スピンオフ作品『昭和異聞 灼熱の時代』の登場人物
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いずれも、本編への逆輸入は行われておらず、本編の時間軸での動向は、最終回で数名明かされたに留まる。 小谷香織(こたに かおり) 『灼熱の時代』でのヒロイン。プロ棋士時代の神宮寺が住むアパートのお隣さん。昼は仕出し屋、夜は飲み屋で働く。花山曰く「神宮寺にはもったいない位のべっぴんさん」。小作農の娘で、本家の息子と政略結婚させられたものの、男児を授かれず離縁された過去を持つ。そのため、女手ひとつで長女・留美を育てている。神宮寺に好意を寄せている。単行本9巻途中からは、髪を短くしている。第33期名人戦の後、神宮寺と再婚した模様。姿は描かれていないものの、本編の時間軸でも健在。 小谷留美(こたに るみ) 小谷香織の長女。神宮寺のことを「ジンおじちゃん」と呼んで慕っており、母・香織が神宮寺と再婚することを願っている。姿は描かれていないものの、本編の時間軸でも健在で、子供も授かっている。 高木健吉(たかぎ けんきち) プロ棋士時代の神宮寺が住むアパート「月光荘」の大家。年齢は物語開始時点で71歳。神宮寺・小谷家と家族のように付き合っており留美を孫のように可愛がっている。第二次世界大戦終結前は、小物問屋を経営していた。子供は3人(良太、章太、妙子)居たが、良太はミッドウェー海戦で戦死、章太、妙子は東京大空襲で死亡している。 高木イク(たかぎ イク) 健吉の妻。年齢は物語開始時点で66歳。東京大空襲で被災したが、辛くも生き延びた。 田中七郎(たなか しちろう) 十五世名人。1924年(大正13年)3月3日生まれ。1951年(昭和26年)に名人獲得以来、20年間タイトルを防衛し続ける。小作農の7人兄弟の末っ子として生まれ、体が小さくひ弱なため疎まれていたが、学校の上級生が将棋をやっていたのを見たことで将棋にのめり込み才能を開花させた。戦中にはガダルカナル島に投入され死地を彷徨うが、捕虜となって生還した過去を持つ。棋風は何の特徴もなく相手の攻めを全て受け続け反撃に転じる振り飛車。既婚者だが、妻(笛子)の存在が明かされたのは単行本9巻から。対局以外では、合間を縫って全国で講演会を実施するなど、笛子側が背負っていた多額の負債の返済に奔走した一面も持つ。第33期名人戦にて、神宮寺と8年ぶりに激突。序盤は3連敗と劣勢を強いられたが、相穴熊で2勝までは盛り返す。最終的には名人位を奪取されたが、その後も生涯A級を維持した。通算1433勝。晩年は癌に侵されており、本編の時間軸では故人となっている。亡くなる直前、将棋の鬼であったが故の代償と、神宮寺に対する本心を笛子に明かしている。大山康晴がモデルである。 田中笛子(たなか ふえこ) 七郎の妻。第二次世界大戦後に没落した旧華族、青木家の娘。七郎との出会いは学生時代で、七郎は彼女に亡き母親の面影を見た。将棋の鬼としての道を進む七郎を案じている。本編の時間軸でも健在で、神宮寺を通じて将棋連盟に夫の遺産を託した。 丸藤力也(まるふじ りきや) 八段。年齢は1973年度の順位戦開幕時点で47歳。A級在籍が通算12年にも及ぶ実力者。終盤での怪力には定評がある。 美崎智彦(みさき ともひこ) 八段。年齢は1973年度の順位戦開幕時点で40歳。旧華族の出で不動産屋の三男坊。美しい将棋を信条とする。打倒名人を掲げた研究会を主宰しており、柳原も入っている。重度の心疾患を患っており、神宮寺との対局中に倒れ不戦敗となったこともある。山田道美がモデルである。 山南博史(やまなみ ひろし) 八段。芸能界で活躍する、神宮寺の兄弟子。名刀山南と呼ばれている。神宮寺との対局で敗れる。 山南良子(やまなみ よしこ) 博史の妻。伝説の囲碁棋士といわれる呉澄平(ご ちょうへい)を父に持つ。向こうっ気の強さと肝の据わりっぷりは父譲りで、怒ると手がつけられなくなるが、気立ては良い。神宮寺は「良子姐さん」と呼んでいる。岩崎富子のファン。 花山勝利(はなやま かつとし) 八段。年齢は1973年度の順位戦開幕時点で51歳。真剣師からプロ棋士となった。第15期名人戦で田中に敗れる。2メートルはあろうかという巨体で、浪速の大妖狐と呼ばれる。身なりに対して細かい動きにより相手をかき乱す技巧派で、当時では少数派の振り飛車使い。神宮寺と香織の関係を応援している。