トラブル・不祥事
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2014年1月29日から2月1日までの間、初号機である「JA01VA」の油圧系統の一部に不具合が生じて点検したところ部品交換が必要となり、この部品を海外から取り寄せとなったため、期間中に1月29日に4便、30日・31日・2月1日に6便ずつ、と期間中の全運航便数が12便のため、最大 半数の大規模欠航が発生した。この欠航対応の際、欠航案内が当日空港で乗客がチェックインするまで分からなかったり、払戻・変更対応も窓口が限られ電話に至っては月曜日から金曜日までの昼間のみの対応や利用者の格安航空会社に対する運賃システムの不理解により混乱を来した。 2014年5月3日、那覇発成田行きJW806便にて前脚のステアリングにトラブルが発生し、2時間20分の遅延。 2014年5月16日に、機長の退職や新規採用が予定通りに進まず運航要員が確保できないため、同年6月1日から30日までの間に運航される計154便の欠航を決定・発表した。なお、7月1日以降の運航便は機長の確保が出来るとのことで通常運航されている。 2016年(平成28年)4月17日、JW104便(台北発成田着、乗客159名)に搭乗していた国際線旅客を、成田国際空港到着時に誤って国内線ターミナルへ誘導し、50名の搭乗客が入国に必要な手続きを経ずに、日本へ密入国した事案が発生、一部乗客の申し出で発覚した。当日、15時から17時頃まで、成田国際空港付近が強風のため数便のゴーアラウンド・ダイバートが発生。JW104便は中部国際空港へダイバートし、給油を行った後に、成田国際空港へ21時45分に到着後、成田国際空港・東京空港交通の配車担当者が、同便を中部国際空港発の国内便と誤認し、乗客は3台のランプバスに分乗し、全てが成田国際空港の国内線到着口へ案内された(このため、一時は159名全てが東京入国管理局成田空港支局を通過しない「日本への密入国」となってしまった)。 これに対し国土交通省航空局長は、当該旅客の入国手続きを確実に済ませてそれを同省に連絡することと、再発防止策を検討して2016年(平成28年)4月22日までに同省に連絡するよう厳重注意を行った。 今回の事態を受け国土交通省航空局長に4月22日にバニラ側が提出した報告書では①バス会社で配車担当者がバニラエアからバス会社へ運行指示の変更が電話のみで行われ、正確に伝わっていなかったため、JW104便がダイバート先の中部国際空港から到着したことから国内線と誤認識し、運行指示を出していたこと、②バス配車から駐機場、バス到着口までの動線上でエラーに気づく仕組みがなかったこと、③不具合の未然防止を目的とした定期会議などを設定しておらず運行管理状況の品質管理体制の確立が不十分だったことの3点を挙げ、対策として4月18日からランプ構内バス運行会社への配車連絡方法を国際線、国内線の別をより分かりやすく、誤認防止と到着時刻変更等による配車変更時は、電話やFAXなどを併用した相互確認を強化、徹底し、4月21日からバス運転手はバス到着口に到着する前に、バス会社内で国際線、国内線の最終確認を実施、4月28日から到着バス担当者を新たに設置し、配車前にバス運転手と相互確認を行うことで、未然防止を図るとした。また、5月には不具合発生の未然防止を目的とした定期的な会議の場を新設し、継続的に委託業務の実施状況の確認を行うこととした。 バニラ・エアでは石井知祥会長と五島勝也社長に対し、それぞれ減俸20 %・1か月の処分を下し、また、東京空港交通も増井健人代表取締役社長を1カ月25%の減俸処分を下した。 2017年(平成29年)6月5日、奄美空港発関西国際空港着の便で、脊椎損傷による半身不随のため、車椅子を利用している身体障害者である男性搭乗者に対して、階段式のタラップを車椅子から降ろし、自からの腕力のみでタラップを這い上らせる事件が発生した。往路である6月3日に、関西国際空港の搭乗カウンターで写真が提示され、「奄美空港で降機する際、タラップになるため歩けない人は搭乗できない」ということを案内されたため、男性は「同行者の手助けで上り下りする」と答えて、降機の際は、同行者が男性を担いでタラップを下りた。帰省する同5日に関西国際空港行きの便に搭乗する際、バニラ・エアから業務委託されている空港職員から「往路で車椅子を担いでタラップを下りたことは同社の規則違反であった」と発言があった。その後、「同行者の手伝いのもと、自力で階段昇降をできるなら搭乗可能」と説明されたため、同行者が往路と同様に車椅子ごと担ごうとしたが奄美空港の職員が制止した。男性は車椅子を降りて、階段を背にして17段あるタラップの一番下の段に座り、腕の力を使って一段ずつずり上がり、3分から4分かけて上ろうとした。その際、空港職員は「それもだめです」と発言した。その後にそのまま黙って誰も手伝わなかったと報道された。しかし、空港職員に駄目だと言われた後も、同行者に男性が足首を持ってもらって腕で上っている途中で、バニラエアの客室乗務員が機内から駆け下りて来て、ドアの前で小型の機内用車椅子に乗り移って搭乗出来たと書いている。同社はその後「やり取りする中でお客様が自力で上ることになり、こんな形での搭乗はやるべきでなく、本意ではなかった。