合ったが、彼女が芸能界デビューしたため、こちらとも別れた。気の強いお姉さまタイプが好み。 幸山秀明(こうやま ひであき) 在越大日本国大使館員。キャリア外交官で、帰国後は本省の北米一課に配属される。父は倉木大使と同期の幸山国連大使。武藤駐米大使の娘との見合いを断り、ベトナム水上人形劇の役者であるティンと結婚する。 藤田(ふじた) 単行本3巻に登場する在越日本公使で、あだ名はイタチ。フレンチスクール(親仏派)。上司の倉木大使を快く思っておらず(右腕の公も同様)、彼の留守中は独裁者として振舞う。日仏マレンゴ勝負以来公を憎むデュマ大使に迎合して彼を屈服させようとするも失敗した。アフリカのQ国を「非重要国」と決めつけ、同国大使を招く設宴では料理と酒をCランクにするよう公に命令した。しかし、間もなく同国へ大使として栄転が決まるや、急遽Aランクへの変更を命じるなど朝令暮改が目立つ。 早乙女エツコ(さおとめ えつこ) 登場時は、ベトナム公使(藤田公使の後任)。亡父はコウモリの研究で著名な大学教授(在越Q国大使ユッスーンはかつて彼の助手だった)。語学研修生としてフランスのパリ大学に留学していた経験を持つ。テニスは県大会6位の腕前。倉木の離任時に大使に昇格。その後、ポルトガル大使に転任。デュマ大使の後任レヴィは留学時代の学友。ホアを徹底して嫌うが、彼女の有能さは高く評価しており、大使館を去ろうとする彼女を引き留めた。 小俣 在香港日本国総領事。T大卒。チャイナスクールの先輩である倉木を尊敬するが、彼とは違って食卓外交には否定的。外交とは「ベシャリとハッタリ(会話術)」を持論とし、公邸料理人が外交に関わることを嫌う。政略結婚の為、妻には頭が上がらず、裏で”マリー・アントワネット”と呼ぶほどの贅沢をさせている。同時に彼女の外交能力を認めてもおり、最良のパートナーだと思っている。別名、ベシャリーヌ小俣(23巻)。 青柳愛(あおやぎ あい) T大法学部卒。幼少時をアメリカで過ごす。外国語会話に天才的な能力を持ち、日常会話程度ならば10ヶ国語以上をネイティヴスピーカー同様に流暢に話す(日本語の口調はボキャ貧で古田誠一に似ている)。業界大手の音羽証券に就職するが、能力の限界を感じて5日後に退社し、バックパッカーとして世界中を放浪する。「アジア・ジャーナル」の記事を読んで公に憧れ、彼に会うためハノイの日本国大使館を尋ねたが、既に帰国した後だった。公の自宅(国立市)をアポなしで訪問し、弟子入りを志願した。倉木からも熱意を認められて公の料理助手となるが、その時点で料理人の経験はなく、公の要求通りの調理法をどうしても成功させられず、床にへたり込み涙ぐんでしまう場面もあった。しかし地道に努力を重ね、やがては倉木も安心して設宴を任せるほどに腕を上げていく。21巻途中では一本立ちを遂げて香港総領事公邸料理人となるが、その際にも重い中華包丁を扱いやすいよう、ダンベルで腕力を鍛えるなどしている。最終話では公の後を引き継ぎ、倉木の懐刀として在中日本国大使公邸料理人となる。 公に師弟関係を超えた感情を抱くようになったが自重していた。仕事のパートナーとなった大学同期の江口悟と互いに惹かれ合うようになり、婚約する。 江口悟(えぐち さとる) 国家情報担当大使となった倉木の補佐官に任命された外務事務官。T大卒。父親も外交官だったが、あくまで自分の意志として外交官の道を選んだことを誇りとしており、世襲と見られることを嫌っている。 欧州生活が長く洋食ばかりの食生活経験したため、その反動で初登場時には大の洋食嫌いだった(公たちの尽力で徐々にその傾向は改善されていった)。また、外交における料理の重要性を認めず、「設宴におけるメインは会話であり、料理は脇役に過ぎない」と述べた。 T大法学部時代にはお調子者の面が強く、ひそかに憧れていた同期の青柳愛からは手厳しい評価を受けていた。補佐官となってからもスタンドプレーで外交の危機を招く事態を起こしてしまったが、周囲のフォローもあり人間としての成長を遂げることとなる。 その後は愛への恋心を再燃させ、また彼女の才能も見込んで結婚相手として望むようになる。19巻では金田外務大臣に気に入られ、彼の娘すみれとの政略結婚を持ちかけられるが「たとえ最果てに飛ばされても」との覚悟で婚約拒否をした。 北島萌(きたじま もえ) 愛の中学時代の友人で板前。細身で一見可愛らしい女性だが、性格は男勝りでスカートは絶対穿かない。料亭「たかくら」に勤めていたが、誤解から親方(高倉健似)を殴って失業した。「寅さん」シリーズのファンで、登場当初は口調などをよく真似ていた。香港総領事公邸料理人となった愛の後を引き継ぎ倉木の下で働くが、公の助手ではなく、対等な同僚だと自認している。 当初は日本人なのにフレンチ職人となった公を嫌悪した(別に洋食嫌いというわけではない)が、仕事を通じ次第に信頼関係を築く。「たかくら」での先輩辰見との再会がきっかけで親方に謝罪し、関係を修復。日本酒と西洋料理とのマリアージュについ貴重なアドバイスをもらう。 作品の最終話ではまたも愛の後任として香港総領事公邸料理人となった。公邸執事の陳小龍(通称ブルース)によると「小俣総領事となぜか意気投合」している。
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