翡翆とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 言葉 > 表現 > 翡翠 > 翡翆の意味・解説 

かわ‐せみ〔かは‐〕【翡翠/川×蝉】

読み方:かわせみ

ブッポウソウ目カワセミ科全長17センチくらい。頭から背にかけて光沢のある青緑色、腹は栗色くちばし大きく黒色で、雌は下くちばしが赤。飛び込んでを捕って食べる。ユーラシア分布日本では水辺にみられ、留鳥。翡翠(ひすい)。しょうびんそにどり。《 夏》「—や露の青空映りそむ/波郷」

カワセミ科総称。ヤマセミ・アカショウビン・ワライカワセミなど、世界に約90種が分布

翡翠/川蝉の画像
「翡翠」に似た言葉

しょう‐びん【翡翠】

読み方:しょうびん

カワセミ科のこと。特に、カワセミの別名。《 夏》


ひ‐すい【××翠】

読み方:ひすい

カワセミの別名。雄が翡、雌が翠。

カワセミの羽の色。美しく光沢のある髪の色などにたとえる。翡翠色

つやのある緑色硬玉また、硬玉軟玉総称。主に翡翠輝石からなり美しさカワセミの背にたとえた名。主産地ミャンマー中国などで、日本では新潟県糸魚川市小滝川付近から産出古来装飾品用いられる平成28年2016)、日本鉱物科学会により国石(こくせき)(国を代表する石)に指定された。ジェード

翡翠の画像
#38b48b/R:56 G:180 B:139/C:65 M:0 Y:55 K:25
翡翠の画像

翡翠

読み方:カワセミkawasemi), ショウビン(shoubin), ヒスイ(hisui)

カワセミ科


かわせみ 【川蝉・翡翠】

ブッポウソウ目カワセミ科ギリシア伝説に、海難死した夫も、それを慕う妻も、カワセミになった話がある。彼らの祖父風神アイオロスだったので、カワセミ営巣のときは風浪起きないとする。中国では、その羽の美しさから翡翠の字を当て、翡は雄、翠は雌のカワセミとする。

翡翠

作者小沼丹

収載図書埴輪の馬
出版社講談社
刊行年月1986.9

収載図書埴輪の馬
出版社講談社
刊行年月1999.3
シリーズ名講談社文芸文庫

収載図書小沼丹全集 第3巻
出版社未知谷
刊行年月2004.8


翡翠

作者平岩弓枝

収載図書やきもの師 〔新装版
出版社東京文芸社
刊行年月1987.2


翡翠

作者芥川龍之介

収載図書芥川龍之介全集 第1巻 羅生門
出版社岩波書店
刊行年月1995.11


翡翠

作者山崎洋子

収載図書事件現場行こう最新ベスト・ミステリーカレイドスコープ編
出版社光文社
刊行年月2001.11
シリーズ名カッパ・ノベルス


翡翠

作者坂東源五郎

収載図書里帰り・翡翠・相続
出版社新生出版
刊行年月2002.6


翡翠

作者之木堅康

収載図書探偵遊戯
出版社新風舎
刊行年月2005.10


翡翠

作者レイモンド・チャンドラー

収載図書トライ・ザ・ガール
出版社早川書房
刊行年月2007.10
シリーズ名ハヤカワ・ミステリ文庫


翡翠

読み方:カワセミkawasemi), ヒスイ(hisui)

カワセミ科留鳥

季節

分類 動物


翡翠

読み方:カワセミkawasemi

作者 長見義三

初出 昭和9年

ジャンル 小説


翡翠

読み方:カワセミkawasemi

作者 松村みね子

初出 大正5年

ジャンル 歌集


翡翠

読み方:ヒスイ(hisui)

作者 室生犀星

初出 大正14年

ジャンル 童話集


ヒスイ

(翡翆 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/22 05:52 UTC 版)

