エンジン・ブロックとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > エンジン・ブロックの意味・解説 

シリンダーブロック

(エンジン・ブロック から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/30 02:01 UTC 版)

en:Ford I4 DOHC engineのシリンダーブロック

シリンダーブロック: Cylinder block)とは内燃機関の部品の一つであり、特にシリンダークランクケースを一体化した構造の部品の事を示す。エンジンブロック (engine block) と呼ばれる場合もある。

概要

英国のローバーen:K-series16バルブDOHCエンジンのシリンダーブロック。ウエットライナー構造を採用している。
アメリカのオールズモビルビッグブロック400キュービックインチエンジン。360馬力、440 ft·lbfトルクを発揮する

シリンダーブロックには、、一つ、もしくは複数のピストンが収まり、下部のクランクケース部分にはクランクシャフトが取り付けられ、コネクティングロッドでピストンとつながっている。 また、補機としてウォーターポンプオイルポンプが取り付けられる場合があり、Vエンジン型W型水平対向など、エンジン形式によっては複数のシリンダーバンクが形成されたり、エンジンの振動を抑えるためのバランサーシャフトが内蔵されることもある。

シリンダーブロックはエンジンの心臓部に当たる部品であり、強固なボルト結合によってシリンダーヘッドと締結されており、エンジンマウントや各種補機類が取り付けられることも多く、さらにはクーラントエンジンオイルの通路も設けられている。水冷エンジンにおいては、万が一、凍結膨張によってエンジンが破壊されないよう、コアプラグと呼ばれる緊急時用圧力開放栓が設けられている[1]

しかし、シリンダーとクランクケースが完全に一体鋳造されてしまっているため、各シリンダー間の中点の距離(ボアピッチ)は加工設備の大規模な変更を行わなければ修正が難しく、シリンダーのボアの大きさはシリンダーブロックのサイズによってある程度限定されてしまう。場合によってはシリンダーブロックの厚さやボアピッチとの兼ね合いにより、工場出荷状態からそれ以上のボアアップが物理的に行えない場合もある。

シリンダーブロックは一般的には鋳鉄を用いて作られて来たが、現代のエンジンは軽量化や衝突安全性[2]リサイクル[3]を向上させるためアルミニウム合金の鋳造品が用いられることが多い。後者の場合にはシリンダーの摩耗防止のために鉄製のシリンダーライナーを挿入するか、シリンダー内壁にめっきまたは溶射などの表面処理を行うことが一般的である。モータースポーツなどにおいて、シリンダーブロックに極端な軽量化やシャシ構造材(ストレス部材)としての強度を求める場合、材質にマグネシウムベリリウムが用いられることもある。

シリンダーブロックの中にはウエットライナーと呼ばれる着脱可能なシリンダーライナーを備えるエンジンもある。「ウェット」と呼ばれる由来は、シリンダーライナーの外面が直接冷却水に触れているからで、この構造はやや特殊なヘッドガスケットが必要[4]になる反面、仕向地によるボアダウンが生産ラインで容易に行えることから特に欧州車において多く用いられている。現在ではルノープジョーがこの構造を積極的に用いている。

アメリカ車において長らく主流であったV型8気筒エンジンにおいては、シリンダーブロックの大きさにより、ビッグブロックスモールブロックの区別がある。元々は最大9.0 L以上の排気量を許容できるビッグブロックが最初に登場したが、時代が下るに従って軽量化のためにスモールブロックが主流となっていった。ほぼ同じ排気量のエンジンでも、時期によってはビッグとスモールの両方が展開されることもあった。しかし、高度なメカチューニングで大出力を発揮する用途では現在でもビッグブロックのエンジンを基に大幅な改良が施されることが多い[5]

脚注

  1. ^ コアプラグ用の穴は、砂型鋳造が行われていた時代に、冷却水路や油路の砂落としに使うものであった。
  2. ^ 自動車アセスメント:スズキハスラー:オフセット前面衝突試験 衝撃でフロントグリルとナンバープレートがめくれ上がり、その隙間から変形したエンジンブロックやピストンの破片が見えている。
  3. ^ https://www.youtube.com/watch?v=0Kriv3tcSg8 二軸破砕機MGシリーズ エンジン破砕
  4. ^ ライナー下面側のガスケットは、冷却水周りに使われているような製であった。
  5. ^ Motortrend

関連項目

外部リンク


エンジンブロック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 10:23 UTC 版)

トヨタ・G16E-GTS」の記事における「エンジンブロック」の解説

シリンダーブロック排気干渉少なくターボタービン効率良く回せ直列3気筒形状を取る。気筒内径×行程は87.5 mm×89.7 mm、1気筒当たりの容積は約539.1 ccである。 ブロック本体材質軽量化為にアルミニウム用いられ製造法アルミダイカスト採用することでエンジン全体での乾燥重量109 kg抑えるなどかなりの軽量化達成している。ブロックアルミ製であるため鋳鉄ライナー挿入されており、ブロック内側特殊な粗面噛合して強く固定されている。この挿入されている鋳鉄ライナー高出力発揮する負荷回転時の耐久性剛性高め為に肉厚なものを採用している。 冷却水冷式ウォータージャケットが浅底化、オープンデッキになっている。この浅底構造をしたウォータージャケットトヨタ自動車では初採用であり、同じくトヨタ製3気筒エンジンM15Aブロックなどと比較してジャケット横の肉を抜けるなど軽量化大きく影響与え、それに加えてスポーツ使用下の高燃焼荷重にも耐えられるブロック構造支持にも貢献している。また、オイルレベルゲージブロック内部作られておりブローバイガス通路としても機能している。

※この「エンジンブロック」の解説は、「トヨタ・G16E-GTS」の解説の一部です。
「エンジンブロック」を含む「トヨタ・G16E-GTS」の記事については、「トヨタ・G16E-GTS」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「エンジン・ブロック」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「エンジンブロック」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「エンジン・ブロック」の関連用語

エンジン・ブロックのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



エンジン・ブロックのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのシリンダーブロック (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのトヨタ・G16E-GTS (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS