作家として(前半生)
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「ジョン・モーティマー」の記事における「作家として(前半生)」の解説
弱視でかつ肺の異常も疑われたことから、モーティマーは第二次世界大戦時の徴兵検査で医学的に不適とされるそのため、王室映画部門(英語版)において、ローリー・リー(英語版)の下でプロパガンダドキュメンタリーの脚本執筆作業に従事することになった。 私はロンドンに暮らし、真っ暗な列車に乗って工場へ、鉱山へ、陸軍空軍基地へと旅をした。ローリー・リーのおかげで、この時期私は物書きのみによって生計を立てることができたわけだが、それが結局自分の人生における最初にして唯一の機会となった。もしかすると、私は過去にドキュメンタリーの理想というものを批判したことがあるかもしれないが、それをもって王室映画部門に対して私が不満を抱いていたかのように受け取られることは本意ではない。会話を書き、シーンを組み立て、視覚的なドラマのようなものへとアイデアを変換してみる。私はそういったすばらしい機会を与えられ、それを享受した。 処女長編小説『シャレード』は、この王室映画部門での経験を元に書かれたものである。 1955年、自作長編小説『Like Men Betrayed』(裏切られた男たちのように)の脚本により、劇作家としてBBCのライト・プログラムでラジオデビューする。脚本家として書き下ろした作品は、『The Dock Brief』(ドック・ブリーフ)が最初であった。同作品は、1957年にBBCラジオのサード・プログラムで最初に放送され、マイケル・ホーダーンが主役の不運な法廷弁護士を演じた。その後、同じキャストでテレビ番組化されたほか、1958年4月には『What Shall We Tell Caroline?』(キャロラインに何と言おう?)とのダブルビルとして、ハマースミスのリリック・シアター(英語版)(後にギャリック・シアター(英語版)へと移動)で上演された。以降も、1962年の映画(ピーター・セラーズ主演)、2007年のクリストファー・モラハン(英語版)による『Legal Fictions』とのツアー用ダブルビルとしての再演など、様々な形で繰り返し取り上げられている。 戯曲『A Voyage Round My Father』(父をめぐる航海)は、新米法廷弁護士とその盲目の父親との思い出を綴った自伝的作品である。1963年に初のラジオ放送、1969年にはマーク・ディグナム(英語版)主演でテレビドラマ化されて強い印象を残した。同作品をわずかに長く書き直した改訂版の舞台化も後に成功を収めた(当初はディグナム主演でグリーン・ウィッチ・シアターでの上演、1971年にヘイマーケット・ロイヤル劇場(英語版)へと場所を移してアレック・ギネスが主演を務めた)。1981年にはテムズ・テレビジョン(英語版)によってリメイクされ、ローレンス・オリヴィエが父親役、アラン・ベイツが青年時代のモーティマー役を演じている。1965年、モーティマーと妻ペネロープはオットー・プレミンジャー監督作『バニー・レークは行方不明』の脚本を共同で執筆、その主演もローレンス・オリヴィエが担当した。
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作家として(後半生)
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「ジョン・モーティマー」の記事における「作家として(後半生)」の解説
モーティマーが最もよく知られているのは、法廷弁護士ホレス・ランポールものの作者としてである。これは、主として父親クリフォードから着想を得た、ロンドンはオールド・ベイリー(英語版)における刑事被告人の弁護を専門分野とするキャラクターで、1975年のBBCのテレビシリーズ『Play For Today』(今日のドラマ)のために生み出された。DVD収録のインタビューによると、モーティマーがランポール役に当初希望していたのはアリステア・シム(英語版)であった「けど、いつの間にか死んでたから引き受けてもらえなかった」。そのため、次善の選択として、オーストラリア出身のレオ・マッカーンが同役を生き生きと演じ、結果として人気を博した。そして、テムズ・テレビジョンで『Rumpole of the Bailey』(オールド・ベイリーのランポール)としてシリーズ化され、マッカーンが主役で再登場している。モーティマーはランポールを主人公としたシリーズの書籍化も行っている。また、BBCのラジオ4は、各45分間のエピソードを何度か放送しており、2003年9-10月にはティモシー・ウェスト、その後ベネディクト・カンバーバッチがそれぞれランポール役を担当している。アメリカの法曹界でもこのシリーズの人気は高く、ウィリアム・レンキストは最高裁判所長官時代、自らモーティマーの自宅に架電して最高裁の晩餐会に招いた。海を渡ったワシントンでは女性判事らがランポールの妻ヒルダにちなんで「She who must be obeyed」(絶対服従のお方)と書かれたバッジをつけてモーティマーを出迎え、「いい奴でランポールの大ファン」であるパトリック・リーヒが上院見学ツアーの案内役を務めたという。 また、モーティマーは、法廷弁護士エドワード・マーシャル・ホール(英語版)が実際に担当したヴィクトリア時代の多くの事件についてその脚色を手掛けている。これはラジオシリーズとなり、ドクター・フーの4代目ドクターであったトム・ベイカーが主人公を演じた。 1981年、グラナダ・テレビ(英語版)によってテレビシリーズ化された、イーヴリン・ウォーの長編小説を原作とする『ブライズヘッドふたたび(英語版)』では、モーティマーの名前がシナリオ担当としてクレジットされていた。もっとも、2005年にグラハム・ロードの非公式伝記『John Mortimer: The Devil's Advocate』(ジョン・モーティマー:悪魔の代理人)で明らかになったところによると、モーティマーの渡した原稿はすべてボツになり、実際にシナリオを書いたのはシリーズのプロデューサーとディレクターであった。1984年、グラナダ・テレビのためにジョン・ファウルズ原作『黒檀の塔』の翻案を行い、ローレンス・オリヴィエが主演。1986年には、モーティマー原作・翻案の『Paradise Postponed』(延楽園)がテレビ放映される。また、フランコ・ゼッフィレッリの自伝に基づき、1999年ゼッフィレッリ監督の映画『ムッソリーニとお茶を』の台本を執筆、ジョーン・プロウライト、シェール、マギー・スミス、リリー・トムリンらが出演した。2004年からは、アメリカの政治法律コメディードラマ(ドラメディ)番組『ボストン・リーガル』の法律監修を担当した。 モーティマーは、法廷弁護士時代から朝5時に起床して出廷前に執筆作業に当たっており、エピキュリアン的な外見ながら仕事に関してはストイックであったとも言われる。そして、小説、戯曲及び脚本のほか、オペレッタ『こうもり』の台本翻訳といったものを含め、生涯で50を超える作品を残した。
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