イニシエーション
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何かしらの儀礼を以って子供と大人を区分けする習慣があり、これらはイニシエーション(英:initiation、通過儀礼)の一つに上げられる。多くは試練や苦行、また身なりの変更などであった。 日本では元服もこれらの一つに相当したが、現在社会では廃れてしまっている。成人式も儀礼としては形骸化していると言えよう。 河合隼雄は「イニシエーションの欠如が問題になっている」と述べ、ピーターパン・シンドロームや心理社会的モラトリアム発生の一因とも考えられている。
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イニシエーション
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「オウム真理教の修行」の記事における「イニシエーション」の解説
特に、霊的エネルギーを注入する修行のことを、「イニシエーション(initiation)」という。林郁夫によると、修行方法を教えたり「麻原彰晃のエネルギーを込めることができる物体」を与えたりすることをイニシエーションと呼んでいた。 シャクティーパット シャクティーパットは、眉間を指圧するイニシエーション。正大師などステージが高い人間が行う。麻原が鍼灸師であったこととの関連も指摘されている。 血のイニシエーション 1988年3月から行われた、麻原の血液入りの液体を飲むイニシエーション。100万円以上の布施で受けることができた。 愛のイニシエーション 麻原彰晃のDNAを抽出し遺伝子組み換え技術で大腸菌に組み込んで培養した液体を飲むイニシエーション。1989年1月頃から行われるようになった。別名「DNAイニシエーション」。坂本弁護士一家殺害事件で殺害された弁護士の坂本堤は、このイニシエーションの欺瞞を追及していた。 飴のイニシエーション 麻原の霊力が込められた飴を口の中に入れるイニシエーション。 左道タントライニシエーション 麻原と性行為するイニシエーション。タントラ左道ともいう。当然の事ながら妙齢の女性限定である。麻原に体をベタベタ触られつつ強姦されたと訴える女性もいる。イニシエーションかと思ったら、服を脱がされキスをされたり体をベタベタ触られたり、強姦されたりしたという。証言者曰く、「若い女の子はずいぶんやられています」。未成年の女性信者も杉並の麻原のマンションでセックスを要求され、「生理だから」と言うと、「分かった、分かった」と言いながらも「妊娠しないからいいじゃないか」と言って断れなかったという 麻原の子を妊娠した石井久子も、麻原と性行しないと最終解脱できないと言われたと述べている。また麻原は転輪聖王は多くの妻を持つと述べていた このほか、ダーキニーと呼ばれた愛人たちも多数いた。1993年に上九一色村道場でダーキニー(女神)修行が開始され、麻原は男女が抱き合う仏画を見せて女性信徒にこの男性を麻原だと思って瞑想せよと指示し、多くの女性信徒は自然と性的関係を持っていった。タントラのイニシエーションを目撃した幹部の村井秀夫は「マイッた。尊師の部屋に入ったら真っ最中で、もう目の当てようがなかったくらいだった。あそこまで行くと私にはキツすぎるよ」「尊師の部屋にダーキニーが10人くらいいて、皆、裸だった」と信者に語っている。また松本サリン事件の前後には第2サティアンの麻原の部屋で同様に10人程のダーキニーが集められ、その1-2時間後にダーキニーの一人が裸で奇声を上げながら部屋から飛び出して行ったのを目撃した村井が「あれを使っていたな」とつぶやいており、これはLSDを指すのではないかと信者は語っている 「バグワン・シュリ・ラジニーシ#タントラとセクシャリティ」も参照 インドの瞑想家バグワン・シュリ・ラジニーシもセックスを通じて超意識へ至る道を説いており、麻原にも影響を与えた。宗教学者の中沢新一は麻原を「現代日本にもラジニーシのようなタイプのラジカルな宗教家が、はじめて出現することになった」と『週刊プレイボーイ』1995年5月30日号で称賛した。地下鉄サリン事件が起こって5月16日に麻原が逮捕された直後の発言であり、それ以前にもオウムを称賛することを繰り返した中沢をジャーナリストの松井清人は罪深いと批判している。 杖のイニシエーション 在家信者が実費で教団の本を購入して、外部に向けて布教活動するイニシエーション。「この本を捨てると地獄に落ちます」等という注意書きが書かれることもあり、この場合さらに徳を高めるとされた。 刻印のイニシエーション 麻原彰晃の血液を額に皮下注射するイニシエーション。1993年6月に行われた。ハルマゲドンを煽り信者に忠誠を誓わせる儀式として行われた。 PSI(パーフェクト・サーベーション・イニシエーション) 1993年9月頃から行われるようになった。