アデム【ADEM】
読み方:あでむ
《acute disseminated encephalomyelitis》麻疹・水痘・ムンプス(流行性耳下腺炎)・インフルエンザなどのウイルス感染や、狂犬病・種痘などのワクチン接種の後に、まれに発症する脳神経系の病気。脱髄疾患の一つ。頭痛・発熱・嘔吐・意識障害・痙攣、あるいは対麻痺(両下肢麻痺)などの運動障害が現れる。ステロイド剤などの投与により完全に回復することが多い。急性散在性脳脊髄炎。
[補説] マウス脳由来の日本脳炎ワクチン接種後にADEMを発症した事例が報告されたため、厚生労働省は平成17年(2005)から接種の積極的勧奨を控え、事実上中止されていたが、平成21年(2009)に乾燥組織培養法による新型ワクチンが承認され、接種が再開。平成22年(2010)、新型ワクチンについて積極的勧奨を再開した。
Adem
急性散在性脳脊髄炎
(ADEM から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/02 23:22 UTC 版)
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急性散在性脳脊髄炎 | |
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概要 | |
診療科 | 神経学 |
分類および外部参照情報 | |
ICD-10 | G04.0 |
ICD-9-CM | 323.61, 323.81 |
DiseasesDB | 158 |
eMedicine | neuro/500 |
MeSH | D004673 |
急性散在性脳脊髄炎(きゅうせいさんざいせいのうせきずいえん、acute disseminated encephalomyelitis; ADEM)とは、ウイルス感染後やワクチン接種後に生じるアレルギー性の脱髄疾患である。
分類
ADEMを最初に記載したのはWestphalであり、軽症痘瘡後の脳脊髄炎についての研究であった[1]。2009年現在のADEMの定義は「急性発症で単相性の経過をとる中枢神経系の炎症機転を伴った散在性の脱髄病変によって神経症候を呈する疾患」である。
ADEMは特発性、感染後または傍感染性、予防接種後、急性出血性白質脳症(Hurst脳炎)の4つに分類されている。先行感染になりうるものには麻疹、流行性耳下腺炎ウイルス、インフルエンザウイルス、HAV、HBV、単純ヘルペスウイルス、帯状疱疹ウイルス、風疹ウイルス、EBウイルス、サイトメガロウイルス、HIVといったウイルス感染症のほか、マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラ、カンピロバクター、レンサ球菌などの感染症でも発症するとされている。ADEMの鑑別としては中枢神経系感染症が必ず挙げられるが、髄膜炎や脳炎に引き続いてADEMが発症することがある。この場合、当初は認められた髄膜炎症状が先行感染の症状なのかADEMの症状なのか、はっきりしないことがある。中枢神経系感染症は、成人発症のADEMの先行感染になりうると考えられている。
- 特発性ADEM (idiopathic ADEM)
- 感染症の既往や予防接種歴がないもの。
- 感染後または傍感染性ADEM (post-infectious ADEM/para-infectious ADEM)
- 何らかの感染症に引き続いて発症するもの。先行感染としては小児では発疹性ウイルス、成人では上気道感染が多いとされている。感染症状の2 - 15日以内に急性に起こる。
- 予防接種後ADEM (post-vaccinal ADEM)
- 日本脳炎、狂犬病、種痘、麻疹、インフルエンザ、百日咳、ジフテリア、破傷風、ムンプスなどのワクチン接種後2 - 15日以内に急性に起こる。
- 急性出血性白質脳症(Hurst脳炎)
- 1941年にHurstらによって初めて報告された、ADEMの劇症型である[2]。ほとんどの場合、10 - 14日で死亡する。
病態
ADEM発症の機序に関してはいくつかの説がある。
- 分子相同性 (molecular mimicry)
- 先行感染する病原体のエピトープとミエリン構成蛋白の分子相同性による機序が知られている。
- epitope spreading
- ウイルス感染などで血液脳関門が破壊されることを経て中枢神経の抗原が放出されることにより、自己反応性T細胞が新たに賦活される機序が知られている。
病理
ADEMの特徴的な病理像としては脳内の小静脈を中心とした実質内へのマクロファージの浸潤があり、その細胞層に限局して脱髄斑が形成されることが挙げられる。多発する病巣に時間差が認められないことも特徴である。多発性硬化症(MS)の脱髄斑はそのまま残存するが、単相性ADEMの病変部は髄鞘が保たれたまま非特異的なグリオーシスに置き換わる点が異なる。MSの病変は境界明瞭であるが、ADEMでは境界が不明瞭である。MSでは病巣周囲にマクロファージが浸潤するがADEMでは静脈周囲にマクロファージが浸潤する[3]。
