エウクレイデス【Eukleidēs】
エウクレイデス【Eukleidēs】
エウクレイデス 【Eukleides】
エウクレイデス
エウクレイデス
エウクレイデス(ユークリッド)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 17:58 UTC 版)
「外送理論」の記事における「エウクレイデス(ユークリッド)」の解説
最古のまとまった幾何学的な視線理論は、紀元前3世紀ころ、エウクレイデスの著した『視学(光学)』『反射視学(反射光学)』である。 『視学(光学)』においては、エウクレイデスは視線を有限の幅をもつ射線とし、それらは相互に隙間を持って放たれるとした。遠方においては、隙間が多くなるゆえに視覚は明瞭でなくなり、隙間に落ちたものは見えなくなる。本書の冒頭部分では、これによって、「四角形を遠方から見ると角が丸まって見える」ことを説明した。原子論者やストア派が、距離による劣化で説明したのに対して、このエウクレイデスの説明は、新たな幾何学的な視点を付け加えた。こうして視覚の明瞭さを議論したのち、視線の間の角度と見かけの大きさが比例すると仮定して、遠近法的な問題や測量の問題を論じる。 本書は、色覚や眼の機能に触れるとこはなく、視線の物理的な実体や、どのように視覚情報が眼まで運ばれるのかといった点については、述べることはない。冒頭の視覚の明瞭さに関わる一連の議論を除けば、視線を単なる直線と解しても問題はない。特に、テキストAとよばれる系統の写本では、視線の物理的な性質に触れる場合でも、中立的な意味合いの用語を選んでいる。これらのことから、物理的議論から自由な理論の構築を目指した、という見解は古代でも現代でもある。ただし、いずれの解釈をとるにせよ、視覚の明瞭さの議論では視線の向きを外すことは難しい。 『反射視学(反射光学)』については、エウクレイデスの著作かどうか疑う見解もある。本書では、視線の反射の法則を述べ、様々な鏡による像の歪みを論じる。この際、論じられるのは、眼に映る二次元的な像ではない。「どのような立体が存在していると錯覚されるか」を論じるのである。たとえば、平面鏡であれば、左右と奥行きを反転させた物体があると我々は知覚する。凸球面鏡であれば、やや歪んで小さくなった物体が実際よりも近くにあると感じる。この問題を解くには、反射の法則だけでは明らかに足りず、奥行きの認識についての規則が必要である。本書では、平面鏡の他に凸および凹の球面鏡を扱っている。 本書の文言や論証、構成は必ずしも明瞭でなく、意図が不明な箇所もある。例えば、命題30では光線の集中(Burning mirror)を扱っているが、誤った主張であって証明も一貫せず、後世の付加の可能性もある。本書の冒頭には、用いられる原理が列挙されるが、4番目と5番目のものの意味するところについては、解釈が分かれる。また、最後の6番目の原理は屈折について触れ、「器に水を満たすと、器の底に置かれたものが浮き上がって見える」と述べているが、以降の命題の証明には用いらない。 反射の法則は、『視学(光学)』でも用いられる(命題19)。また、『反射視学(反射光学)』では、この命題19の言明を基本的な法則として掲げ、反射の法則を逆にそこから証明している。
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