スカウス_(料理)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > スカウス_(料理)の意味・解説 

スカウス (料理)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/28 04:23 UTC 版)

スカウス
種類 シチュー
発祥地 ノルウェー; 英国
主な材料 ラム肉牛肉
テンプレートを表示

スカウス: Scouse)は、ラムビーフシチューの一種である。その名は一般的に北欧中の船乗りたちによって食べられていたロブスカウスというシチューが由来で、リヴァプールのような港町で人気になった。

言葉の起源

ウェブスター辞典によれば、「ロブスカウス」(lobscouse) という言葉の初出は1706年である[1]。スコットランドの作家トバイアス・スモレットは、1751年の作品『ペレグリン・ピクルの冒険英語版』で「lob's course」に言及している[2]。ロブスカウスという言葉のルーツは判然としないが[1]、少なくとも3つの異なる説がある。ひとつは、この料理は「ほぼ間違いなく」バルト生まれであるとする説である[3]ラトビア語の「ラブス・カウス」、リトアニア語の「ラブス・カウサス」はいずれも「良いひしゃく一杯」という意味で[4]、ノルウェー(ラプスカウス)やデンマーク("skibberlabskovs"、「船長のロブスカウス」という意味)といった北海周辺の国々にも似たような伝統的料理がある。もうひとつの説は、「ラッペン」(喉の贅肉)と「カウス」(ボウル)の低地ドイツ語が起源であるとする[5]。また、英語が語源であるという説は、"lout's course"(くずのコース)が "lob's course" を経て "lobscouse" になったというものである[3]

レシピと派生形

19世紀の船乗りたちは塩で味付けされた肉、玉ねぎ胡椒を煮て、堅パンでとろみを付けてロブスカウスを作った[6]。現代のイングランドのスカウスはノルウェーのシチューであるラップスケウス英語版に似ている。しかしコンビーフのようなドイツのラプスカウス英語版とは異なる[4]。スカウスはランカシャー・ホットポットに似ていて、通常はマトンかラム(大抵首肉)、牛肉のいずれかと野菜(ジャガイモやにんじん、玉ねぎが一般的)を使ったシチューである。ふつう、塩漬けしたビートルートやキャベツとパンと共に供される。

スカウスはリヴァプールとの結びつきが強く、今も人気の料理で地元のパブやカフェでは定番メニューのひとつとなっている。ただし、レシピのバリエーションは豊かで、本来は質素であったはずの料理には似つかわしくない食材が使われていることも少なくない。リヴァプールの人は「スカウス」あるいは「スカウサー」と呼ばれることがあるが、これはリヴァプールの人がスカウスをよく食べるという食習慣上のステレオタイプがもとになっている。類似の呼称としては、ライムジュースにひっかけて英国水兵を指す "Limey"(ライミー)、ローストビーフにひっかけてイングランド人を指す "Rosbif"(ロスビフ)、カエルを食べることからフランス人を指す "Frogs" (フロッグズ)、ザワークラウトにひっかけてドイツ人を指す "Kraut"(クラウト)などがある。

セント・ヘレンズではスカウスを「ロビーズ」と呼ぶことも多く、肉にはコーンビーフを使う。ウィガンでは「ロビーズ」にしばしば煮込んだ肉の缶詰を使う。この料理の他のバリエーションとしては「ブラインド・スカウス」があり、肉を使わないで作られるが、だし汁に味をつけるために安い出汁取り用の骨を使っている場合が多い(第二次世界大戦以前、そのような肉や骨は使った後も、元々肉屋から購入したのと同じ値段で骨商人たちに売られていた)[要出典]。スカウスはグレーター・マンチェスターのリーでも人気があり、リーの地元民は'Lobbygobblers'と呼ばれることがある。

スカウスのバリエーションである「ロブスカウス」や「ロブスガウス」は北ウェールズの伝統的な料理で、ふつうは蒸し煮にしたり、とろ火で煮込んだ肉、じゃがいも、そして何かほかの合う野菜、または羊肉でつくられ、それはカウルとして知られる。この料理は伝統的に北ウェールズの農場経営者や労働者階級の人々の食べ物とみなされていたが、今ではウェールズの至る所で人気がある。そのレシピは運河の船[要出典]によってストーク=オン=トレントにもたらされ、「ロブスカウス」の短縮形の「ロビー」と呼ばれている。

脚注

  1. ^ a b lobscouse at merriam-webster.com
  2. ^ Tobias Smollet (1750) The Adventures of Peregrine Pickle p59
  3. ^ a b Davidson, Alan (2006). The Oxford Companion to Food. Oxford University Press. p. 459 
  4. ^ a b SPIEGEL Online on Labskaus in Hamburg (German)
  5. ^ Reich, Pagel (1988). Himmelsbesen über weißen Hunden. Verlag. p. 355 
  6. ^ Draper, Charla (2001). Cooking on Nineteenth Century Whaling Ships. Mankato Minnesota: Blue Earth Books. p. 15 

関連項目

外部リンク


「スカウス (料理)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「スカウス_(料理)」の関連用語

スカウス_(料理)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



スカウス_(料理)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのスカウス (料理) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS