マッカーサーの危機とは? わかりやすく解説

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マッカーサーの危機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 00:53 UTC 版)

ダグラス・マッカーサー」の記事における「マッカーサーの危機」の解説

レイテ沖海戦」も参照レイテ島の戦い」も参照 その後レイテ島の戦いでは、日本軍台湾沖航空戦過大戦果虚報騙され大本営の横やりで現地司令官山下奉文反対押し切りレイテ決戦場としてアメリカ軍決戦挑むこととし捷一号作戦発動した。連合艦隊主力アメリカ輸送艦隊を撃滅次いで陸軍ルソン島より順次増援レイテ派遣し上陸軍を撃滅しようという作戦だった。対すアメリカ軍は、海軍指揮系統分割され主力機動部隊第38任務部隊擁する第3艦隊ニミッツ指揮下、主に真珠湾攻撃損傷して修理され戦艦巡洋艦配備され第7艦隊マッカーサー指揮となっており、この両艦隊は同じアメリカ海軍でありながら連携欠いていた。レイテ湾向けて進撃してくる日本軍艦隊に対して第3艦隊司令官ハルゼーはあてにできないので、第7艦隊司令官トーマス・C・キンケイドは、単独日本軍艦隊迎え撃つべく、マッカーサー旗艦として使用しているナッシュビル艦隊合流させてほしいと要請したマッカーサー応諾したが「私はこれまで大きな海戦参加したとがないので、それを見るのを楽しみにしているのだ」と自分ナッシュビル乗艦したまま日本軍との海戦観戦するという条件をつけた。しかしキンケイドマッカーサー幕僚猛反対もあって観戦断念しナッシュビルマッカーサー下したのちジェシー・B・オルデンドルフ少将指揮下で西村祥治中将率い第一遊撃部隊第三部隊通称西村艦隊)をスリガオ海峡迎え撃つこととなった激しスリガオ海峡海戦のすえ、西村艦隊壊滅したが、次は主力第一遊撃部隊通称栗田艦隊)が、激し第38任務部隊による航空攻撃を受けつつもレイテ湾接近してきた。その頃ハルゼー小沢治三郎中将率い第3艦隊の囮作戦ひっかかり第3艦隊引導を渡すべく追撃していたが、連携のまずさから第7艦隊キンケイドそのこと知らず栗田艦隊妨害を受けることなく無防備サンベルナルジノ海峡通過したマッカーサーはこの時ナッシュビル幕僚らと乗艦していたが、栗田艦隊接近を知るとマッカーサー司令部には絶望感蔓延し先任海軍参謀レイ.ターバック大佐は「我々は弾丸撃ち尽くした同然な状態にあり、魚雷つかってしまい、燃料残り少なく状況絶望的である」と当日日記記している。マッカーサーニミッツハルゼー引き返し要請する電文3回打ちニミッツマッカーサー要請応えてハルゼーに「WHERE IS RPT WHERE IS TASK FORCE THIRTY FOUR RR THE WORLD WONDERS(第34任務部隊何処にありや 何処にありや。全世界知らん欲す)」という電文打ったハルゼーには届かず最後にニミッツマッカーサーハルゼー直接連絡してほしいとお願いする始末であった。ここでも指揮権不統一大きな災いをまねくところであったが、栗田艦隊その後サマール島沖でクリフトン・スプレイグ少将指揮第77任務部隊第4群第3集団の護衛空母群(コードネーム"タフィ3")と戦うと、レイテ湾目の前にして引き返してしまったため、マッカーサーの危機は去ったその夜マッカーサー幕僚夕食を共にしたが、幕僚自分らを危機に陥れたハルゼー対す非難始め、「大馬鹿野郎」や「あのろくでなしハルゼー」など罵ったが、それを聞いていたマッカーサー激怒し握った拳でテーブルを叩くと大声で「ブルハルゼーあだ名)にはもう構うな。彼は私の中では未だに勇気ある提督なのだ」と擁護している。 マッカーサー苦境はなおも続いた日本陸軍富永恭次中将率い第4航空軍連合艦隊突入呼応して日本陸軍としては太平洋戦争最大規模積極的な航空作戦行ったアメリカ軍レイテ島上陸直後占領したタクロバン飛行場第5空軍進出させて、強力な航空支援体制確立しようとしていたが、そこに富永攻撃集中したマッカーサーがわざわざ地下壕埋めさせた司令部住居はそのタクロバン飛行場近隣にあり、建物タクロバン市街では大変目立つものであったため、第4航空軍攻撃機がしばしば攻撃目標としたが、マッカーサー敢えて避難することはしなかった。日本軍爆弾マッカーサー寝室隣の部屋命中したこともあったが、幸運に不発弾であった。また低空飛行する日本軍機に向けて発射した76高射砲砲弾1発が、マッカーサー寝室の壁をぶち抜いたあとソファの上落ちてきたが、それも不発弾であったまた、軽爆撃機マッカーサー在室していた部屋機銃掃射加えてきて、うち2発がマッカーサー頭上45cmにあった命中したこともあった。マッカーサー司令部幕僚招集し作戦会議開催した際にも、しばしば日本軍爆弾が庭で爆発したり、急降下爆撃機真っすぐ向かってくることもあって、副官コートニー・ホイットニー少将マッカーサー幕僚は床に伏せた気分かられたが、マッカーサー微動だにしなかったので、やむなくマッカーサー忖度しやせ我慢強いられている。日本軍マッカーサー連合軍司令部一挙に爆砕する好機恵まれて実際に司令部至近建物ではアメリカ軍従軍記者2名と、フィリピン人使用人12名が爆撃死亡し司令部建物爆弾機銃掃射で穴だらけになるなど、あと一歩のところまで迫っていたが、結局その好機活かすことはできなかった。 このように第4航空軍奮闘もあって、少なくとも11月上旬までは、日本軍レイテ島上の制空権確保していた。アメリカ陸軍公刊戦史においても、10月27日夕刻から払暁までの間に11回も日本軍機による攻撃があって、タクロバン撃破されて炎上するアメリカ軍機によって赤々と輝いていたと記述され第4航空軍航空作戦を、太平洋における連合軍の反攻開始以来こんなに多く、しかも長期間渡り夜間攻撃ばかりでなく昼間空襲アメリカ軍さらされたのはこの時が初めであった。と評している。また、富永上空支援が不十分であったアメリカ軍の上陸拠点へも攻撃し11月第1週には、揚陸たばかりの約4,000トン燃料弾薬爆砕し、上陸したアメリカ軍補給線脅かした第4航空軍の空からの猛攻苦戦続け状況憂慮しトーマス・C・キンケイド中将は、「敵航空兵力は驚くほど早く立ち直っており、上陸拠点対す航空攻撃事実上歯止めがきかず、陸軍命運を握る補給線締め上げる危険がある。アメリカ陸軍航空隊強力な影響力確立するのが遅れれば、レイテ作戦全体危機瀕する」と考えてこの後予定されていたルソン島上陸作戦については、「戦史上めったに類を見ない大惨事招きかねません」と作戦中止マッカーサー求めたが、マッカーサーがその進言聞き入れることはなかった。 マッカーサー副官1人であるチャールズ・ウィロビー准将は、戦後にこのときの苦境振り返ってタクロバン飛行場日本軍機の執拗な攻撃続き1度攻撃で「P-38」が27機も地上撃破され、毎夜のように弾薬集積所燃料タンク爆発し飛行場以外でもマッカーサー司令部居宅ウォルター・クルーガー中将司令部爆撃されたと著書記述しており、第4航空軍による航空攻撃と、連合艦隊によるレイテ湾突入作戦は、構想において素晴らしく規模において雄大なものであった称賛しマッカーサーの軍が最大危機瀕した回想している。マッカーサーも「切羽詰まった日本軍は、虎の子大艦隊を繰り出してレイテ侵入撃退しフィリピン防衛態勢守り抜こうという一大博打乗り出してきた。アメリカ軍部隊レイテ海岸から追い落とそうという日本軍決意は、実際に成功一歩手前までいった」「豊田提督立てた計画は、みごとな着想基づいたすばらしく大き規模のものだった」「連合軍拠点これほど激しく継続的に効果的な日本軍の空襲さらされたことはかつてなかった」と自らの最大危機振り返っている。 その後日本軍多号作戦により、レイテ島第26師団第1師団などの増援送り込み連合軍決戦挑んだマッカーサー当初分析よりも遥かに多い日本軍戦力苦戦を強いられることとなり、ルソン島の上計画延期して予備兵力をレイテ投入せざるを得なくなったが、レイテ沖海戦連合艦隊惨敗第4航空軍積極的な航空作戦による消耗戦力補充追い付かず戦力増強される一方連合軍対抗できなくなると、制空権奪われ日本軍多号作戦輸送艦次々と撃沈され、レイテ島孤立していった。そして、マッカーサーレイテ島一気攻略すべく、多号作戦日本軍揚陸になっていたオルモック湾の上作戦命じたオルモック湾内のデポジト付近海岸上陸したアメリカ陸軍77歩兵師団オルモック市街向けて前進開始した背後上陸され虚を突かれた形となった日本軍であったが、体勢立て直す激しく抵抗し、第77歩兵師団上陸後25日間で死傷者2,226名を出すなど苦戦強いられたが、この上作戦レイテ島の戦い大勢決した

※この「マッカーサーの危機」の解説は、「ダグラス・マッカーサー」の解説の一部です。
「マッカーサーの危機」を含む「ダグラス・マッカーサー」の記事については、「ダグラス・マッカーサー」の概要を参照ください。

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