RFID RFIDの概要

RFID

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/01 17:09 UTC 版)

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非接触ICカード
ウォルマートで使われているEPC RFID タグ

非接触ICカードも、RFIDと同様の技術を用いており、広義のRFIDの一種に含まれる。 非接触ICカードは乗車カード電子マネー社員証やセキュリティロックなどの認証用など色々な用途がある。日本では、FeliCa 規格が支配的である。

狭義では、タグとリーダとの間の無線通信技術であるが、技術分野としてはそれにとどまらず、タグを様々な物や人に取り付け、それらの位置や動きをリアルタイムで把握するという運用システム全般まで含めて語られる。

実世界のオブジェクトを、デジタルの仮想世界と結びつけて認識や操作ができるようになるという点が、社会的に様々な波及効果を与えると考えられている(期待される用途を参照)。

タグの種類

パッシブタグ(受動タグ)とアクティブタグ(能動タグ)、双方を組み合わせたセミアクティブタグ(起動型能動タグ)の3種類がある。

パッシブタグ
パッシブタグとは、リーダからの電波をエネルギー源として動作するRFタグで、電池を内蔵する必要がない。タグのアンテナはリーダからの電波の一部を反射するが、ID情報はこの反射波に乗せて返される。反射波の強度は非常に小さいため、アクティブタグに比べてパッシブタグの受信距離は比較的短くなるが、安価にできること、ほぼ恒久的に作動することから、今後の普及の本命と目されている。リーダ側は、比較的強めの電波を供給し、タグからの非常に微弱な反射波を受信・解読できる必要がある。
ICそのものにアンテナが埋め込まれている場合も多いが、その場合、通信可能距離は数cm程度に制限される。通信距離を伸ばすには、ICの外部にアンテナを取り付けることが必須となる。
RFIDに期待が高まっているのは、このパッシブタグが非常に安価(10円以下)に生産できる見込みが出てきたためである。
アクティブタグ
アクティブタグは、電池を内蔵したタグである。通信時に自らの電力で電波を発するため、通信距離がパッシブタグに比べ長く取れる(1~100m以上)。またセンサーと接続して、自発的にその変化を通知することができるので、センサーネットワークとしての用途が期待されている。
さらにアクティブタグは、内蔵する電池の容量により、通信回数を削減する方法が取り入れられ、定期的な自己通信型と、待受通信型と分けられる。前者はタグに内蔵する時計などにより、一定時間ごとに通信を行い、それ以外の時間帯は休止し、電力の消費を抑えるものである。後者は、通信の起動を自ら行わないもので、呼出しを待つものや、タグ自身に備わったスイッチなどの情報で通信を開始するものがある。
セミアクティブタグ
セミアクティブタグは、電池を内蔵するアクティブタグの機能を有するが、上位システムへの通信起動をパッシブ方式で起動をする。市民マラソンなどの参加者にこのセミアクティブタグを使用し、スタートやゴールラインで長波帯の電磁誘導で起動をかけ、タグがUHF帯の電波等で各選手の情報を高速でアップロードすることで、参加者それぞれのタイムなどの計測に利用する例がある。

また、電波の伝達方式で、次の2つに分類することもある。

電磁誘導方式
タグのコイルとリーダのアンテナコイルを磁束結合させて、エネルギー・信号を伝達する方式。電波方式に比べて、エネルギーを効率的に伝達できるので、開発が先に進んだ。FeliCaはこの方式である。130~135kHz、13.56MHzでこの方式が採用されている。パッシブタグの通信可能距離は最大でも1m程度である。
電波方式
タグのアンテナとリーダのアンテナで電波をやりとりし、エネルギー・信号を伝達する方式。電波を空間に放射して伝達するので、電磁誘導方式に比べて、より遠くのタグと通信が可能になる。が、タグが受け取れるエネルギーがきわめて微弱であるため、パッシブタグは、最近になってようやく実用化された。433MHz、900MHz帯、2.45GHzでこの方式が採用されている。通信可能距離はパッシブタグで3~5mである。アクティブタグは、空中線電力さえ許せば数km程度も通信可能である。

アンテナで伝達するという点で、両者に基本的な違いはないが、この違いは、電波の波長とアンテナ間の距離で決まる。波長に対して距離が長ければ、空中を伝搬する電波として伝達され、短ければ空間放射されるよりも前に、電界・磁界の変化が他方のアンテナに伝わる。

通信方式

パッシブタグは、タグ内部に整流回路が内蔵されており、リーダからの電波を整流して、直流に直し、それを電源として、ICが動作する。 通常、リーダからの電波は、プリアンブルに続きコマンドbit列で変調されたものである。この後にさらに無変調のキャリアが続く。 プリアンブルの部分で、ICの初期動作に必要なだけのエネルギーが蓄えられる。 そしてコマンドbit列を復調して解釈し、無変調キャリアの部分で反射波に返答を乗せて情報を返す。

コマンドシーケンスの概略

リーダおよびタグがデータを送信する際の変調方式には、振幅変調周波数変調位相変調、あるいはその組み合わせ変調方式が用いられる。 パッシブタイプは、必ずリーダからの送信が始めにあって、タグはそれに応えて情報を返す。つまり、タグから自発的に情報を出すことはない。

これに対して、アクティブタグでは、情報を自発的に発することが可能である。 定期的に情報を発信するタイプ、センサーを内蔵してその変化があったときに発信するタイプ、リーダからのコマンドに応答して返答するタイプがある。

周波数 特徴
130~135kHz

電磁誘導方式で通信が行われる(この周波数帯は波長が長く、電界で電波を出すためにはアンテナが長くなるため、携帯を求められるタグには沿わないことが背景となる)。

  • 135kHzのタグは、もっとも歴史的に長く使われており、日本でも1950年に高周波利用設備として法制化されている。世界的にも規格が統一されているが、通信できる情報量が小さい上、パッシブタイプの電磁誘導方式であるため、通信可能距離が数十cm前後と短く、アンテナがどうしても大きくなるという短所がある。しかし電波の性質上、周波数が低い程水分の影響を受けにくいため、回転寿司や社員食堂の自動精算・スキー場のリフト券などのレジャー施設といった、水分と密接な環境下での優位性は高い。また、自動車のイモビライザーキーも135kHzのICタグである。
  • 131kHzを利用したアクティブタグも、2009年にIEEEの規格化がなされ、5m以上の通信距離を持っているものも存在し、水中や土中などとの通信に新しい可能性を見出した。
13.56MHz

これも電磁誘導方式である。電波方式の万引き防止システムは、13.56MHzに近い8.2MHz帯が主流であり、パッシブタイプの元になった技術である。FeliCaはこの技術から発生した13.56MHzを使っており、一般的な近距離無線通信ICカードとして広く使われ、もっとも身近な存在といえる。通信可能距離は最大1m程度である。

日本では、1998年にワイヤレスカードシステムの無線局として法制化[1]され、リーダは適合表示無線設備でなければならず、空中線電力が10mWまでは、いわゆる小電力無線局として免許不要だが、超えると最大1Wまで簡易無線局または構内無線局無線局免許状を要した。

2002年には誘導式読み書き通信設備という高周波利用設備[2]となり、総務省の型式指定を要するが許可不要となった。

  • ISMバンド中にあり、高周波(電磁誘導)加熱装置などによる混信を容認しなければならない。
433MHz

欧米では、433MHzが主に海上輸送コンテナなどの国際物流用にアクティブタグが使用されている。

日本では、433MHzがアマチュア無線の周波数帯の一つ430MHz帯の中にあり、呼出しおよび非常通信周波数として頻用され、かつ無線局免許状を要する無線局であるアマチュア局に、免許を要しない無線局が混信を与えてはならず、アマチュア局からの混信を容認しなければならないとあって、周波数の割当てに調整が難航した。2006年に433.92MHzが、最大空中線電力10mWの国際輸送用データ伝送用特定小電力無線局(日本全国で使用可)用に割り当てられた[3]

  • 欧米の場合、430MHz帯アマチュア無線の周波数は、420~450MHzと日本の3倍の周波数幅があるため、混信などの問題が表面化しにくいという事情がある。
900MHz帯

昨今ICタグといえば、この900MHz帯と2.45GHzが注目されている。いわゆるUHF帯のICタグである。波長が身の回りの物品のサイズと近いため、電波の回込みが期待できる。そのため、多少の障害物があっても通信が可能であり、パッシブタグの中では一番距離を稼げる周波数でもあり、大量普及の最有力候補と目されている。通信可能距離は2~3m程度、最良で5m程度が期待できる。

日本では、携帯電話業務無線などで使われていたが、2005年に移動体識別用として950MHz台が割り当てられ [4]、 順次、使用帯域が拡張された[3][5]が、2011年に周波数逼迫により、950MHz台は携帯電話に割り当てるものとし、電子タグシステムの使用は2018年3月まで[6][7]とされた。施行日の12月14日時点での割当ては、次のとおりである。

  • 構内無線局(工場敷地内やビル内など限定された場所でのみ使用、最大空中線電力1W)
    • 953MHz(経過措置による免許局および登録局)、954.2MHz(登録局)
  • 簡易無線局(日本全国で使用可、同250mW)
    • 954.2MHz(登録局)
  • 移動体識別用特定小電力無線局(テレメーター用、テレコントロール用およびデータ伝送用と併用、同10mW)
    • 953.5MHz、954.8MHz

これらの局には無線局移行促進のため、期限内に無線機器を取り替えるための費用は、新たにこの周波数を使用する認定開設者のソフトバンク(旧称ソフトバンクモバイル)が負担する「終了促進措置」が採られる[8]。構内無線局・簡易無線局には、ソフトバンクより通知されるが、特定小電力無線局は利用者自らが申し出ねばならない。

一方、2012年から国際的な周波数の協調を踏まえ、920MHz台が次のように割り当てられる[6]こととなった。

  • 915.9~928.1MHz(最大空中線電力1W)を構内無線局(要登録)
  • 920.5~923.5MHz(同250mW)を簡易無線局(要登録、テレメーター用、テレコントロール用およびデータ伝送用と併用)
  • 915.9~928.1MHz(同250mW)を移動体識別用特定小電力無線局(併用は同上)

この周波数帯は上記のとおり携帯電話に、および電波伝搬試験用などの用途にも割り当てられており、これらの無線局による混信を容認しなければならない。また、移動体識別用特定小電力無線局は免許・登録局からの混信も容認しなければならず、テレメーター用、テレコントロール用およびデータ伝送用とは先に通信している方が優先する。

2.45GHz

マイクロ波の帯域である。波長が短いため回り込みが起き難く、900MHz帯に比べ距離が稼げない。通信可能距離は2~3m程度である。しかし金属に対する影響を受けにくく、アンテナが最も小型になることから、そのような要求の高いアプリケーションでは普及するであろう。

日本では、移動体識別用として1986年に構内無線局に、1992年には移動体識別用特定小電力無線局にも割り当てられた。2011年には一部の特定小電力無線局の空中線電力が10mWから250mWに緩和[6]された。施行日の12月14日時点での割当ては次のとおりである。

  • 構内無線局(最大空中線電力1W)
    • 2440MHz、2450MHz、2455MHz(経過措置による新規・取替申請は不可の免許局)
    • 2448.875MHz(周波数ホッピング方式は登録局、それ以外の方式は免許局)
  • 移動体識別用特定小電力無線局
    • 2441.75MHz(周波数ホッピング方式で最大空中線電力10mW)
    • 2448.875MHz(周波数ホッピング以外の方式で最大空中線電力250mW)

この周波数帯はISMバンド中にあり、電子レンジマイクロ波加熱装置などによる混信を容認しなければならない。また、無線LANデジタルコードレス電話ラジコンなどの小電力無線局および2400~2450MHzが二次業務としてアマチュア局に割り当てられており、これらは一次業務たる構内無線局に妨害を与えてはならないこととされているが現実問題として妨害を受ける可能性は否定できない。更に、特定小電力無線局はこれらの無線局からの混信も容認しなければならない。

参考

他業務を含む周波数帯域毎の使用状況は下記を参照。


  1. ^ 平成10年郵政省令第111号による電波法施行規則改正
  2. ^ 平成14年総務省告示第545号による周波数割当計画改正
  3. ^ a b 平成18年総務省告示第654号による周波数割当計画改正
  4. ^ 平成17年総務省告示第413号による周波数割当計画改正
  5. ^ 平成22年総務省告示第203号による周波数割当計画改正
  6. ^ a b c 平成23年総務省告示第512号による周波数割当計画改正
  7. ^ 電子タグシステムをお使いの皆様へ (PDF) (総務省電波利用ホームページ - 700/900MHz帯周波数再編ポータルサイト)
  8. ^ 900MHzに関する情報(ソフトバンク - 公開情報)
  9. ^ a b Butters, Alan (December 2006). “Radio Frequency Identification: An Introduction for Library Professionals”. Australasian Public Libraries and Information Services 19 (4): 164–74. ISSN 1030-5033. http://search.informit.com.au/documentSummary;dn=312996058408409;res=IELHSS. 
  10. ^ a b c Sing, Jay; Brar, Navjit; Fong, Carmen (2013). “The State of RFID Applications in Libraries”. Information Technology and Libraries 25–32. doi:10.6017/ital.v25i1.3326. 
  11. ^ Wadham, Rachel (2003). “Radio Frequency Identification”. Library Mosaics 14 (5): 22. 
  12. ^ Dorman, David (December 2003). “RFID Poses No Problem for Patron Privacy”. American Libraries 34 (11): 86. http://www.ala.org/PrinterTemplate.cfm?section=archive&template=/ContentManagement/ContentDisplay.cfm&ContentID=50931. 
  13. ^ 電子タグに関するプライバシー保護ガイドライン (PDF)”. 総務省・経済産業省 (2004年6月8日). 2015年12月16日閲覧。
  14. ^ 電波の医用機器等への影響に関する調査結果, http://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/ele/medical/15.htm 
  15. ^ (PDF) RFID機器の電波が植込み型心臓ペースメーカ等へ及ぼす影響の検討, http://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/ele/medical/img/040618_2_3.pdf 


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