疫学
疫学としてはADEMはすべての年代に起こりえるが、特に小児に多いとされている。これはワクチン接種や感染の機会が多いためと思われる。3 - 9歳で多く、福岡県で15歳未満を対象とした調査では罹患率は小児10万人あたり0.64人であった。成人での罹患率を含む大規模な疫学調査は2012年現在、存在しない。
症状と検査
神経症状は数時間から数日のうちに出現し、多くは数日以内に極期に達するが、数週から1か月で緩徐に進行することもある。感染症状やワクチン接種の先行は報告によって様々であり、33 - 100%で認められている。先行感染はウイルス感染が多い。感染後またはワクチン接種後2 - 15日で急性に発症する。前駆症状としては全身倦怠感、筋肉痛、感冒様症状が認められることが多い。発熱など全身症状は小児では43 - 52%で認められるが、成人では15%ほどで少ない。症状は頭痛、発熱、項部硬直など、髄膜炎症状をしばしば伴う。大脳、脳幹、小脳、脊髄の病変によって神経脱落症状を示す。
髄液検査ではADEMでは急性期では細胞数は単核球を中心に増加し (23 - 81%)、蛋白も28 - 60%で上昇する。オリゴクローナルバンドは小児では3 - 29%で、成人例では58%で陽性である。オリゴクローナルバンド持続陽性では、多発性硬化症へ移行する確率が高いとされている。MRIでは皮質下から深部白質にT2WIで高信号域が多発性、比較的対称性に認められるのが典型的である。大脳皮質、視床、基底核などに病変が認められることもある。
ADEMの急性期は、ウイルス性脳炎と慢性期に多発性硬化症との鑑別が重要となる。MRIでのウイルス性脳炎では皮質病変が主であり、白質病変を認めることは少ない。多発性硬化症よりADEMを疑う特徴としては左右差のある両側性白質病変、脳室や脳梁病変が少なく、左右差の少ない視床や基底核も含めた灰白質病変、テント下病変が多いことなどが指摘されている。多発性硬化症と比較して病変の境界は浮腫のために明瞭ではなく、Gd増強効果は少ない。
診断
ADEMの臨床診断学基準は存在しないが、2007年にNational Multiple Screlosis Societyにより、consensus diagnostic criteria for ADEMが提唱されている。そのほか、日本では葛原らの基準が知られている。それによると急性脳炎、脳脊髄炎で散在性症候を呈するものであり、なおかつ髄液細胞数増加、単相性の経過、MRIで多発性病変のいずれかを満たすものとされている。
- 単相性ADEM
- MRI上も中枢神経系疾患の既往のない健常人に、急性あるいは亜急性に中枢神経系の多発性炎症性脱髄性機序が推定される病変が白質を中心に出現し、意識障害や行動異常などの脳症症状を含む多症候を認め、予後良好でウイルス性脳炎など他疾患が除外されることが必要条件となる。症状の変動や新たな症状、症候あるいはMRI病変が3か月以内に確認される場合、1回目のADEMのイベントに含まれる。
- 再発性ADEM (R-ADEM)
- 初発ADEMイベントより3か月以上経過してから、もしくはステロイド治療終了後4週間以上経過して初発と同様の症状もしくは画像上同部位の再発の場合とする。
- 多相性ADEM (M-ADEM)
- 初発ADEMイベントより3か月以上経過してから、もしくはステロイド治療終了後4週間以上経過して初発とは異なる症状もしくは画像上異なる部位に再発が認められた場合とする。多発性硬化症との鑑別が重要となる。
治療
急性期は、ステロイドパルス療法や、アシクロビルを使用することもある。改善が乏しい場合は血漿交換、免疫グロブリン療法、シクロホスファミド静注療法、低温療法が行われることがある。
予後
小児期発症のADEMも57 - 89%が軽快する。しかし、1 - 4割の患者は死亡するか後遺症が残る。後遺症としては、知能指数の低下や多動などの行動異常、視覚-空間構成や視覚-運動統合の障害が報告されている。ADEM後にMSを発症する頻度は0 - 29%と、報告によって異なる。
成人発症のADEMは治療しない場合に約半数が後遺症を残し、半数は後遺症が残らず軽快する。かつては、ステロイドなどを用いた治療は確立しておらず、特に小児の死亡率は10 - 20%と、あまり予後も良くなかった。
出典
- ^ Westphal, C. (1872). “Concerning an Affection of the Nervous System after Smallpox and Typhus”. The British Journal of Psychiatry 18 (82): 289-294. doi:10.1192/bjp.18.82.289.
- ^ Hurst, E. Weston (1941). “Acute haemorrhagic leucoencephalitis: a previously undefined entity”. Med J Aust 2 (1): 1-6.
- ^ J Neuroimmunol. 2011 Feb;231(1-2):92-9. PMID 21237518
参考文献
- 神経内科 科学評論社 2009年7月号
- 小児科臨床ピクシス 急性脳炎急性脳症 ISBN 9784521733159
- 葛原茂樹 成人の急性ウイルス脳炎と急性散在性脳脊髄炎 Neuroinfection 2007;12:3-10
- 最新アプローチ 多発性硬化症と視神経脊髄炎 ISBN 9784521734415
関連項目
ADEM
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/21 22:48 UTC 版)
正式名称"The Administrative Division of the Estate of Mineshima(訳:峰島の遺産管理局)"。LC部隊を擁し、遺産犯罪への対処が主な活動で国連でも認められている。遺産の不正使用を監視するための強制査察権限を持っている。最重要遺産はS-00001(峰島由宇)である。現在は黒川の策略によりADEMは権限を失い事実上機能停止となっている。 伊達 真治(だて しんじ)(声優:立木文彦) ADEMの総司令。妻と死別している。由宇とは幼少の時彼女を保護してからの長い付き合いがある。 スフィアラボの事件前は由宇を危険視していたが、由宇が自分の意思でNCT研究所に戻ってきてからは少しずつその考えを改めつつある。 黒川の策略により由宇を奪われ、ADEM本部を破棄することになる。 NCT研究所に立て篭もりLAFIを守っていたがサタンの攻撃により研究所への侵略を許し、マモンにより奪われてしまう。 性格は冷静で寡黙である。彼は部下を信頼し、信望を集めている。己の欲のためには決して遺産を使用しない正義感に似たものを持つ。八代の素性を知っていて、彼の入局時から既に目を付けていた。 黒川とは大学の時の同期。 外伝の話によると最初の遺産事件の当事者であり、まだ無名で峰島勇の名であった頃の峰島勇次郎、クレールの母親、真目蛟などの人物とも顔を合わせている。 岸田群平(きしだ ぐんぺい)(声優:西村知道) NCT研究所の最高責任者で、由宇をほとんど娘のように思っているようである、由宇の良き理解者。監禁状態を強いている負い目から、日夜彼女の処遇改善を伊達に求めている。 由宇に対しては少々過保護気味。かつて峰島勇次郎と共に研究を行っていた。 八代一(やしろ はじめ)(声優:三宅淳一) 伊達の秘書官。明るいが軽そうな言動で部下からは全然尊敬されていないが能力は優秀。伊達が不在の場合などは指揮をとる。 食玩を集めることが好きで、また三食コンビニらしい上に、ヤクザなマンションのごちゃごちゃしているというだらけた状態の部屋に住んでいる。 アリシアから運転手、たまきから戦闘能力が軽んじる発言をされるが実際には戦闘力が高く、アリシア、たまきの両名も自分達よりも圧倒的な戦闘能力を持つことを認めている。 八陣家の一つ八代家の出身。八代の人間では欠陥である『一度でも言葉を交わした人間を殺せない』という性質を持っている。 峰島と敵対している真目の陣営の八代家の出身ながらADEMに属しているのは、優秀すぎる兄弟がいたために家出したためであると語っている。 ADEM編より七つの大罪の一人であるマモンと同等以上に戦った(このときマモンは変異体の影響により身体能力が飛躍的に上がっていた)ことや、由宇の評価から、常人以上の戦闘能力を有していることがわかる。