オブジェクトの兵装・技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 09:07 UTC 版)
「ヘヴィーオブジェクト」の記事における「オブジェクトの兵装・技術」の解説
オニオン装甲(タマネギ装甲) オブジェクトに使われている装甲。高耐火反応剤を絶妙なバランスで混合した鋼板を何十何百と重ねた積層構造(耐核用の鉛の層も含む)となっており、それによって従来兵器を無効化する圧倒的な堅牢さと核爆発すら耐える驚異的な衝撃拡散効果を有する。防御性能以外にも、損傷した箇所を部分的に交換できるという利点もある。なお、装甲板の全てが職人の手作業による特注品であり、安価な大量生産は不可能。電波遮断効果もある。値段が高い。 プリント基板式送電装置 絶縁物質と導体物質をセットで鋼板に焼き付け装甲にケーブルに相当する回路を設けることで、中心部の動力炉から外装部の砲身までケーブルを一切使わずに装甲の防御力を下げることなく電力供給を行う機構。 JPlevelMHD動力炉 オブジェクトに使用されている電磁流体発電を利用した動力炉。出力は従来型動力炉の軽く数百倍を越え、巨大なオブジェクトの高速機動と、膨大な数の高出力兵器の同時稼働を実現している。燃料には融解後に構造を変化させ、再固化した石炭を使用しており、一度の補給で5年間稼働。基本的には電子制御により機械的に出力調整されるが、エリートの手でマニュアル操作も可能。小刻みに停止させることが出来ない為待機時はケーブルを使って整備基地に電力を供給している。 推進(浮遊)方式 オブジェクトは重量20万トンという超重量に反して時速500kmもの高速機動性能を持つ。これを実現する推進方式は様々なものが存在するが、作中では主に2つに大別される。静電気式 脚部に静電気を発生、さらに特殊な反発剤のスプレーを地面へ常に噴射し続ける事で、帯電した機体と地面を強く反発させ機体を浮遊させる方式。稼働中は雷鳴が走るような低い音が響く。反発剤は2,3日で自然分解される上、動植物に無害な成分で調製され環境に配慮されている。 海上での運用はできないため、海戦を想定する場合は海上用フロートを併用する必要がある。浅い水たまり程度なら難溶性の反発剤を用いる事で強引に踏破できるが、環境に悪影響を与える。 エアクッション式 ホバークラフトと同様の原理で、リフトファンで周囲の空気を取り込み莫大な空気圧を利用して機体を僅かに浮遊させる方式。地面と機体底面が平行になるように圧縮空気を閉じ込めて緩衝材として扱う機構上、地形の凹凸がある陸上でも可能ではあるがどちらかと言えば平坦な海上の方で実用化が進んでいる。 推進(浮遊)装置の形自体は、平板形の「スカート式」と昆虫の脚のような「多脚式」の2つに主に大別される。 砲門 オブジェクトには、レールガン、コイルガン、レーザービーム砲、電子ビーム砲、下位安定式プラズマ砲などの専用武装が大小100門以上装備されており、戦艦のように用途の異なる主砲および副砲に分類される。一般に、オブジェクト級の砲台を戦車や爆撃機に別途配備してJPlevelMHD動力炉の電力を借り受ける方式は意味がないとされる。これは発射時の衝撃波や輻射熱で自壊してしまうからであり、仮に重装甲化して耐久性を向上させたところで今度は自重で潰れてしまうという問題が浮上する。レールガン JPlevelMHD動力炉から供給される莫大な電力を利用し、砲弾を電磁誘導により加速して撃ち出す砲台。レーザービーム砲と並ぶほど大電力を消費する。 コイルガン 導線を束ねて作った巨大なコイルの中にスチール製の砲弾を置く事で、磁力を利用し飛翔体を撃ち出す砲台。砲弾は一般的に直径1m弱、重量は1t以上。電磁石の数が多いほど威力が増すため、砲身は長く取るのが常道。構造上の問題からレールガンのような高初速が得られない反面、消費電力が低いという利点がある。 レーザービーム砲 高エネルギーレーザーを照射する砲台。