3代目(2001年-2006年)MCV30
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 07:18 UTC 版)
「トヨタ・ウィンダム」の記事における「3代目(2001年-2006年)MCV30」の解説
カムリ(CV30系)と共通のプラットフォームを使用する。この代より他のトヨタ製大型セダン同様ドアサッシュのあるセダン型となり、初代および2代目との大きな相違点となった。ホイールベースは50mm延長、全高もほぼ50mm高くなり、特にリヤシートの居住性が増して頭上空間のゆとりに向上が見られた。全幅は1,810mmとなり、クラウンマジェスタはおろか、セルシオにも迫る広さを手に入れた。新型発売にあたって、広告では「新しく生まれ変わったレクサスクオリティ」と称して、品質の向上もアピールした。初代から定評のあった静粛性においては新防音材「NCL」を採用し、遮音から吸音をメインにすることで全回転域のエンジンノイズやロードノイズが低減した。また、ボンネットやフェンダー、ドアにゴム製の見切りシールを採用し、ルーフやピラーには発泡剤を充填することで風切り音も低減。より広くて静かな室内空間へと変化した。 エクステリアはそれまでの「低く長く」から「高く長く」と大きく変化し、ピラードハードトップ特有のウィンダムのスタイリッシュさに見慣れてしまった層には、やや野暮ったさを感じさせるデザインとなった。ホイールベースの延長に対し全長は2代目とほぼ変わらないために、前後のオーバーハングが削られたことになる。それでも、全長に対してホイールベースの比率は小さく、前後オーバーハングの長い特徴的なフォルムは維持されている。ボディに厚みが増したことによりルックスの表情も大きく変化し、彫りの深さと曲面を多用した彫刻的な造形が表現された。リヤビューも大きく変化し、それまでのセルシオルックから一転、シャープさとスポーティーさを両立した大胆な構えとなった。サイドウインドウのグラフィックは160系アリストと共通するものがあり、レクサスブランドの証を表現したといえる。初代~2代目と比較すると明らかに一回り大きく変化したことで車格感が大幅に増し、それまでの“マークII以上、クラウン未満”という印象が覆された。その豊満で大味なプロポーションは「造形美」ととるか「野暮」ととるかの賛否両論に別れた。 インテリアは独立3眼メーターを筆頭とし、ゲート式のシフトレバーを採用することでスポーティーな印象となった。シフトレバー部分からドアトリムまで緩やかに繋がる木目調パネルは流麗にデザインされ、包み込まれる感じが一層向上した。新しく採用された赤木目調パネルはバイオリンのような濃厚な色を放ち、華やかでありながらとても落ち着いた室内空間を演出している。独立3眼メーター周りの木目調パネルを意図的に減らしてる理由は、夕日などが当たってメーターの視認性を妨げない工夫といえる。センタークラスターのボタン配置は左右対称で非常にシンプルであるが、誰が操作しても馴染みやすく、戸惑うことのない造りとなった。スカイフックTEMSのダイヤル位置においては、先代の場合シフトレバーの下部にあり、カップホルダーを開くとダイヤルが隠れて使用できない欠点があったが、シフトレバーの左側へ配置変更することでその欠点は改善された。リヤにはエアコン吹き出し口の追加や60mm広がったセンターアームレストを採用することにより、同乗者の快適性も考慮。シートはボリュームアップすると共にヒップポイントを上げ、むち打ち症対策のWIL コンセプトに対応することで快適性と安全性の両面を確立した。さらに、リヤシートにはヘッドレストを3名分備え、北米方式の3点支持式チャイルドシートも装着できる固定アンカーを装着し、SRSカーテンシールドエアバッグと相まって安全性の高さは揺るぎない。なお、衝撃の大きさに合わせて最適な展開をするデュアルステージ式となった前席SRSエアバッグ、SRSカーテンシールドエアバッグ、SRSサイドエアバッグの全てが全車標準装備となった。また、自動防眩ECミラーや雨天感知式ワイパー・拡散式ウォッシャーノズル、ヒーター付きレインクリアリングミラーなどといった、運転するにおいて高い視認性確保が期待できる装備を積極的に採用した。一定のスピードでこれまで以上にゆったりと開くカップホルダーや灰皿、プッシュオープン式のコートフック、サンバイザーと独立したON/OFF切り替えスイッチ付きのバニティランプ、全ドアのカーテシランプに加え、室内の足元照明(ギアをPレンジ以外にすると減光する)を採用するなど細部の演出も向上。オートエアコンは左右独立温度調整が可能となるなど、インテリアの居心地の良さや安全性はエクステリアと同様に大きく変化した。 エンジンは2.5Lが廃止となり従来の1MZ-FE型 V6 3.0Lエンジンのみになる。グレードは「3.0G」「3.0X」。2代目同様、GグレードにはマルチAVステーションとスカイフックTEMSの進化系H∞TEMSが標準となる。最上級グレードのG-リミテッドエディションには、木目調+本革巻きのステアリングホイールとシフトレバーノブ、電動リヤサンシェード、クルーズコントロール、TRC、VSCが追加装備され、外観には専用エンブレムを装着した。また、室内を黒で統一したブラックセレクションを全グレードに設定、価格は据え置きでクールな室内が選べるようになった。