万年筆 使用方法

万年筆

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/19 17:57 UTC 版)

使用方法

インクの充填

万年筆は軸の中にインクを貯めて、そのインクを毛細管現象によりペン先に導くことによって筆記可能な状態を保つ構造を持つ。したがって、使用する前にペン軸の内部にインクを入れる必要がある。

カートリッジインク式万年筆の場合

インクカートリッジの形状は各社さまざまであるが、カートリッジインクの場合はカートリッジを装着するだけで使用可能となる。具体的には、首軸部分にカートリッジを正しい方向で奥まで差し込めばよい。装着手順の詳細はメーカーによって異なり、例えばパイロット、セーラー製ではまっすぐに、プラチナ製では右に回転させながら差し込むよう説明されている。また、装着後にインクを馴染ませるためにカートリッジ側面を軽く押さえる方法もある。シェーファーだけは少し変った方法を推奨しており、カートリッジを、軸(首軸ではない方)の中に入れそのまま首軸にねじ込む方式である。(モンブランの一部にもある)

コンバーター(吸入器式)の場合

同じメーカーの同じカートリッジを採用したペンであっても、コンバーターを利用できるものとできないものがあったり、固定方式などの点においてバリエーションが存在する場合があるので、原則として取扱説明書に記載されたメーカー推奨の組み合わせで使用する方が良い。欧州共通規格を採用したものであっても、他社のコンバーターを使用するとインク漏れなどの原因となることがある。なお、コンバーターも消耗品であり、抜き差しを繰り返すことによって差し込み口がゆるくなってくる。

ビン入りのインクを補充する場合

吸入式やコンバーター式の万年筆を使う場合には、ボトルインクに入ったインクを使用することになる。

細かい手順は万年筆やコンバーターの種類によって異なるので製品に付属する説明書に従って操作しなければならないが、大まかな手順は共通している。まず、インクタンクの内部から空気を追い出すように操作する。その状態のままインクビンのインクの中にペン先を入れて、吸入動作をする。このとき、ペン先をつける量はペンによって異なるが首の部分まで浸さなければ空気を吸ってしまうことになり、インクを充填できない。これは吸入が空気穴を通じて行われるからである。充填が終わったら、余分なインクを拭き取り、使用する。

インクボトルに残っているインクの量が減ってくると、インクを吸入するのが困難になる。このような場合は、小型の容器に移し替えたり、新しいインクを継ぎ足したりして使う。ただし、古いインクは変質していたりゴミが混入していたりする場合も多いので、インクの注ぎ足しはあまり推奨できる行為とはいえない場合が多い。モンブランのインク瓶やパーカーのインク瓶(ペンマンインクのみ)では、瓶内に小区画を設定して、そこにインクを流し込むことで、インクの量が少なくなってもペン先を十分に浸すことが出来るようにするなどの工夫を行っている。また、2010年代以降のセーラーやパイロットの顔料系インク瓶製品を中心に、インク瓶の口にプラスチック製で漏斗状の構造物を付け、インク瓶を一度逆さにしてこの漏斗状部分にインクを貯め、ここにペン先を挿入することで、少量の残量でも使い切る事の出来る製品が出ている。

筆記法

一般的には、他のペン同様親指人差し指中指の3本の指で保持するが、どこを持つかは、その人の手の大きさ、万年筆の大きさ、重量バランスなどにも拠るので一概には言えない。寸軸のように太いペンでは5本全ての指で抱えて持つからである。ヨーロッパでは万年筆の持ち方が初等教育段階で指導されており、学童用の万年筆には正しい持ち方ができるように面取りしてあるものもある。

ペン先を紙に当てる角度は、ペン先の研ぎ方にも拠るが、やや寝かせて書くのが一般的のようである。ボールペンのように垂直に近い角度で使うのは推奨されない。

欧文を書く場合は、寝かせて書く方が書きやすい。漢字日本語を書く場合にはこれは当てはまらず、やはり、鉛筆同様の角度50度前後の角度で書いた方が書きやすい。

ねじれ方向の角度に関しては、通常のペン先の場合、ペン先が紙に対して平ら、筆記方向に水平にあたるようにしなければならない。もし、ペン先がねじれて紙と接するように使ったとすると、引っかかるばかりでなく、割り切りの内側の角が削られて、かすれの原因ともなる。ただし、楽譜用など特殊用途のペン先には、ペン先を紙面・筆記方向に垂直に当て、縦線を細く横線を太く引く設計のものがある。

かなり弱い筆圧でも筆記に支障はない。むしろ強い筆圧で柔らかい(よくしなる)ペン先のものを使うと割り切りが開いてしまいうまく書けない。そのため一般に筆圧が強い人には硬いペン先のものの使用が推奨されている。いずれにしてもペン先が反り返ってしまうほど高い筆圧を掛けての使用は故障の原因となる。

筆記角度については年代にも左右される。1970年代は筆記角度が80度ぐらいで使われるのが普通であった。また、大正時代のオノトも似た筆記角度である。

メンテナンス

万年筆の故障のほとんどは長期間使用しないことにより内部でインクが固着することによって引き起こされる。このため、万年筆にとっては日常的に使用されペン先にインクが供給され続けることが一番のメンテナンスである。吸引式の場合インクの補充の際、インクが本体の埃や固まりかけたインクの塊を押し流す役割を果たす。カートリッジ式の場合、この機能を期待できない。長期間使用しないときは、内部のインクを抜き、洗浄し十分乾燥させてから保管する必要がある。

洗浄の際にはカートリッジ式の場合はカートリッジを外しペン先を水またはぬるま湯に浸してそのまま数日放置し、内部のインクが流れ出るのを待つ。一方、吸入装置を内蔵する万年筆またはコンバーター式万年筆の場合はインクが内部に残っている場合インクの変質を防ぐため内部に残っているインクを全て廃棄し、水にペン先を浸け何度か水の吸入・排出を繰り返し、汚れた水を交換しながらペン先から出る水が無色になるまで続ける。洗浄の際に熱湯を使うと万年筆本体を傷めるので絶対に使用してはならない。






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