レーザー光線は可視領域外だが、空気中の塵や埃や水分を焼くため残像が軌跡となって視認できる。距離による威力の減衰はあるが、速度に変化はない。光速で飛来するレーザービームは視認してから回避する事ができないため、オブジェクト戦では敵機のセンサー、照準用レンズ、砲身などから発射前動作を察知して回避行動を取る必要がある。 電子ビーム砲 砲弾として電子を亜光速(もしくはそれ以上)まで加速し、JPlevelMHD動力炉の膨大な電力を利用した磁界により電子を直進させる砲台。 下位安定式プラズマ砲 特殊ガスを砲身に充填した上でそこにJPlevelMHD動力炉から供給される膨大な電気を流す事で人工的な青白いプラズマを発生させ、莫大な磁力により指向性を整え放射する砲台。一般的には射程距離が10km前後であり、オニオン装甲を貫通できるレベルとなると3〜4kmまで接近する必要がある。最大効率でエネルギーを破壊力に変換できるため、威力のみならレールガンやコイルガンやレーザービーム砲を超える火力を誇る。 主砲 JPlevelMHD動力炉の莫大な電力により極限まで火力を高めた、オニオン装甲を撃ち抜けるレベルの大火力の砲台。砲身が巨大なため、その構造上オニオン装甲で覆う事はできない。対オブジェクト戦におけるメインウェポンであり、主砲を失う事はオブジェクト戦において有効打を失う事を意味する。 副砲 オニオン装甲にダメージを与えるための主砲とは異なり、センサー等の装甲以外の兵装の破壊や、撃ち合いの牽制、あるいは旧世代兵器や対人用など対オブジェクト戦以外に使用される。オニオン装甲を覆うように100門近く砲台が取り付けられている。副砲クラスでもレールガンではマッハ5相当の威力を誇り、旧世代兵器とは一線を画する。 第8世代暗号通信 オブジェクトに用いられている通信システム。量子鍵を用いた暗号通信が採用されており、介入や傍受から守られた絶対的に安全な通信が可能。量子鍵とは量子鍵配送において通信を行う二者に供給される暗号鍵の事を差し、量子力学を用いてランダムに生成されるもので、盗聴が検知された場合には破棄される仕組みとなっている。 機密保護装置 敵勢力に鹵獲される事を防ぐためにオブジェクトに搭載されている自爆機能。各機によって設定が異なるが、自機が大破せずに行動不能に陥った際にエリートの意志とは関係なく自動的に作動する。 エリート オブジェクトの操縦士。各国、各軍で養成方法は異なるが「エレメント」と呼ばれる適合条件がある。「エレメント」には単純な身体能力や芸術性の様な『資質の卵』も必要となるが、最も重要となるのは該当者の人権を侵害しても文句を言わずに国家の思惑通りに従うような人格であること。「個人の思惑を抑え、国家の」各オブジェクトに合わせてエリートは自分の身体、脳を調節されるので、自分のために開発されたオブジェクトか、同じ樹形図の後継機しか操縦することはできない。作中では何故かどのエリートもひらがなを多用した(漢字を殆ど使わない)しゃべり方をする。 オブジェクトの操縦形態(インターフェース)は各エリートに合わせて個別に用意される。オブジェクト搭乗時は時速500km近い高速機動が行われるため、専用のスーツを着用し、耐Gスーツと同様の原理で下半身を圧迫する事で血流を堰き止め、脳の虚血状態を防止する。また、エリートのバイタル調整も「メンテナンス」と呼ばれるほど厳重に管理されており、各エリートに合わせた独特な方式が取られる(フルートの調律、瞑想、入眠時幻覚など)。 『正統王国』では救国の英傑、『情報同盟』ではアイドルなど戦時広報としてエリートを神格化する動きは各世界的勢力にそれぞれある。特に『信心組織』ではその傾向が強く、オブジェクトは一種の神殿であり神官や巫女であるエリートのカリスマ性を増幅させるための装置といったイメージが浸透している。
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