不快にさせた」と男性に謝罪し、奄美空港向けに急遽、アシストストレッチャー(座った状態で運べる担架)を導入し、その後、階段昇降機も導入することを決定した。バニラエアは「車椅子をご利用の方へ」で予約時に歩行状況、車椅子の仕様、付き添いの有無の3点を出発日の5営業日前までに、車椅子 仕様確認フォームを会社へFAXにて送付してくださいと公式ウェブサイトに載せていた。さらに「奄美大島線ご利用のお客様へ」で奄美空港施設要件に伴い、奄美空港出発/到着時にターミナルに接続されている搭乗橋をご利用いただけない場合がございます。その際には、アシストストレッチャー(階段昇降器)を利用する階段昇降であり、事前確認の必要があるので出発前に予約センターまで問い合わせをお願いしますと記載していた。その一方で当該男性は、空港設備の問題を理由に搭乗拒否される恐れがあるため、意図的に事前申告をしなかったことを明かした。 同社による上記の様な注意書きを含め、本件の事案は、障害者差別解消法に違反するという指摘もある。当該男性障害者も障害者差別解消法に基づいて、鹿児島県障害福祉課(障害者権利擁護センター)と大阪府福祉室障がい福祉企画課に異議申し立て(相談)を行い、鹿児島県障害福祉課は、障害者差別解消法 第5条で努力義務と規定された合理的配慮が足りなかったとして、同社に改善を打診した。両担当課は連携して対応し、同社の謝罪と改善に繋がったとしている。なお、同社がホームページに掲載している事前連絡については、強制ではなく「協力のお願いであること」を明らかにしている。 2017年(平成29年)6月18日、JW304便(香港発成田着、乗客168名)の搭乗客のうち34名への誘導を誤り、2016年(平成28年)4月と同様、成田国際空港の国内線カウンターにバスを誘導してしまい、入国審査・検疫・税関検査を経ずに、搭乗客を日本へ密入国させた事案がまた発生し、同社の降りた搭乗客への誘導に関する運航管理体制の不備が改めて露呈させた。これに対し国土交通省航空局長は、入国に必要な手続きに関係する各官署と連携を密にとり、誤って入国した旅客について、確実に入国に必要な手続きを済ませるよう、責任をもって対応にあたり、結果を随時報告することと今般の事案発生の原因究明と再発防止策を至急検討し、文書にて同年6月23日までに報告することとして厳重注意を行い、同月23日の同社報告書提出を受け同月27日付で再発防止策の実施体制の整備及びその履行及び輸送の責任主体としての意識の再徹底の講じた措置については、同年7月31日までに報告するよう業務改善勧告も行った。 今回の事態を受け国土交通省航空局長に同年6月23日にバニラ側が提出した報告書では①バス運転手と同社到着バス担当による配車内容の確認について、2台目以降のバス運転者に対して、同社到着バス担当からの直接の確認が出来ていなかったこと、②バス到着口に到着する前に、バス運転手とバス配車担当者間で内際区分に関する無線による相互確認を行うことになっているが、バス運転手の誤った確認内容に対し、バス配車担当が気づかなかったこと、③国内線バス到着口に、誤って国際線バスが来た場合、誤りを確認し、お客様の降車を防止する仕組みがなかったこと、④お客様からの申告を受けるまで、国際線で到着されたお客様が誤って国内線バス到着口で降車されたことを把握出来ていなかったことの4点を挙げ、対策として6月20日から国内線到着口に配置している空港警備員が、到着バスの「内際別表示プレート」を確認し、万一、国際線表示のバスが誤って国内線バス到着口に到着した場合、バス運転手に対してお客様の降車を行わないよう指示、国際線バス到着口に向かうよう指示し、複数のバスが同時に到着する場合は、1台ずつ確認すること、6月21日からは無線確認の回数を現行の到着口到着前に行う1回から機側を出発する際も行うことで2回の確認を行いまた、バス配車担当者とバス運転手の無線交信の内容をバス配車サブ担当者が確認すること、6月23日からは地上係員がバスに乗り、到着した機体のそばに向かい地上係員はすべてのバス運転手と、バスに掲出する「内際別表示プレート」など配車内容の確認し、最後に出発するバスでターミナルに戻る体制を確立し、6月26日から到着時は1人だった地上係員を2人に増員し、最初のバス到着口到着時確認し、最後のバス到着口到着後最後の乗客が間違いなく入国審査を受けられるよう誘導するよう対応するとした。 2017年7月9日、台北を早朝に出発し関西国際空港へ午前8時半頃到着したJW172便エアバスA320-200型機(機体番号:JA08VA)で化粧室内の外壁パネルが意図的に外されて中に複数のポーチに入った数十キロの金塊が隠されていたのを同社客室乗務員が飛行中に発見し、着陸後警察に通報した。該当機は現場検証及び安全確認のため、次便運航予定だった関西国際空港発奄美大島行きJW873便は約4時間遅れで運航された。後日、他の同社同型機の化粧室を調査したところ保有する11機中4機で同様の細工されたり、しようとした痕跡が発見された。同社と税関は同機が国際線運航後国内線で運航される機材運用情報を利用され、免税で国外入手された金塊を税関を通過せずに国内へ持ち込み換金し、消費税分の利益を上げようとした犯行の可能性があるとして警戒を強めるとした。
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