ふうちょう座
名称:ふうちょう座
学名:Apus
小分類:南半球
日本で観測できる時期:日本からは見ることができません
見ごろの季節:春(20時正中は7月)
ふうちょう座は、ニューギニアなどの熱帯に住む極楽鳥の1種「ふうちょう(風鳥)」をかたどった星座です。日本からはまったく見えませんが、オーストラリアなどの南半球へ行くと、南の空にジグザグに折れ曲がった星座の形を見ることができるでしょう。ただし、4等星以下の暗い星座なので、形を見つけるのは大変です。「ふうちょう」とは変わった名前の鳥ですが、原住民が足を全部切って輸出したため、ヨーロッパでは「足がなく、いつも風に吹かれて飛んでいる鳥」として、こう名付けられました。
1.見つけ方のポイント
春の夕方、南十字星の長辺を少し下(南)に伸ばすと、台形をしたはえ座が見つかります。そのはえ座の左(東)の辺を下(南)に2倍伸ばすと、ジグザグに折れ曲がるふうちょう座が見つかります。ただし他の南天の星座と同じく、4等星ばかりで暗い上に形がはっきりしないので、とらえにくいでしょう。
2.神話の内容について
17世紀のドイツの天文学者バイエルによって名付けられた星座で、1603年に刊行した彼の星図「ウラノメトリア」に掲載したのが最初です。16世紀のオランダの航海者テオドルスの観測を元に設定したものだと言われます。「ふうちょう」とは、ニューギニアに住む極楽鳥という羽の色が鮮やかな鳥の一種です。Apusとは「足無し」を意味するギリシャ語ですが、それはこの鳥が原住民によって足を切られて輸出されたため、ヨーロッパでは足のない鳥だと信じられていたからです。足がないため木に止まれず、いつも風にまかせて飛ぶから「ふうちょう(風鳥)」といわれていました。神話とは関係ありません。
3.同じ時期に見える星座について
南中する7月頃には、北にみなみのさんかく座やさいだん座、南にカメレオン座やはちぶんぎ座を見ることができます。また、カメレオン座の南にはうすぼんやりした大マゼラン雲の姿を見ることができるでしょう。大マゼラン雲は、我が銀河系のお供の銀河で、約20万光年の距離にあります。また、東にくじゃく座やきょしちょう座、西にはえ座やみなみじゅうじ座を一緒に見ることができます。
4.主要都市での観測について
天の南極近くにある星座なので、日本からはまったく見ることができません。
※参考文献:「星座クラブ」沼澤茂美著(誠文堂新光社)、「星のポケットブック」(誠文堂新光社)、「星座天体観測図鑑」藤井旭著(成美堂出版)、「星座・夜空の四季」小学館の学習百科図鑑、「星座博物館・春」、「同・夏」、「同・秋」、「同・冬」、「同・星座旅行」瀬川昌男著(ぎょうせい)、「星空ガイド」沼澤茂美、脇屋奈々代著(ナツメ社)
ふうちょう座
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/13 13:36 UTC 版)
ふうちょう座(ふうちょうざ、Apus)は現代の88星座の1つ。17世紀末に考案された新しい星座で、「極楽鳥」の通称でも知られるフウチョウをモチーフとしている[1][3]。天の南極近くに位置し、人が常在する日本国内の島全てからその一部さえも見ることができないため「日本から全く見えない星座」の1つとされる[4]が、沖ノ鳥島では ζ星など星座の一部が水平線よりも上に上がる。
注釈
出典
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- ^ “星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
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- ^ 沼澤茂美、脇屋奈々代 『星座の事典』ナツメ社、2007年、263頁。ISBN 978-4-8163-4364-3。
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- 1 ふうちょう座とは
- 2 ふうちょう座の概要
- 3 脚注
ふうちょう座
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