ゴーラ王国の人物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 00:20 UTC 版)
「グイン・サーガの登場人物一覧」の記事における「ゴーラ王国の人物」の解説
カメロン・バルザディ ゴーラ王国宰相。ヴァラキア出身。黒髪、黒い瞳。鍛え上げた長身に口髭を蓄えた、剛毅にして瀟洒な男。独身。祖国ヴァラキアでは海軍提督にして、主力船オルニウス号の船長をつとめていた。領主であるヴァラキア公ロータス・トレヴァーンや部下たちからの信頼は極めて篤く、部下たちからは「おやっさん」として親しまれていた。冷静沈着だが、自ら間諜めいた行動を起こすような無鉄砲な一面もある。 まだ幼かったイシュトヴァーンと出会って、その才気にほれ込み、息子のように可愛がって、いずれは自分の後継者にと考えていた。長い別離の後でイシュトヴァーンがモンゴールの将軍となったことを知るや、自らイシュトヴァーンのもとを訪れ、その後ヴァラキアを出てモンゴールに伺候するようになった。その際、オルニウス号の乗組員の多数が、カメロンとともにモンゴールへやって来て私設軍隊ドライドン騎士団を結成したことも、彼の人望の厚さを物語るエピソードとなっている。 武人としては海戦が専門ながら、陸戦もそつなくこなし、ゴーラの動乱の際には陸軍を率いてクム大公タリオを討ち取ったこともある。知性豊かで弁舌もたち、イシュトヴァーンが反逆の容疑で告発され、トーラスで裁判を受けたときには、その弁護人として強力な論陣を張ってみせた。しかし、その弁護もサイデンに憑依したアリストートスの亡霊によってイシュトヴァーンが狂乱したために無意味となり、カメロンはイシュトヴァーンを救うためにサイデンを斬り殺す。それが発端となりトーラス動乱が勃発し、モンゴールは再度滅亡した。 イシュトヴァーンに対する愛情は今も変わらないようだが、イシュトヴァーンが時折見せる冷酷を苦々しく思ってもおり、それが彼の最大の悩みとなっている。現在は宰相として、イシュトヴァーンに代わる実質上の施政者となり、内政・外政に忙しい日々を送っている。 イシュトヴァーンの息子スーティと、その母フロリーの存在が明らかになった際には、ブランにフロリーとスーティを探しだし、イシュタールに連れてくるように命令した。ブランはそれを果たせずに帰還したが、その直前にイシュトヴァーンにフロリーとスーティのことを話し、二人がパロに向かったことを告げる。やがてパロに送り込んだ間者から、フロリーとスーティがヤガに向かったことを知り、ブランに再度フロリーとスーティを連れてくるように命令し、ブランをヤガへ向かわせた。その直後、イシュトヴァーンが密かにパロに向けてイシュタールを出発した際には、イシュトヴァーンからゴーラを捨てて一緒に来ないかと誘われ、少なからず心を動かされた。しかしその時、ケイロニアからの特使の一団がやって来るという知らせが届き、苦悩の末イシュタールに残ることとなった。 イシュトヴァーンがパロを占領し、クリスタルパレスに居座り続けると、これを諫めるためにクリスタルへやって来るが、蘇ったナリスに傾倒し覇道を行くイシュトヴァーンはカメロンの言を耳に入れず、逆にイシュトヴァーンによって刺殺される(135巻『紅の凶星』)。 アリストートス モンゴール軍師、参謀長。パロの寒村モルダニアの出身。片目がつぶれ、背骨が曲った、矮躯の醜い男。独身。 サイロンの郊外で占い師を営んでいた際に、そばを通りかかったイシュトヴァーンに声をかけ、彼にモンゴールを足がかりにゴーラを手中にするよう献策する。それをきっかけに彼の軍師となり、モンゴール復活後は、モンゴールの軍師として戦いのみならず、さまざまな策謀、陰謀を巡らせるようになった。 