それぞれの発言と怜が苦無(クナイ)を使い「神鳴殺」を使用していることから察するに怜とは何らかの関係があるようである。 家出しても連れ戻されもしなかった凡人であると自身で語るが、初めて会った頃の峰島由宇に彼の戦闘力を1とすると自分の戦闘力は4.27である(普通の訓練された兵士では百人がかりでも峰島由宇に勝てないが、八代が五人いれば辛勝できるということになるために、常人より遥かに優れているということになる)と評価され、真目麻耶にも政治の能力において優秀であると言わせる。また、マモン(六道舞風)の劣等感を利用し倒すなど戦術も巧み。 萩原誠(はぎわら まこと) 容姿はいいが性格はとにかくスケベで親父っぽい。闘真の学校の転校生。しかし、実際は23歳で、特殊部隊SATに所属していた経歴をもつ。危機回避能力(第6感のようなもの)が高く、それ故にSATを去ることになるが、その能力を買われ分析官として八代を介しADEMにスカウトされる。 八代の直属の部下だが八代に対する忠誠心や帰属意識は低い。主に監視任務に就く。八代に振り回されつつも任務をこなしている。独り言が多い。 八代とは趣味が似通っているが、スカウトの際の八代の計略や日頃の扱いのためか、仲がいいという様子ではない。 蓮杖直人(れんじょう なおと) 海外研修をしていたLC部隊の一員。アドバンスLC部隊のリーダーとなる。常に冷静沈着、戦闘時においても瞬時に状況を判断し対応する。 海星の急襲を受けるが、隊員の犠牲を無くすために彼は投降を決意、部隊全員が捕虜となる。 部下からの信頼も厚いが、7巻の最後の場面にて黒川から勧誘され、彼に迷いが生じる。 環あきら(たまき あきら) 元々は海外で傭兵をしていた。海外研修をしていたLC部隊の一員。アドバンスLC部隊の一員で紅一点。遺産技術のウィンディーネを使用する。 伊達真治に恋愛感情を持っている。七つの大罪の一人サタンと対決、仲間の協力で彼を撃破する。 遺産技術であるウィンディーネを使いこなしているが、それを私的な目的で使うこともある。 越塚清志郎(こしづか せいしろう) 海外研修をしていたLC部隊の一員。アドバンスLC部隊の一員となる。 あきらに「乗り物オタク」と呼ばれる。 その実力は確かである。戦闘機も完璧に乗りこなし、全長20メートル、高さ17メートルの巨大ダンプカーTITANで片輪走行が可能である。 吉見萌(よしみ もえ) 海外研修をしていたLC部隊の一員。アドバンスLC部隊の一員となる。スフィアラボ編での亜門。 前回の事件後、脳障害があったため回復手術が行われた。記憶は消え、人格も変わっている。名前の萌はたまきが付けたもの。 朝倉小夜子(あさくら さよこ) レプトネーター開発者であり、コンピュータなどの機械の操作に長ける。盲目。 孤石島での事件の後、由宇のために女性研究員を補強する一環でNCT研究所に入所することとなる。明るく優しい女性。由宇とは親しくしている。 ADEMの危機の際に危険を承知でLAFIに潜り込み、風間と出会う。 木梨孝(きなし たかし) LAFIセカンドの開発チーフ。元クラッカーだが腕を見込まれNCT研究所にヘッドハントされた。技師としての実力は高いのだがプライドが高く、人を見下すような口調で話す。 天国の門編にてLAFIファーストから身体に侵入した八十八元素の1つによって身体に変異を引き起こす。 星野(ほしの) 自衛隊隊員。孤石島の事件の自衛隊員の唯一の生き残りで、後に、NCT研究所に配属される。孤石島の際に知り合ったために朝倉小夜子とそれなりに親しい。 久野木(くのき) LC部隊、スフィアラボ奪還作戦隊長。作戦中に死亡。
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