需要と供給 曲線のシフト要因

需要と供給

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 00:03 UTC 版)

曲線のシフト要因

需要曲線

  • 所得の変化
  • 代替財(その財の価格の上昇が他方の財の需要量を増大させる財)の価格の変化
  • 補完財(その財の価格の上昇が他方の財の需要量を減少させる財)の価格の変化
  • 年齢構成などの人口構成の変化
  • 嗜好の変化
  • 情報(商品に対する消費者の知識)の変化
  • 信用の入手可能性の変化
  • 将来の予想の変化
  • 技術革新などによる技術の変化(産業の機械化による、鉄、石油の需要増大など)

供給曲線

  • 財を生産するために必要となる投入物の価格変化
  • 技術革新などによる技術の変化
  • 天候や疫病などの自然環境の変化
  • 信用の入手可能性の変化
  • 将来の予想の変化

需要・供給曲線の歴史

需要と供給は価格関数としてグラフ表現される。需要曲線と供給曲線は、アルフレッド・マーシャルの『経済学原理』(1890年)で有名になったが、それ以前にも先駆者がいる[7]

需要曲線は、オーギュスタン・クールノーが『富の理論の数学的原理に関する研究』(1838)で最初に描いた(クールノー競争も参照)[7]

カール・ハインリヒ・ラウドイツ語版の『経済学の諸原理』(1841(1826-37))も独自の関数を描いた[8][9][7]

ジュール・デュピュイ の「公共事業の効用の測定について」(1844)も独自の関数を描いた[10][7]

ハンス・カール・エミル・フォン・マンゴルトドイツ語版[注 1]の『国民経済学概説』(1863)でも独自の関数が描かれた[11][7]

供給曲線は、フリーミング・ジェンキンが1870年に描いた[12][7]

需要曲線と供給曲線は、アルフレッド・マーシャルの『経済学原理』(1890年)で有名になり、価格を縦軸で表す習慣は今でも一般的である[7]

供給または需要が価格以外の他の変数の関数である場合、曲線間のシフトを構成する他の変数の変化を伴う曲線、または高次元空間の曲面によって表される。

日本史用語としての「供給」

近代以前の日本史において「供給」という言葉は、漢語では「くごう/ぐきゅう」、和訓では「たてまつりもの」[13]と呼ばれていた。

「供給」という言葉は元々は律令用語で、律令とともに日本にもたらされた。現代経済学においては、特定の物資を不特定多数に提供することを「供給」と呼ぶが、この場合には「食料及びそれに準じる物」を特定の相手に提供することを指して「供給」と称した。すなわち、公的な目的をもった使者やそれに準じる使者・客人(荘園領主が現地に派遣する使者など)に対して通過する地域において食料を提供し、付随して使者が必要とする物資など(休憩・宿泊する宿駅や交代の馬匹など)も合わせて供給した。また、こうした使者や客人が目的地に到着(落付)した際に現地の人たちが3夜連続で飲食や贈物などをもって接待して無事な到着を祝う三日厨という行事も行われたが、その際に提供された飲食や贈物及び接待そのものを「供給」と呼んだ[14][注 2]


注釈

  1. ^ フォン・マンゴルト関数で知られるドイツの数学者ハンス・カール・フリードリヒ・フォン・マンゴルト英語版の息子である。
  2. ^ なお、中世の荘園・公領においては、供給に必要な食料や人夫は雑公事及び夫役として現地の在地領主及び名主百姓の負担とされていた[15]

出典

  1. ^ a b c d 小学館『日本大百科全書』「需要」
  2. ^ a b 小学館『日本大百科全書』「供給」
  3. ^ a b c d 需要・供給の法則』 - コトバンク
  4. ^ 岩田規久男 『経済学的思考のすすめ』 筑摩書房、2011年、73頁。
  5. ^ スティーヴン・ランズバーグ 『ランチタイムの経済学-日常生活の謎をやさしく解き明かす』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2004年、196-197頁。
  6. ^ 日本経済新聞社編 『経済学の巨人 危機と闘う-達人が読み解く先人の知恵』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2012年、35頁。
  7. ^ a b c d e f g Humphrey, Thomas M. (1992). “Marshallian Cross Diagrams and their Uses before Alfred Marshall”. Economic Review (Mar/Apr): 3–23. https://www.richmondfed.org/-/media/richmondfedorg/publications/research/economic_review/1992/pdf/er780201.pdf 2022年10月29日閲覧。. 
  8. ^ Karl Heinrich Rau,Grundsätze der Volkswirthschaftslehre , 1841b., Heidelberg.
  9. ^ 池田浩太郎「K.H.ラウの『財政学の諸原理』初版--「初期ドイツ財政学」のStandardwerkの出現」2003,成城大学経済研究159号、p97~131
  10. ^ Dupuit, Arsène Jules Étienne Juvénal (1844): De la mesure de l’utilité des travaux publics, Annales des ponts et chaussées, Second series, 8.:On the measurement of the utility of public works. Trans. by R.H. Barback in Readings in Welfare Economics,ed. K.J. Arrow and T. Scitovsky. Homewood,IL: Richard D. Irwin, 1969, 255-83.
  11. ^ Grundriss der Volkswirthschaftslehre. Ein Leitfaden für Vorlesungen an Hochschulen und für das Privatstudium. Faksimile der 1863 in Stuttgart erschienenen Erstausgabe. Komm. von Peter D. Groenewegen, Karl Heinrich Kaufhold und Jochen Schumann. Wirtschaft und Finanzen, 1995, ISBN 978-3-87881-096-4. 英語訳 The exchange ratio of goods. E,Henderson訳
  12. ^ 1870. " The Graphical Representation of the Laws of Supply and Demand, and their Application to Labour",in Alexander Grant, ed., Recess Studies, ch. VI, pp. 151–85.
  13. ^ 類聚名義抄
  14. ^ 早川庄八「供給」(『日本史大事典 2』(平凡社、1993年) ISBN 978-4-582-13105-5)P967
  15. ^ 網野善彦「公事」(『歴史学事典 1 交換と消費』(弘文堂、1994年) ISBN 978-4-335-21031-0)P218





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