小説・演劇・映画脚本とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 小説・演劇・映画脚本の意味・解説 

小説・演劇・映画脚本

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/16 05:16 UTC 版)

ゴア・ヴィダル」の記事における「小説・演劇・映画脚本」の解説

ニューズウィークのある批評家は「エドマンド・ウィルソン以来最良万能作家」とヴィダル評した。彼は21歳アラスカ州での軍務経験元にした最初の小説Williwawを出版した2年後発表され同性愛テーマにした『都市The City and the Pillar)』は論争引き起こしたアメリカ国内では「背徳の書」「反アメリカ的」とまで罵倒されヴィダルニューヨーク・タイムズそれ以降出版した本の書評拒絶される羽目にまで陥った。しかし、海外ゲイ作家達、トーマス・マンアンドレ・ジッドE・M・フォースタークリストファー・イシャーウッドらがこの小説先見性見事な青春小説としての側面評価し弁護立ち上がった以後ヴィダル小説は、アメリカよりもイギリス中心にヨーロッパ批評家達に認められていくこととなる。同書は「J.T.」に捧げられていたが、「J.T.」とは誰かという噂が広まりヴィダル結局それを明らかにせざるを得なかった。「J.T.」はセント・オールバンズ・スクールの同級生ジミー・トリンブルであったトリンブル1945年6月1日硫黄島の戦い戦死しヴィダルは後に回想録Palimpsest(1995) で自分精神的に肉体的に愛した人はトリンブル一人けだった告白したその後ヴィダル初期の作品見られるヘミングウェイ影響から脱しよう試行錯誤重ねピカレスク小説The Judgment of Paris (1953) で、今に至るまでのアメリカ的というよりはイギリス文学影響色濃いヴィダル特有の文体確立した批評的にも認められはしたものの、『都市』で被った悪名彼の小説売れ行き影を落とし続けたため、財政状態悪化一途辿った人民寺院事件予言したとして後に再評価されることとなる、架空カルト宗教描いたMessiah (1955) が全く無視され結果、この作品最後にヴィダル10年間、小説の筆を折ってしまう。破産寸前まで追い込まれヴィダルは、脚本作家として演劇、映画テレビドラマ取り組んだ彼の作品『ある小惑星への訪問Visit to a Small Planet)』 (1957) The Best Man(1960) はブロードウェイでのヒット作となり、『ある小惑星への訪問』はジェリー・ルイス主演で『底抜け宇宙旅行Visit to a Small Planet)』として、The Best Manヘンリー・フォンダ主演映画化された。 ヴィダル1950年代初めにはエドガー・ボックス (Edgar Box) のペンネーム使用して探偵小説「ピーター・サージェント」シリーズ三作執筆したダシール・ハメットレイモンド・チャンドラー後継者賞賛され、ハードボイルドユーモア絶妙組み合わせたこのシリーズベストセラーとなった日本でも三作目にあたる『死は熱いのがお好きDeath Likes It Hot)』 (1954) が翻訳されている。しかし、ヴィダル自身変名による成功潔しとせず、「全て1作あたり8日書き飛ばしたものだ」として、近年までエドガー・ボックス名義作品全て絶版にしていた(2011年ゴア・ヴィダル名義復刊)。 ヴィダル1956年専属作家としてメトロ・ゴールドウィン・メイヤー契約する1959年にはウィリアム・ワイラーが、カール・タンバーグによって書かれた『ベン・ハー』の脚本完成を必要とした。ヴィダルMGM契約を二年残して彼を自由にするという条件で、クリストファー・フライと共に脚本を再執筆することに合意したしかしながらプロデューサーのサム・ジンバリストが死去したことで、クレジット問題複雑化した。映画脚本協会は『ベン・ハー』の脚本クレジットをタンバーグのみとし、ヴィダルフライ両名クレジットしないことで問題解決したチャールトン・ヘストンヴィダル執筆した主張する注意深く慎重に隠された)同性愛場面満足せずヴィダル脚本大きく関与したと言うこと否定した。しかし、『映画秘宝』が2011年行ったインタビューによればヴィダル脚本盗まれコピーされノンクレジットにされたため、裁判沙汰持ち込んだ主張している。 1960年代ヴィダル三つ成功した小説執筆した。 Julian (1964) は俗に背教者呼ばれキリスト教最後反抗試みたローマ皇帝ユリアヌス詳細に研究した作品である。 『ワシントンD.C.Washington, D.C.)』 (1967) はフランクリン・ルーズベルト時代政治一家についての作品であり、後に七部作を成す、アメリカ史主題にした「帝国物語」の第一作目となる。 『マイラMyra Breckinridge)』 (1968) はハリウッド俳優養成学校舞台性転換者ヒロインマイラの手記の形式をとり、時代先駆けてジェンダー論じつつ、映画文学理論アメリカン・カルチャーへの諷刺盛り込んだ、皮肉なコメディである。発売されるやいなや大論争巻き起こしアメリカだけで1年間ハードカバーペーパー・バック合わせて2080部を売り上げるという大成功収めた。『マイラ』はヴィダル小説一つ到達点と見做されており、現在でも古典として読み継がれている。なお、『マイラ』は1970年監督マイケル・サーン主演マイララクエル・ウェルチ共演者メイ・ウエストジョン・ヒューストンファラ・フォーセットという錚々たる面々配し20世紀フォックスによって映画化されたものの、こちらも大論争呼び概して不評であった。しかし、現在ではカルト映画として評価されており、日本でも柳下毅一郎らが著作取り上げている。 その後失敗作となった二つ演劇Weekend (1968) An Evening With Richard Nixon (1972) および半自伝的小説Two Sisters (1970) を執筆しヴィダルエッセイ小説異なった二つ分野集中していくこととなる。 『ワシントンD.C.』に引き続きアメリカ史テーマにした『アーロン・バアの英雄的生涯Burr)』 (1973) 『1876(1876)』 (1976) 『リンカーンLincoln)』 (1984) Empire (1987) Hollywood (1989) The Golden Age (2000) は「帝国物語」として七部作成しヴィダル歴史小説としての側面伝え作品群である。特にアーロン・バー主人公アメリカ独立戦争時代からマーティン・ヴァン・ビューレン大統領時代までを描いた『アーロン・バアの英雄的生涯』はガルシア=マルケスらの賞賛を受け、傑作称される。 Julianに続く、古代史への更なる探索であるCreation (1981, 2002) は、紀元前5世紀ペルシア帝国盲目文官主人公に、ギリシャ中東諸国インドそして中国までを舞台にし、ゾロアスター教ギリシャ哲学ヒンドゥー教仏教ジャイナ教老荘思想儒教など様々な思想・宗教取り上げ釈迦筆頭ゾロアスターソクラテスマハーヴィーラ老子孔子実在人物次々と登場する壮大な歴史小説である。この作品アンソニー・バージェス高く評価され批評面でも商業面でも成功を収めることとなった。しかし、1981年出版されバージョンペーパーバック600ページ近い長さであったにもかかわらず実際ヴィダル担当編集者であったジェイソン・エプスタインの「あまりにも長過ぎる」という苦言の下、幾つも箇所カットした削除版であり、2002年にようやく無削除完全版出版された。 ヴィダル歴史小説だけではなく滑稽でしばしば無慈悲な諷刺的な発明」と彼自身が呼ぶ、作品群にも精力的に取り組んだ。「諷刺的な発明」の特徴基本的に前衛的であり、『マイラ』をその出発点とし、パロディ・パスティーシュ・SF手法その方法論の主軸としている点にある。また、極めて挑発的な主題を扱うため、彼の歴史小説安定した評価得ているのに対し物議を醸すことが多い。ゆえに評価賛否両論といったところで、文体彼の最も得意とするエッセイ近く歴史小説における文体とは一線を画す。「諷刺的な発明」に含まれる作品は『マイロンMyron)』(1975, 『マイラ』の続編)、再びカルト宗教扱った大予言カルキKalki)』 (1978) 、アメリカン・カルチャー前衛的な手法諷刺しイタロ・カルヴィーノ賞賛されたDuluth (1983) 、原始キリスト教意地悪く揶揄したLive from Golgotha: The Gospel according to Gore Vidal (1992) The Smithsonian Institution (1998) がある。 特に『大予言カルキ』は、ヒンドゥー教ヴィシュヌ最後化身救世主であるとされるカルキ名乗り世界滅亡予言するネパール在住アメリカ人教祖とするカルト宗教大流行し最終的に全人類は予言どおり、特殊な化学兵器によって滅亡追いやられてしまう、という衝撃的な内容で、「諷刺的な発明」の中でも物議を醸した作品である。分類上、ヴィダルは非SF作家であるが、『大予言カルキ』はネビュラ賞ノミネートされた。 日本では長らく絶版になっているが、オウム真理教によって松本サリン事件地下鉄サリン事件引き起こされ時点で、あまりの事件類似性に、ヴィダル予言的才能Messiahによる人民寺院事件への予言続き証明されることとなったミック・ジャガーは『大予言カルキ』を自らの主演映画化することを熱望し、製作に取り掛かったが、結局のところ実現はしなかった。しかし、この著作映画化権ヴィダル売却したことはニュースで報じられた。 ヴィダルはしばし映画テレビドラマ脚本執筆も再び行った友人であるテネシー・ウィリアムズの『去年の夏 突然に』の脚本・脚色『パリは燃えているか』脚本フランシス・コッポラと共に担当したまた、その中にはヴァル・キルマー出演したテレビシリーズBilly the Kidや、日本でも放映された『リンカーン』のミニシリーズ含まれる。さらに彼は論争となった映画カリギュラ』のオリジナル脚本執筆したが、監督ティント・ブラス主演マルコム・マクダウェル脚本変更し執筆した映画制作後ヴィダル意図回復しようとする試み失敗したが、皮肉にもプロデューサーボブ・グッチョーネ映画ヴィダルブラスあるいはマクダウェルいずれも考えていなかった作品ハードコアポルノ)に仕上げることとなった

※この「小説・演劇・映画脚本」の解説は、「ゴア・ヴィダル」の解説の一部です。
「小説・演劇・映画脚本」を含む「ゴア・ヴィダル」の記事については、「ゴア・ヴィダル」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「小説・演劇・映画脚本」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「小説・演劇・映画脚本」の関連用語

小説・演劇・映画脚本のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



小説・演劇・映画脚本のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのゴア・ヴィダル (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS