情報管理
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情報管理(じょうほうかんり、英:Information management)とは、情報の取得・保存・検索・活用を、適切かつ最適化して行う実践。個人レベルでも組織レベルでも存在する。この記事では、主として組織における情報管理について述べる。
概要
組織における情報管理は、組織活動のサイクルと関わる。一つ以上の情報源からの取得から始まり、取得した情報の保管・管理と必要とする人々への配布、そして最終的にはアーカイブ化または削除・抽出による処分に至る。
この組織的情報サイクルには多様なステークホルダーが関与する。取得情報の品質・アクセス性・有用性を保証する責任を負う者、情報の安全な保存と廃棄に責任を負う者、そして意思決定のためにそれを必要とする者がいる。ステークホルダーは、組織の情報管理ポリシーに従って、情報を作成・変更・配布・削除する権利を持つ。
情報管理は、経営管理の一般概念を広く包含する。すなわち、計画・編成・構造化・処理・統制・評価・報告といった情報活動に関する諸要素である。これらは、情報が組織において役割や機能を果たす上で必要な諸活動であり、これらによって情報は適切な集団に提示され、個々人によって実際に活用されることで情報が価値を獲得する。
情報管理は、データ・情報システム・情報技術・ビジネスプロセスの管理と密接に関連・重複し、さらに情報の可用性が組織成功に決定的な場合は経営戦略とも重なる。伝統的には情報管理は、業務運用上で情報をプロダクトまたはサービスとして扱うための手順・組織能力・標準を意味していたが、歴史を通じて意味が拡張してきた。
歴史
現代的情報管理の前史
1970年代までは、情報管理は今日で言うデータ管理に近い概念であった。パンチカード、磁気テープなどの記録媒体を扱い、作成・配布・バックアップ・保守・廃棄というライフサイクルを伴っていた。1980〜1990年代に情報技術が普及し[1]、情報システムの射程が拡がるにつれて、情報管理は新たな形をとるようになった。
BPのような企業では本格的なITマネジメントに乗り出し、情報システムはビジネス全体に影響を及ぼすようになり、生産活動の柔軟なアウトソーシングやIT部門の効率化など、情報が経営にアジリティをもたらし、利益創出に影響を持つようになってきていた。[2]BPの経営陣の関心は、効果的な情報管理にもとづく業務プロセス改善から、適切な情報システムの導入、さらにそれらを外部委託ITインフラで運用することにまで広がっていた。[2]この時期になると情報管理は、誰でも片手間に行える単純な仕事ではなく、高度に戦略的な経営上の重要課題になっていた。技術の理解、情報システム更新とビジネス変革をうまく管理する能力、そして情報技術と経営戦略を整合させる意思が、いずれも必要となった。[3]
戦略的情報管理の時代
戦略的な情報管理への移行期において、ヴェンカトラーマンは、データ・情報・知識の管理を簡潔にまとめ、次のように論じた。[4]
- ITインフラに保持されたデータは、解釈されて初めて情報になる。
- 情報システム内の情報は、理解されて初めて知識となる。
- 知識は、管理者が有効な意思決定を行うことを可能にする。
- 有効な意思決定は、適切な行動へつながらなければならない。
- 適切な行動は、意味ある結果をもたらすことが期待される。
これはしばしば DIKAR モデル(Data, Information, Knowledge, Action, Result)と呼ばれ[5]、情報技術と組織戦略の整合に関わる層構造を示唆し、情報管理への態度変化の転回点と見なされる。情報管理を意味ある結果を生むべき投資と認識することは、情報と良質な意思決定に成功を依存する現代の組織すべてにとって重要である。[6]
理論
行動科学・組織理論
優れた情報管理が組織の円滑な運営に不可欠だという見解は広く共有されるが、情報管理そのものに関する一般に受け入れられた理論はまだない。そこで行動科学と組織理論が助けとなる。
カーネギーメロン大学で主に展開され、マーチとサイモンが支持した行動科学的マネジメント理論によれば[7]、現代組織で起きていることの大半は、実は情報処理と意思決定である。ここでの決定的要因は、個人がどれだけ情報を処理し、制約(年齢、状況の複雑性、手元の情報品質の不足など)下で意思決定できるかという点である。
技術の急速な進展と新種のシステム(社会的ウェブ(英語版)など)の出現によって、複雑性はいっそう増している。しかも、組織における情報管理の重要性が一般に認識される以前から、マーチとサイモンは[7]、組織は協働システムとして捉えられるべきであり、高度な情報処理と、さまざまかつ膨大な意思決定を必要とすると論じていた。
彼らは古典理論が掲げた「経済人」モデルに対して[8]、合理性の認知的限界にもとづく「行政人」を提案し、さらにサティスファイシング(英語版)(許容水準に達する代替案が見つかるまで探す)という概念を提示した。これは今日でも有効な考え方である。[9]
経済理論
マーチとサイモンが指摘した組織要因のほかに、経済・環境要因から生じる論点もある。意思決定に必要な情報の収集・評価には、コスト(時間と労力)がかかる。[10]さらに取引コストがかかる場合があり、特に、組織のルールや手続きが最適な意思決定を妨げ、次善の結果に導くことがある。[11][12]これは、官僚制組織が戦略的変化のおいて経済性を失う原因として提示されてきた主要問題である。[13]
戦略的情報管理
背景
カーネギーメロン学派によれば、組織の情報処理能力は組織的・経営的競争力の中核にあり、組織の戦略は情報処理能力[14]の向上を目指して設計されねばならない。そして、時代とともに情報処理能力を提供する情報システムが形式化・自動化され、組織の競争力は多面的な厳しい試練にさらされることになった。[15]
情報化時代において、組織はこれまでにない仕方で学習し適応する必要があることが認識され[16]、学界では情報および情報システムの戦略的マネジメントに関する決定版的な著作が編成・公刊され始めた。[17][18]これと並行して、ビジネスプロセスマネジメント[19]やナレッジマネジメントの考え方が広まったが[20]、ビジネスプロセス・リエンジニアリングに関する楽観的な初期論の多くは、その後の情報管理文献で否定的に再評価されている。[21]
戦略研究の領域では、情報環境の理解が最優先とされる。情報環境とは、情報を収集・処理・配布・行使する個人・組織・システムの集合として構想されるもので、物理・情報・認知という相互に関連する三次元から成り、これらが絶えず個人・組織・システムと相互作用する。[22]
技術とビジネス戦略の整合
ヴェンカトラーマンは、情報をうまく管理したい組織に必要な能力を簡潔に示すDIKARモデル(上述)を提示した。彼はまた、技術とビジネス戦略を適切に連携させて、求められる具体的能力を同定する方法を他の研究者と共に追究した。[23]こうした研究は、コンサルティング[24]、実務[25]、学術の各界でも並行して進められた。[26]
現代的な情報ポートフォリオ・モデル

バイザウェイは、情報管理の基本ツールと技法を一冊に収めて整理した。[27]彼の見方の中心には、外部情報源への関心の高まりと、非構造データを有用化するための組織化の必要を織り込んだポートフォリオ・モデルがある。
このポートフォリオ・モデルは、内部・外部からの情報の調達(sourcing)と管理を、構造化・非構造の別を問わず整理する。こうした情報ポートフォリオは、情報を収集し有用に組織化する4段階を示す:
- Stage 1:公開情報の活用:郵便番号、気象データ、GPS位置データ、交通時刻表など、整った外部基準データを認識し採用する。パーソナル・コンピューティング誌に好例が見られる。[28]
- Stage 2:Web上のノイズへのタグ付け:郵便番号やGPS等の既存スキームを使うか、より一般的にはタグを付与する。あるいは形式存在論(英語版)を構築して構造を与える。シャーキーが両アプローチを概説している。[29]
- Stage 3:ふるい分けと分析:一般世界で開発が進む汎用オントロジー(英語版)は数百のエンティティと数百の関係へと拡張され、大規模データから意味を引き出す手段を提供する。データベースの構造化データは、その構造が高次の情報モデル(オントロジーやエンティティ関係モデル)を反映しているときに最もよく機能する。[30]
- Stage 4:構造化とアーカイブ:社会的ウェブや個人向けヘルス管理の小型テレメトリなどから得られる大量データに対して、アーカイブし、その後トロール(探索走査)して有意な情報を得る新手法が必要となる。関数型プログラミングに起源をもつMapReduceは、巨大アーカイブから情報を引き出す近年の方法で、大規模データ資産を扱う一般企業にも関心が高まっているが、高度なマルチプロセッサ資源を要する。[31]
情報をうまく管理するための能力

2004年、マネジメント体系である Information Management Body of Knowledge(IMBOK)がWWW上で初公開され[32]、情報投資から実益を引き出すための必要能力が複雑かつ多層的であることを示した。これは6つの「知識」領域と4つの「プロセス」領域から成る。
情報管理の知識領域
IMBOKは、6領域の管理能力が必要であり、そのうち「ビジネスプロセスマネジメント」と「ビジネス情報マネジメント」は密接に関連すると論じる。[33]
- 情報技術:技術変化の速さと最新製品の取得圧力は、システムを支える基盤インフラの安定性を損ない、業務プロセスの最適化と便益提供を脅かしうる。供給側を適切に管理し、技術がますますコモディティ化していることを認識する必要がある。[34]
- 情報システム:歴史的には内製が主流だったが、現在では多くの業務ソフトをパッケージとして調達できる。それでも、組織の戦略意図に資する新システム発想の実装によって、競争優位を得る余地は残る。[35]
- ビジネスプロセスとビジネス情報:情報システムは業務プロセスに適用されてそれを改善し、データをビジネス情報へと転化する。ビジネスプロセスマネジメントは未だ普遍採用に至らず困難も多いため比較的新しい概念と見なされ、ビジネス情報マネジメントはなおさら挑戦的である。[36][37]
- ビジネス便益:どの便益を求めるのか。達成可能性に厳しく向き合うだけでなく、便益の創出・受益を能動的に管理・評価せねばならない。バランスト・スコアカードの登場と普及以来[38]、業績マネジメントへの関心は高いが、IT投資や新情報システム導入の便益と真正面から結びつける試みは2000年前後まで多くなかった。[39]
- ビジネス戦略:日々の情報管理の諸課題からは距離があるように見えても、多くの組織の戦略は情報システムから必ず情報を得る必要がある。不振の改善でも差別化・競争力向上でも同様である。バリューチェーンや重要成功要因分析のような戦略分析ツールは、(管理されている・管理しうる)情報への適切な注意に直接依存している。[40]
情報管理のプロセス
6つの知識領域で能力が十分でも、なお問題は起こりうる。問題は、アイデアと情報管理価値がある競争力領域から別の領域へ移る際に生じる。バイザウェイの詳説(および二次文献)に基づき要約すると[41]:
- ビジネス変革:最良の情報システムは、業務システム内部の変革を達成することで便益をもたらすが、新システムが新たな技能要求を課すため、人は変化を好まない。一般的な予想に反し、公共部門がIT起因の業務変革に成功した事例もある。[43]
- 業務運用:新システムが稼働し、業務プロセスとビジネス情報が改善され、人員が新プロセスで働ける状態になって初めて、ビジネスは本格稼働できる。新システムが単一企業の境界を超えて拡張する場合でも同様である。[44]
まとめ
ビジネスを捉える視座は常に複数あり、情報管理の視点はその一つにすぎない。企業統治、人事労務管理、製品開発、マーケティングなど、他の領域も戦略に寄与し、良い情報管理だけがビジネスを前進させるわけではない。とはいえ、これらの領域はいずれも有効な情報管理に依存する。したがって最終的には、ここで示した広い基盤における情報をうまく管理する能力が優越的であると言える。
情報管理の運用化
必要変革のマネジメント
組織は、業務レベルで多くの情報管理上の課題・問題に直面することが少なくない。新しいシステムアーキテクチャの新規性や、新様式の情報管理に関する経験不足は、組織変革管理を必要とするが、これは実現が難しいことで悪名高い。その結果、新しい情報管理の形を可能にする変化に対して組織一般が消極的であるために、例えば次のような事態が生じうる。必要資源の不足、新しい情報型やそれを用いる新手続を認めないこと、上層部の支援不足に起因する戦略ビジョンの喪失、さらには組織全体の運営を損なう政治的駆け引きなどである。[46]
しかし、新たな情報管理の形態の実装は、通常、運用上の便益につながるはずである。
ガルブレイスの初期研究
初期の研究で、組織設計を情報処理の観点から捉えたジェイ・ガルブレイスは、情報処理能力を高め、情報処理の必要性を減らすための5つの戦術領域を特定した。[47]
- 組織の環境のあらゆる側面を設計・実装・監視すること。
- 余裕資源を創出し、資源階層全体の負荷を軽減し、過負荷に関わる情報処理を削減すること。
- 境界が定義され、適切に完結でき、かつ遂行に必要な資源が手元に揃っている自己完結的タスクを設定すること。
- 機能ユニット横断の横の関係を認識し、階層型組織内で意思決定権限を分断するのではなく、プロセス側に移すこと。
- 垂直的情報システムに投資し、適用されるビジネスロジックに従って、特定タスク(またはタスク集合)のための情報フロー(英語版)を経路付けすること。
マトリクス組織
横の関係の概念は、単純なヒエラルキーとは異なる組織形態、すなわちマトリックス組織へと導く。これは、組織の垂直(階層)の見取りと、対外的に可視な業務の水平(製品・プロジェクト)の見取りを統合する。マトリックス組織の構築は、外部需要の持続的な流動性へのマネジメント上の応答の一つであり、個別に対処されがちな散発的需要に対する多様で見せかけの応答を回避するための方策である。
情報管理学科
米国
情報管理で学位を授与する大学が増えつつあり、ワシントン大学、カリフォルニア大学バークレー校、シラキューズ大学、アリゾナ州立大学、メリーランド大学などがある。カリキュラムには、情報技術/システム、マンマシンインタフェース、組織行動学、経営学、経済学などが含まれる。
日本
経営学、経済学、情報技術/システムがカリキュラムとして含まれる。
- 滋賀大学経済学部 - 1972年4月設置の管理科学科を1990年4月に情報管理学科へ改組するも、2017年4月にデータサイエンス学部(データサイエンス学科)へ改組
- 専修大学経営学部 - 1972年4月に情報管理学科を設置するも、2001年4月にネットワーク情報学部(ネットワーク情報学科)へ改組。なお、同大学大学院の経営学研究科では、情報管理学の修士学位および博士学位が取得可能
- 南山大学経営学部 - 1986年に情報管理学科を設置するも、2000年4月に数理情報学部(情報通信学科、数理科学科)へ改組
- 朝日大学経営学部 - 1991年4月に情報管理学科を設置するも、2012年4月に経営情報学科に改組された。なお、同大学大学院の経営学研究科では、情報管理学の修士学位が取得可能[注釈 1]
関連項目
脚注
注釈
- ^ 2014年4月までは博士学位も取得できたが、2014年4月より課程が博士前期課程・博士後期課程から修士課程に改められた
出典
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外部リンク
情報管理
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ノモンハン事件当時の日本陸軍の情報統制は厳しく、ノモンハン事件の情報についても管理されていた。憲兵隊が新聞などのマスコミ報道や、手紙・電報などの私書について検閲を実施し、それを毎月データ化して関東憲兵隊に報告し、関東憲兵隊はそれを取りまとめて『検閲月報』という極秘資料を作成していた。1938年は年間の総頁は550頁であったが、これがノモンハン事件が始まると1939年には1200頁に倍増した。太平洋戦争開戦後の1942年には4900頁まで激増したが、戦局が悪化すると検閲の余力も無くなったのか1944年には1300頁、1945年にはたった130頁にまで減少している。 事件当時の新聞などの報道では、日本軍の苦戦や損害に対する記事は検閲される一方で戦果と武勇伝が強調され、新聞紙面上からは日本軍が苦戦している状況は微塵も感じられなかった。私書についても同様で、日本軍が苦戦していることが判るような表現や、日本軍や兵器の問題点を指摘した記述は削除されていった。 しかし、膨大な私書全てを検閲し削除や差し押さえできることは困難で、例えば1939年8月には667,502通の電報と682,309通の郵便に検閲を実施したが、何らかの処置を行った数は電報で1,345通、手紙で793通に過ぎず、それぞれ処置率は電報0.2%、手紙0.11%とごくわずかな数に過ぎなかった。この中で最も多かったのが『防諜上要注意通信』で、検閲処置がなされた郵便793通の内の295通がそれに該当し37%の構成率であったが、その中でも、軍の作戦行動や移駐に関するものや、部隊の固有名を記述したものなど、通常の軍事機密に関する検閲が多数を占めた。 また、満州で事業を展開していた日本の建設業などの事業者には情報が筒抜けだったようであり、ハルハ河渡河戦に失敗後、司令部に戦況を報告するためハイラルに立ち寄った関東軍参謀の辻は、兵站宿舎で休憩していたところ、隣室で建設業者らが酒で酩酊しながら「軍人の馬鹿どもが儲かりもしないのに、生命を捨てておる、阿呆な奴じゃ」と大声で騒いでいるのを聞くや激高し、その部屋に乗り込むと、建設業者ら数名を殴り倒している。 情報を全て遮断することは困難であったため、ノモンハンは負け戦だったという噂が兵士のみならず一般国民にも広がりつつあった。さらに、多くの参戦者やジャーナリストからの見聞記が多数出版され、中には中隊長であった草葉栄の著作『ノロ高地』のように100万部以上のベストセラーも生まれるに至って、陸軍は部外からの問い合わせに備えるための質疑応答集である「ノモンハン事件質疑応答資料」を作成した。その中に「民間に相当広くデマの流布せられたる現在、何故、詳細なる発表を行わざるや」という想定質問があったのを見ても判る通り、国民の間にかなりノモンハンの敗戦や苦戦の情報が広まっていた。 その後、1939年10月3日になって日本陸軍は当時としては異例の自軍の損害の公表に踏み切った。まずは地方官会議で発表され、翌日に各新聞で報道された。その報道では日本軍の死傷者は18,000名とされていた。当時、陸軍は自軍の死傷者を正確に発表することはなかったが、この18,000名という死傷者数は戦後に日ソの多くの資料によりほぼ正確な数字と判明しており、陸軍が敢えて日露戦争の旅順攻囲戦並みの衝撃を与える覚悟で正確な損害の公表に踏み切った理由は、このまま負け戦という噂が広まるより、我が方も損害は大きかったが、敵にも大損害を与えた“痛み分け”だったという情報を開示して、国民の士気を引き締めようという計算があったのではと推測されている。さらに『朝日新聞』は「軍当局がノモンハン事件から今後の軍事訓練を改善すべき必要があるとの教訓を学び、十分考察した。軍は最大限機械化部隊で満たす必要がある」とする自戒と教訓についても述べるという異例ぶりであった。 この記事の反響は大きかったようで、師団長の小松原には多くの批判の投書が寄せられている。小松原がその内の「愛児を失った父親」からの投書を自分の日記に引用しているが「ノモンハンの大事件は、国民一般、実に悲痛の思いにて、真相を知り其の責任者(平野で、ソ軍の大部隊の集結を気付かず、陛下の赤子を、多数失いたる実相)の男らしき弁明を、ほめ居候」との記述で、小松原らがソ連軍の総攻撃を事前に察知できなかったことについて認識している。また、小松原が満州から帰京する前日に熱海に一泊したことも知れ渡っており「戦塵を、熱海に悠々洗う、実に馬鹿馬鹿しき悪習慣に…戦塵洗いを、止めて下さい(有りもせぬ塵、兵隊さんは一体どうするのですか)」などと強い批判も書かれている。 その他にも、苦戦や敗戦を十分に連想できる吉丸、大内、森田の3大佐に東中佐の4名の指揮官級の佐官の戦死も新聞紙面で報道された。その記事では後年、硫黄島の戦いで戦死する栗林忠道大佐が、陸士第26期の同期であった4名への追悼の言葉を送っており、陸軍が主導してこの記事が掲載されたことが窺える。 既にこの時点では、翌1940年2月28日の帝国議会の決算委員会において福田関次郎議員が畑俊六陸軍大臣に「ノモンハンにおいては、色々と総合して見てますと、どうも日本の、軍装備に、欠陥があったのではないか、斯う云う風に見られるのであります」と質問したことでも判る通り、ノモンハンの敗戦や日本軍の問題点についてはかなり広く認識されていた。 ノモンハンの戦いについては、その敗戦を陸軍は国民にひた隠しにしたという主張が目立つが、逆に、情報が広まったことによる後追い的な情報開示とはいえ、当時の日本としてはむしろ意図を持って積極的に情報を開示した戦闘であった。
※この「情報管理」の解説は、「ノモンハン事件」の解説の一部です。
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