性格は極めて陰険かつサディスティックであり、トーラス郊外のミダの森での盗賊仲間の惨殺事件や、ユラニアの首都アルセイスの紅玉宮での凄惨なクーデターの首謀者でもある。イシュトヴァーンに心底惚れ込んでいたが、それが次第に彼に対する執着心へと変わっていったことが、アリストートスの歪んだ性格をさらに助長することとなった。それがイシュトヴァーンの周囲の人々への嫉妬心ともなり、イシュトヴァーンが可愛がっていた少年リーロの暗殺事件を引き起こすことともなる。 それらの悪行は、ゴーラの動乱のさなかについにイシュトヴァーンの知るところとなり、開催された秘密裁判の場で、イシュトヴァーンによって斬殺された。が、その後も、イシュトヴァーンが反逆の容疑で告発された際に、亡霊として証人サイデンに取り憑いてイシュトヴァーンを狂乱させ、彼の弁護をしていたカメロンを激昂させるなど、イシュトヴァーンを苦しめ続ける存在となっている。 マルコ ゴーラの准将。イシュトヴァーンの第一の側近にして近衛長官。ヴァラキア出身。独身。ヴァラキアではカメロンの部下としてオルニウス号に乗り組んでおり、カメロンがモンゴールへ伺候したのに伴い、モンゴールへ移住した。移住当時はカメロンの私設軍隊ドライドン騎士団の副団長でもあった。その後、カメロンの命によりドライドン騎士団の籍を抜けてイシュトヴァーンの親衛隊に入り、イシュトヴァーンの側近として、マルガでのイシュトヴァーンとナリスの秘密会談の際にもただひとり同行した。ゴーラ建国後も、遠征には常にイシュトヴァーンの副官として従軍するが、王や若い武将たちの行動に心労が絶えない。 イシュトヴァーンによるカメロン殺害の場面を見たこともあり、ドライドン騎士団ゆかりで家族のいない者たちとカメロンの遺体と共にイシュトヴァーンと袂を分かち、復讐を誓う。 ブラン・クィーグ ゴーラの准将。カメロン率いるドライドン騎士団の現副団長。ヴァラキア出身で、以前はカメロンが船長を務めていたヴァラキアの軍船《オルニウス号》で水夫長を務めていた。ブランは通称で、フルネームはブラン・クィーグ。ヴァラキア時代からのカメロンの右腕であり、カメロンがモンゴールへ伺候したのに伴い、モンゴールへ移住した。ゴーラ建国後、正式に武将となりカメロンの補佐を務めていたが、イシュトヴァーンの息子スーティとその母フロリーを保護する特命を受け、パロに向かうグイン一行に傭兵スイランとして加わる。グインも認めるほどの剣の使い手であり、タイスで活躍する。パロ到着前に任務遂行を諦め、グインに別れを告げてゴーラに帰還する。カメロンに事の次第を報告した後はしばらく休息していたが、やがてカメロンからフロリーとスーティがヤガに向かったことを聞かされ、再度フロリーとスーティをイシュタールに連れてくるよう命令を受け、百名の部下と共にヤガへと旅立った。 そしてヤガに到着して、ヤガの実情の調査とフロリー親子の所在を探っている内に、遂にフロリー親子の居場所を突き止める。しかし事態は急変し、ヤガから脱出しようとしていたスカールとフロリー親子が《新しきミロク》の手先である泥の怪物によって足止めされ、泥の怪物の手がフロリーの足を捕まえたのを見かねて助けに入る。そしてフロリーの必死の懇願でスーティをスカールと共に託され、フロリーの身柄を《新しきミロク》から奪還することも叶わずにヤガから脱出する。そしてヤガ郊外で、スカールと共にヨナとフロリーの奪還とスーティの今後について話し合っているところに突然グラチウスが現れ、スーティの身柄をグラチウスに預けろという取引を持ちかけられる。だが直後にイェライシャが現れてグラチウスを追い払った後、今度はイェライシャからの提案に耳を傾ける。 