品川巻とは? わかりやすく解説

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しながわ‐まき〔しながは‐〕【品川巻(き)】

読み方:しながわまき

醤油(しょうゆ)で味をつけた細長いせんべい海苔(のり)を巻いたもの。名は海苔産地品川にちなむ。


煎餅

(品川巻 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/19 16:26 UTC 版)

日本の煎餅とその断面

煎餅(せんべい、: rice cracker[1][2])とは、米粉小麦粉などを練り、薄くのばし鉄板などで焼いた菓子。多くは薄く丸い形状をしている。

種類

煎餅屋
中華圏の煎饼(ジエンビン)
煎餅を焼く

小麦粉を主材にするものと米粉を主材にするものとに大別される。日本食品標準成分表ではそれぞれ小麦粉を用いたものを「小麦粉せんべい」、米を用いたものを「米菓」に分類する[3]

小麦粉を原料とする小麦粉せんべい(小麦粉煎餅)には、磯部せんべい、かわらせんべい、巻せんべい、南部せんべいなどがある[3]。小麦粉をこね、砂糖、調味料、香味料などを加えて鉄の型に入れて焼いたものである[4]

一方、うるち米を原料とするせんべい類は米菓[注釈 1]に分類される[3]。うるち米を原料として、米を搗(つ)いた後すぐに成型し、乾燥させて焼いたものである[6]。全国米菓工業組合の分類では「せんべい類」は、焼きせんべいと揚げせんべいに分類され、さらに焼きせんべいは草加型(かため)、新潟型(ソフト)、ぬれせんべいに分類している[5]。伝統的な草加型のせんべいは堅焼きで腹持ちの良さを特徴とするのに対し、1960年代以降に開発された新潟型はソフトな食感で腹にたまらず連食性を高めている点を特徴とする[7]醤油による味付けをしたものが多く、煎餅を焼いて売る『煎餅屋』もみられる[8]

関東ではうるち米の粉を円盤状に加工して焼いた塩せんべい、関西では水溶きした小麦粉に甘味を加えて焼いた「瓦せんべい」が代表的である[9]

また、魚・えびなどを調味して薄く成形した菓子を指して言う場合もある[10]

語釈

表記

漢字では「煎餅」と表記するが、「餅」(ビン)という字は中国では主に小麦粉食品の総称をいう[9]。また、「煎」(ジェン)は鉄板や鍋底で食物を焼くことを指す[9]

呼称

正倉院文書に含まれる天平9年(737年)の『但馬国正税帳』には「煎餅」の文字があり、別筆で「伊利毛知比」と添えられており「いりもちい」と呼ばれていた[11]。ただし、正倉院文書には「煎平」「前(煎ヵ)平」「先并」と表記したものもあり、「せんべい」とも呼ばれていた[11]

略称としては「おせん(御煎)」という呼び方がある。昔、映画館などで休憩時間に売り子が「おせんにキャラメル」の呼び声で菓子を売り歩いた[12]

九州地方には「せんぺい」と称する商品がある[13]二○加煎餅[13]九十九島せんぺい、湯せんぺいなど)。この点については方言として山口県や九州地方では「せんぺい」、それ以北では「せんべい」という説があるほか、米を主原料にしているものを「せんべい」、小麦粉を主原料にしているものを「せんぺい」と区別しているなど諸説ある[13]

なお、沖縄県には、ちんびん(煎餅)という伝統菓子がある。黒砂糖を混ぜた小麦粉の生地をフライパンで焼いたもので、クレープのように柔らかく、日本の他地域の煎餅とは異なる。

歴史

中世

先述のとおり、天平9年(737年)の『但馬国正税帳』に「煎餅」の文字があるが、別筆で「伊利毛知比」と添えられており、大和ことばで「いりもちひ=煎り餅」と呼ばれていたと考えられている[9]。正倉院文書に見られるものについては諸説あるが、一説には茹でた生地をこねてから天日干しし、胡麻油を引いた土鍋で煎った後に水飴をかけて食していたのではないかとする説がある[11]

10世紀前半に成立した『和名類聚抄』によるとコムギ粉を油で熬(い)ったものであるとしている[9]

近世

江戸時代には江戸の市街で小麦粉を原料とする煎餅を売る店や露店があり、大田南畝は「まんじゅうせんべいはあまいもの」と記している[9]。一方で『日葡辞書』の日本語版では「Xenbei 米を原料とした一種の聖体パンに似たもの」とあり、米を主原料とする煎餅も存在していた[9]

草加せんべい

草加せんべい発祥の地の碑

草加市では、日光街道の2番目の宿場町だった草加宿(現在の埼玉県草加市)で団子屋を営んでいた「おせん」という老婆が、ある日、に「団子を平らにして焼いたらどうか」と言われて売り始めたのが起源であり、煎餅(せんべい)という名称は老婆の名前に由来する、という伝承がルーツとして語り継がれている[14]

草加宿一帯の農家では、蒸した米をつぶして丸め、干したもの(「堅餅」という)に塩をまぶして焼き、間食として食べていた。草加宿が日光街道の宿場町として発展したことに伴い、この塩味の煎餅が旅人向けの商品として売り出され、各地に広まった。その後、利根川沿岸(千葉県野田市)で生産された醤油で味をつけるようになり、現在の草加煎餅の原型となった[15]。これは船によって江戸に伝えられ広まっていった。

他方で、日光街道草加松原茶屋において売られていた団子を「焼き餅にして売ったらどうか」と提案されて売り出されたものが名物となった、という説もある。[16]

