攻撃前の真珠湾とは? わかりやすく解説

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攻撃前の真珠湾

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 18:50 UTC 版)

真珠湾攻撃」の記事における「攻撃前の真珠湾」の解説

1941年昭和16年11月27日午前9時にホノルルにて、キンメルショート筆頭とするハワイ駐屯アメリカ陸海軍幕僚が、ハワイ諸島より西のウェーク島ミッドウェイ島への増援について協議していた。両島陸軍航空隊戦闘機増援として送ることの是非について話し合われていたが、両島ともに荷揚げ桟橋設備がなかったため、陸軍機を空母搭載して両島到着した空母から発艦して飛行場着陸させる必要があった。陸軍機は発艦はできても着艦はできなかったため、両島送った陸軍機はハワイ防衛に再び利用できない可能性があった。そこで陸軍参謀ジェームス・モリソン大佐が「我々の任務オアフ島を守ることであって陸軍機を両島派遣することは、防衛能力低下させることになります。」と意見述べるとキンメルは「君はなぜそんなに配するのか?我々が攻撃を受けるとでも思っているのか」と質した。そして、海軍のマックスモリス参謀に「日本軍がここを飛行機攻撃してくる見込みについて、どう思うかね?」と聞くと、マックスモリスは「そんな見込みはまったくありません。」と答えている。会議終わった後にキンメルショートそれぞれ陸海軍省から日米交渉破局至ったことの連絡と、日本軍近日中戦争行為起こす可能性が高いので警戒怠らないようにとの指示があったが、キンメル届いた警報については、日本軍侵略的行動対す警戒呼び掛け後段に、日本軍上陸作戦を行う可能性が高い地域として、フィリピンタイ王国マレー半島ボルネオ島いずれも東南アジア)が挙げられていたため、深刻に受け取られず、哨戒取り立てて強化されることもなかった。 アメリカ海軍は7隻の空母保有していたが、この当時真珠湾にいたのは、レキシントンエンタープライズの2隻のみであり、ワスプレンジャーヨークタウンホーネット大西洋におり、サラトガサンディエゴドックにいた。キンメル空母がたった2隻しかいないにも関わらず予定通りウェーク島ミッドウェイ島には増援を送ることとし、翌28日に、ウェーク島にはウィリアム・ハルゼー・ジュニア中将率いる第8任務部隊空母エンタープライズと3隻の重巡洋艦駆逐艦隊を派遣することとした。キンメルハルゼーに「戦艦連れていくかね?」と尋ねるとハルゼーは「高速で行かなければいけないときに足手まといになるからいりません」と拒否している。逆にハルゼーが「日本軍行き会った場合どうするんです?」とキンメル指示を仰ぐと、キンメルは「常識でやるんだよ」と暗に攻撃許可した。それを聞いたハルゼーは「射程距離入ってきたらただちに撃沈します。」と宣言している。ただし、前日会議陸軍意見尊重し陸軍戦闘機搭載せず、海兵隊兵士戦闘機搭載し出港した11月30日ハワイ島ヒロ新聞『ヒロ・トリビューン・ヘラルド』はその一面で、「日本来週末にも攻撃可能性」(JAPAN MAY STRIKE OVER WEEKEND)と報じたまた、オアフ島有力紙ホノルル・アドバタイザー』も同様の見出し報じた。その上ルーズベルト政権は、アメリカ合衆国議会にも国民にも、日本に対して疑似最後通牒であるハル・ノート提示したことを隠し外面的に日米交渉続いていると説明していたにもかかわらず、『ヒロ・トリビューン・ヘラルド』には、「日米交渉失敗日本東京)は自暴自棄になっている」(Tokyo Desperate As Talks Collapse)という小見出しがあった。歴史学者のスチーブン・スニエゴスキによると、コーデル・ハル国務長官親し新聞記者のジョセフ・リーブに、「ルーズベルト大統領は、日本数日のうちに真珠湾攻撃することを知っている」と漏らしたルーズベルト大統領は「そのまま放っておくそうすればこの国が参戦できる」という考えだったが、このやり方反発したハル国務長官は、絶対に情報源明かさないことを条件にして、内容メディア明かすことにし、真珠湾奇襲計画の内容含んだ解読済み日本暗号文書を、リーブ渡したリーブ当該文書ユナイテッド・プレス持ち込んだが、同社はそれをニュース配信することを拒んだ。