クリームシチューとは? わかりやすく解説

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クリーム‐シチュー【cream stew】

読み方:くりーむしちゅー

鶏肉・タマネギ・ニンジンなどをホワイトソース生クリーム煮込んだ料理


クリームシチュー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/01 03:27 UTC 版)

クリームシチュー
日本の自家製のクリームシチュー
種類 煮込み
発祥地 日本
提供時温度 熱々
主な材料 ジャガイモニンジンタマネギ、肉(主に鶏肉)、牛乳サラダ油、シチュールウ
その他お好みで ブロッコリーマッシュルームキャベツコーングリーンピースしめじさやいんげん
類似料理 カレークラムチャウダー
Cookbook ウィキメディア・コモンズ
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クリームシチュー鶏肉豚肉などとジャガイモタマネギニンジンなどの野菜を煮込み、ホワイトソース[注釈 1]を加え、牛乳スープでのばして仕上げた料理[1]日本独自で発展したシチューである。ホワイトシチューとも呼ばれる。

クリームシチューの歴史

日本においてホワイトソースを用いた料理は大正時代には確認することができる[1]。しかしながら、ホワイトソースを用いた料理の認知度が大きく高まるのは、第二次世界大戦の終了後に学校給食に取り入れられたことがきっかけである[1]。食糧事情が劣悪な時代、子どもたちに栄養のある食事を与えようと政府が先導して作った料理の白シチューが、クリームシチューの原型となる[1][2]。ただし、当時は学校給食におけるカルシウム補給のために重視されていたのが脱脂粉乳だった[3]ため(牛乳#日本における牛乳も参照)、牛乳ではなく脱脂粉乳を使用していた[1][2]。その後、脱脂粉乳は次第に牛乳に置き換えられ、現在のようなクリームシチューになってゆく。

ホワイトソースはクリームシチュー、ホワイトシチュー以外にもクリームコロッケグラタン、クリーム煮などにも使用され、高度成長期に流行するようになる[4]。しかしながら、小麦粉バターで炒める際には焦げやすいうえ、それを牛乳でのばす際にはダマになりやすいといったように時間も手間もかかるソースであった[4]

1966年には、学校給食で人気を博した白シチューを家庭でも簡単に作れる粉末製品としてハウス食品から「クリームシチューミクス」が発売される(「ビーフシチューミクス」も発売されている)[1][2]。その開発にあたってはアイルランドの伝統料理であるアイリッシュシチューが参考にされ、発売当初のパッケージには「IRISH STEW 欧風煮込み料理」の文字も入っていた[1]。また、「ご飯おかずになるシチュー」「毎日の食卓に違和感なく登場させられるシチュー」も開発のポイントとなっていた[5]

「クリームシチュー」は「クリーム (cream)」という言葉と「シチュー (stew)」という言葉を合体させた和製英語である[6](「ホワイトシチュー」も同様)。

コーンクリームシチュー

日本のコーンクリームシチュー

コーンクリームをたっぷり入れたシチュー。市販の「コーンクリームシチュー」ルウで作る方法も、缶や紙パックのトウモロコシで一から作る方法もある。

カレーシチュー

クリームシチューにカレー風味を付けた料理をカレーシチューと呼ぶ[7]

学校給食としても提供されており「もう一度食べたい」と感想を抱く人は少なくない[8]。なお、2022年時点でも人気のあるメニューとして学校給食に提供している地域もある[9]

ハウス食品からは自社のカレーをブレンドした「カレーシチューミクス」が、ボルシチをイメージした味の「トマトシチューミクス」と共に1968年より販売されている。なお、トマトシチューミクスは1970年に、カレーシチューミクスは1990年に終売となっている[10]

クリームシチューをめぐる食の論争

日本では、クリームシチューをめぐって「食の論争」が起きることがたびたびある[1][11][12]。一例として、「クリームシチューに合わせるのはパンご飯か?」、「クリームシチューをご飯にかけるのはありか、なしか?」というものがある[1]

こういった論争が起きる背景に、ビーフシチューと違ってクリームシチューは外食としてはあまり見られず、家庭料理として家庭内で進化してきたことにあるのではないかとの推測がある[13]。日本以外にルーツを持つ料理であれば、「その国での食べ方はこれこれである」といったような情報もあるが、上述のようにクリームシチューは日本国内が発祥であり、家庭料理であるがゆえに各家庭で異なる進化を遂げているため、育った家庭が異なればクリームシチューをご飯にかけるのを許容するかしないかといった点が議論の発端となりやすい[13]

ハウス食品が2016年に行った投票によれば、日本全国の合算では「ご飯にかけない」が58%、「ご飯にかける」が42%という結果が出ている[13][14]。ただし、この比率には地方差が顕著に出ており、東北では「ご飯にかける」が比較的多く、沖縄県では「ご飯にかける」が70%と都道府県別でもトップの結果となっている[13][14]。なお、ハウス食品からは2017年にご飯にかけることを念頭に置いた製品の「シチューオンライス」を販売している[13][14]

脚注

注釈

  1. ^ ホワイトソースはバター小麦粉を炒めながら牛乳でのばしたソースであり、ベシャメルソースとも呼ばれる[1]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j 柏木珠希 (2020年12月6日). “クリームシチューは日本発祥 ご飯にかける?わける?”. NIKKEI STYLE 食の豆知識. p. 1. 2023年1月9日閲覧。
  2. ^ a b c 樋口直哉「鶏とキノコのクリームシチュー」『もっとおいしく作れたら』マガジンハウス〈マガジンハウス新書〉、2022年。ISBN 978-4838775040 
  3. ^ 澁川祐子 (2012年11月16日). “洋食の姿をした日本料理?謎多き「クリームシチュー」の歴史(4/4)”. JBpress (Japan Business Press). https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36542?page=4 2023年3月27日閲覧。 
  4. ^ a b 阿古真理「おうちで簡単、冷凍ミールキット」『人気レシピ本が教えてくれたラクしておいしい令和のごはん革命』主婦の友社、2021年。ISBN 978-4074500970 
  5. ^ 柏木珠希 (2020年12月6日). “クリームシチューは日本発祥 ご飯にかける?わける?”. NIKKEI STYLE 食の豆知識. p. 2. 2023年1月9日閲覧。
  6. ^ "クリームシチュー". 和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典. コトバンクより2023年1月12日閲覧
  7. ^ 紀元前から続く料理「シチュー」の歴史”. クックドア. 2023年2月20日閲覧。
  8. ^ 大石寿子 (2021年11月26日). “カレーシチューの作り方!もう一度食べたい学校給食レシピ”. All About. 2023年2月20日閲覧。
  9. ^ カレーシチュー”. 東大阪市 (2022年3月10日). 2023年2月20日閲覧。
  10. ^ シチューミクス ヒストリー”. ハウス食品. 2023年3月25日閲覧。
  11. ^ なかの (2015年7月8日). “ごはんにシチュー合わない論争に決着をつけるためロイヤルホストの統括料理長に意見を聞いてみた / 料理長「家庭では普通にアリ」”. ロケットニュース24. 2023年1月9日閲覧。
  12. ^ シチューをご飯に「かける」「かけない」で論争勃発 柴田阿弥は独特なこだわりを告白「食事の合間にデザートを……」”. Abema TV (2020年3月13日). 2023年1月9日閲覧。
  13. ^ a b c d e 柏木珠希 (2020年12月6日). “クリームシチューは日本発祥 ご飯にかける?わける?”. NIKKEI STYLE 食の豆知識. p. 3. 2023年1月9日閲覧。
  14. ^ a b c バンク北川 (2021年11月21日). “「シチューをごはんにかけるかのはアリか」論争 意外と多い「かける派」 アンケートでは地域差も”. ラジオ関西トピックス. p. 1. 2023年1月9日閲覧。

クリームシチュー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 06:05 UTC 版)

シチュー」の記事における「クリームシチュー」の解説

クリームシチューは日本流のシチューホワイトシチューとも呼ばれる牛乳生クリームベースに肉(鶏肉が多い)、ジャガイモ、ニンジン、タマネギなどを加えて煮込む好みマッシュルームキャベツコーンブロッコリーグリーンピースなどを入れる。 日本では1924年大正13年)に、手塚かね子の『滋味富め家庭西洋料理』において牛乳ダンプリング加えたシチュー紹介される。しかし、ほかの料理書にある当時鶏肉シチューレシピでは、ホワイトソースバター小麦粉ベースで、牛乳使われることはほとんどなかった。その後第二次世界大戦後困窮した国情の中、1947年昭和22年)に学童栄養補給用として学校給食シチュー脱脂粉乳が加わるようになり、政府はこれを「白シチュー」と呼んで広めた1966年昭和41年)、ハウス食品から発売され粉末ルウ「クリームシチューミクス」がヒット商品となったことで、この料理の名は「クリームシチュー」として定着する至った。なお、開発者はこの商品作るにあたってアイリッシュシチュー参考しながらも、給食延長線上にあるごはんによく合うシチュー目指したという。 「クリーム (cream)」と「シチュー (stew)」を合わせた和製英語で、海外において「クリームシチュー」はあくまで『日本洋食料理』として紹介されている。

※この「クリームシチュー」の解説は、「シチュー」の解説の一部です。
「クリームシチュー」を含む「シチュー」の記事については、「シチュー」の概要を参照ください。

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