物語の後半
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 14:36 UTC 版)
無事奨励会には合格できたものの、竜の将棋は連戦連敗だった。宿敵の虎斑桂が連勝して注目される中、ついに竜は6級のBへ転落してしまう。高美濃と同居して自立し根性をつけようとするが、結局それも失敗に終わった。その後生活環境を変えるという芦川の考えから、将棋の町道場である「と金道場」に下宿するようになる。席主の父と共に道場を訪れるアマチュアを指導しながら、改めて将棋の勉強をすることになった。 その道場で、アマチュアの大学生が指導対局を依頼してきた。アマチュアとはいっても、大学リーグ戦A級の「東立大」将棋部の強豪である。たまたま居合わせた竜の奨励会仲間が相手をすることになったが、その大学生に平手で虎斑桂と棒銀三郎が負けてしまった。奨励会のメンツが危うくなった時、横で観戦していた竜が勝負を申し込んだ。そして見事に大学生を負かしてしまう。実は竜は5五の位を利用した中飛車の戦法を思いついたのだ。その後も東立大の学生達は竜に対し雪辱戦や嫌がらせを行うが、最終的に竜は勝利を収めることができた。この対局を境に竜は「5五龍中飛車」を編み出し、奨励会でも徐々に勝利して行くことになる。 得意戦法を身につけた竜とは異なり、負けがかさんでいたのが穴熊虎五郎であった。成績不振を同門の先輩たちにからかわれ、思い悩んだあげくに故郷の会津に帰ってしまう。そして竜たちの必死の捜索も空しく、雪山で自殺してしまうのだ。竜たちは非常に大きなショックを受けるが、同時にプロを目指す厳しさを思い知ることとなった。その後しばらくして、死んだはずの穴熊が竜のもとに現れる。実は彼は虎五郎の弟で、養子に出されていた穴熊虎六だった。死んだ兄に代わり今度は自分がプロになると言って、竜に勝負を挑んできた。駒落ちで相手をした竜に勝って一度は生意気を言うが、竜馬に諭されて素直に帰って行った。結局その虎六は、兄が在籍していた関野一門に入ることになる。 ある日将棋会館の前で、竜と高美濃は風変わりな老人に出会った。老人を真剣師と誤解した二人は相手にしなかったが、実は彼は「将棋大天狗」として有名な元プロ棋士の島黄楊(しまつげ)八段であった。この大天狗と奨励会6級の梅木をめぐり、竜の退会騒動が持ち上がってしまう。だが大天狗が遊び将棋による非公式戦を提案、騒動は何とか解決する。そして大天狗より、「飛騨の中飛車」という男を紹介してもらうことになった。 はるばる岐阜県の山奥まで足を運んだ竜は、その「飛騨の中飛車」こと飛田中太郎に会う。そして彼から、中飛車研究の集大成である棋譜ファイル数冊を譲り受けた。その代償として、飛田は「名を伏せ正体も明かさず、現役の高段棋士5人と平手で対戦させてくれ。」と竜に依頼する。承諾した竜は帰京後に師匠に相談し、対戦者を探して飛田のために尽力した。 しばらくして飛田が上京。稽古将棋という名目で平手で望んだ5名のプロ棋士に対し、飛田は3人目までを全て中飛車で叩きのめす。だが4人目の対局前に元真剣師という素性が割れ、4人目の棋士は対局を辞退。あやうく竜は師匠の芦川に破門される所だった。予定通り5人目の飛田vs芦川八段戦が行われる。飛田は「これが己が人生の最終局」という覚悟で対局に臨んだ。この対局の中で「飛騨の中飛車・合掌造り」が登場、芦川八段を大いに苦しめた。しかし最後に捨て駒三連発の鬼手をはなち、芦川が飛田に勝利した。 その後も高美濃弘の退会騒動、(穴熊虎六や平手香を含む)奨励会の後輩たちの参入、角道道夫の山での遭難および退会といった出来事が続く。奨励会での壮絶な戦いが続く中、竜もひた向きに精進していった。そして最後に宿敵の虎斑桂を倒し、竜の二級昇級が決まったところで物語は完結している。
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