イスカリオテ機関(ヴァチカン法王庁特務局第13課)
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「HELLSING」の記事における「イスカリオテ機関(ヴァチカン法王庁特務局第13課)」の解説
ヴァチカンの法王庁特務局第13課、通称「特務機関イスカリオテ」。作中でヴァチカンには十二使徒の名を冠した12の課が置かれていることになっており、13課は裏切者イスカリオテのユダの名を冠するが、その活動内容ゆえに秘匿され、表向きは存在しないことにされている。 ヴァチカンの保有する唯一にして最強の戦力であり、カトリックの地上における神罰の代行者として、悪魔・化物・異教・異端の殲滅を存在目的とする。英国国教会の守護者であるヘルシング機関とは対立していたが、第二次世界大戦末期に一部のヴァチカン関系者がミレニアムと関係を持っていたことを知らせ、ミレニアムに対抗するために呉越同舟の共同戦線を張る。 ミレニアムのロンドン侵攻に乗じて英国を裏切り、第九次空中機動十字軍の召集および第九次十字軍遠征「熱狂的再征服(レコンキスタ)」を発動。英国を再びカトリック教会の支配下に置くためにロンドンを強襲する。しかし、先遣の武装神父隊(アンデルセン)の命令拒否や、アーカードの「拘束制御術式 零号」解放によって戦局が悪化し、総司令官のマクスウェルは死亡、アンデルセンにより第九次十字軍失敗が宣言される。結果、イスカリオテ機関およびヴァチカンは大半の戦力を失うこととなった 2030年には間久部機関長の下で再編されている。 アレクサンド・アンデルセン 声 - 野沢那智(TV版) / 若本規夫(OVA版) イスカリオテ機関に所属する神父で、ヘルシング機関におけるアーカードのような存在。人間ながらアーカードに伍する戦闘能力を持ち、「聖堂騎士(パラディン)」「銃剣(バイヨネット)」「天使の塵(エンジェルダスト)」「殺し屋」「首切り判事」「再生者(リジェネレーター)」など数多くの異名を持つ。普段は温厚な性格で孤児院に勤めているが、その本性は筋金入りの狂信者であり、反カトリック的な存在には容赦がない。作中でアーカードが唯一「宿敵」と呼び実力を認めた「人間」でもある。 生身の人間でありながら生物工学の粋を凝らした「自己再生能力(リジェネレーション)」と「回復法術(ヒーリング)」により、たとえ頭を銃で撃たれても瞬時に回復する。武器は大量の銃剣(銃に装着せずそのまま手に握る)で、単純に刀剣としての格闘以外にも投擲武器としても使用したり、鎖に爆薬とともに括りつけて攻撃する「爆導鎖」などバリエーションが豊富にある。また、聖書のページを護符のように利用し、結界を張ったり突然の出現・撤収を行ったりもする。 作中には北アイルランドでの吸血鬼事件で登場し、アーカードと初対峙する。人間であるにも関わらず、上記の驚異的な戦闘能力で彼と互角に戦い驚かせる。その後も、英国に赴いたマクスウェルの護衛役をやったり、南米でも独自に行動しており、不本意ながらアーカードの南米脱出を手助けする。 第二次ゼーレヴェ作戦では十字軍本隊に先駆け、武装神父隊を率いて英国に上陸する。マクスウェルの意図に反して、自らの裁量権でインテグラを手助けし、その後、十字軍本隊による攻撃が始まるとマクスウェルの行動を「神ではなく『神の力』に仕えている」と断じ、自らの意志をもって独自行動を取る。最終的にアーカードの「死の河」によって十字軍が壊滅する中、マクスウェルに実質的なとどめを刺し、第九次十字軍遠征失敗を宣言する。そのまま自らはアーカードと決着をつけるとして彼に挑み、「死の河」による数多の亡者の壁を突破して対峙し、アーカードから称賛を受ける。ところが、彼に勝つために人間を辞めて化物となることを既に決めており、アーカードの制止も気にせず、切り札として用意した聖遺物「エレナの聖釘」を自らの心臓に刺して茨の化物となる。