神宮寺のことを「虎ちゃん」「虎助」と呼ぶこともある。神宮寺を鍛えるため、単行本5巻では真剣師の小山を月光荘に送り込んだ。花村元司がモデルである。 大道棋のシン(だいどうぎのしん) 大道詰将棋を生業とする男性。秋祭りで、神宮寺の正体を知らずに詰将棋対決を申し込んだ。 山川辰吉(やまかわ たつきち) 極道「関東白泉会」の組長。年齢は初登場(1969年)時点で76歳。代貸時代に花山の棋力に惚れ込み、彼をプロ棋士へと転向させる道筋をつけた。1974年時点でも、初期以上に老けているものの存命している。 黒田琢磨(くろだ たくま) 八段。年齢は1973年度の順位戦開幕時点で33歳。大学卒で歯科医の免許を持つ、A級棋士。過去3回、名人戦に登場。銀座のclub TSUBAKIのママとは、自宅に泊まる仲。写真に撮られるのを非常に嫌っている。少ない手数(速い速度)で相手の玉に寄せる戦術を駆使し、神速流と恐れられる。居飛車党だが、名人戦連敗後の研究成果から振り飛車も指せるようになった。普段は対局中も大きくは表情を変えないが、A級順位戦のプレーオフ後半では、荒々しい表情を見せた。谷川浩司がモデルである。 斎藤誠(さいとう まこと) 八段。年齢は1973年度の順位戦開幕時点で33歳。演歌歌手でもあり山南とは盟友。A級棋士。本村を理想として憧れている。棋風は自在流ひねり飛車。 本村雄造(もとむら ゆうぞう) 九段。実力制第4代名人。A級棋士。年齢は1973年度の順位戦開幕時点で59歳。田中の兄弟子。一度は田中から名人位を奪取するが、防衛に失敗。以来、将棋を指すのが怖くなり、斎藤から神宮寺の評価を聞くまで不戦敗を続けていた。華のある魅せる将棋で新手一生を信条とし、停滞した棋界に新風を吹き込んだことから憧れる棋士も多い。升田幸三がモデルである 前田次郎(まえだ じろう) 八段。年齢は1973年度の順位戦開幕時点で30歳と、当年度のA級棋士では最年少。「元・天才少年」の異名を持つ。 鈴木龍昇(すずき りゅうしょう) 八段。年齢は1973年度の順位戦開幕時点で42歳。将棋は強いものの、タイトルには届かないため「悲運な絶対王者」の異名を持つ。 小山直毅(こやま なおき) 真剣師。花山八段の肝入りで、大阪から神宮寺の自宅に居候していた。居候時、柳原六段に勝利するが、神宮寺八段に敗れ、月光荘を去る。その後、行方不明とされていたが、愛媛で真剣師を続けていることを花山と神宮寺に知らせている。この時の闘いで神宮寺八段は、泥沼流居飛車穴熊(どろいび)を完成させる。振り飛車使い。 岩崎富子(いわさき とみこ) 小説家。1924年(大正13年)1月1日生まれ。大阪の船場出身。実家は、先祖代々続いた干物屋。大阪大空襲の被災者で、自身は奇跡的に助かったが、同居している家族を全て失った。『週刊太陽』に『大地の王』を連載していたが、無期限休載し、神宮寺の半生記『灼熱の時代』を書くため、月光荘204号室に入居する。旧京都女子大卒業後、新聞社に入社し、政治部に配属後、小説家に転身する。デビュー作で直木賞を受賞。メルセデス・ベンツW113・280SL所有。蛙の髪飾りを愛用している。神宮寺には当初は高圧的に接していたが、徐々に打ち解けていき、終盤では第33期名人戦の準備に協力する(マスコミのコントロールや練習場所の提供、練習相手としてA級棋士を集める)など、彼のマネージャー的な役割も担った。本編の時間軸でも健在。 角田雄蔵(かくだ ゆうぞう) 『灼熱の時代』当時の日本将棋連盟会長で、棋士としても現役A級として活躍を続ける。年齢は1973年度の順位戦開幕時点で54歳。田中の兄弟子で岩崎富子の大ファン。名人戦で不遜な振る舞いをした神宮寺の棋士登録をうっかり抹消し忘れたことで神宮寺の復活に寄与した。 浅井秀樹(あさい ひでき) 当時の『現代将棋』編集長。角田とは角ちゃん秀ちゃんと呼び合う親しい仲。横暴な田中の振る舞いに頭を痛めている。 如月真琴(きさらぎ まこと) 女優。本名は中村明美(なかむら あけみ)。神宮寺が最初の名人戦挑戦前の時期に交際していた、清楚で華やかさを持つ女性。名人戦での失態の負い目から、神宮寺が身を引く形で破局している。神宮寺の活躍を祈りつつも、1971年に俳優の田山次郎との結婚を決めている。
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