神明阿一族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/09 16:55 UTC 版)
人界で強大な権力を持ち、世界の支配者・統治者と呼ばれる一族。存在を秘匿されており一般には知られていない。極星社のCEOなどは使い走り同然に扱え、連合国の決定も秘密裏に操作している。 マグメル新生以前はマグメルの富を独占的に享受できた唯一の人類であり、隠蔽が不可能になった現在もマグメル開発を裏で主導している。マグメルの全ての要塞都市などにも指令を出すことのできる立場。マグメル最深部の聖心への侵攻を目論んでいる。 目が十字に組み合わさった斑紋を身体に持つことが一族の直系の証であり、その図柄は一族のシンボルとしても用いられる。この斑紋は一族の血の目覚めとともに後天的に浮かび上がる場合がある。 所属する者は構造力の才能に秀でており、人知を超えた力を持つエリンとも互角以上に渡り合う。それに比例して常人とは精神の構造が異なる者が多く、他者の命を平然と切り捨てる冷酷な人物、血筋を発現させ構造力に目覚めた相手以外に対して愛情を持つことが出来ない人物などがいる。 神名阿アミル 神明阿一族で高い地位についている若い男。黒髪ですっきりした顔立ちをし、小さな瞳孔と二重同心円のような模様の虹彩を持つ瞳が特徴的。周囲から若様などと呼ばれる。 マグメル深部への侵攻計画を指揮しており、能力の高い構造者を勧誘している。ヨウに一族の仲間に加わるように勧めるが拒絶された。 ルシスの価値観に自分とは相容れないものを感じ時に諌めつつも、基本的には親しい相手であるらしく、共に行動することが多い。 クーに一瞥で敗北を予感させる、察知されぬままにたやすくヨウの片脚を切断する、などの頭抜けた戦闘力の持ち主。 ルシス 眼鏡、スーツ、中折れ帽、手袋といかにも西洋の紳士然とした優男。神明阿アミルの傍らで、連絡・勧誘をはじめとした種々の実務を担う。千年に一度の実力者である神明阿アススに匹敵する力量を持つ構造者。 マグメルの禁制品を扱う裏の巨大商船リア号の責任者であり、リア号を訪れた拾人館の人間と神明阿一族関係者としては初めて直接的に接触した。また一徒たちを一族の要塞であるマナナンバスティオンに案内し、構造力の訓練の監督も行った。 穏やかな物腰で一見剽軽な性格のようでもあるが、他の生命に共感の伴わない興味を示して手中で弄ぶ節があるなどの特異な価値観を持つ。命さえ含めた全てを構造するのは構造者の究極の夢だと語った際に、アミルからそれは夢でなく欲望だと釘を刺されることもあった。ただ、特別の関係を持つらしい神明阿一族の歴代当主たちには身内らしい思いやりを見せる。特にアススの死亡が感知された際には涙を流した。 構造の紋章は半円と翼状の突起のついた半円弧の組み合わせ。 神明阿アスス 神明阿一族の上祖であり第209代目当主である老人。600年程前に全てのエリン相手に1人で渡り合った最強の構造者とされる。500年程前の130歳の時に完全構造力を利用して作成されたコールドスリープ装置に入った。その後順次コールドスリープに入っていた歴代当主たちとともに現代において覚醒する。 長い白髪と髭を持ち、いかにも仙人あるいは魔術師めいた印象。服装などは東洋的だが彫りの深い顔立ちをしている。若い時から髪と目の色は淡く、当時の服装は西洋的だった。 幼い頃から物語に感情移入することを好み、現代でも一見ユーモアの感じられる言動を取る。だが生身の他者とやり取りする感情を、自覚できる形では理解することが出来ない。若かりし頃に、普通の人間が持つべき感情への探究心から彼にとっても非の打ち所のなかった妻を殺害したが、それによる自身の心の変化さえも感じ取れなかったという。こうした自らの人間性の欠如を、力を得る際に神へ対価を支払った結果だと考え、血の繋がる者が繋がりを持ちうる対象の限界だとの認識を強めた。だが、500年に渡る眠りの中で繰り返し夢見続けていたのは、一時は顔さえ忘れたはずの妻の姿だった。 