熾烈な戦闘でアーカードを追い込むものの、化物では自分を倒せないとして覚悟を決めたアーカードに最終的には心臓を握り潰され敗北する。最期は涙を流すアーカードを諭して地獄での再会を約束し、孤児院の子供たちに想いを馳せながら死亡する。 『CROSS FIRE』ではどこまで同一人物かは不明だが、第3課「ヨハネ」に所属するアンダーソン(アンデルセンの英語読み)として登場している。作中に戦闘シーンはないが、ドラマCDでは3話にて戦闘シーンが追加され、異教徒を皆殺しにしている。 原型は『ANGEL DUST』の主人公で、元殺し屋の神父アンデルセン。 エンリコ・マクスウェル 声 - 田中秀幸(TV版) / 速水奨(OVA版)、早水リサ(幼少時) イスカリオテの機関長。司教(のち大司教)。 カトリック教会の絶対性を疑わない狂信者で、慇懃無礼で傲慢な性格の少壮の男。後述の出自から上昇志向が非常に強い野心家でもある。物語前半ではヴァチカンの代表として英国と折衝を行う傍らで、かつてミレニアム(ナチス)を支援していた教会内部の背教者達の粛清も行っていた。後半はヴァチカンの現地最高指揮官としてミレニアムによるロンドン侵攻に介入し、三つ巴の戦いを繰り広げる。 その出自は妾の子として親に捨てられた孤児で、アンデルセンが勤める孤児院で幼少期を過ごす。第九次十字軍の長および大司教に昇格した際の台詞に現れるように、己を疎む全てを憎み、それらを見返すための上昇志向が非常に強い。狂信者ではあるが、同じ狂信者であるアンデルセンには、「神」ではなく「神の力」を拠り所としているに過ぎないと看破され、後述の粛清を招くこととなる。 スコットランドでの事件後に、イスカリオテの長という形でロンドンを訪れるという形で作中に登場する。謝罪もなくむしろインテグラを挑発するが、最終的にはミレニアムに対抗するため情報交換及び共同戦線を張ることを約束する。少佐による英国への宣戦布告の場にも臨席していたが、まったく相手にされずプライドを酷く傷つけられる。 第二次ゼーレヴェ作戦に際し、第九次十字軍の最高指揮官に任命され、同時に大司教に昇格する。最初から狙いはミレニアム討伐にかこつけた英国をカトリックの影響下に置くためのレコンキスタ(再征服)であり、ミレニアムの軍勢と相対すると同時に、ロンドンの一般市民の虐殺も敢行する。ミレニアムとの膠着状態の中で、ロンドンに帰還したアーカードにより「死の河」が解放されると、劣勢に立たされる中でも変わらず進撃命令を繰り返したが、護衛ヘリを撃破され亡者の只中へ落とされる。守りの硬化テクタイト複合強化ガラスの壁で安泰かに見えたが、先述した信仰の拠り所の違いという点でアンデルセンにガラス壁を破られ、亡者たちの手で串刺しとなって死亡するという実質的な粛清を受ける。 原型は『CROSS FIRE』に登場する同名同職のイスカリオテ機関長。ただし、容姿は長髪・眼鏡でインテグラに近いデザインだった。性格も問題児の部下に悩まされる中間管理職といった感じで描写されるが、本作にも通じる狂信者としての顔も時折見せる。 モデルとなったのはジョン・ロビンソン。 ハインケル・ウーフー 声 - 斎賀みつき(OVA版) イスカリオテ機関に所属する神父。ショートカットの中性的な顔立ちの人物で作中では性別不詳(設定資料や作者インタビューでは「ふたなり」と明言されており、OVA版の声優は女性である。詳細は後述)。アンデルセンには及ばないものの2丁拳銃など銃器を武器とし、由美江とのコンビで高い戦闘力を誇る。元は単行本1巻から3巻にも収録された短編『CROSS FIRE』の主人公であり、本編には第4巻で姿を見せ、第6巻で本格的に登場する。 第二次ゼーレヴェ作戦に際し、先遣隊である武装神父隊のリーダー的存在として作中に本格登場する。立場上は敵であるインテグラの保護を約束したアンデルセンに戸惑いつつ、彼に従う。十字軍壊滅後は、アンデルセンに帰れと言われつつも、アーカードに挑む彼を援護し、2人の戦いを見届ける。ところがアンデルセン死亡直後に現れたウォルターに恩師アンデルセンの亡骸を踏みにじられた上に由美江を殺され、さらには大尉に頬を撃ち抜かれた上に応急医療キットを渡される(すなわち対等の敵とみなされていない)という屈辱を受ける。その後、包帯を顔に巻いた状態でアーカード戦後の放心状態のウォルターを狙撃しダメージを与えるも、とどめを刺す前に左の手足を切断され取り逃がすも一命は取り留める。 2030年には、かつてのアンデルセンのような立場となっており、ヘルシング本部を訪れた間久部に付き添いながら、同じくアーカードの立場にいるセラスと対峙している。外見はほとんど変化しておらず、大尉に撃たれた頬の傷は癒えていないせいでまともに喋れず、顔を包帯で粗雑に巻いて隠している。 原型は短編『CROSS FIRE』の同名の主人公。神父服を着たマニッシュな外見の女性で、容姿はほぼ同じであるなど、性別を除けば設定に大きな変更はない(明白に女性であるため胸があることも描写され、話し言葉も女性的である)。高木由美子(由美江)とコンビを組むイスカリオテの殺し屋で、2人は依頼を受けると必ず任務を完遂するが、過激な行動から甚大な被害をもたらすため疫病神扱いされている。2丁拳銃を武器とする。 上記の通り『CROSS FIRE』では明白に女性、本編では性別不詳で描写されている。厳格なカトリックでは異性装が禁じられているという前提で、『ぱふ』2005年12月号の作者インタビュー記事では「ふたなり」であることを示唆しており、『HELLSING official guide book』の紹介記事では「性別:ふたなり」と表記されている。また、『HELLSING official guide book』の作者インタビューによるとOVAでは当初は制作陣に男性と思われていたらしく、杉田智和が演じる予定であった。 名前の由来は第二次世界大戦中のドイツ空軍の夜間戦闘機、ハインケルHe 219 ウーフー。 高木由美子 / 由美江 声 - 甲斐田裕子(OVA版) イスカリオテ機関に所属するシスター。黒髪で、ややウェーブが掛かった目が隠れている長髪の女性で、性格は短気で無口。武器は長尺の日本刀で「島原抜刀流」なる剣術の使い手でハインケルとコンビを組んで高い戦闘力を誇る。元は単行本1巻から3巻にも収録された短編『CROSS FIRE』の主人公であり、本編には第6巻から登場するが、多重人格の設定は不明確で作中には由美江しか登場しない。 第二次ゼーレヴェ作戦に際し、先遣隊である武装神父隊と共に登場する。ハインケルと同じくアンデルセンの決定に戸惑いつつ、彼に従い、彼のアーカードとの戦いも見届ける。ところが、アンデルセン死亡直後に現れたウォルターが恩師でもあるアンデルセンの亡骸を踏みにじってゴミと呼んだことに激昂、神速の抜刀で斬りかかるものの、刀ごと体を切り刻まれて即死する。 原型は短編『CROSS FIRE』の同名の主人公でハインケルとコンビを組むイスカリオテの女殺し屋。おっとりした性格の「由美子」と狂戦士である「由美江」の人格を持つ多重人者で(由美子の時はメガネで温和な表情)、普段は虫も殺せない由美子の人格だが、戦闘時は由美江として覚醒する。容姿は直毛であることを除けばほぼ同じで、 長尺の日本刀を得物とし、島原抜刀流の使い手であることなども本編と同じ。 作者によれば、由美江の人格しか作中に出さなかった理由として「クロスオーバーのキャラとしてはそこまでやるとキャラが立ちすぎて煩雑になる」と回答している。 間久部 声 - 谷口節(OVA版) 2030年におけるイスカリオテの機関長。タレ目で顔に傷がある。ヘルシング機関を訪れ、警備が手薄と見て今なら制圧できると進言する部下の言葉を諌め、「500年待ったのだから、あと数百年待つのは訳ない」と、「第十次十字軍」を行うべく野心を燃やしている。 原型は『進め!!聖学電脳研究部』の同名人物。
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