アーク溶接とは? わかりやすく解説

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アーク‐ようせつ【アーク溶接】

読み方:あーくようせつ

電気溶接の一。アーク放電によって生じ高熱利用して金属溶接する方法


アーク溶接

英語 arc welding

相対する両極電源をつなぐとアーク発生するが、このアーク熱エネルギー利用して行う溶接をアーク溶接という。アーク溶接法は溶融金属の酸化窒化を防ぐため使用するシールド材などにより被覆アーク溶接炭酸ガスアーク溶接などいくつかの方法分類されるまた、母材(被溶接物)と溶接棒間のアーク利用する式と、母材電極の間のアーク利用する非溶式、溶接電流交流直流かにより交流アーク溶接と直流アーク溶接という分類もされ、これらを総称してアーク溶接という。

アーク溶接

参照 アーク電圧
※「大車林」の内容は、発行日である2004年時点の情報となっております。

アークようせつ アーク溶接 arc welding

溶接部溶接棒電極としてその間アーク発光放電)を発生させ、その熱によって溶接棒を溶かし落着させる接合方法で、「電弧溶接」ともいう。器具方法によっていくつかの分類がある。金属アーク溶接、交流アーク溶接、自動アーク溶接、サブマージアーク溶接など。

アーク溶接

電気アーク気体中の正負電極間を放電する現象であり、低電圧・高電流特徴である。電気アーク温度数千から数万度と非常に高いため、これを溶接時の熱源として用い方法がアーク溶接である。アーク溶接では金属材料電極の間にアーク発生させ、その熱で接合部局所的に溶融させ接合を行う。
一方金属大気中で溶接すると、大気中の酸素窒素溶融金属の中へ溶け込んで溶接部分の機械的性質劣化することが多い。そのため一般的には被覆剤フラックスなど)や不活性ガス用い溶融部分大気から遮断して溶接する
アーク溶接は最も広く用いられる溶接法で、溶接する対象合わせ様々な方法開発され使用されている。

被覆アーク溶接

アーク溶接の種類
被覆
アーク溶接
心線の回り被覆剤塗った被覆溶接棒材料母材)との間にアーク発生させ、溶接棒母材とを溶融させて溶接する方法
手作業での溶接
サブマージ
アーク溶接
母剤継手部の表面盛り上げた微細な粒状被覆剤中に、裸溶接棒電極として差し込みその先端と母材との間にアーク発生させ、連続的に溶接を行う自動溶接法。
造船鋼管建築構造物など大型厚板溶接
溶接部アルゴンAr)やヘリウム(He)など、高温においても母材金属反応しない不活性ガス雰囲気保ち溶接する方法
電極消耗少なティグTIG溶接と、溶接ワイヤを溶かしながら溶接するミグMIG溶接がある。
銅合金アルミステンレス合金溶接
炭酸ガス
アーク溶接
シールドガスとして安価な炭酸ガスCO2)を用い溶接ワイヤ使用して溶接する方法自動溶接行われることが多い。
自動車造船など軟鋼低合金鋼溶接
ノーガス
アーク溶接
ガスシールドを行わず自動溶接
行う場合
鋼の溶接
溶融したスラグ中に電極ワイヤノズルから送給しスラグ内を流れ電流ジュール熱によって電極ワイヤおよび母材溶融させる方法炭酸ガスシールドガスとし、アーク溶融池を形成しながら溶接金属水冷銅板冷却しながら溶接する
厚鋼板用いた大型構造物溶接
片側からアーク熱による点溶接を行う方法。イナートガス雰囲気溶接を行う。
スポット溶接
ボルトスタッド)をチャック挟み電流流してボルト平板の間にアーク発生させ、両者適当に溶融した状態でボルト平板に圧接して溶接する方法
平板とボルト・ピンなどの溶接
水冷拘束ノズルによってアーク緊縮させて1万~2万度高温プラズマ流を形成させ、これを熱源として溶接する方法 融点 材料溶接
電極タングステン不活性ガスとして水素ガス用い溶接法。
薄板特殊鋼溶接

用語解説

機械的性質
引張強さ降伏点伸び絞り硬さ衝撃値、疲れ強さクリープ強さなど、機械的な変形及び破壊関係する諸性質
溶接棒
溶接時の溶け込み部分充填する必要のある場合には溶接棒呼ばれる母材同種の金属棒を電極として用い両者溶融させ供給源とする。
軟鋼
鋼のうち炭素含有量が0.12〜0.30%のものを軟鋼という。建築用構造材水道管など一般的な用途用いられる
特殊鋼
炭素鋼普通鋼)に他の元素加え特別な性質持たせたものを総称して特殊鋼と呼ぶ。添加する元素としてはニッケルマンガンタングステンモリブデンクロムアルミ多様である。
※本用語集は、索引元の東大阪市製造業支援サイト「東大阪市技術交流プラザ」において、平成16年度委託事業で構築したコンテンツです。

アーク溶接

母材電極間、または二つ電極間に発生するアークの熱を利用して行う溶接総称
電極溶ける消耗式と溶けない消耗式がある。

アーク溶接

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/15 16:10 UTC 版)