日本の主な煎餅

煎餅

米菓で煎餅類とされるもの

ぬれせんべい
  • 塩煎餅・醤油煎餅 - 醤油を塗って焼いた煎餅のことも塩煎餅という[17]
  • 激辛煎餅(東京都葛飾区青戸に本社を構える『神田淡平』発祥のとても辛い辛子煎餅。1986年度の流行語大賞にて『激辛』で銀賞を受賞。)
  • ぬれせんべい[5](千葉県銚子市が発祥地であり、銚子電気鉄道などが販売している)
  • 田子作煎餅[18][要説明]
  • 揚げ煎餅[5] - ぼんち揚、歌舞伎揚の商標で知られるうるち米を用いた丸いもののほか、綱揚げなど、餅米を用いたり、形状が異なるものもある
  • ソフト煎餅・サラダ煎餅 - 塩味で餅米を用いた揚げ煎餅をこう呼ぶことがある。「サラダ」とは焼いたあとにサラダ油をからめている事から。[19]
  • オランダせんべい山形県酒田市
  • おにぎりせんべいおにぎりのように三角形をした煎餅)
  • ソース煎餅
    • 小さいせんべいにソースで味付けをしたもの
    • 駄菓子の一つで、ソースやジャムなどを塗って食べるもの。露店で売られている事も多い。

甘味煎餅

瓦せんべい
鹿せんべい

小麦粉煎餅

南部煎餅
  • 南部煎餅 - 旧八戸藩地域に伝承の焼成煎餅。元々は保存食として作られた物で、甘くなく、揚げたり鍋に入れるなどして食卓に提供されてきた。(せんべい汁参照)変わり種に甘みを付け加えたものもある。
  • 亀の子せんべい - 岩手県一関市に伝承の小麦粉生地を亀の甲羅の形にして胡麻飴を塗って焼いたもの。
  • 牛乳煎餅 - 東京都大島町など。牛乳の風味を加えた甘い煎餅。
  • かたやき - 三重県上野市など。

澱粉煎餅

蛸せんべい

煎餅ではないもの

脚注

注釈

  1. ^ 米菓はもち米を原料とする「あられ類」と、うるち米を原料とする「せんべい類」の総称をいう[3]。なお、全国米菓工業組合の分類では、もち米を原料とするものは、あられ(主として小型)、おかき(主として大型)、揚げ餅に分類している[5]

出典

  1. ^ KAMEDA SEIKA GROUP'S VISION” (英語). 亀田製菓. 2022年12月14日閲覧。
  2. ^ “SANKO SEIKA” Rice Crackers” (英語). 神戸食品産業. 2022年12月14日閲覧。
  3. ^ a b c d 15)菓子類”. 文部科学省. 2025年6月25日閲覧。
  4. ^ 百科事典マイペディア. “せんべい(煎餅)(せんべい)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2024年5月26日閲覧。
  5. ^ a b c d 米菓の分類”. 全国米菓工業組合. 2025年6月25日閲覧。
  6. ^ おせんべいが出来るまで”. 全国米菓工業組合. 2025年6月25日閲覧。
  7. ^ 近藤 政幸、高橋 俊一. “新潟県食品産業の担い手としての米菓研究”. 新潟経営大学・新潟中央短期大学. 2025年6月25日閲覧。
  8. ^ 煎餅の歴史”. 神田淡平. 2020年3月4日閲覧。
  9. ^ a b c d e f g せんべい談”. 公益財団法人味の素食の文化センター. 2025年6月25日閲覧。
  10. ^ 世界大百科事典,和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典,世界大百科事典内言及, デジタル大辞泉,日本大百科全書(ニッポニカ),改訂新版. “煎餅(センベイ)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2024年5月26日閲覧。
  11. ^ a b c 三舟 隆之、寺山 夏未、鳥山 陽菜乃. “古代の 「煎餅」 の再現への試み”. 東京医療保健大学 紀要 第1号. 2025年6月25日閲覧。
  12. ^ 御煎にキャラメル(おせんにキャラメル)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書”. goo辞書. 2025年3月16日閲覧。
  13. ^ a b c 原田 たかし. “【豆知識】なぜ九州地方では煎餅を「せんぺい」と呼ぶのか”. ロケットニュース24. 2025年6月25日閲覧。
  14. ^ 草加せんべいの歴史と現在 - 草加市役所”. www.city.soka.saitama.jp. 2023年8月26日閲覧。
  15. ^ 草加せんべいの歴史と現在”. 草加市 (2014年10月6日). 2020年3月4日閲覧。
  16. ^ なんと言っても草加煎餅
  17. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ),デジタル大辞泉. “塩煎餅とは”. コトバンク. 2021年5月13日閲覧。
  18. ^ 田子作本舗. “田子作煎餅”. 田子作煎餅公式ホームページ. 2019年2月8日閲覧。
  19. ^ よくあるご質問 Q18「サラダ味」の「サラダ」ってどんな味を言うのですか?」”. 亀田製菓. 2020年3月4日閲覧。
  20. ^ 生せんべいとは”. 知多 知多銘菓 生せんべい | 総本家田中屋. 総本家田中屋 (2008年4月17日). 2024年5月26日閲覧。 “愛知県知多半島の特産銘菓「生せんべい」は、お餅のようにもちもちとした歯ざわりで、黒砂糖と蜂蜜のほのかな甘みが口に広がる風味豊かな半生菓子で、どこか懐かしい味が楽しめます。”

関連項目

外部リンク




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