RFID 用途

RFID

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/01 17:09 UTC 版)

用途

RFIDの技術を使うと、今まで考えられなかったようなことが可能になる。以下はその一部である。

流通
サプライチェーン・マネジメント (SCM : Supply Chain Management) で期待されている。工場で生産した段階で製品にタグを貼り付け、その後の配送ルートで物品の動きを追跡するという用途である。例えば、コンビニエンスストアでコーラが1本売れたら、コーラ工場での生産数を1本追加する、あるいは、今こちらの倉庫に在庫が多いからこっちから配送しよう、といった生産の合理化が図れる。これは現状でも、バーコードにより実現されているシステムであるが、RFIDの技術を使うことによりIDの読み取りが自動化され、人間がバーコードリーダを操作するという手間がなくなり、効率がさらに向上すると期待されている。米国のウォルマートが在庫管理にRFIDを採用したことで話題となった。
履歴管理
RFタグには書き込みが可能なので、物品の流通過程で、その物がどこを通って、どういう加工をされて、どこに出荷されたか、といった履歴情報を、移動、加工の都度、記録すること(トレーサビリティ)が実現できる。これにより、例えば牛肉の産地や生産者・賞味期限を記したり、BSE問題を管理したり、ブランド品の真贋判定をより確実にしたり、といった用途が考えられている。
物品管理
図書館やビデオライブラリーなど、物品が大量にあって、それを管理する必要がある場所での利用が期待されている。いつ、どこで、だれが、その物品をどこへ移動させたかを自動的に認識できるようになる可能性がある。図書館の貸出、返却を自動化したシステムは、一部でもう実用化されている。
また、ホテル従業員や宅配便スタッフなどのそれを身に付けることによって怪しまれることなく客室や個人宅の敷地内に立ち入ることができるような効力を有する制服に対し、耐水性・耐薬品性に優れた洗濯可能なRFタグを縫い付けることによって、不正な成りすましや紛失・盗難・横流しの防止を図るという使い方もされ始めている。
図書館での利用
図書館では、四角形のタグは図書に、円形のタグはCDDVDに、細長い長方形のタグはVHSにそれぞれ使われる。
図書館では図書館資料バーコードで管理する方法からRFIDで管理する方法へと変更する動きが進んでいる。タグには資料情報(書名や著者など)、または資料管理データベース上の登録記号を記録させることができる。RFIDを使った図書館システムには、バーコードの機能の補助を果すか、あるいは完全に置き換え、既存の方法とは異なった蔵書管理や利用者自身で貸出手続きが行える自動貸出システムの導入などの可能性が秘められている。RFIDは、従来のブックディテクションシステム (BDS) を置き換える、新たな不正持ち出し防止機能の役割も兼ねることができる[9]
2013年現在、世界中に存在する3000万点の図書館資料に、RFIDタグが使われていると見積もられている[10]。その中にはローマに存在するバチカン図書館のうち、数館も含まれている[10]
RFIDタグの読み取りは資料表面を透過して行なわれるので、資料を読み取る際に図書の表紙やCD・DVDのケースを開く必要はなく、数冊積まれた資料を同時に読み取ることすら可能である。図書に貼り付けられたタグは、図書がベルトコンベアで移動している時でも、読み取ることができる。資料の貸出や返却(ブックポストに投函した資料はベルトコンベアで運ばれる)を利用者だけで行えるため、図書館員の需要が減少する。携帯式読み取り機を使えば、一つの書架に対する蔵書点検をわずか数秒で行なうことができる[11]
他方で、2008年現在でRFIDを導入するのは多くの小規模図書館にとって金銭的負担が重いという問題が残されている。例えば、2004年時点・オランダでの概算では、年館貸出点数10万点の図書館においては、5万ユーロ(貸出・返却機にそれぞれ12000ユーロ、BDSに10000ユーロ、タグに0.36ユーロという概算)程度の費用が予想されるとしていた。RFIDは図書館員に掛かっていた大きな負担を軽減させるが、それは「従来よりも少数の図書館員で事足りるので、一部の図書館員を解雇しよう」という発想にもつながりかねない[10]。今のところ、北アメリカにおいて、そうした動きは起きておらず、最新の調査でも「RFIDの導入により図書館員を解雇した」と答えた単館の図書館は存在しない。しかし、実際のところ、図書館は、図書館員の規模を縮小してでも自動化システムを導入する必要があると考えており、図書館の予算は人件費に対しては減少傾向に、設備費に対しては増加傾向にある。一方、RFIDが受け持つことになった役割は、司書の主要な役割とは多くの部分で一致しない。デンマークでの調査によれば、利用者はRFIDの導入で、質問に答えてくれる図書館員の数が増えたことに満足していることが明らかになっている。
RFIDを図書館で使うにあたってはプライバシーの問題が挙げられる。これは、RFIDタグの中には100メートルに及ぶ通信距離を有するものがあるためであるが、これによりセンシティブ情報だろうと不本意に収集されてしまうのではないかという懸念がある。図書館で使われているRFIDタグにはいかなる個人情報も含まれてはおらず[12]、大多数の図書館では数メートル程度の通信距離しかない周波数帯のタグが使われている[9]。しかし、図書館とは関係のない組織が、図書館側に同意を取りつけず、知られることもなく、退館する全ての利用者から情報を抜き取る可能性がある。
プレゼンス管理
人が今どこに居るのかという情報を、プレゼンス情報と言い、今後のビジネスで重要視されている。人がRFタグを常時携帯することにより、今は会議室、今は本人の机、今は外出中、といった情報を、仕事仲間が瞬時に把握できるようになる。
センサーネットワーク
センサーを様々な場所に取り付けて、そこから包括的な全体情報を抽出して、意味のあるデータを得ようという試みが進行中である(データマイニングコンテキストアウェアネスも参照)。例えば、タクシーのワイパーが動いていると反応するセンサーからの情報をたくさん集めると、都市内の詳細な降雨情報が得られる。

  1. ^ 平成10年郵政省令第111号による電波法施行規則改正
  2. ^ 平成14年総務省告示第545号による周波数割当計画改正
  3. ^ a b 平成18年総務省告示第654号による周波数割当計画改正
  4. ^ 平成17年総務省告示第413号による周波数割当計画改正
  5. ^ 平成22年総務省告示第203号による周波数割当計画改正
  6. ^ a b c 平成23年総務省告示第512号による周波数割当計画改正
  7. ^ 電子タグシステムをお使いの皆様へ (PDF) (総務省電波利用ホームページ - 700/900MHz帯周波数再編ポータルサイト)
  8. ^ 900MHzに関する情報(ソフトバンク - 公開情報)
  9. ^ a b Butters, Alan (December 2006). “Radio Frequency Identification: An Introduction for Library Professionals”. Australasian Public Libraries and Information Services 19 (4): 164–74. ISSN 1030-5033. http://search.informit.com.au/documentSummary;dn=312996058408409;res=IELHSS. 
  10. ^ a b c Sing, Jay; Brar, Navjit; Fong, Carmen (2013). “The State of RFID Applications in Libraries”. Information Technology and Libraries 25–32. doi:10.6017/ital.v25i1.3326. 
  11. ^ Wadham, Rachel (2003). “Radio Frequency Identification”. Library Mosaics 14 (5): 22. 
  12. ^ Dorman, David (December 2003). “RFID Poses No Problem for Patron Privacy”. American Libraries 34 (11): 86. http://www.ala.org/PrinterTemplate.cfm?section=archive&template=/ContentManagement/ContentDisplay.cfm&ContentID=50931. 
  13. ^ 電子タグに関するプライバシー保護ガイドライン (PDF)”. 総務省・経済産業省 (2004年6月8日). 2015年12月16日閲覧。
  14. ^ 電波の医用機器等への影響に関する調査結果, http://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/ele/medical/15.htm 
  15. ^ (PDF) RFID機器の電波が植込み型心臓ペースメーカ等へ及ぼす影響の検討, http://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/ele/medical/img/040618_2_3.pdf 




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「RFID」の関連用語

RFIDのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



RFIDのページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのRFID (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2020 Weblio RSS