養子縁組
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各国の養子縁組
フランス
フランスでは、要保護児童のあっせん件数は年間約5500件あり、児童の養子についてはアメリカに次いで多く(養子縁組の全体数は日本が80,000件以上あり、アメリカに次いで多い[15])、そのうち国際養子縁組が占める割合が3分の2と高い[16]。
国際養子縁組については、国際養子縁組の共通ルールとなっているハーグ条約の規則を遵守した形での運用がなされている[16]。
国内の養子縁組の支援体制も充実しており、例えば助産施設を利用して匿名で出産し、法律的親子関係を作らないまま養子縁組を選択できる制度は、フランスで養子縁組が多い背景の一つとして指摘されている[16]。この制度を使えば無料で出産することができ、要保護児童のうち88%がこれに該当するという[16]。
- より詳しくはフランスにおける養子縁組を参照。
スイス
スイスの里子の数は1万5000人ほどとされるが、これは2002年の国勢調査の数値であり、これ以降、スイスでどれだけの里子がいるのかはスイス政府も把握していない。スイスの里親制度は、地域ごとにばらつきがある。さらに、里親仲介団体の質を保証する民間団体はあるが、行政では里親仲介団体を監督する制度がないところも多く、里親仲介団体の設立に認可を必要としているのは2014年時点で5州に過ぎない[17]。
- より詳細はスイスにおける養子縁組を参照。
ベルギー
1950年代から1980年代にかけてのベルギーでは、予定外の妊娠をした何万人もの若い女性がカトリック教会に収容されて出産し、当事者の関知しない養子縁組が教会によってなされた時期があり、「教会に子供を奪われた」として、親子関係の解明を求める声があげられている[18]。ベルギー北部の自治体はこのスキャンダルの調査を行っている。
- さらなる情報はベルギーにおける養子縁組
ドイツ
ドイツにおける養子縁組を参照。(現状、日本語では書かれていないがドイツ語版では書かれているので、とりあえずそちらで読んでいただくか、各自で自動翻訳していただく)。
イギリス
イギリスの養子縁組については細分化した記事がいくつか書かれているのでen:Category:Adoption in the United Kingdom(英語版カテゴリ)を参照のこと。
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国では、年間12万件を超える養子縁組が成立しているとされる[19]。その中心的な担い手となるのは、民間団体と里親制度(Foster Care)下にある子を対象にあっせんする公的機関で、この2タイプが養子縁組の全体件数のおよそ3分の2を占める[20]。養子縁組に関する認知度も9割近くととても高く、アメリカ人の約3人に1人が養子縁組を考えたことがあるとアンケート調査に回答している[21]。このような社会的な関心の高さを背景に、政府により養親に対する支援が行われている。
民間団体に対する補助金はなく、利用する団体によってあっせんにかかる費用は大きく幅があるものの、公的機関の仲介によって縁組をする場合には、あっせん料はほとんどかからない[22]。これは、養子縁組が国の児童福祉政策の一環と位置づけられているためである。
他にも、養子の養育費を税控除という形で補助する仕組みがあり、2012年度は一世帯あたり最大12650ドルの控除が可能となっている[23]。 アメリカでは1990年代に、ネグレクト(育児放棄)や児童虐待が深刻化したことを背景に、クリントン政権下で「養子縁組と安全な家族法」が成立し、養子縁組を増やすため、国を挙げての取り組みが行われた[24]。里親制度の下にいる子供を実親の元に戻すことを最優先させる従来の方針を転換するため、里親制度から養子になる事例を増やした州に奨励金を払ったことなどが主な取り組みとして挙げられる[24]。
オーストラリア
オーストラリアにおける養子縁組を参照(現状、日本語では書かれていないが英語版では書かれているので、とりあえずそちらで読んでいただく)。
韓国
韓国では、儒教文化の影響で血縁関係を重んじるため国内養子縁組が進まなかったことや、未婚の母が社会で容認されないため[* 15]子供を養育するのが困難なこと、母子家庭への支援策が少ないことなどの背景があった。
朝鮮戦争終結後の、1954年には戦争孤児の海外養子縁組が始まる。斡旋をする民間機関が続々と現れた。1961年孤児入養特例法が制定。戦争孤児及び混血児の海外養子縁組の法的根拠となる。1970年代から1990年代にかけては海外養子縁組が拡充した。産業化、都市化の進展において、未婚の母が急増。未婚の母から生まれ子供たちは、海外養子縁組に出された子供たちの大部分にあたる[25]。
しかし、国連子どもの権利条約に批准した1990年以降、施設収容より家庭的養護が重視され始め、養子縁組は里親制度と並ぶ要保護児童対策として重要な役割を占めていると認識されるようになった。その結果、海外養子ゼロを目標に、国内養子縁組を優先させる方策が次々と打ち出された。要保護児童を家庭で育てる政策として、斡旋にかかる手数料の支払いや、子供が13歳になるまでの養育費の補助などが行われる他、心理治療についても支援がある[26]。また、2008年には、日本の特別養子縁組制度に類似した、新しい親養子制度が施行された。
注釈
- ^ ただし、「養親(ようしん)」の第1義は、法的根拠の有無を問わず実際に保護・育成する者を意味する「育ての親」「養親/養い親/やしない親(やしないおや)」のことで、本項で解説する「養子先の親」という意味の「養親」は第2義である。
- ^ 法的根拠を問わず実際に保護・育成される者や、乳母として育てた子を意味する「養子」は、「養子/養い子(やしないご)」という。─ 出典:コトバンク。他人からもらって自分の子として育てること、および、その子は、「貰い子(もらいご)」といい、砕けた表現で「貰いっ子/もらいっこ」ともいう。─ 出典:コトバンク。
- ^ 「養子の女性」を表す「養女」のような「養子の男性」を表す語が、日本語には存在しない。日本語「養子」には性別の概念が無いので、この語だけでは性別を判断できない。なお、中国語でも同様で、「養子の女性」は「養女」であるが、「養子女」と「養子」が日本語の「養子」と同義で性別の概念が無い。
- ^ ただし、近代以前においてはその社会的身分において、強弱の差がある。
- ^ ただし、比較法的には異例である。
- ^ ただし、税法が改正され、控除の対象になる養子の数は限定されている。
- ^ 中国では、少なくとも建前としては、他姓の養子は礼制に反すると強く戒められており、日本でも明法家学説の集積である『法曹至要抄』(下巻・巻36)では、異姓養子はできないという実情と反した法解釈がなされている。
- ^ ちなみに、基経は30歳前に参議に到達している。
- ^ 村上天皇の孫である資定王。
- ^ ちなみに、当時の序列では頼長(正二位)<忠実(致仕従一位)<忠通(従一位)であった。
- ^ 福知山藩朽木家、美作勝山藩三浦家、江戸時代後期の鷹司松平家や高松松平家などの例が挙げられる。
- ^ 家臣が重大な職務に当たっている場合などには、同様に心当養子を主君に届け出る義務があった。渋沢栄一は幕臣に取り立てられて清水昭武の洋行に随伴した際、実子はまだ幼い長女しかおらず、従弟で義弟(妻の弟)の尾高平九郎を見立養子にしている。
- ^ 例えば勝海舟の祖父が御家人の身分を、坂本龍馬の曾祖父が郷士の身分を得たのはこうした手段による。
- ^ 現在でも相撲部屋では、親方が有力な関取に娘を嫁がせて婿養子とし、部屋の後継者にする例が多い。
- ^ 1960年の民法制定時に非嫡出子制度は廃止された。
- ^ いわゆる「藁の上からの養子」
- ^ a b 年長者については、条文上、年齢差の規定がないため、養親が1日でも先に出生していれば、養子縁組は成立することになる。
出典
- ^ “養子縁組”. 小学館『デジタル大辞泉』、三省堂『大辞林』第3版. コトバンク. 2018年7月9日閲覧。
- ^ “adoption”. 小学館『プログレッシブ英和中辞典』第4版. コトバンク. 2018年7月9日閲覧。
- ^ “アダプション”. 『デジタル大辞泉』. コトバンク. 2018年7月9日閲覧。
- ^ a b c “養親”. 『デジタル大辞泉』、『大辞林』第3版. コトバンク. 2018年7月9日閲覧。
- ^ “養子”. 『デジタル大辞泉』、『大辞林』第3版、『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』、『百科事典マイペディア』、平凡社『世界大百科事典』第2版、小学館『日本大百科全書:ニッポニカ』. コトバンク. 2018年7月9日閲覧。
- ^ “養女”. 『デジタル大辞泉』、『大辞林』第3版. コトバンク. 2018年7月9日閲覧。
- ^ “養親子”. 『デジタル大辞泉』、『大辞林』第3版. コトバンク. 2018年7月9日閲覧。
- ^ “実親子”. 『デジタル大辞泉』、『大辞林』第3版. コトバンク. 2018年7月9日閲覧。
- ^ “養子先”. 『デジタル大辞泉』、『大辞林』第3版. コトバンク. 2018年7月9日閲覧。
- ^ “養家”. 『デジタル大辞泉』、『大辞林』第3版. コトバンク. 2018年7月9日閲覧。
- ^ 『運命の影に』松崎天民著 (磯部甲陽堂, 1917)
- ^ 高橋秀樹「平安貴族社会の中の養子」『日本中世の家と親族』(吉川弘文館、1995年) ISBN 4-642-02751-3 P138-146・188-189
- ^ 塚田孝 『大阪民衆の近世史』 筑摩書房 <ちくま新書> 2017年 ISBN 9784480071118 pp.66-68.
- ^ 婚姻届の記入例
- ^ Adult adoptions: Keeping Japan's family firms aliveBBC, 19 September 2012.
- ^ a b c d 湯沢雍彦編『要保護児童養子あっせんの国際比較』(2007年、日本加除出版株式会社)
- ^ “スイスの里親制度 改善の歩みは遅い”. スイス放送協会. (2014年9月24日) 2014年9月24日閲覧。
- ^ ベルギーの養子縁組スキャンダル、真実求める母子たちAFP BB news 2015年02月26日。
- ^ U.S. Department of Health and Human Services, How many children were adopted in 2007 and 2008?
- ^ Statistics Brain, Adoption Statistics 2013年9月6日閲覧
- ^ Dave Thomas Foundation, National Foster Care Adoption Attitude Survey
- ^ Statistics Brain, Adoption Statistics. 2013年9月6日閲覧。
- ^ IRS, Adoption Benefits FAQs, 2013年9月6日閲覧。
- ^ a b 養子縁組という選択:里親と並行して養子縁組を探るのが最善のやり方だと思う朝日新聞GLOBE、2013年9月6日閲覧。
- ^ 洪賢秀「韓国社会における海外養子のイメージ : Uターンしてきた海外養子の素描」『国立民族学博物館調査報告』第6巻、国立民族学博物館、2007年3月30日、65-74頁、doi:10.15021/00001422、ISSN 1340-6787、NAID 120001730584。
- ^ 養子縁組という選択:新しい家族を探すため、国がどれだけ強い意志を持っているか朝日新聞GLOBE、2013年9月6日閲覧。
- ^ 厚生労働省新しい社会的養育ビジョン 2017年8月2日
- ^ “子どもの70%が「自分自身に満足」”. 日本財団 (2016年12月15日). 2020年6月20日閲覧。
- ^ Goldman, Jason G.. “Why do animals adopt?” (英語). www.bbc.com. 2022年5月28日閲覧。
- ^ Carzon, Pamela (2019年9月). “Cross‐genus adoptions in delphinids: One example with taxonomic discussion” (英語). Ethology. pp. 669–676. doi:10.1111/eth.12916. 2022年5月28日閲覧。
- ^ “ヒョウの赤ちゃんを育てるライオン、インドで見つかる:朝日新聞GLOBE+”. 朝日新聞GLOBE+. 2022年5月28日閲覧。
- ^ “ペット「養子縁組」米で急増”. 日本経済新聞 (2020年4月27日). 2022年6月27日閲覧。
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