特別仕様車や限定車の販売はなかった。 トランスミッションは4速ATから5速AT(5 Super ECT)になる。駆動方式は前輪駆動のみ。 輸出仕様となるレクサス・ESの名称は、当初は「1MZ-FE」型V6 3.0Lエンジン搭載の「ES300」(MCV30L)のみであったが、その後北アメリカ・中南米・韓国・台湾向けが「ES330」となり、「3MZ-FE」型V6 3.3L(3,310cc)を搭載(MCV31L)、東南アジア・オセアニア・中東向けが「ES300」となり、従来通り「1MZ-FE」型V6 3.0Lエンジン(MCV30L)を搭載している。 このモデルの最初のカタログには、背景に2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件によって破壊された世界貿易センタービルが写っていたが、事件後すぐにカタログが改訂され、そのページは背景が差し替えられた。差し替えられたカタログは表紙が改訂前(初版)と同じであったが、わずか1か月で別の表紙に改訂された。この改訂により、1度目の改訂時に差し替えられなかった別の背景も差し替えられた。また、ページ後半の背景写真数点が初代と2代目のカタログにあったものと同一であった。 2001年8月21日 - 3代目発売開始。 2003年7月23日 - カムリとともに一部改良を実施、カーナビゲーションを最新型へ変更し、オーディオ部をカセットからMDに変更。さらに、G-BOOK(テレマティクスサービス)にも対応可能とした。さらに、TRCとVSCが3.0Gにもセットオプションとして追加された。カタログに大きな変更はなく、室内写真のナビゲーション部分を最新型に差し替えた程度である。 2004年7月6日 - カムリとともにマイナーチェンジを実施、前後外観パーツの意匠変更、快適装備の追加をした。ヘッドライトは伝統のプロジェクター式に変更(オートレベリング機能付き)、さらにフォグランプを丸型に変更しメッキリングが奢られた。また、フロントグリルは外枠がメッキ化され、横バーが4本から5本となり繊細さが増した。一見してオーソドックスな逆台形ラジエターグリルであるが、外枠上下を含め合計7本全てのカーブが異なり、真横からは垂直に見えるとても手の込んだ造りになっている。なお、ボンネットのCIマークの位置はこれまでより若干下がり、ラジエターグリルとの調和を図った。フロントバンパーのグリルは黒い格子からボディ同色の横バー1本となった。これらの変更により、前期型に見られた少々大味過ぎたルックスに明確な締まりと存在感を確立した。リヤコンビネーションランプはプロジェクター風の丸目4灯へ変更。リヤフェンダーへ回り込んだ部分のレンズは、海外仕様の場合はリフレクターが3本あるが、国内仕様はヘッドライトの光に反射しない素材へ変更されている。なお、ナンバープレート上のガーニッシュには細いメッキモールがさりげなく奢られた。室内はそれまでの赤木目調パネルと比較し、木目柄が細かくなり一層リアリティが増したライトブラウンになり、太陽光が当たるとゴールドに近い輝きを放つとても明るいものへと変更し上質感が増した。それに伴い、内装色のベージュもこれまでよりも若干明るい色調へ変更された。黒統一室内のブラックセレクションは赤木目調パネルのままとなる。センタークラスターは黒い樹脂からガンメタリック樹脂へと変更し、木目調パネル同様に太陽光が当たると特に美しい輝きを放つ。3.0GのみセットオプションだったTRCとVSCは3.0Xにも設定が拡大され安全性に貢献した。任意の声をフロントパーソナルランプ両脇にあるマイクに向かって発することでボイスナビゲーションやオーディオ、携帯電話のハンズフリーを設定・操作してくれる音声認識機能も搭載、されにこれらに対応したステアリングスイッチも追加された。 2005年 - 月販100台を割り込むなど販売不振が深刻化。さらにこの年の8月30日には日本国内でもレクサスブランドの展開が開始されたが、2006年1月30日にモデルチェンジしたカムリ(ACV40系)と統合するかたちで同年2月に生産を、同年3月に販売を終了。同時にカローラ店から6気筒エンジンを搭載したセダンが一旦消滅した。3代15年の歴史に終止符を打った。2011年から2017年7月まで販売されたXV50系カムリは日本仕様車は2.5リッターHV(AVV50)のみであるところを見ても、カムリがウィンダムのポジションに移行しようとしていることがみてとれる。ただし、同店を含むトヨタディーラー全店で販売されるSAIやレクサス店専売のHS250hの方が車格自体はそれぞれカムリに及ばないものの、販売価格はそれぞれカムリよりもさらに高額な価格設定である。なお、2018年10月にレクサス店で7代目(AXZH10)の販売が開始されるまで、カムリプロミネントに始まる「ESの日本仕様車」は実に2世代・12年7ヶ月もの間存在しなかったことになる。 3.0G 後期型・リヤ
※この「3代目(2001年-2006年)MCV30」の解説は、「トヨタ・ウィンダム」の解説の一部です。
「3代目(2001年-2006年)MCV30」を含む「トヨタ・ウィンダム」の記事については、「トヨタ・ウィンダム」の概要を参照ください。
- 3代目MCV30のページへのリンク