アーク溶接の溶滴移行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 01:48 UTC 版)
溶接棒や溶接ワイヤが溶けた溶融金属が母材上に移動することを溶滴移行という。この溶滴移行の様子は電圧、電流、シールドガス、溶接材の種類などによって著しく変化する。 低電流の状態では、アーク熱により溶融した溶加材(溶接棒のこと)の先端部が溶融した母材に接触し(短絡)、アークが消えるとともに溶加材から母材へと流れるように溶融金属が移動する。これを短絡移行と言う。 炭酸ガスアーク溶接における高電流の状態では、溶融した溶加材は大きな滴になって移行し、一部の溶融金属が飛び散るなどの現象が生じる。これをグロビュール移行という。飛び散った溶融金属はスパッタといい、溶接ビードの回りにこびり付き、溶接の外観を悪くする原因となる。しかし、うまくコントロールできればグロビュール移行は高速な溶接ができるという長所がある。 MAG溶接における高電流の状態では、溶加材から母材への溶接金属の移動が非常に小さい滴の状態で行なわれる。これをスプレー移行と言う。スプレー移行はスパッタが少ないため外観が良く、かつ溶け込みも深く、能率も良い溶接ができる。
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