飛翔体
飛翔するもの、空中を飛んで移動する物体。とりわけ、高高度を飛ぶ人工物で、より具体的な区分呼称で呼ぶことが難しいものを指す場合に用いられる。
高高度を飛ぶ人工物としては、航空機、宇宙ロケット、弾道ミサイル、などがある。飛翔体はこれらの語彙の上位に位置する概念であるといえる。航空機やロケットといった区分をもって明示できる場合には、ことさら飛翔体の語は用いられない。航空機も宇宙ロケットも含む場合(総称として)、あるいは、航空機なのか弾道ミサイルなのか判然としない場合に、飛翔体の語が多く用いられる。
報道などでは北朝鮮などから発射された「弾道ミサイルの疑いが高いもののミサイルだと断定はしかねる物体」を飛翔体と呼んで報じることが多い。ミサイルと断定できる場合には「北ミサイル」のような呼称で報じられることがある。
ひしょう‐たい〔ヒシヤウ‐〕【飛×翔体】
飛翔体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/23 08:30 UTC 版)
飛翔体(ひしょうたい)は、地球表層から宇宙空間における航空機、気球、観測ロケット、人工衛星など飛翔する物体の総称[1]。飛翔体あるいは飛行体(ひこうたい)と呼ばれるが論文等では予め範囲を明確に示すことがある。
種類
飛翔体(飛行体)には、航空機、GEM(地面効果機)、スペースシャトル、ミサイル、宇宙船など様々なものがある[2][3]。
宇宙空間の飛翔体
1957年6月、国連軍縮委員会は小委員会で宇宙空間に投入された物体の管理の討議を始めた[4]。さらに同年10月にはスプートニク1号が打ち上げられたが、人工衛星の第三国の上空通過が領空侵犯ではないかという議論を生じた[4]。
クーパーはパリ条約及びシカゴ条約の「飛行空間」の概念から、飛行空間は宇宙空間とは区別され後者には各国の主権は及ばないと主張した[4]。この主張が支配的になり飛行空間と宇宙空間の領域確定問題が生じた[4]。地球物理的なデータと空力学的な議論から高度83km(カーマン・ライン)を飛行空間の上限とする[4]。
近年は「弾道ミサイル」を指して「飛翔体」の語を使用する場合がよく見られるが、日本政府では2020年から公式な場での使用を取りやめている[5]。
出典
- ^ 飛翔体観測推進センター 名古屋大学宇宙地球環境研究所飛翔体観測推進センター、2020年03月21日閲覧。
- ^ 図1-1-1 飛行体の分類図 日本航空、2020年03月21日閲覧。
- ^ 航空実用事典 航空機 日本航空、2020年03月21日閲覧。
- ^ a b c d e 名和小太郎, 「領空か 宇宙空間か」『情報管理』 2007年 50巻 5号 p.288-290, doi:10.1241/johokanri.50.288, 科学技術振興機構、2020年03月21日閲覧。
- ^ “「飛翔体」じゃ危機感ない? 日本政府、表現変えました”. 朝日新聞デジタル (株式会社朝日新聞社). (2020年3月2日) 2022年1月19日閲覧。
- 飛翔体のページへのリンク