新潟県糸魚川市で産出した硬玉(ヒスイ輝石)の原石
新潟県糸魚川市で産出した軟玉(ネフライト)の原石

ヒスイ(翡翠、: jade、ジェイド)は、深緑の不透明~半透明な宝石の一つ。東洋中国)や中南米アステカ文明)では古くから人気が高い宝石であり、以上に珍重されたこともある。古くは(ぎょく)と呼ばれた。

翡翠と称される鉱物には「硬玉ヒスイ輝石)」と「軟玉ネフライト : 透閃石-緑閃石角閃石)」がある。両者は鉱物学的には全く別の鉱物である。しかし見た目では区別がつきにくく、宝石としてはどちらも「翡翠」として扱われる。

概要

古代史

ヒスイは非常に頑丈なことから、先史時代には石器武器の材料でもあった。ヨーロッパでは翡翠で作られた石斧が出土する。

現在判明している世界最古のヒスイの加工は、日本国内の新潟県糸魚川市(の現領域)において約5,000年前に始まったものである[1]。世界最古の翡翠大珠が同国内の山梨県で見つかっている[2]。2016年時点では国内の翡翠加工史は7千年前とされている[3](「糸魚川のヒスイ」も参照)。

中国ではヒスイは他の宝石よりも価値が高いとされ、古くから腕輪などの装飾品、また精細な彫刻をほどこした置物などに加工され、利用されてきた。

不老不死および生命の再生をもたらす力を持つと信じられており[要出典]古代においてはヒスイの小片を金属糸などでつないだ玉衣中国語版で貴人の遺体全体を覆うことが行われた。中南米の王族の墓でも同様の処置が確認される。ニュージーランドメソアメリカではまじないの道具としても使われていた(メソアメリカでは腹痛を和らげる石として使われていた)。

硬玉と軟玉

硬玉と軟玉は組成的にはなんら関係のないものだが、見た目が似ていることからどちらも翡翠と称される。

中国では軟玉しか産しなかったこともあり軟玉も宝石とみなされるが、一般的には軟玉は半貴石に分類される。中国で翡翠として称されて販売されるものは現在でも軟玉が多い。軟玉のうち白く透明感のある最上質のものは羊脂玉と呼ばれ、硬玉よりも高値で取引されることがある。

現代の利用

ヒスイは装飾品のほか、ランプシェードなどの工芸品にも使われていて、中では高い硬度を生かしたコーヒーミルも作られている。

日本のヒスイ史

上述のように日本列島においては世界最古と考えられるヒスイ加工文化が発展したが、のちに衰退して忘れ去られていた。しかし20世紀に再び国内での産出が発見されたことで、歴史学的・地理学的な注目を浴びることとなった[4]

古代における発展

縄文時代の装身具

日本におけるヒスイ利用文化は約5,000年前の縄文時代中期に始まり、縄文人がヒスイの加工を行っていた。のち弥生時代古墳時代においても珍重され、祭祀・呪術に用いられたり、装身具や勾玉などに加工されたりしていた[1][2]

新潟県糸魚川市(現在)のヒスイ海岸に打ち上げられたヒスイの原石が交易品として海路を用いて広く運ばれたとされ、北海道から沖縄に至る範囲で1千箇所以上でヒスイの加工品が発見されている[5]

糸魚川のヒスイは海外にも運ばれ、朝鮮半島からも出土している[5][6]。さらに中国の史書「魏志倭人伝」に記載された邪馬台国台与が中国王朝に贈った2個の勾玉がヒスイだったという説もある[5]

衰退と忘却

奈良時代に入り仏教が伝来すると、王朝はそれまで重要とされていたヒスイの利用を避けるようになり、急速に日本の歴史から姿を消した[1][2]。ヒスイを多くあしらった国宝である東大寺不空羂索観音立像はその過渡期のものである。

そのため以後はヒスイの加工文化のみならず日本国内で産出することも忘却されており、昭和初期までの研究者たちは、日本国内の遺跡から出土するヒスイの勾玉等は海外(ユーラシア大陸)から持ち込まれたものだと考えていた[4]