ワン・エン ドライドン騎士団の切れ者、薄い眉を持つ。ゴーラ王の神託を受けたイシュトヴァーンに、傭兵時代の裏切りがモンゴールで露見した事実を告げる。 アストルフォ ドライドン騎士団の老騎士。「髭の騎士」、知的で篤実な性格で若者達の監督者。ヴァラキア海軍時代は「竜巻」の異名を持つ英雄として知られていた。 アルマンド ドライドン騎士団員。「楽器の騎士」、肩に届く金髪の巻き毛の美青年。生真面目な性格で弦楽器を愛する。 ヴィットリオ ドライドン騎士団員。「巻き毛の騎士」、アルマンドの同期。黒髪の巻き毛の伊達男。要領がよく女好き。 デイミアン ドライドン騎士団員。「大剣の騎士」、ノルン海の沿岸の生まれで元海賊。銀髪白皙。 ミアルディ ドライドン騎士団員。「斧の騎士」、デイミアンと同じく北方人の元海賊。長くもつれた火のような赤髪。デイミアンと共にカメロンに惹かれ部下となる。 シヴ ドライドン騎士団員。「黒い騎士」、南方クシュ出身の寡黙な青年。黒檀のような漆黒の肌を持つ。元奴隷でカメロンに助けられた。高い戦闘能力を持つ。 アリサ・フェルドリック モンゴールの貴族の娘。黒髪、青い瞳。父は元アムネリス旗本隊隊長フェルドリック・ソロン。敬虔なミロク教徒。イシュトヴァーンが反逆の容疑でトーラスで裁判にかけられた際、証人として出廷した父の付き添いとして物語に登場した。その直後、父を目の前でイシュトヴァーンに斬殺された。それからまもなくして、父の仇としてイシュトヴァーンの命を狙うがあえなく失敗。その時、イシュトヴァーンの内に潜む孤独と絶望に気づき、ミロク教の教えに基づき、彼を救うため、イシュトヴァーンのもとに残って彼に仕えることを決意する。 ドリアン ゴーラ王国王太子。黒髪、緑の瞳。父はゴーラ王イシュトヴァーン。母はゴーラ王妃アムネリス。異母兄にスーティ(小イシュトヴァーン)。イシュトヴァーンの次男。イシュトヴァーンにより投獄されていたアムネリスが獄中で彼を産み落とした際、夫イシュトヴァーンへの憎悪をこめて、悪魔神ドールの子を意味する名を彼に与えた。その出生の経緯もあってか、父イシュトヴァーンからも激しく疎まれている不憫な幼児である。その一方でモンゴール人からはアムネリスの血筋として忠誠の対象となっており、イシュトヴァーンが彼をモンゴール大公にすると布告した途端、モンゴールの反乱はぴたりと静まった。 サウル・メンデクス・ブロス・モンゴーラ三世 ゴーラ帝国第百三十代皇帝にして、ゴーラ帝国最後の皇帝。先帝の三番目の皇子として生まれ、7歳のときに即位して以来、ユラニアの首都アルセイス郊外の小都市バルヴィナにて軟禁生活を余儀なくされた。十人近くの兄弟がいたものの、いずれも30歳以前に夭折し、また彼自身の四人の子も幼い頃に死亡しており、彼の死とともにゴーラ皇帝家の血筋は途絶え、滅亡することとなった。それら、彼の血縁の死にはユラニア大公オル・カンの意志が働いていたと噂されている。事実上、ユラニア大公の傀儡として不遇の生涯を送ってきたが、第一次ケイロニア-ユラニア戦役の際には、グインの招請に応じてアルセイスへ赴き、ケイロニアとユラニアの和議の成立に大きな役割を担うこととなった。第二次ケイロニア-ユラニア戦役の直前に老衰で死亡した。後にグラチウスがその姿と名を騙って怪異を起こし、イシュトヴァーンをゴーラの王位に就けることとなった。
※この「ゴーラ王国の人物」の解説は、「グイン・サーガの登場人物一覧」の解説の一部です。
「ゴーラ王国の人物」を含む「グイン・サーガの登場人物一覧」の記事については、「グイン・サーガの登場人物一覧」の概要を参照ください。
- ゴーラ王国の人物のページへのリンク