それでも、その内容一部同社外信として配信することができ、それをハワイの2紙が記事にした。 12月2日には、無線機日本海軍暗号無線傍受していたハイポ基地日本軍空母コールサイン消えたことに気がつき、情報将校エドウィン・レイトン少佐キンメルその事報告したが、キンメルは「誰も気づかないうちに、連中ダイヤモンドヘッドまで来ているっていうのかね?」と言ってまともに取り合わなかった。さらに、12月4日空母レキシントン陸軍機を満載し重巡洋艦3隻と駆逐艦護衛引き連れてミッドウェイ向けて真珠湾出港し日本軍攻撃前に真珠湾から全ての空母がいなくなってしまった。 12月6日パープル暗号により、東京から米国首都ワシントンD.C.日本大使館に『帝国政府対米通牒覚書』が送信された。パープル暗号は既にアメリカ側解読されており、その電信傍受したアメリカ陸軍情報部は、その日夕方ルーズベルト大統領翻訳文提出したが、それを読み終わるとルーズベルトは「これは戦争意味している」と叫んだ。しかしこの覚書にはハワイ攻撃するとか、具体的な攻撃計画についてのヒントはまったくなかった。しかし、午後1時に覚書ハル国務長官手渡した後に全ての暗号機破壊せよとの指令付されており、攻撃時間連想されるものであったが、その(東部標準時午後1時が、ハワイ・アリューシャン標準時7時30分であることを思いつく者はいなかった。この情報陸軍情報部から知らされ海軍は、海軍情報部長セオドア・S・ウィルキンスン大佐スターク作戦部長にすぐにでもキンメル知らせるべきと進言したが、スタークは「ハワイ防衛陸軍責任であるため、陸軍参謀総長ジョージ・マーシャル大将からハワイ連絡するべき」と考えマーシャル要請したマーシャルもこの覚書開戦意味する考えてハワイマニラフィリピン)に警報を送ることとしたが、手続き時間かかった上に、ハワイ陸軍無線機故障しており、商用チャンネル通じてこの警報ショート届いたのは、攻撃終わった数時間後で、それも自転車乗った少年から配達された。 12月6日夜には「日本軍の2個船団カンボジア沖で発見した」というイギリス軍からもたらされ情報キンメルショートにも届いたキンメル太平洋艦隊幕僚と、真珠湾にある艦船どうするかについて協議したが、空母全て出港させてしまったため、艦隊空母援護なしで外洋に出すのは危険という意見一致したのと、週末多く艦船出港させると市民に不安を抱かせる判断し艦隊そのまま在港させることとした。しかし、これは真珠湾攻撃予測していたのではなくあくまでもワシントン当局警告通り日本軍攻撃してくるのは東南アジアだと考えていた。ショートにはさらにFBI盗聴したホノルル東京間の新聞特派員国際電話通話記録情報報告された。その通話記録では、特派員東京オアフ島上空天候などを頻繁に話し合うなど、航空攻撃示唆するような情報であったが、ショート幕僚もこの情報重要性に気が付くことはなかった。 真珠湾攻撃前夜となったこの夜は、キンメルショートもたらされる重要情報に気を配ることもなくどちらもパーティ出席し飲酒している。また、水兵たちも各々で夜を楽しんでおり、水兵娯楽のために新しくできた「ブロック・リクリエーションセンター」に各艦の水兵集まって、各艦対抗で最優秀バンド決める「音楽決戦コンテスト開催されていた。決勝では戦艦ペンシルベニアテネシー輸送艦アルゴン英語版)、軽巡洋艦デトロイトバンド勝ち残りペンシルベニアバンド優勝したその後飲酒しながら「ゴッド・ブレス・アメリカ」の大合唱盛り上がりダンスお開きとなったが、多く水兵そのまま残って予選落ちしたアリゾナバンド本当は一番よかった」などといつ終わるとも知れない議論繰り広げていた。キンメルは少し早めに切り上げて9時には帰宅し10時には就寝していたが、ショートは少し遅くなり、帰路車中で妻に真珠湾夜景を見ながら「何とも美し眺めだね」「でも恰好攻撃目標なりそうだ」と話しかけたが、奇しくもこの予言はこの翌朝実現することとなってしまった。

※この「攻撃前の真珠湾」の解説は、「真珠湾攻撃」の解説の一部です。
「攻撃前の真珠湾」を含む「真珠湾攻撃」の記事については、「真珠湾攻撃」の概要を参照ください。

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