アーク溶接(アークようせつ、英語:arc welding)とは、空気(気体)中の放電現象(アーク放電)を利用して、同じ金属同士をつなぎ合わせる溶接方法である[1]。アーク溶接の用途は広く、自動車鉄道車両船舶航空機建築物建設機械など、あらゆる金属構造物に一般的に使われている。母材は鉄鋼が多いが、アルミニウムチタンなどほかの金属にも利用される。


  1. ^ 現場で役立つ溶接の知識と技術 p.22
  2. ^ 安田克彦『絵とき「溶接」基礎のきそ』日刊工業新聞社、2006年、19頁
  3. ^ 安田克彦『絵とき「溶接」基礎のきそ』日刊工業新聞社、2006年、21頁
  4. ^ 現場で役立つ溶接の知識と技術 p.17
  5. ^ 現場で役立つ溶接の知識と技術 p.71
  6. ^ 現代溶接技術大系 第31巻 p.42,p.43
  7. ^ 現代溶接技術大系 第36巻 p.9
  8. ^ a b 現代溶接技術大系 第2巻 p.26
  9. ^ 現場で役立つ溶接の知識と技術 p.72
  10. ^ 現場で役立つ溶接の知識と技術 p.73
  11. ^ 現場で役立つ溶接の知識と技術 p.74
  12. ^ 現場で役立つ溶接の知識と技術 p.81
  13. ^ 現場で役立つ溶接の知識と技術 p.82
  14. ^ 現代溶接技術大系 第2巻 p.27
  15. ^ 現場で役立つ溶接の知識と技術 p.169
  16. ^ a b c 平井 三友・和田 任弘・塚本 晃久、『機械工作法』、コロナ社、2000、ISBN 4-339-04453-9、58頁
  17. ^ a b c 現場で役立つ溶接の知識と技術 p.129
  18. ^ 現場で役立つ溶接の知識と技術 p.77
  19. ^ 現代溶接技術大系 第2巻 p.38
  20. ^ 現場で役立つ溶接の知識と技術 p.79
  21. ^ 現場で役立つ溶接の知識と技術 p.84
  22. ^ 新日本製鉄編著 『鉄と鉄鋼がわかる本』 日本実業出版社 2004年11月10日初版発行 ISBN 4534038356
  23. ^ 安田克彦『絵とき「溶接」基礎のきそ』日刊工業新聞社、2006年、38頁
  24. ^ 安田克彦『絵とき「溶接」基礎のきそ』日刊工業新聞社、2006年、39頁
  25. ^ 軽金属の接合



アーク溶接

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 06:05 UTC 版)

溶接」の記事における「アーク溶接」の解説

1800年イタリア物理学者ボルタ電池発明したのと同時に電極間に火花が散る現象認識されるようになった。この発光現象研究したイギリスハンフリー・デービー1807年ボルタ電池2000つなげたものを電源とし、水銀浸した木炭電極として用いる事で放電安定的に継続させる事に成功するデービーはこの放電現象をエレクトリック・アーク (Electric Arc) と名付け当初照明アーク燈)用に研究続けられた。1865年英国ウェルド (Welde) がアーク溶接についての特許取得する1885年アーク燈研究者であるベナードス(Benerdos)が、炭素アーク溶接法を発明し特許同年のうちにフランス英国ドイツスウェーデン1886年にはロシア、1887にはアメリカで認可されこれを契機としてさまざまなアーク溶接法が考案され、アーク溶接は急速に進展していく。1907年スウェーデンのチエルベルヒ(Oscar Kjellberg)により被覆溶接棒発明され被覆アーク溶接可能になったことにより、アーク発生自体簡単になり、より安定したアーク発生させることができるようになった以後アーク溶接は普及度合い速めていく。 第一次世界大戦に入ると溶接能力大幅な向上が強く求められるようになった溶接技術優劣軍事力優劣直接結びついたためである。この時期イギリスでは全ての外板溶接建造した船が作られた。アメリカでは溶接普及遅れていたが、ドイツ軍ニューヨーク港攻撃破損した船舶修復にアーク溶接が用いられ、その威力認められるうになるドイツでは航空機建造にも既に溶接用いられていた。 1920年代溶接ワイヤー連続的に供給される半自動アーク溶接登場する当初ブローホール発生し品質の確保困難だったが、溶接大気から保護するシールドガス開発され、この問題大きく改善された。品質問題がなくなると、半自動溶接急速に広まっていく。1930年代に入るとフラックス開発されアルミニウムマグネシウム合金などのアーク溶接も可能になる日本では1930年作られ駆逐艦夕霧一部初めてアーク溶接が用いられた。本格的にアーク溶接が用いられたのは1931年作られ海軍敷設艦八重山である。溶接用いられることにより、艦船軽量化工期大幅に短くなった。このとき、逆歪み対称溶接など現代では常識となっている手法溶接用いられている。海軍の手により、これらの溶接に関する技術規格化され、これを境に日本でも急速にアーク溶接が普及していく。

※この「アーク溶接」の解説は、「溶接」の解説の一部です。
「アーク溶接」を含む「溶接」の記事については、「溶接」の概要を参照ください。

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アーク溶接

出典:『Wiktionary』 (2021/08/19 10:43 UTC 版)

名詞

アーク 溶接アークようせつ

  1. アーク放電利用して金属溶接する方法

関連語


「アーク溶接」の例文・使い方・用例・文例

  • アーク溶接という,溶接
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