物語の時代背景とは? わかりやすく解説

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物語の時代背景

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 00:20 UTC 版)

アラトリステ (映画)」の記事における「物語の時代背景」の解説

本作品は史実背景として一剣士であるアラトリステ活躍描いている。本節では作品理解を深めるためにその時代の歴史背景解説するスペイン帝国 本作開始時点スペイン帝国領土ヨーロッパではスペイン・ポルトガル・イタリア南部・フランス一部オランダ・ベルギー植民地南北アメリカ大陸アフリカ大陸・インド・フィリピンにまでおよび、「太陽の沈まない国」・「スペイン黄金世紀」と称されていた。その覇権維持するために傭兵大量雇用などを続けており、必要経費膨大であったこのため先々代国王時代には4回の破産宣告(パンカロータ)をおこないその後もたびたびパンカロータを宣告するなど経済的な翳り始まっていた。植民地である新大陸から産出する銀などの財だけでは足りず貿易儲けているネーデルラント(現代のオランダ・ベルギー・ルクセンブルク)は帝国税収源とされていた。 八十年戦争 先々代国王時代1566年ネーデルラント反カトリック暴動発生し、その責任問われ現地貴族達が処罰され領地財産没収された。これを取り戻すために1568年より戦争始まった開戦後40年経ってネーデルラント北部(現代オランダ)は実質的な独立態となったがスペイン・オランダ双方とも経済的に疲弊し1609年から12年間の休戦協定結ばれたスペイン国王フェリペ4世1621年16歳即位後すぐにネーデルラントでの戦争再開するネーデルラント北部奪還することは叶わず、逆に現代オランダ・ベルギー国境付近まで撤退することとなった三十年戦争 八十年戦争休戦期間中であった1618年神聖ローマ帝国(現代のドイツ・オーストリア・チェコ)で始まった戦争スペイン帝国神聖ローマ帝国治めハプスブルク家2代前の世襲の際に領地分割して分かれた同族であり、スペイン開戦初期から参戦した当初神聖ローマ帝国領内起きたプロテスタント反乱からはじまり、帝国内でプファルツ選帝侯フリードリヒ5世皇帝対抗して兵を挙げた敗走した。しかしデンマーク・スウェーデンなどプロテスタント奉じる国が介入して戦争拡大したフランス領土スペイン帝国神聖ローマ帝国囲まれており両パプスブルク家からの脅威受けていたため、パプスブルク家の勢力削ぐためにカトリック国でありながらプロテスタント側を支援していた。1624年にはフランス主導プロテスタント諸国をまとめたハーグ同盟結成し1635年にはスペイン宣戦布告し直接参戦したオリバーレス公伯爵 ガスパール・デ・グスマン・イ・ピメンテルは父より第3オリバーレス伯爵地位受け継いだ即位前のフェリペ4世侍従として仕え伯爵位に特権付与されたため、より上位のサンルーカル・ラ・マヨール公爵位を与えられた後もオリバーレス伯爵名乗り続けたので公伯爵とも称された。フェリペ4世即位翌年(1622年)には王の寵臣バリード)として登用され国政実権任された。オリバーレスは前国王が用いた寵臣らの汚職糾弾し贅沢品禁止売春宿劇場閉鎖租税制度改正など帝国財政改革尽力した対外的には大国としての強硬姿勢維持するため八十年戦争三十年戦争継続した。その能力高く評価されているが、傾きかけた帝国立て直すことは出来ずロクロワの戦い起きた1643年解任された。 イングランド皇太子チャールズ イングランドスチュアート朝第2代国王チャールズ1世皇太子であった22歳の年(1923年)に海軍本部海軍卿ジョージ・ヴィリアーズ伴いマドリード訪れる。スペイン国王フェリペ4世の妹マリア・アナ結婚し、その持参金代わりにスペイン三十年戦争初期占拠したドイツ・ライン川流域プファルツ選帝侯領を姉であるエリザベス嫁ぎ先である選帝侯フリードリヒ5世戻そう目論んでのことだった。交渉半年及んだ皇太子カトリック改宗などを要求され婚姻はまとまらなかった。チャールズ2年後即位の年にフランス王ヘンリエッタ・マリア・オブ・フランス結婚し26年後の1649年清教徒革命斬首処刑された。大陸亡命していた息子後述するブレダの町で1660年復位提案して王政復古成し遂げチャールズ2世となったブレダの包囲戦 ブレダベルギー国境に近いオランダの町で、メントスフリスク製造元である世界最大級の製菓会社ペルフェティ・ファン・メレ社が本社工場をおいている。 オランダ王家の祖であり、八十年戦争初期オランダ主導したオラニエ公ウィレム1世幼少時従兄弟から相続した領地のひとつである。戦争間中通じスペインオランダの間で6度にわたり町の支配権入れ替わった最初八十年戦争開戦前年の1567年スペインから派遣されネーデルラント総督フェルナンド・アルバレス・デ・トレド(アルバ公)がドイツ逃れたウィレム1世代わり支配した次に1577年オランダ側が2ヶ月にわたる攻囲戦の後に取り戻した1581年にはスペイン2日間の強襲奪還1590年にはウィレム1世次男オラニエ公継いだマウリッツ・ファン・ナッサウが、泥炭輸送船に兵を隠して送り込むというトロイの木馬思わせる奇襲陥落させた。そして12年停戦挟んだ戦争再開後、この時期スペイン軍代表する名将ジェノバ出身イタリア貴族傭兵隊アンブロジオ・スピノラ1624年から翌年にかけて町を包囲しつつ、外部からのオランダ軍救援部隊攻勢凌ぎ切ったウィレム1世庶子で町の守将を務めたユスティヌス・ファン・ナッサウはスペイン軍侵入防ぎ続けた10ヶ月後に兵糧切れにより降伏した病身押して兄の救出向かったオラニエ公マウリッツブレダ陥落前に病死しウィレム1世末子フレデリック・ヘンドリックオランダ指導者地位引き継いだオラニエ公フレデリック・ヘンドリック12年後1637年に4ヶ月包囲で町を取り戻す。そのまま八十年戦争終戦迎えブレダオランダ領土として確定するディエゴ・ベラスケス ディエゴ・ロドリゲス・デ・シルバ・イ・ベラスケスは「スペイン黄金世紀」の絵画代表する画家のひとり。セビリア生まれ1623年24歳宮廷画家取り立てられ以後マドリードで暮らす。1629年に船でイタリア旅した際にベラスケス4年前にブレダの包囲戦指揮したアンブロジオ・スピノラ同船している。スピノラネーデルラント政策めぐってオリバーレス公伯爵対立し前年司令官職を解任されスペイン戻りイタリア赴任する途中であったが翌年病死するベラスケス6年後の1635年ブレダでのスペイン軍戦勝描いたブレダの開城」を制作した。さらに2年後ブレダの町はオランダに奪い返されている。 セビリア セビリアスペイン南部中心都市アンダルシア州州都紀元前古代ローマ時代からの歴史を持つ町である。大西洋沿岸から90kmほどの内陸部にあるが、町を流れグアダルキビール川アラビア語で「大いなる川」を意味するとおり大型船舶遡上が可能である。作品開始時点100年以上前新大陸との貿易独占港として指定国王から受けて通商院設けられた。貿易港一つ絞ったのは密貿易防ぎ外国人異教徒など好ましからざる人物新大陸渡航せぬように管理するためである。大西洋を渡る全ての物資が町経由していた。これによりセビリアの町は人口10万人を超える大都市となった。後には新大陸との貿易拠点役割大西洋岸港町カディス移ったロクロワの戦い 三十年戦争終盤1635年フランス直接参戦した後、スペイン・フランス両国スペイン本国接すフランス南部およびスペイン領ネーデルラント面するフランス北部国境の2方面対峙していた。1643年スペイン軍27千名がフランシスコ・ダ・メルロの指揮によりネーデルラント南部からフランス侵攻試みた現代ベルギー国境接すフランス領内のロクロワ包囲中に22歳コンデ公ルイ2世率いフランス軍2万2千名救援駆けつけた。のちに数々陣営戦ったフランス名将初め指揮取った戦闘であった。これを知ったスペイン軍は町の包囲解きフランス軍迎え撃った両軍とも中央歩兵部隊、その両側騎兵部隊配置して対向した。戦い太陽王ルイ14世即位5日後、5月19日始まった戦闘コンデ公直接指揮する右翼騎兵活躍して敵騎兵を殲滅し、スペイン軍歩兵を残すのみとなった。しかしスペイン歩兵密集方陣(テルシオ)を組み騎兵突撃はね返していた。そこで大砲による砲撃密集方陣攻め立てたところ、降伏申し出があった。しかし降伏手続き中にスペイン側から火縄銃発砲があり、戦闘再開された。最終的にスペイン兵の死者八千名・捕虜千名過半超えスペイン大敗喫した八十年戦争三十年戦争結末 オランダネーデルラント北部支配権固めてスペイン侵攻跳ね返し1637年にはブレダの町を再度奪還したスペイン本拠地であるイベリア半島では1640年カタルーニャ反乱 (収穫人戦争)、ポルトガル独立離反相次いだスペイン確保していたネーデルラント南部フランスからの攻撃を受け続けたスペイン盟友である神聖ローマ帝国もスウェーデン・フランス軍にドイツ越えてチェコまで蹂躙された。 最終的にロクロワの戦いから5年後1648年に関係諸国ウェストファリア条約結んで長きわたった八十年戦争三十年戦争終結させた。この条約スペインオランダ独立承認した。しかしスペインフランス講和妥結至らず両国戦争1659年まで続いた

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