エピクテトスとは? わかりやすく解説

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エピクテトス【Epiktētos】

読み方:えぴくてとす

55ころ〜135ころ]ストア学派哲学者奴隷であったが、のちに解放された。理性的な意志の力によって不動心境アパテイア)に達すべきことを説いた死後弟子講義集録綱要」などをまとめた。


エピクテトス

作者酒見賢一

収載図書ピュタゴラスの旅
出版社講談社
刊行年月1991.1

収載図書ピュタゴラスの旅
出版社集英社
刊行年月2001.6
シリーズ名集英社文庫


エピクテトス

名前 EpiktētosEpictetus

エピクテトス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/26 06:43 UTC 版)

想像画

エピクテトスΕπίκτητος, Epiktētos50年ごろ - 135年ごろ[1])は、古代ギリシアストア派哲学者。その『語録』と『提要』は、すべてのストア哲学のテキストの中でおそらくもっとも広く読まれ、影響力の大きなものであるといわれる[2]。苦難の中にあって平静を保つことや、人類の平等を説いたその教えは、皇帝マルクス・アウレリウスの思想にも引き継がれており、ストア主義の歴史上重要な意味を持つとみなされている[3][4]

生涯

エピクテトスは西暦50年ごろにフリギアヒエラポリスで生まれたと考えられている。母親は奴隷階級だったらしく、自身も奴隷としてローマ帝国の皇帝ネロ解放奴隷であるエパプロディートス英語版に売られた[5]。ローマでの彼の生活は不健康だったという。有名なストア哲学者ムソニウス・ルーフスの下で哲学を学ぶことをエパプロディートスに許され、ストア哲学を学んだ後、エパプロディートスによって奴隷から解放された。自由人となったエピクテトスは哲学の教師となったが、89年に皇帝ドミティアヌスが出した哲学者のイタリアからの追放令のためにローマを離れ、ギリシア東部のエピルスの大都市ニコポリスに落ち着いて哲学の学校を開いた。これはきわめて有名になり、皇帝ハドリアヌスも訪問したほどであった。エピクテトスは短い旅行を除き135年ごろに死ぬまでニコポリスに住んだと考えられている[6]

後年エピクテトスは片足の自由がきかず、そのことが何度か『語録』で触れられている。これはエパプロディートスによる残酷な虐待の結果といわれることがあるが、片足の自由がきかなくなった理由については『語録』で述べられておらず、はっきりしたことはわかっていない。高齢のためという推測もある[6]

著作

エピクテトス自身は著作を残さなかったが、(後にアレクサンドロス3世の伝記などを著した)アッリアノスが若い頃エピクテトスの下で学んだとき[7]、エピクテトスが話すのを「できるだけそのままの言葉で」[8]書き留めたものが『語録』として広まった。また、アッリアノスは『語録』から要点をまとめたものも残しており、それは『提要(エンケイリディオン)』と呼ばれている[9]。日本語では、次の本に現存する『語録』[注釈 1]と『断片』(エピクテトスへの言及を集めたもの)と『提要』がまとめられている。

日本語訳

関連書籍

  • 鹿野治助『エピクテートス ストア哲学入門』岩波書店岩波新書 黄版〉1977年、復刊2021年
  • 國方栄二『ストア派の哲人たち ギリシア・ローマ セネカ、エピクテトス、マルクス・アウレリウス』中央公論新社、2019年。各・訳者による学術書
  • Long, A. A. Epictetus: A Stoic and Socratic Guide to Life. Oxford: Oxford University Press, 2002
    • A・A・ロング『ヘレニズム哲学 ストア派、エピクロス派、懐疑派』金山弥平訳、京都大学学術出版会、2003年。上記とは別本
  • ライアン・ホリデイ『ストア派哲学入門』金井啓太訳、パンローリング、2017年。『語録』『提要』の抜粋を紹介。解説付き。
  • 吉川浩満山本貴光『その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。 古代ローマの大賢人の教え』筑摩書房、2020年。上記ともに一般読者・哲学入門者向け

脚注

ニコポリスにあるローマ時代の遺跡
[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 『語録』は全8巻あったが、現存するのは第1巻から第4巻までである。
  2. ^ 元版は『世界の名著13 キケロ エピクテトス マルクス・アウレリウス』鹿野治助責任編集、中央公論社

出典

  1. ^ Epictetus. Discourses, Fragments, Handbook. (Oxford World's Classics) Translated by Robin Hard, with an introduction and notes by Christopher Gill. Oxford: Oxford University Press, 2014.(以下、Oxford World's Classicsと呼ぶ。)p.xxxiii.
  2. ^ Oxford World's Classics, p.xxiv.
  3. ^ カール・ヒルティ『幸福論』岩波文庫、1961年。pp.37,43-104.
  4. ^ Russell, B. History of Western Philosophy. London: Routledge, 2003. p.268.
  5. ^ Oxford World's Classics, p.vii.
  6. ^ a b Oxford World's Classics, p.viii.
  7. ^ Oxford World's Classics, p.viiiでは、トラヤヌス帝(在位 105-113)の頃と推測されている。その頃エピクテトスは50代か60代前半であった。
  8. ^ 「アリアーノスのルーキウス ゲリウスに対する挨拶」(エピクテートス『人生談義(上)』p.12)より。
  9. ^ エピクテートス『人生談義(下)』p.308.

外部リンク


エピクテトス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 05:52 UTC 版)

史的イエスの資料」の記事における「エピクテトス」の解説

ストア派哲学者エピクテトス(50年頃 - 138年頃)の『語録英語版)』第4巻第7章6節にある「それでは、人は狂気によってそのような気持ちになり、ガリラヤ人は彼らの習慣によって同様の気持ちになりうるというのに、(後略)」の「ガリラヤ人」は「キリスト教徒指して」いて、「当時キリスト教徒は、エピクテトスの目には狂信者にしか映らなかった」と國方栄二訳注説明している。また第2巻第9章19節から21節にある「ユダヤ人」についてその中の20節で洗礼への言及があり、この「ユダヤ人」は「キリスト教徒のことであるのかもしれない。」と國方栄二訳注説明している。

※この「エピクテトス」の解説は、「史的イエスの資料」の解説の一部です。
「エピクテトス」を含む「史的イエスの資料」の記事については、「史的イエスの資料」の概要を参照ください。

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