兵器としての特性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 22:38 UTC 版)
兵器としては以下のような「長所」を持つ。 防護装備の不十分な目標に対しては、一度に多数の死傷者を生じさせられる。(大量破壊兵器) 核兵器に比べると、開発や生産が技術的に容易である。 心理的効果が高く、敵兵に恐怖心を与える。 火薬使用量が少なく、通常弾薬の生産と競合しにくい。 種類によっては殺傷効果に持続性があり、敵の進撃経路を継続的に限定できる。 他方で、次のように兵器としては運用が限定される「短所」もある。 散布状況が天候や風向きに左右されて効果が予想しにくく、味方や非戦闘員(民間人)に被害を与えかねない。 現在では戦線の歩兵はガスマスクを携行し、車両は対NBC兵器装備を備えているのが普通なので効果が薄い。 大量生産するにはある程度の化学工業水準を要する。特に第一次世界大戦頃では、量産能力のある国は限られた。 被害者の障害が残る。 環境被害がある。特に持続性がある種類のもの。 化学兵器など大量破壊兵器による報復だけでなく、第三国による軍事介入や国際世論の非難を招く恐れが高い(例:米軍によるシリアのシャイラト空軍基地攻撃)。 現代の正規戦用兵器としてみると、法的問題からの制約のみでなく、技術的にも運用が難しい面がある。化学防護服や装甲車両を備えた軍隊、気密性が高い基地施設といった防護の充実した目標には、行動・活動を阻害することはできるものの、効果は限定的と言える。またイスラエルのように、住宅や市街地にも防毒マスクや避難シェルターが行き渡っている国もある。 もっとも防護装備が不十分な軍隊や、多くの国の民間人に対する攻撃方法としては有効であり、しばしば利用される。例えばイラクのフセイン政権はクルド人虐殺に使用したとされ、シリア騒乱でもアサド政権軍が使用した疑惑がある。すなわち、装備の良好な軍隊には効果が薄く、民間人や非正規軍には被害が出やすい兵器だということが言える。 化学兵器は「貧者の核兵器」とも呼ばれ、核兵器を開発するために必要な技術・資金に乏しい国、あるいはテロ組織による生産・利用が危惧されている。
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