再発見

1938年(昭和13年)、糸魚川市に在住する文学者の相馬御風が、史書の記載によればかつて糸魚川周辺を治めていたという奴奈川(ぬながわ)姫がヒスイの勾玉を身につけていたとされるため、付近にヒスイの産地がある可能性があると考えた[4]

相馬が知人の鎌上竹雄にその旨を話したところ、鎌上はさらに親類の伊藤栄蔵に口伝し、伊藤は同年8月12日に居住していた小滝村(現・糸魚川市)を流れる小滝川に注ぐ土倉沢の滝壷で緑色の美しい石を発見した[4]

1939年(昭和14年)6月、その石は鎌上の娘が勤務していた病院の院長である小林総一郎を通じて、小林の親類であり東北帝国大学理学部で岩石鉱物鉱床学を研究していた河野義礼へ送られた。河野の上司である教授の神津俶祐が所有していたビルマ産のヒスイとその石とを河野が分析比較した結果、小滝川で採れた緑色の石はヒスイであることが判明した[4]

さらに翌7月、河野は現地調査によって小滝川の河原にヒスイの岩塊が多数あることを確認し、河野は同年11月に論文を発表した[4]

この結果、日本国内にはヒスイの産地が存在することが証明された[1][7][8]。奈良時代に忘れられて以降、約1,200年もの時を経た再発見であった。

日本列島周辺で太古に利用されていたヒスイ加工品が海外渡来でなく日本国内由来のものであった[5][6]ことが示され、考古学上および地質学上の通説を覆す、歴史的意義の大きい画期的な発見となった。

再発見にまつわる謎

この再発見に関してはさまざまな疑問点、またそれ以前の「再発見」の可能性を示す異説が存在する。詳細は糸魚川のヒスイ記事を参照。

現代

2016年(平成28年)9月には日本鉱物科学会により日本の国石と認定された[9]

なお、日本の天然記念物に指定されている場所での翡翠の採取は、文化財保護法に違反するおそれがある[10][リンク切れ]

中国の玉彫工芸史

翠玉白菜

中国においては中国では美しい石、宝石の総称で、古くから実用品や装飾等の材料として用いられた。玉の中でも特に翡翠が珍重されたことから、玉は翡翠の意味としても使われた。

玉器すなわち玉彫工芸品は、中国の伝統工芸品において重要な位置を占める。などの玉器は古くから作られ(古玉)、「和氏の璧」などの故事の題材にもなっている。

なお、草創期の玉器には石英滑石も含むが、故宮博物院に収蔵されているような玉器のほとんどは軟玉である。

古い時代の中国では、特に白色のものが好まれており数々の作品が残っている。これらの軟玉の産地は、現在の中国新疆ウイグル自治区に属するホータンであり、他の軟玉より硬く籽玉(シギョク、シは米へんに子)または和田玉(古くはコーラン玉)と呼ばれていた。

18世紀の時代)以降、ミャンマーから硬玉が輸入されるようになると、鮮やかな緑のものが好まれるようになった。そのなかでも高品質のものは琅玕ロウカンカンは玉へんに干)と呼ばれ珍重されることになった。台北国立故宮博物院にある有名な翠玉白菜の彫刻は硬玉製である。

琅玕は中国語で青々とした美しいを意味し、英語ではインペリアルジェイドと呼ばれる。これは西太后が熱狂的な収集家であったことに由来するとされる。

2008年(平成20年)の北京オリンピックメダルにもヒスイの装飾が用いられた[11][12]

語源

翡翠

元々、翡翠は美しい石として、瑪瑙やその他の宝石とともに「玉」と総称されていた。

「翡翠」は中国では元々カワセミを指す言葉であったが、時代が下ると翡翠が宝石の玉も指すようになった。その経緯は分かっていないが以下の説がある。翡翠のうち白地に緑色と緋色が混じる石はとりわけ美しく、カワセミの羽の色に例えられ翡翠玉と名づけられたという。この「翡翠玉」がいつしか「玉」全体を指す名前になったのではないかと考えられている。

参考までに、古代日本では玉は「たま」、カワセミは「そび」「そにとり」と呼ばれていた。カワセミに「翡翠」の字があてられ「ヒスイ」とも呼ばれ始めたのは室町時代以降である。したがって「翡翠」の語は中国から輸入されたと推察できる。

Jade

英語では、硬玉、軟玉、碧玉等の総称としてジェイド (Jade) を使っており、とくに硬玉と軟玉をわける必要があるとき、硬玉(ヒスイ輝石)をジェイダイト (Jadeite)、軟玉(透閃石-緑閃石系角閃石)をネフライト (Nephrite) と称している。

Jadeは元はejadeと言ったが、語頭のeが冠詞の一部と誤解されて抜け落ちた。Jadeの語源として、スペイン語の「piedra de ijada」(横腹の石の意)が、フランス語に移入して「pierre de jade」と変化し、これが英語に入り「Jade」となったとされる。なお「横腹の石」の名称は、翡翠が腎臓病に効くといわれていたことが由来となっている。スペイン人がメキシコのアステカ王国を滅ぼした後、メキシコからこの石を持ち帰ったことに起源し、スペインで翡翠が腎臓の痛みを治癒させると考えられていたのは、古代メキシコの風習がスペインに移入されたものと思われる。[13]

産出地

中華民国の国立故宮博物院に掲示されている、世界の主な翡翠産地

翡翠の産出地は世界的にも限られている。なお、中国のホータンで産出される翡翠(和田玉)は軟玉であり、中国に硬玉の産地は存在しない。

硬玉の主な産地

宮崎・境海岸(富山県)

軟玉の主な産地

性質・特徴

翡翠は「硬玉」(ヒスイ輝石)と「軟玉」(ネフライト)の2種類があり、化学的にも鉱物学的にも異なる物質である。日本においては明確に区別されており、通常「翡翠」はヒスイ輝石を指す。このため、「硬玉」という用語はほとんど使われない。一方で、「軟玉」は現在でも使われている[15]。宝石としての翡翠は50%以上のヒスイ輝石が含まれたヒスイ輝石岩を指す。それ以外のものは基本的には資産価値に乏しいとされている。本記事でも「翡翠」は、特に断りのない限りヒスイ輝石岩のことを指している。

鉱物学的特徴

硬玉 - ヒスイ輝石(jadeite、本翡翠、ジェイダイト、ジェダイト)
Na輝石の一種。イノ珪酸塩鉱物。化学組成: NaAlSi2O6結晶系: 単斜晶系。: 白色、淡緑色。モース硬度: 6.5 - 7。比重: 3.25 - 3.35。劈開裂開: 完全。結晶の形: 単鎖型。
軟玉 - ネフライト(nephrite、透閃石-緑閃石系角閃石の緻密な集合)
Ca角閃石の一種。イノ珪酸塩鉱物。化学組成: Ca2(Mg,Fe)5Si8O22(OH)2。結晶系: 単斜晶系。色: 白色、葉緑色 - 暗緑色。モース硬度: 6 - 6.5。比重: 2.9 - 3.1。

堅牢性

硬玉はモース硬度が6.5 - 7、軟玉は6 - 6.5、と価値の高い宝石の中では硬度が低く、砂(石英)よりも硬度が劣るため傷がつきやすい。しかし翡翠は、硬玉も軟玉も、内部で針状~繊維状の小さな結晶が複雑に絡み合った鉱物(イノ珪酸塩鉱物)であり、すべての鉱物の中で最も割れにくい性質(靭性)を持っている。

ダイヤモンドは最も高いモース硬度を持っているが、ある特定の角度から衝撃を与えると簡単に割れる。一方、翡翠は細かな結晶の集まりであるため、衝撃に弱い方向というものが存在しない。ただし、鉱物としては強靭でも、天然翡翠の場合、ヒビや石目があるとそこから割れる場合もあるので取り扱いに気をつける必要がある。