ヘッドギアの内側に電流を通す粘着性の物質が塗布され、電流がそこから脳を刺激し、麻原の脳波を直接伝えるというもの。LSDと同時に使用されることもあった。これは教団に20億円もの利益をもたらしたという。詳細はPSIを参照のこと。 バルドーの悟りのイニシエーション(ナルコ) チオペンタールやイソミタールを点滴投与して催眠状態に入るイニシエーション。「ナルコ」とも呼ばれる。林郁夫によると、1994年5〜6月頃から行われており、「純粋な修行上の手段として催眠状態での教義問答を行う」ものと「『決意Ⅰ〜Ⅳ』(決意文、後述)を刷り込めたかどうかを記憶チェックする」ものの二種類があった。また、当時オウム内では「内部情報をさぐったり、毒ガスをまいたりして、破壊工作をしている」スパイが存在していると信じられており、同じ手法がスパイと疑われた信者への尋問(スパイ・チェック)にも使われた。 ニューナルコ 電気ショックを与えることで記憶を消失させる。精神医療の分野で広く行われている電気ショック療法を悪用したもので、1994年7月頃に麻原から「記憶を消す方法を考えろ」と言われた林郁夫が精神科の看護師の発言や『拷問と医者』(ゴードン・トーマス著)を参考に開発した。麻原は当初「どっかん」と命名したが、林が「ニューナルコ」に改めた。 なお、これは正確にはイニシエーションではなく、対象者には「バルドーの悟りのイニシエーション」を行うと偽り、麻酔をかけてから無断で実施し、麻酔から覚める前に装置を隠してニューナルコをされたことがわからないようにした。1994年11月から行われはじめた。ルドラチャクリンのイニシエーションを併用することで教義の刷り込みを行ったり、教団にとって不都合な記憶を抹消させるために使用された。実際に記憶が無くなる効果があり100人ほどが受けた。 ろうそくのイニシエーション 1本のろうそくを囲んでみんなでオウムソングを歌っていると、ろうそくに薬物か何かが仕込まれているのか悪臭が漂い、眠くなるイニシエーション。 女神のイニシエーション チオペンタールを投与するイニシエーション。朝から晩までチオペンタールを打たれ続け、決意文(後述)を睡眠学習する修行もあった。 キリストのイニシエーション サットヴァレモンにLSDを混ぜた液体を飲み、独房やコンテナ、「ポアの間」と呼ばれる麻原の説法が24時間流れ続ける部屋などに1週間監禁するイニシエーション。LSDの幻覚作用で手っ取り早く神秘体験を体験させるために用いられた。なお、このLSDは麻原が一度口に含んだものである。LSDの残留成分を抜くためとして行われた温熱療法と合わせ、多くの死者を出した。キリストのイニシエーションを受けたある信者は、セックスの10倍の快感があったので、募集があれば必ず志願したが、イニシエーションを受けたあと、身体中が痒くなり、紫の斑点ができた。 上祐史浩によれば、LSDや覚醒剤を用いた薬物イニシエーションは「キリスト・イニシエーション」と「ルドラチャクリン」の二種類であった。1960年代のアメリカでも、「チベット死者の書サイケデリック・バージョン」(1964)などサイケデリックスというハイテク仏教が流行った。 LSDを密造した遠藤誠一は逮捕後の1995年12月18日法廷で、「イニシエーションという宗教的体験が、実は薬物体験だったことを直視してほしい」と信者に対して語った。 ルドラチャクリンのイニシエーション LSDと覚醒剤を混ぜた液体を飲むイニシエーション。林郁夫によると、決意文の教義を表層意識、潜在意識に記憶させた後、このイニシエーションにおける薬物飲用で、音や光や言葉に誘導されやすい状態におき、「肯定・否定・正当、批判・糾弾、優しさ・いたわりを駆使」して、記憶を揺さぶり定着させ、神秘体験を誘導し教義を受容させる。なお、強制捜査の際、麻原彰晃はまず決意文とこの「ルドラチャクリンのイニシエーション」関係の資料を破棄するよう指示したと言われている。なおルドラ・チャクリンとは時輪タントラに登場する王の名前である。(en:Kings of Shambhalaも参照) 交叉信号によるイニシエーション(仮称) 黒いメガネをかけ、左目で赤い光、右目で緑ないしは青い光を別々に点滅させるのを見る。さらにその状態のまま液体の入った厚いクッションの上であぐらを組む。クッションはバイブレーションが施され小刻みに激しい振動を繰り返す。LSDを投与され幻覚を見る。自分の体をコックピットに座り操縦しているような感覚に捉えられ、意識だけが肉体の外に放り出され、自身の肉体を高台から見下ろすような「体外離脱」や「臨死体験」のような感覚を体感する。その瞬間には超能力を得た感覚を味わうがそれもつかの間で、さらにその後、意識が何者かによって引きずられるように人間界ではないような全く別世界へ放り込まれ、激しい恐怖感を味わう。気絶する信者も多い。
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