大西洋沿岸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 00:35 UTC 版)
「米英戦争の大西洋戦線」の記事における「大西洋沿岸」の解説
戦争が始まった時点ではイギリス海軍はアメリカ合衆国のすべての海岸線を封鎖することはできず、またアメリカの私掠船の取締りにも追われていた。イギリス政府は、スペインの前線にある陸軍部隊のためにアメリカ産の食料を必要としており、ニューイングランド市民の貿易の継続を望む意思と利害が一致したため、ニューイングランドの港は当初封鎖されていなかった。デラウェア川とチェサピーク湾は、1812年12月26日になって封鎖を宣言された。 1813年11月にはコネチカット州ナラガンセットの南まで封鎖範囲が拡大され、さらに1814年5月31日には全海岸が対象となった。この間、アメリカの貿易業者とイギリスの海軍士官の間で捕獲を偽装した不法な交易が行われていた。アメリカの船は中立国の国旗を掲げて偽装した。 最終的には、アメリカ合衆国政府が不法な交易を止める命令を発することになった。これは国の商業に新たな歪をもたらしただけだった。イギリスは圧倒的な海軍力を使ってチェサピーク湾を支配し、多くの船渠や港を破壊して回った。 さらに、バミューダの造船所に基地をおく海上封鎖艦隊の指揮官は、アメリカの奴隷達の逃亡を奨励するよう指示を受けていた。多くの黒人奴隷が家族と共にイギリス側に逃げ、チェサピーク湾のタンジール島を占拠していたイギリス海兵隊第3植民地大隊に入隊した。 バミューダの根拠地では、女性や子供を含む多くの逃亡奴隷が解放され、仕事を与えられた。海兵隊の植民地中隊が幾つも編成され、防衛に当たった。これら解放奴隷は大西洋戦線でイギリスのために戦い、ワシントンD.C.攻撃やルイジアナ侵攻にも参戦した。多くの者が後にイギリス領西インド諸島の連隊に再登録され、また1816年8月には、トリニダード島で700名の元海兵隊員が土地の所有許可を与えられた。これらの人々はその所属していた中隊毎に集落を作ったと報告されている。他にも多くの解放奴隷が既存の西インド諸島連隊あるいは新設のイギリス陸軍部隊に直接入隊した。 ニューブランズウィックのイギリス植民地による調査の結果、メインがイギリス軍の重要な攻略対象とされた。ニューブランズウィックとメインの境界は、独立戦争後もまだ確立されておらず、メインを勝ち取ればニューブランズウィックにとっての大きな領土拡張となり、さらにセント・ジョン川やハリファックス街道を経て、ローワー・カナダとの速やかな連絡が可能となるはずだった。この境界問題は米英戦争では決着せず、1820年にメイン州が州として昇格した時、アルーストック戦争と呼ばれる新たな紛争が起こった。ニューブランズウィックとメインの境界は1842年にウェブスター=アッシュバートン条約が締結されるまで解決しなかった。 1814年9月、サー・ジョン・コープ・シャーブルックがイギリス軍を率いてメイン東部に侵入し、カスティーネ、ハムデン、バンゴーおよびマシアスの町を占領した。この地域のアメリカ人はイギリスに対する忠誠を誓うかその地を去るかの選択を迫られた。大多数の住民は国王への忠誠を誓い、武器の所持も許された。 この地域は終戦時に両軍が占拠していた領域のうち唯一の大きなもので、ガン条約でアメリカ合衆国に返還された。しかしイギリスは1815年4月までメインから退去せず、撤退時にはメイン占領期に徴収した税金として残っていた多額の金を持ち去った。この金は「カスティーネ基金」と呼ばれ、ノヴァ・スコシア州ハリファックス市のダルハウジー大学の設立に使われた。
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「大西洋沿岸」の例文・使い方・用例・文例
- 南北アメリカの大西洋沿岸で見つかる
- 北大西洋沿岸沖の岩島にすむ大型の飛べないウミスズメ
- 米国大西洋沿岸産の黒い色の小型クジラ
- 北米の大西洋沿岸沖で見られる
- 肉厚な胸びれと腹びれで這いずり回る、偏平な鱗の無い体を持つ温帯の西大西洋沿岸海域にすむ深海魚
- 細長い体と長い棘のある尾ひれを持つ、米国大西洋沿岸産の様々な食用魚、および釣魚各種
- 熱帯大西洋沿岸水域にすむテンジクダイ
- サウスカロライナ州からメイン州にかけての北米の大西洋沿岸海域で見つかる
- 北米の南大西洋沿岸海域にすむヨーロッパマダイ
- 北米の大西洋沿岸の黒い大型食用魚
- 米国の北大西洋沿岸海域に普通の魚
- 北大西洋沿岸海域に生息する鱗の無いぬめりのある食用魚
- 北アメリカの大西洋沿岸に生息する商業的に重要な大型のサバ
- 米国の温帯地域の大西洋沿岸に産する大型食用サバ
- 大西洋沿岸産の小型食用魚
- 非常に薄い半透明なヒラメで、北米大西洋沿岸に産する
- 特にアメリカ大西洋沿岸域にすむ商業的に重要な魚の肉
- 大西洋沿岸や沿岸の潮流に豊富なシャドに似た魚の肉
- 大西洋沿岸・メキシコ湾産の赤みがかった脂の少ない貴重なスナッパー
- 非常に細長い葉を持つ水中海洋植物で、北大西洋沿岸に沿って多数生育している
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