翡翠の色

日本では翡翠は深緑の宝石という印象を持つ人が多いが、その他にも、ピンク、薄紫(ラベンダー)、半透明、白、青、黒、黄、橙、赤橙といった様々な色があり、大きく分けて、15色程度と言われる。

化学的に純粋なヒスイ輝石の結晶は無色だが、翡翠は細かな結晶の集まりのため白色となる。また翡翠が様々な色を持つのは石に含まれる不純物や他の鉱物のためである。

翡翠の緑色には2つの系統があり、鮮やかな緑のものはクロムが原因であり、コスモクロア輝石の色である。もう一つの落ち着いた緑は二価鉄によるものであり、オンファス輝石の色である。同じ緑色でも日本と東南アジアでは好みが異なり、日本では濃い緑のものが価値が高く、逆に東南アジアでは色の薄いものが好まれている。ただしこれは比較的安価な場合であって、やはりどの国においても最も珍重されるのは琅玕と呼ばれる鮮やかで濃く透明感のあるものである。琅玕と呼ばれる品質の良いものには、トロリとしたテリのある透明感がある。

緑の次に人気の高い「ラベンダー翡翠」は、日本のものはチタンが原因でありやや青みがかってみえる。またミャンマー産のものは鉄が原因であり紅紫色が強い。

黄、橙、赤橙は、粒間にある酸化鉄の影響であり、黒色のものは炭質物が原因である。これらの色の翡翠は一般的には資産価値がない。日本では橙、赤橙系の翡翠は産出されていない。

青は、ヒスイ輝石には存在せず、主にオンファス輝石の色によっている。また、日本の翡翠中から見出される青い鉱物は、糸魚川石(SrAl2(Si2O7)(OH)2・H2O)という新鉱物であることが発見されている。

翡翠の成因

翡翠が産出されるところは全て造山帯であり、翡翠は主に蛇紋岩中に存在する。蛇紋岩は地殻の下のマントルに多く含まれる橄欖岩を含んで変質したもので、プレート境界付近で起こる広域変成作用の結果としてできる岩石である。

一方のプレートが他のプレートの下に潜り込むことにより広域変成作用が起こり、同時に激しい断層活動で地上に揉みだされることにより蛇紋岩は地表付近に出現する。その途中でアルビタイト(曹長岩)や変斑糲岩、変玄武岩を取り込むことがあり、それらが高い圧力のもとでナトリウムカリウムを含んだ溶液と反応して翡翠に変化したと考えられている。

曹長石に高い圧力をかけることで起こる、NaAlSi3O8 = NaAlSi2O6 + SiO2という固相反応があることから、ヒスイ輝石は低温高圧でできると考えられてきたが、実際には翡翠中には石英がほとんど存在せず、沸石類のような低圧鉱物との共生も見られることから、詳しい成因については今後の研究が待たれている。

人工合成石

1984年にGE(ゼネラル・エレクトリック社)が人工的な合成に成功。ナトリウム、アルミニウム、酸化シリコンを混合し、1482℃、圧力120万kg/cm2 の条件下で、直径6.25mm×高さ12.5mm の円筒状結晶を得ている。

ただし、宝飾用のものを合成することは現在のところ困難である。

加工法

翡翠は多孔質の物質であり、様々な後加工が可能である。通常、宝石として販売される翡翠は、まったく無処理の翡翠は少なく、なんらかの改良処理がされているものがほとんどである。この処理のことをエンハンスメントという。

エンハンスメント

エンハンスメントは天然の状態でも起こりうる現象を人為的に似せて行う改良であり、処理石とは見なされないとされる。

翡翠の場合、表面の光沢を改良する目的で、無色ワックスなどでエンハンスメント(蝋処理)が行われる。これらは鑑別書に明記されることがある。

トリートメント

天然の状態では起こらない方法で改良処理されたものをトリートメントという。翡翠の場合は含浸染色がある。これらは鑑別書に明記される。

含浸
天然翡翠には不純物の酸化鉄などで茶色が混ざっている場合も多い。翡翠は酸に比較的強いため、酢酸などにつけて鉄を煮出すことができる。その後エポキシ系樹脂に浸し表面を滑らかに整える方法は、中国では古くから行われている。
染色
翡翠は多孔質の物質であり、染料を簡単に吸収することから、価値の劣る白色の翡翠を染色することが行われている。

翡翠の等級

以上のような処理をほどこした翡翠は3つの等級に分けられる。

Aジェイド
処理されていないもの。「ナチュラルナチュラル」と呼ばれる。
Bジェイド
樹脂に浸したもの。同時に漂白処理もされることが多い。
Cジェイド
染色されたもの。

鑑定・購入

翡翠の鑑別は科学的鑑定法が存在するが、一般人が行うことは難しいため専門機関に任せることになる。硬玉と軟玉の区別は非常につきにくいため、海外で購入する場合は特に注意が必要である。また宝石業界では、商品名の中に見かけのよく似たより高価な貴金属名を入れて顧客を騙す「フォールスネーム(偽名)」という慣習があるが、以下にあげるように、翡翠にはよく似た鉱物や少し加工するだけで翡翠に見せかけることができる鉱物が多いため、別の鉱物に「~翡翠」などというフォールスネームをつけて売られていることが少なくない。

翡翠に似る石

カルセドニー(玉髄、碧玉)、クリソプレーズオーストラリア翡翠とも呼ばれる)
カルセドニーはさまざまな呼び名があり、瑪瑙(メノウ)、カーネリアンブラッドストーンなどの変種がある。これも翡翠と同じような多孔質の石であり、しばしば染色されて販売されている。緑に染めた場合、青味がかかって見え、「ブルージェイド」と呼ばれる場合もある。クリソプレーズは緑色のカルセドニー。
クォーザイトアベンチュリンインド翡翠)
クォーザイトは日本語で珪岩のこと。これを染色すると、翡翠によく似た石となる。アベンチュリンはその変種で、クロム白雲母の結晶の色から緑色にみえる。ごく安価であり、パワーストーンを扱う店にはよく陳列されている。
サーペンティン (コリアンジェイド)
日本語では蛇紋石。翡翠に似た触感と脂肪光沢のある石であり、翡翠と同じく蛇紋岩中に含まれる。安価で、翡翠より硬度が低いため彫刻用として利用されている。
アイドクレーズ(アメリカンジェイド、カリフォルニアンジェイド)
ベスブ石という鉱物の一種。そのなかで緑色をしている変種をアイドクレーズという。
ハイドログロシュラライト(アフリカ翡翠、トランスバールジェイド)
緑色の柘榴石(ガーネット)の一種。黒い斑点状に磁鉄鉱を含む場合が多い。
マウ・シット・シット (Maw-Sit-Sit)
ヒスイ輝石によく似た組成のユーレアイト(コスモクロア輝石)が主成分。ミャンマーのマウ・シット・シット渓谷で産出される。黒っぽい色で宝飾品としてはあまり人気がない。
メタジェイド
翡翠の模造石。ガラスを加熱して、ゆっくりと冷やすことで部分的に結晶化させて半透明化させたもの。
染色クンツァイト
翡翠の模造品。質の悪いクンツァイトリチア輝石)や色の悪いクンツァイトに対して、しばしば染色され旅行客相手に販売されていることがある。染色することによりロウカン質を思わせる透明感と色合に仕上がる。

染色

昨今の染色技術は、肉眼による鑑別が不可能な域にまで達し、それ故、染色された翡翠を天然の色であるように偽って高値で販売されることも少なくない。このような場合、鑑別にはチェルシーフィルターという、特殊な波長特性を持つ光学フィルターが使われる。一般に、緑色の翡翠の鑑別に用いられるが、ラベンダー翡翠の鑑別用フィルターも作られている。

