兵器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/01 07:38 UTC 版)
兵器の種類
様々な分類方法がある。使用目的、利用する物理・化学現象やエネルギーの種類などを基準にしてさまざまに分類することができる[4]。 現代の兵器体系は複雑で、すっきりと分類することは不可能である[4]。
なお、ざっくりと大量破壊兵器 / 通常兵器に分類する方法がある[4]。
大分類
- 用途別
- 攻撃兵器
- 防衛兵器
- (上記以外の補助的兵器)
- 運用場所別
- 陸上兵器
- 航空兵器
- 海上兵器
- 宇宙兵器
- 破壊規模別
- 大量破壊兵器
- 核兵器
- 生物兵器
- 化学兵器
- 通常兵器
- 大量破壊兵器
- 加害対象別
- 対人兵器
- 対物兵器
- 殺害目的の有無別
- 非致死性兵器
- (通常の兵器)
その他の分類
兵器の特徴
兵器システム
(現代では)兵器はシステムとして運用されるために以下の4つの要素から構成され、下位の要素は上位の要素が有効に機能するために存在する。この(現代では)「兵器がシステムである」という特徴は、単体で機能する武器とは異なる点である。
最新技術と枯れた技術
兵器の開発には多くの資金と人材が使われ、生み出された軍事技術が軍事以外の民生用途にも広がる場合が多いが、逆に軍事以外の民間で開発された技術が兵器に転用される場合もある。
兵器は民間で使用される製品に比べて、過酷な環境での使用が避けられず、長期間保管後に激しく使用される傾向があり、生産数も限られる、なによりその機能不全は人命や戦争の勝敗に直接関わるために、信頼性(Reliability)や可用性(Availability)が強く求められる。
性能向上を求めて新たな兵器が開発された場合でも、戦場での実戦使用を経なければ兵器としての完成度は不十分として扱われるのが通常であり、最新軍事技術が量産兵器となって現れるまでには5年や10年といった長い年月を必要とする。民生品での新製品開発では1年や2年といった短期間で量産へ移されるので、これと比べれば軍事技術は保守的であり、特にコンピュータ技術や無線通信技術に代表される電子装置ではこの傾向が強く、兵器の配備後十年以上経過して、民間製品としては陳腐化したようなものであっても、これに代わる新たな兵器を開発して検証・量産・訓練・配備する大きなコストやリスクを避けて、枯れた技術に基づく兵器が使用され続ける場合がある。
性能
兵器の性能について比較が行なわれる場合があるが、兵器は使用する環境や操作する兵士の練度によって得られる成果に違いが生まれる。
開発の考慮点
兵器開発では以下の点が考慮される。
- 目的
- 実現可能性(Feasibility)
- 開発期間
- 調達費と維持費を合わせたライフサイクルコスト
- 性能・能力・特性など
- 命中精度、速度、燃費といった主要な性能
- 小型・軽量といった運搬性や可搬性
- 耐久性
- 整備性・保守性
- 習熟容易性
- 使い易さ(人間工学からの配慮も含む)
- 製造の容易性
- 加工工程
- 材料調達の容易性
- 他の兵器との相互運用性
- 国内や周辺国への政治的配慮
自国の技術レベルを正しく認識しながら段階を踏んだ開発が求められ、あまり急激な技術を国内開発に求めても失敗するリスクが高くなる[6]。敵国や仮想敵国の兵器性能や兵器体系も考慮されねばならない。敵国に対して過剰な性能の兵器を作る余力があれば、他の戦力の充実に振り向ける方が得策である[7]。また、敵国や仮想敵国が類似兵器の開発や、技術漏洩によって開発に成功してしまった場合、その対抗手段の有無が考慮される。例えばレーダーに対するチャフなどである。
ただし原子爆弾のように特殊な例外もある。
注釈
- ^ 本記事では銃弾、砲弾、ミサイルの弾頭などを破壊体としたが、これらを発射体と呼ぶこともある
- ^ 兵器システムにおける運搬体は、プラットフォームと呼ばれることが多い
- ^ 欧州各国でエアバス A400Mを共同開発した例や、NATOで輸送機を共同保有する例がある
- ^ つまり、初期型の初飛行からほぼ一世紀運用される可能性を有している
- ^ 政治的に対立するイランへの部品流出を防ぐため、レーダーやエンジン等の重要備品は完全に撤去されてから引き渡されている
- ^ ドイツ空軍のMiG-29は西側の有する数少ない東側戦闘機として他国との共同訓練に頻繁に参加していたが、部品供給や稼働率の低さなど問題を抱え、2005年にユーロファイター タイフーンの導入により全機が退役した。しかし、その多くがポーランドに売却され、第二(第三)の人生を送っている
- ^ アメリカ海軍の協力が得られた「トップガン」、自衛隊の協力を得られたゴジラシリーズ、ガメラシリーズ、「戦国自衛隊1549」など
出典
- ^ a b c ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「兵器」
- ^ a b c 出典:加藤朗著 『兵器の歴史』 芙蓉書房出版 2008年1月25日第一刷発行 ISBN 9784829504130
- ^ さらに言うと、戦車や戦闘機ですら、米国では個人が趣味で所有して乗り回したり飛ばしたりすることもあるわけで、個人が趣味で所有したら戦車や戦闘機ですら「兵器」扱いではなくなる。
- ^ a b c d e 小学館『日本大百科全書』「兵器」
- ^ なお、念のために言っておくと、軍隊が所有するありとあらゆるものが「兵器」というわけではない。「兵器」はあくまで軍事目的で重要な装置や設備のことである。軍隊が保有・使用しているものでも、たとえば軍隊の施設内に、たとえば寝台・運動用器具(ランニングマシン、ベンチプレス器具)やカラオケ装置などを保有していても、その寝台・運動用器具 等までが「兵器」というわけではない。攻撃や防御などの目的に使用されるわけでもなく、軍事的に重要な器具・装置類ではないからである。
- ^ 岩狭源清著 『中国原潜技術&漢級侵犯事件』 軍事研究2005年4月号 ジャパン・ミリタリー・レビュー2005年4月1日発行 ISSN 0533-6716 Page195
- ^ 三鷹聡著 『2010年アジア欧州の陸戦主力兵器』 軍事研究2005年2月号 ジャパン・ミリタリー・レビュー2005年2月1日発行 ISSN 0533-6716 Page75
- ^ 宮園道明著 『発展する中国のミサイル産業』 軍事研究2008年9月号 ジャパン・ミリタリー・レビュー2008年9月1日発行 ISSN 0533-6716
- ^ 清谷信一著 『実需要の高い新型ジープ』 軍事研究2008年10月号 ジャパン・ミリタリー・レビュー2008年10月1日発行 ISSN 0533-6716 Page73
- ^ 菊池雅之著 『DLO:空中機動作戦師団』 軍事研究2008年10月号 ジャパン・ミリタリー・レビュー2008年10月1日発行 ISSN 0533-6716 Page78
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