番組の制作における「政治的公平性」が公に問われた事例とは? わかりやすく解説

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番組の制作における「政治的公平性」が公に問われた事例

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 20:49 UTC 版)

毎日放送」の記事における「番組の制作における「政治的公平性」が公に問われた事例」の解説

2022年1月1日関西ローカル放送され新春特別番組東野吉田ほっとけない人』(東野幸治ブラックマヨネーズ吉田敬司会務めたトーク番組)では、大阪維新の会日本維新の会と関係の深い松井一郎大阪市長日本維新の会の代表)、吉村洋文大阪府知事日本維新の会副代表肩書はいずれ放送時点)、橋下徹弁護士、元・大阪府知事および大阪市長大阪維新の会初代代表、日本維新の会前身である国政政党おおさか維新の会初代代表)を揃ってゲスト迎えたことに対して政治的公平性観点から毎日放送内外批判相次いだ。『東野&吉田ほっとけない人』は、2021年1月3日から不定期関西ローカル向けに放送2021年内の放送回数は7回で、橋下第1回・第2回3月3日)・第3回3月10日)・第6回11月17日)、松井第1回吉村第3回にもゲスト出演していた。第3回までは毎日放送テレビ制作局(当時)がゲストキャスティング制作担当していたが、毎日放送テレビ単営局化を経て第4回9月1日放送分から担当制作スポーツ局へ移管。「政治的公平性の面で問題」とされた回は、通算8回目2022年初回放送であった制作スポーツ局では、前身テレビ制作時代から「関西地方視聴者関心の高いゲスト招いて、(東野吉田との)トーク通じて素顔引き出す」という意図の下に『ほっとけない人』を制作第1回では松井第3回では吉村出演したパート視聴率とりわけ高かったため、総合演出担当者曰く世間人々松井吉村に高い興味示していることを(視聴率通じて実感したので、2021年総括する当たって、(同年時点では政界引退している)橋下加えた3人に出てもらえたら面白い」との認識で、第8回放送向けてキャスティング企画した番組編成司る総合編成局は「吉村が『現職大阪府知事』、松井が『現職大阪市長』という肩書出演するであれば高い視聴率見込める」としてこの企画容認したが、吉村松井への出演交渉については報道情報局に委託制作局長を兼務している制作スポーツ局長岸本孝博は、以上の事情背景に、「報道情報局)が(出演交渉に)関与しているなら、(放送取り上げる)内容が(報道情報局に)理解されているはず」「『制作スポーツ局と総合編成局の間で(第8回制作をめぐる)状況共有されている』ということは会社毎日放送全体としてのオーソライズ為されているはず」と認識していたという。 毎日放送社長虫明洋一は、第8回放送めぐって局の内外から政治的公平性に関する疑義相次いだことを受けて専務リーダー据えた検証チーム2022年1月17日付で発足放送関連した全部局の関係者からのヒアリング通じて検証進めたところ、以下の問題点浮上したことから、同年3月1日開催の第666番組審議会報告したテレビ大阪代表取締役社長田中信行は、2022年1月27日新春記者会見で、「(当時毎日放送始まったばかりの)社内調査結果を(自社番組制作で)参考にしたい」との意向示したうえで、「『行政の長』として吉村松井を(自社番組に)招くことがあり得るにしても大阪府内では(会見時点で)維新(系の勢力)が非常に強いので、感覚麻痺しないように(番組制作報道活動自戒)しなければならない」との見解述べている。毎日放送では、松井大阪市長吉村大阪府知事へ就任してから(第7回以前の『ほっとけない人』を含めた自社制作番組迎える際に「大阪市長」「大阪府知事」という肩書しか用いていなかった。報道情報でも、そのこと前提2人出演打診担当した局員は『ほっとけない人』で予定されていた内容疑問持っていたものの、報道情報自体が同番組制作直接関与していないため、当事者意識持てないまま放送容認してしまった。報道情報局長奥田信幸によれば、「制作スポーツ局)と(総合編成(局)が(高い)視聴率狙い行った番組である以上、報道情報局としては問題と思うものの、収録済み映像放送しないことが難しいとも感じていた」 という。 総合編成局では、管理職チーフ級の局員政治的な公平性十分に認識していながら制作スポーツ局が管轄している制作現場への注意喚起途中経過報告要請など)を怠っていた。総合編成局で『ほっとけない人』を担当している局員も、第8回収録立ち会っていながら収録され映像編集作業までには関与していない。その結果実際に放送され映像では、松井を「日本維新の会の代表」、吉村を「日本維新の会副代表」と紹介結果としてナレーション橋下発言政治的公平性への配慮うかがえたものの、放送法規定されている「番組編集の自由」を裏打ちするだけの多角的な精査組織的な検討が、制作スポーツ局にも総合編成局にも圧倒的に不足していた。 毎日放送総合編成局・報道情報局・制作スポーツ局には「アドバイリー制度」が設けられていて、「番組アドバイザー」に任命され局員番組内容チェック当たっている。しかし、実際に表現放送用語チェックとどまっていて、番組全体問題点網羅する機能果たしていなかった。 日本民間放送連盟民放連)が定め放送基準に「政治に関して公正な立場守り一党一派偏らないように注意する」、毎日放送放送基準で「政治に関する問題(を放送で扱う場合に)は公正な立場を守る」との一文があるにもかかわらずこのような基準示され政治的公平性への認識制作編成現場にまで正しく浸透していなかった。 毎日放送では、以上の検証結果受けて、「『番組担当する部局担当者責任持ちつつ、民放連自社放送基準順守することが番組制作基本である』ということを、全社改め共有する」「いわゆる組織の壁』による当事者意識欠落などが生じないように、それぞれの部局組織内部円滑なコミュニケーション取れるように運営されていることを改め確認する」「全ての社員に対して部局ごとの役割周知改め徹底させる」という姿勢表明全社員を対象に「政治的中立」を含む多角的なテーマ社内研修実施するとともに制作プロセスにおける適切な助言番組内容チェック徹底させるべく、「アドバイザリー制度速やかに全社横断的専門組織再編する」といった改善策打ち出した。第666番組審議会上記報告受けた番組審議委員からは、「バラエティ番組視聴者に及ぼす影響が他のジャンル番組より大きいにもかかわらず、『バラエティ番組だから(出演者どのような立場何を語っても)許される』という甘えのようなものがなかったか」「(日本維新の会動向に対して批判めいたナレーション収録後映像入れてはいたが、そのこと免罪符にしてスタジオ収録でのトーク出演者委ねる手法は、(『政治的公平性配慮した』という)アリバイ作っているかのようで姑息感じる」「社内の他の部門に対して意見言えないような空気感社内環境)の下で、一つのもの(番組)を(『組織の壁』を超えてでも社員みんなで作り上げることへの責任感が少し欠如しているのではないか」といった指摘相次いで寄せられた。 朝日新聞東京本社論説委員の田玉恵美は、以上の検証結果独自取材成果交えた論説記事執筆2022年3月16日朝刊の『多事奏論』(専門分野異な複数ベテラン記者記事執筆交互に担当する連載企画)に、「番組審議会 放送自律へ、議論もっと可視化を」というタイトル掲載された。田玉は、毎日放送に対して「(局の内外から政治的公平性疑われるような番組放送した責任厳しく問われるきだろう」との見解を示す一方で、「『番組審議会』という外部の(有識者参加する機関の)目を交えながら(放送内容を)検証するだけにとどまらず視聴者向けて検証過程積極的な可視化踏み切ったことは(日本放送業界で)あまり前例がなく、(放送局における)番組審議会役割考えるうえで一石投じているようにも思う」と評価している。この記事では、第666番組審議会報告書の概要記されていない審議会内情を、毎日放送関係者からのコメントを基に紹介。「『出演料受け取らない』という条件で(現職の)政治家バラエティ番組出演することへの意図思い至らないのか」という指摘や、日本の都道府県中でも放送時点で)新型コロナウイルス感染症に伴う死者数水準とりわけ高い大阪府での感染拡大対策よりも第49回衆議院議員総選挙2021年10月31日投・開票)における日本維新の会躍進放送強調したことへの疑問審議委員一部から呈されていた一方で毎日放送からの出席者審議委員に対して収録では(新型コロナウイルス感染症)の話も出たが、盛り上がらなかったため放送しなかった」と説明していたことを明らかにしている。 毎日放送では、上記改善策沿って放送法に関する社内研修2022年4月15日実施同年6月1日には、「オートノミーセンター」を総合編成局内新設するとともに同局次長清水伸浩が初代センター長就任した。「オートノミー」とは「自主」「自律」を意味する英語(autonomy)で、ラジオ放送事業分社化2021年4月1日)から総合編成報道情報制作スポーツの各局に設けていた番組アドバイザリー集約させたうえで、他部との兼任者を含む10数名メンバー番組制作プロセスでの助言制作内容チェック携わるという。 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会では、放送倫理上の問題有無判断する審議」に入らないことを決めたうえで、小町谷育子委員長による談話2022年6月2日公表。「テレビ放送政治的公平性問われるのは、『量』ではなく『質』である」「毎日放送番組審議会による自律的な自浄作用理想的な形で働いた」という理由で、「紙一重」の判断ながら審議見送ったことを明かしたそのうえで、「『審議入らない』という結論だけが独り歩きすることによって、『ほっとけない人』に垣間見え問題点放送界に共有されないことを危惧する」として、2022年7月25日までに第26回参議院議員通常選挙投・開票予定されていることを念頭に以下の問題点指摘したバラエティ番組政治問題取り上げ場合には、話題性の高い政治家に対す視聴率重視キャスティングが適切であるかどうかを、今一度見直必要があるまた、情報の提供」と「娯楽の提供」という要素混在しているニュース番組情報番組で、視聴率偏重すれば『ほっとけない人』と同じようなことが起きかねない視聴率とらわれながら制作される番組では、コメンテーターなど出演者意見過激になったり、面白さ求めるあまり情報偏ったりする結果として誤った印象視聴者与えかねない政治に関する番組上記事態至った場合悪影響(が甚大であること)は触れるまでもないが、『ほっとけない人』はその最たる例になっているではないか。 『ほっとけない人』の放送では、大阪府・大阪市による新型コロナウイルス対策評価するうえで「行政側にとって都合の悪い」とされる事実も、行政担っている政党大阪維新の会)の政策について異論反論一切出されていなかった。その結果として、同党の政策一方的かつ肯定的に放送流されきらいがある。この放送を見る限り、「質」の面での政治的公平性確保すべく、毎日放送自主性発揮しながら創意工夫凝らした形跡をうかがうことは難しい。上記事態は『ほっとけない人』以外の番組でも起こりうるので、毎日放送限らず他局の番組制作者にも「政治的公平性を質の面で担保するためには、異な視点提示欠かせないということ忘れないで欲しい。 政治を扱う番組大切なのは、放送局放送に至るまで、視聴者立場政治的公平性を真剣に議論することである。その鋭意努力欠いたまま制作され番組では偏った情報流れかねないので、視聴者このような情報受け取った結果として、最も大きな不利益を被ることになる。

※この「番組の制作における「政治的公平性」が公に問われた事例」の解説は、「毎日放送」の解説の一部です。
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