脚注

  1. ^ a b c d ヒスイって何だろう/糸魚川市”. 糸魚川市. 2018年12月29日閲覧。
  2. ^ a b c :展示案内:第2部 翡翠の文化史 ●翡翠展-東洋の至宝-”. 国立科学博物館. 2018年12月29日閲覧。
  3. ^ 朝日新聞2016年9月24日(日曜)付。
  4. ^ a b c d e f g ヒスイって何だろう | フォッサマグナミュージアム Fossa Magna Museum - 新潟県糸魚川市のヒスイとフォッサマグナのことが楽しく学べる博物館”. 2020年12月29日閲覧。
  5. ^ a b c d 日本海側は表玄関 いにしえの先進技術行き交う大動脈:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2020年12月29日閲覧。
  6. ^ a b 「玉」の輝きに魅せられた世界 日本海が結ぶ海外交流:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2020年12月29日閲覧。
  7. ^ “産出再発見の第一号、「歴史変えたヒスイ」展示 フォッサマグナミュージアム、“新たな目玉“に”. 上越タイムス. (2015年5月25日). オリジナルの2016年10月9日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20161009222548/http://www.j-times.jp/news.php?seq=10375 2018年12月29日閲覧。 
  8. ^ “「日本の石」ヒスイ 77年前の業績に光”. 河北新報. (2016年10月7日). オリジナルの2016年10月7日時点におけるアーカイブ。. https://megalodon.jp/2016-1007-1235-41/www.kahoku.co.jp/tohokunews/201610/20161007_13019.html 2016年10月7日閲覧。 
  9. ^ “糸魚川ヒスイ、県の石に 朱鷺や雪割草、錦鯉などに続け 5万人署名目標 来年5月選定目指す /新潟” (jp). Mainichi Daily News. (2020年3月28日). https://mainichi.jp/articles/20200328/ddl/k15/040/086000c 2020年12月29日閲覧。 
  10. ^ “割られたヒスイ展示 “割って持ち帰りやめて” 新潟 糸魚川” (jp). NHK News Web. (2023年4月25日). https://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20230421/1030024886.html 2023年4月25日閲覧。 
  11. ^ <北京五輪>メダルのデザインが公開される - 中国”. www.afpbb.com. 2020年12月29日閲覧。
  12. ^ JOC - メダルの詳細が明らかに”. 日本オリンピック委員会(JOC). 2020年12月29日閲覧。
  13. ^ 『世界大百科事典23』平凡社、2007年、481頁。
  14. ^ 産総研:日本で新たなひすい産地を発見産総研:日本で新たなひすい産地を発見
  15. ^ ヒスイって何だろう

参考文献

関連項目

外部リンク

  • Jade (mindat.org) (英語)

翡翠(ジェイド)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/24 08:53 UTC 版)

トリフィルファンタジア」の記事における「翡翠(ジェイド)」の解説

居候少年不思議なものごと手帳書き記したり、集めたりするのが好き。常識人で同居姉妹にはよく振り回される母親を既に亡くしている。名前の由来は翡翠。

※この「翡翠(ジェイド)」の解説は、「トリフィルファンタジア」の解説の一部です。
「翡翠(ジェイド)」を含む「トリフィルファンタジア」の記事については、「トリフィルファンタジア」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「翡翆」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「翡翆」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



翡翆と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「翡翆」の関連用語

検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



翡翆のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
中経出版中経出版
Copyright (C) 2025 Chukei Publishing Company. All Rights Reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのヒスイ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのトリフィルファンタジア (改訂履歴)、天国のススメ! (改訂履歴)、アシさん (改訂履歴)、キルト (漫画) (改訂履歴)、冥のほとり 〜天機異聞〜 (改訂履歴)、キングダムの登場人物一覧 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS