物語の変更
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 09:02 UTC 版)
「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」の記事における「物語の変更」の解説
ホワイトベースとその行路 原典アニメ版では冒頭の奇襲攻撃によりホワイトベースの乗組員は、ブライト・ノア以外の士官が全滅しているという非常に厳しい状況であったが、本作では中尉以下の士官が相当数生存しているという設定になっている。 また、ホワイトベースの進路も北米大陸からアジア、ヨーロッパへと地球を一周して南米を目指すのは不自然なので、北米大陸から直接南下してジャブローに入ってから他を目指すよう変更されている。ホワイトベースはジャブローで大改装された後、ベルファストでのミハル・ラトキエのエピソードを経て、オデッサ・ディに参戦した後、再び宇宙に上がっている。 また、搭載機数が艦の大きさに見合ったものに変更。原典アニメ版ではMS3機と重戦闘機(Gファイターとコア・ブースターの違いのみ)2機、輸送機1機に過ぎなかったが大幅に増え、サイド7出航時でガンダム、ガンキャノン3機、ガンタンク3両に加え、純粋な戦闘機であるコア・ファイター数機と増えている。更にオデッサなどの大規模作戦時はジム隊を搭載。ソロモン戦では多数のボールも搭載している。 V作戦の内容 連邦側はシャアの幼少期には既にガンタンクを実戦配備しており、ガンキャノンも開戦前には実戦配備している。このため両機ともにジオン兵から「旧型」と揶揄されている。原典アニメ版では「MSガンダムと支援機の開発」が「V作戦」だったが、『ORIGIN』では「ザクを上回る機動性能と火力を持った新型機(ガンダム)とそれを基にした量産機(ジム)の開発および実戦配備」が「V作戦」を指す。 また、原典アニメ版では「アムロによるガンダムの実戦データを元にジムが開発された」とされるが、ガンダムの実戦配備を待たずにジムの量産・配備が始まっている(つまり、ジオンがグフを実戦配備した時期と連邦のジム実戦配備が同時期)。 連邦軍の人材 原典アニメ版ではサイド7での戦闘時に関係があったのはアムロ、フラウ、ハヤトの3人のみだったが、カイやカツ、レツ、キッカとも互いに面識がある。また原典アニメ版ではカイ・シデン、ハヤト・コバヤシはアムロには及ばないながら熟練パイロットに成長しているが本作では異なる。カイは最終盤のア・バオア・クー攻略戦においてもガンキャノンの二番手パイロットにとどまり、腕前はそれなりであるものの壊し屋としてメカニックの評判が悪い。ハヤトは砲手専門のいわば下っ端扱いで、ソロモン攻略戦ではボールに乗せられている。また、パイロット転向後のセイラ・マスがニュータイプの素質を見込まれ、新型の装甲強化型ジムを与えられる等、破格の扱いを受けており、クルーの間では「姫」(命名者はスレッガー)というあだ名で呼ばれている。 かわって、原作では何でも屋扱いだったジョブ・ジョンが優秀なパイロットとしてアムロに次ぐ活躍をしており、ガンキャノンの正パイロットとなっている。彼がジム小隊を率いることによりハヤトが彼の愛機を任されるという経緯がある。また、リュウ・ホセイは「ルウム戦役」にも従軍している実戦経験豊富な職業軍人で性格は大幅に異なっている。スレッガー・ロウはジム中隊を率いる経験豊富なパイロットであり、ジャブローで部下と共に着任したが、マッドアングラー隊との戦い、オデッサ前哨戦でのシャアとの交戦、オデッサ本戦を経て彼を除いた中隊員が全滅している。ガンタンクの操縦にも長けたMS乗りだが戦闘機嗜好が強く、ジムよりコア・ブースターを愛用する。 また、無能なジャブローのモグラと揶揄されていたゴップが、制服組のNo.2(連邦政府との人脈を考慮した場合、実質的なNo.1)でMS開発計画の推進者かつ、南極条約締結交渉時の連邦軍代表で最終階級は元帥という実力派将校へとグレードアップされ、性格的にも聡く強かで食えない狸親父に変更。軍政家として非常に有能な面が強調されている。 ワッケインも下記にある通り階級が大幅に上がり、テキサスコロニー周辺でのシャアとの艦隊戦で戦死するというTV版の設定から、「ルナツーの不戦提督」という不名誉なあだ名で呼ばれつつもソロモン要塞戦では陽動艦隊を指揮。レビルの戦死後、ア・バオア・クー戦の総司令に抜擢され、宇宙空母ドロスの攻撃で乗艦を撃沈されての戦死に変更された。 階級・地位 登場人物の階級・地位も見直され、テレビ版では士官候補生、劇場版では少尉だったブライトが中尉(ジャブロー到着で大尉に昇進)となった他、ルナツー司令ワッケインが少佐から少将に、マ・クベが中央アジア・ヨーロッパ方面司令官・大佐からジオン軍地球侵攻軍総司令・中将に、といったように相応の階級に設定されている。地球方面軍司令官だったガルマ・ザビは大佐のままであるが、マ・クベの部下で北米方面の司令官という扱いになっている(原典アニメ版のニューヤークではなく、ロサンゼルス駐留)。また、原典アニメ版では軍人だった主人公アムロ・レイの父テム・レイやミライの父シュウ・ヤシマも、民間企業の人間に変更されている。リュウも曹長から軍曹に変更され、戦死後は3階級特進で少尉に。一民間人から破格の待遇を受けたミライ、アムロは任官式で准尉(その後、ミライは少尉に昇進)になるという設定。 シャア専用ザクの最期 原典アニメ版のシャアの搭乗機では明確に損壊していなかった唯一の機体だった。本作ではオデッサ前哨戦に参戦し、友軍の殿として単機でジム2個小隊を全滅させる獅子奮迅の活躍で連邦軍を震え上がらせ、さらにスレッガー小隊を壊滅させるも、ガンダムとの一騎討ちで首を落とされた後に水没。シャアは救援に駆け付けたドダイに飛び移って脱出すると改変された。 アムロの知識・テムの所属 アムロがガンダムの存在を知ったのは、アニメでは流れ弾で戦死した連邦軍将校が運んでいた極秘マニュアルからであったが、本作では『機動戦士Ζガンダム』のカミーユ・ビダンと同様に自宅にあったテムのパソコンから偶然見つけ出した資料を読んだり、関連機材から詳細なデータを閲覧するか、シミューレータを経験するなどして、事前にある程度のノウハウを得ていたとして、話の流れに無理が無いように変更されている。また、アニメではテムは連邦軍の技術士官であったが、テレビ版の本放送時点では設定すら存在していなかった民間企業アナハイム・エレクトロニクス所属のMS開発部長(軍属の形で出向している様子が伺える)に変更されている。 終盤でのセイラ 終盤のア・バオア・クー攻防戦では、自らがジオン・ダイクンの遺児アルテイシアであることを明かしてジオン軍内部における反乱を誘引する。また傲慢で独善的な理想のために他人の犠牲を省みない兄キャスバル(シャア)に対する憎悪の感情がより強調されている。一年戦争後は養父テアボロアから相続した資産を戦争孤児保護の慈善団体に寄附するなど、慈善活動に熱を入れる財団の令嬢でありながら、『Ζガンダム』におけるアムロと同様に連邦政府の厳重な監視下に置かれており、カイにとってはアンチジオンの象徴であったミハル・ラトキエの幼い弟妹のジルとミリーを財団で保護している。またカイが戦後ジャーナリストに転身した経緯も、ミライやブライトの頼みでセイラと密会し、それぞれの道を歩く他の仲間達の姿に感化されたためとなっている。 キシリアの暗躍 テレビシリーズでは少なかったキシリアの登場シーンが大幅に追加され、ガンダムという作品の幕引きから逆算して描かれている。ミノフスキー博士の亡命阻止だけでなく、民間人の犠牲を厭わないキャスバルの暗殺未遂に加えサスロ暗殺にも関与が疑われるなど、謀略家としてかなり活躍している。また家族のデギン、ガルマも親愛を持って接しているようにしながら、利用できる駒として見なしているなど、冷血さもより強調されている。 その他 地球連邦軍基地・ジャブローの位置は、原典アニメ版で設定されたアマゾン川下流域は地盤が軟弱であるため、そこに地下基地を作るのには無理があると判断し、シェルターを兼ねられるような固い岩盤で構成されるギアナ高地の地下に再設定されている。アマゾン川流域は、ジャブロー侵入を目論むシャアが遡行する場として描かれる。 テレビ版ではオデッサ陥落後にマ・クベが宇宙へ脱出しているが、本作では地上に残り自決する。その戦闘の際、連邦軍もオデッサ戦にジム系をはじめ多数のMSを投入していた。また、ギレンがキシリア管轄外の諜報機関を密かに用いてシャアの正体を見抜いていたことや、機会を見て部下にする考えがあったなどと変更している。
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