炭素循環 炭素循環の概要

炭素循環

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/01/20 08:30 UTC 版)

炭素循環の概念図。黒の数値はそれぞれのリザーバーに存在する炭素量、青の数値はリザーバー間での年間の炭素の移動量。単位GtC(Gigatons of Carbon)はギガt(10億トン)

炭素循環は、一般にこの4つのリザーバー、具体的には大気、陸域生物圏(陸水系は普通ここに含まれる)、海洋堆積物化石燃料を含む)と、その間を相互に移動する経路で成り立っている。年間の炭素の移動は、リザーバー間で起こる様々な化学的、物理学的、地質学的、生物学的なプロセスを経て行われる。地球表層付近での最も大きな炭素の保管場所は海洋である。

全球の炭素収支は炭素リザーバーの間、もしくは特定の循環(特に大気 - 海洋間)での炭素交換のバランス(吸収と放出)で示される。炭素収支を吟味することで、リザーバーが二酸化炭素の吸収源となっているのか発生源となっているのかを判断することができる。

大気中の炭素

大気圏中の炭素は気体、主に二酸化炭素ガスの状態で存在する。全大気のなかでは少量(増加しつつあるがおよそ0.04%)であるが、生命活動が維持されるための重要な役割を果たしている。大気中に存在する炭素を含む気体には、他にメタンクロロフルオロカーボン(ほとんどが人為起源)があり、これらは全て温室効果ガスと呼ばれる。大気への放出はここ数十年劇的に増加し、地球温暖化の原因とされている。

炭素は大気から二つの経路で除去される。

  • 植物太陽光によって光合成を行い、二酸化炭素から炭水化物を合成し、その過程で酸素を放出する。森林で急速に樹木が生長すること等から、この過程が最も二酸化炭素を吸収すると考えられている。
  • 極域付近の海洋表層では海水低温なため、より多くの二酸化炭素を溶かし込む(溶解ポンプと生物ポンプ)。

炭素は様々な過程を経て大気に再び放出される。

  • 植物や動物呼吸による放出。これは発熱反応で、グルコース(もしくは他の有機分子)が二酸化炭素と分解される過程である。
  • 動物と植物の分解(腐敗)。菌類バクテリア又は古細菌が動植物の遺骸を構成する有機物質を分解し、炭素を、酸素がある場合は二酸化炭素、酸素が無い場合はメタンに変える。
  • 有機物の燃焼(炭素を含む物質の酸化反応を含む)による排出。石炭石油製品、天然ガス等の化石燃料の燃焼で放出される炭素は、何百万年もかけて地圏に貯蓄されたものであるが、この燃焼が、現在の大気中の二酸化炭素レベルの増加を招いている、大きな理由とされている。
  • 石灰岩反応による放出。石灰岩大理石チョークは主に炭酸カルシウムで構成されている。これらの岩石の堆積物は水で浸食されると、炭酸カルシウムは分解され最終的に二酸化炭素と、炭酸に分解される。セメント酸化カルシウム(生石灰)は石灰岩が熱せられることで形成されるが、この過程でも無視できない量の二酸化炭素が生成される。
  • 海洋表層での大気への放出。海水に溶解した二酸化炭素は温暖な海域では放出されやすい。
  • 火山活動による大気への炭素の放出。

生物圏の炭素

炭素は地球上の生命活動で基本的な物質で、細胞骨格、生化学、栄養作用において重要な物質である。また、生命は炭素循環においても重要な役割を果たしている。

  • 独立栄養生物は大気中、もしくはその生息環境に存在する水に含まれる二酸化炭素と、から有機化合物を自ら生産する生物である。これには太陽光などのエネルギー源を必要とする。炭素循環で最も重要な生物は、陸上の森林の樹木と海洋の植物プランクトンである。
  • 炭素は生物圏の中で従属栄養生物に摂取・変換される。菌類やバクテリアによる発酵や腐敗という、生物の遺骸や排出物の分解も含まれる。
  • 生物圏から排出される炭素は、呼吸によるものが最も多い。酸素が存在する環境では、好気呼吸の作用で二酸化炭素を周囲の大気や水に放出する。一方、嫌気呼吸ではメタンを周囲の環境(大気圏や水圏)へ放出する。
  • 遺骸として分解されずに生物圏に残留炭素することもあるが(泥炭のように)地圏移行するものもある。特に炭酸カルシウムでできている動物の殻(サンゴ殻など)は堆積過程を経て石灰岩となる。 



[ヘルプ]
  1. ^ 3ページ(ちょっと環境学習) 出展ブース 海は巨大な炭素貯蔵庫『環境学習みえ』2005年 冬号, 三重県環境学習情報センター
  2. ^ 生物環境科学概論 第5・6話 (基礎生態学配布20110119)(doc) 国立大学法人 宮崎大学農学部 海洋生物環境学科
  3. ^ 地殻中の元素の存在度[出典無効]
  4. ^ Elements, Terrestrial Abundance”. www.daviddarling.info. 2007年4月14日閲覧。


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