武器貿易条約とは? わかりやすく解説

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ぶきぼうえき‐じょうやく〔‐デウヤク〕【武器貿易条約】

読み方:ぶきぼうえきじょうやく

通常兵器国際取引規制するための共通基準定めた条約2013年4月国連総会採択署名130か国、締約69か国(2015年5月現在)。ATTArms Trade Treaty)。


武器貿易条約

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/24 10:41 UTC 版)

武器貿易条約
通称・略称 ATT
署名 2013年6月3日
署名場所 ニューヨーク
発効 2014年12月24日
寄託者 国際連合事務総長
文献情報 平成26年11月6日官報号外第245号条約第16号
言語 アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語
主な内容 通常兵器の国際移転(移譲)を規制する。
条文リンク 外務省
ウィキソース原文
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武器貿易条約(ぶきぼうえきじょうやく、英語: Arms Trade Treaty、略称:ATT)は、通常兵器の国際移転(移譲)を規制する条約である。

条約事務局はスイス・ジュネーブに設置されている。

目的

通常兵器が大量殺害やテロリズムに利用されることを予防・根絶するために、通常兵器の国際移転(移譲)を規制する。

歴史

1990年代後半に、オスカル・アリアス・サンチェス元コスタリカ大統領を含む、ノーベル賞受賞者およびNGOや国際法学者らが提起し、2003年から研究者やNGOらが国際的なキャンペーン「コントロール・アームズ」を展開し、ATTの形成をうったえた。ATTについて2007年に各国が見解書を提案し、2008年に国連で議論をする旨の、117か国の共同提案国による決議案が2006年に国連総会に提示された。この決議案が圧倒的多数で採択されることで、国連での議論が始まった。この際、米国が反対、24か国が棄権した。

その後、2009年の国連総会決議に基づき、2012年7月の国連会議での条約作成を目指して、4回の国連準備委員会を通じた本格的な交渉が開始された。準備委員会での本格的な交渉に入ってからのATTプロセスにおいて主導的役割を果たしたATT推進国は、メキシコノルウェーオーストラリアトリニダード・トバゴアルゼンチンなど。なお、2009年の国連総会決議の際には、アメリカも賛成した。

2013年4月2日の国際連合総会において、武器貿易条約の採択投票を行った。結果は次の通り。

以上により条約案は採択された[1]。この条約は50か国が加盟手続きをしてから90日後に発効。2022年12月時点での締約国は113か国。

概要

この条約が国際移転(移譲)の規制の対象とする通常兵器とは、大型武器7種類(戦車・装甲戦闘車両・大口径火砲・軍用艦艇・攻撃用ヘリコプター・戦闘用航空機・ミサイルおよびミサイル発射装置)および小型兵器・軽兵器の8種類であり、これらの兵器の移転(移譲)が規制される[1]

沿革

  • 1990年代後半 - コスタリカのアリアス元大統領をはじめとするノーベル平和賞受賞者らの呼びかけで、NGOや国際法学者らが参加し、条約案を形成。
  • 2001年 - 国連小型武器会議で提起される。
  • 2003年9月 -「コントロール・アームズ」キャンペーンが開始され、武器貿易条約 (Arms Trade Treaty: ATT) として提唱される。
  • 2004年 - フィンランド主催のワークショップで、「コントロール・アームズ」キャンペーン関係者作成の条約案が配布される(ただし、条約案が配布されたのはこの時が初めてではない)。
  • 2005年 - G8外相会議後に発表されたイギリスの議長国声明で言及される。
  • 2006年 - 国連総会でイギリス主導で提出されたATT決議案 (A/RES/61/89) が採択される(賛成153、反対1、棄権24)。
  • 2008年2月 - 国連での第1回政府専門家グループ (GGE) において具体的な議論が行われる。(参加28カ国)[2]
  • 2008年5月 - 国連での第2回GGEにおいて通常兵器の輸入・輸出・移譲に関する国際基準の確立を目指す議論が行われる[2]
  • 2008年8月 - 国連での第3回GGE(最終会合)において最終報告書が採択される[2]
  • 2009年3月 - 国連オープンエンド作業部会 (OEWG) 第1回会合が開催される。それまでATT関連決議に反対又は棄権した国々(米国ロシア中国等)も議論に参加。(参加100カ国以上、「コントロール・アームズ」キャンペーン関係者はオブザーバー参加)[2]
  • 2009年7月 - OEWG第2回会合が開催される。ATTが対象とすべき武器や行為の範囲、武器移譲の許可基準の内容、条約を実施する上で必要なメカニズム等について議論がなされる[2]
  • 2010年10月 - マサチューセッツ大学ボストン校主催でATTボストンシンポジウムが開催される。2012年の条約交渉会議に向け、条約の主要な要素について議論が深められた。(参加34カ国、「コントロール・アームズ」関係者を含むNGO・専門家100名)
  • 2012年7月2日-27日 - ニューヨークの国連本部にてATT交渉会議が開催された。この会議は「コンセンサス」[3]で行われることになっていた[2]
  • 2013年4月2日 - 国際連合総会は武器貿易条約の採択投票を行い、賛成が156か国、反対が3か国(北朝鮮イランシリア)、棄権が22か国で、条約案は採択された。
  • 2013年6月3日 - ニューヨーク国連本部にて署名式が行われ、60カ国以上が署名した。日本は、天野万利軍縮会議特命全権大使が署名した[4]
  • 2013年9月25日 - アメリカのジョン・ケリー国務長官が、武器貿易条約に署名した。アメリカは91カ国目の署名国となった。ただし、上院の賛成はまだ取れておらず、批准に至るかは不透明である[5]
  • 2014年2月25日 - 日本政府は、武器貿易条約の承認案を閣議決定した[6]
  • 2014年5月9日 - 日本政府は国際連合事務局に批准書を寄託した[7]。これにより武器貿易条約批准国は32カ国となった。
  • 2014年9月25日 - 武器貿易条約の批准国が53カ国に達する。これにより条約の規定により同日から90日後の2014年12月24日に条約は発効する。
  • 2014年11月6日 - 武器貿易条約(平成26年条約第16号)が公布される。
  • 2014年12月24日 - 条約発効[8]
  • 2015年8月24日-27日 - メキシコ・カンクンで武器貿易条約第1回締約国会議が開催され、条約事務局の設置都市がジュネーブに決定した[9]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b 時事通信>2013年4月3日>武器貿易条約
  2. ^ a b c d e f 外務省>外交政策>軍縮・不拡散>軍縮・軍備管理・不拡散>通常兵器の軍縮及び過剰な蓄積禁止に関する我が国の取り組み>武器貿易条約
  3. ^ 『軍縮研究』 (PDF) 第3号51-60頁
  4. ^ “「武器貿易条約」60か国超署名”. NHK. (2013年6月4日). http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130604/k10015048971000.html 2013年6月4日閲覧。 
  5. ^ “米が武器貿易条約署名 91カ国目、最大の輸出国”. 産経新聞. (2013年9月25日). http://sankei.jp.msn.com/world/news/130926/amr13092601040000-n1.htm 2013年9月26日閲覧。 
  6. ^ “政府、武器貿易条約の承認案閣議決定”. 日本経済新聞. (2014年2月25日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS25010_V20C14A2PP8000/ 2014年2月25日閲覧。 
  7. ^ 2014年(平成26年)11月6日外務省告示第342号「武器貿易条約の効力発生に関する件」
  8. ^ 武器貿易条約(ATT)、発効Qnewニュース 2014年12月28日
  9. ^ 武器貿易条約(ATT)第1回締約国会議外務省 2015年9月1日

関連項目

外部リンク



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