目覚めた後、歴代当主たちとともに十重構造によって擬神構造をつくり上げる。妨害を図ったヨウを追跡し、ゼロと合流したところを攻撃。激しい戦闘に入り、ゼロを殺害するが、自らもヨウと乱入してきた原皇によって殺害される。その際原皇が端末としていたトトは、以前に接触したことがあり妻の面影を感じ取った女性だった。永眠の際には妻の殺害を後悔できなかったことの後悔を自覚し、再び妻の魂と巡り合った、あるいはそのような夢を見た。 現実構造者で、構造の紋章は十字架。 リリ 神明阿アススの妻。600年程前に神明阿アススの手で殺害された。 少しずれたところはあるが、明るい性格。旅人のアススが村で揉め事を起こした際に庇い、村の外への興味から接触を持つようになった。当初は外の「お話」を聞こうとしてもつれなくあしらわれるばかりだったものの、やがてふたりは結ばれることになる。少なくとも妻となった後にはアススが自他の感情の理解が難しい人間であることを把握していたようだが、それでも愛し続けた。自分の命よりもアススが大切だと言い、殺害される際もアススの後悔を案じていた。 神明阿ウェイド 神明阿一族の第218代目当主である老女。神明阿アススとともにコールドスリープから目覚める。アススの死の直後、他の当主が若返りの果実である再生死果を食べて細胞変異の睡眠に入る中、唯ひとり食べずに原皇ティトールを迎え撃った。ショートカットで凛々しい言動だが「美しく生き 美しく死ぬ」と語るなど、自他の美しさには関心が高い。 若い頃に気まぐれで一般人と結婚して外に家庭を持った。子や孫は構造能力を持たない凡人であり、家族には一族の事情を一切明かさなかった。神明阿一族に対する反乱組織の襲撃で家族全員が死亡。それでもさしたる後悔はなかったはずだが、自分に懐いていた孫が危機の中で神明阿一族の血に目覚めていたと知った途端、その孫への愛情や後悔などの激しい感情が溢れ出た。その時に不死や転生に思いを馳せ、やがて四宝真仙は最終形態である五宝真仙に成長する。 150年前の中年に差し掛かる頃に、当時は小娘だったティトールと知り合い、浅からぬ因縁を結ぶ。五宝真仙 漢字一文字で示される5つの宝が象徴する能力質とその漢字が刻まれた構造体を持つ幻想構造。かつては四宝真仙であり能力は4つだった。無数に増え周囲を防御する盾の構造体の「盾」。エリンすら両断する剣状の構造力を無数に放ち、巨大な刃を持つ剣の柄ともなる柄の構造体の「剑」(剣の簡体字)。スピードを上昇させる靴の構造体の「靴」。対価を支払い封印の呪術を行使する呪符の「符」。新たに会得した能力であり、使用中対象者を不老不死とし全盛期の姿にする丸薬の「丹」。 「符」の能力は使用条件が厳しいため滅多に使われないが、発動すれば原皇の身体能力と構造力さえほとんど抑え込める。無警戒な相手に近づいて符を貼り付ける必要があるだけでなく、対象の近くに敵ではない死者が居なくてはならない。またその死者の実力に比例して効力が上がっていく。 「丹」の能力は細胞がわずかでも生きていれば蘇生可能なほどに強力だが、構造力の消費量も他の4つの能力の同時使用を上回るほどに激しい。これらの能力を使用しすぎると一定時間構造力が消失し凡人同然となってしまう。 神明阿一族の当主たち(仮称) 神明阿一族の第210〜217代目当主の老人たち。神明阿アススとともにコールドスリープから目覚める。寿命が残り1年となることを承知で若返りの果実である再生死果を食べ、細胞変異の負荷で睡眠に入る。 神明阿ヘクス 第210代目当主。細胞変異の睡眠から目覚めた。少年に近い年齢にまで若返る。現実構造者。自分の先代であるアススを先生として慕う。 神明阿アッシュ 第211代目当主。細胞変異の睡眠から目覚めた。豪快な言動。女遊びを好む。 神明阿ハーマ 第215代目当主。細胞変異の睡眠から目覚めた。いかめしい言動。
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