褒章 褒章の概要

褒章

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/02/16 00:15 UTC 版)

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英訳名は、褒章全体が“Medals of Honour”であり、各章はそれぞれ、“Medal with Red Ribbon”、“Medal with Green Ribbon”、“Medal with Yellow Ribbon”、“Medal with Purple Ribbon”、“Medal with Blue Ribbon”、“Medal with Dark Blue Ribbon”である[1]

日本政府による英訳では、勲章は“order”であり、褒章は記章記念章および従軍記章)と同様に“medal”とされている。欧米で日本の勲章、褒章および記章に相当するものには、英語で“order”、“decoration”、“Cross”、“medal”と名付けられたものがある。しかし、日本と欧米ではこれら“勲章等”(勲章等着用規程(昭和39年4月28日総理府告示第16号)第1条)の分け方が異なっており、日本には無い“Cross”の扱いは区々であり[2]、“medal”と称されるものの一部は記章ではなく勲章とされることもある。一方、日本の法令上は、他国の褒章に相当するものは記章として扱われる(勲章等着用規程(昭和39年4月28日総理府告示第16号)第11条第1項4号)。

沿革

  • 1875年明治8年)7月 - 太政官達第121号において、篤行者・奇特者へ賞与を与えることが定められる。
  • 1880年(明治13年) - 賞勲局から褒章制度制定について上申される。
  • 1881年明治14年12月7日太政官布告第63号「褒章条例」を制定。当初は紅綬褒章、緑綬褒章、藍綬褒章の3種であった。これにより、褒章制度が確立した。1882年(明治15年)1月1日、施行。
  • 1887年、明治20年勅令第16号「黄綬褒章臨時制定ノ件」を以って黄綬褒章(旧制度)が制定された。
  • 1918年、大正7年9月19日勅令第349号(褒章条例中改正ノ件)により紺綬褒章が制定された。
  • 1921年、大正10年4月26日勅令第147号および第148号により、褒章の略綬が制定された。
  • 1927年、昭和2年2月1日勅令第6号により、同じ褒章を5回以上受章した者のための金色飾版が制定された。
  • 1947年、昭和22年5月3日政令第4号(「内閣官制の廃止等に関する政令」)により明治20年勅令第16号が廃止されたのに伴い(同第1条)、黄綬褒章が廃止された。
  • 1955年、昭和30年1月22日政令第7号の改正により紫綬褒章および新規の黄綬褒章が制定された。
  • 1978年(昭和53年) - 春以降、黄綬褒章・紫綬褒章・藍綬褒章は毎年4月29日および11月3日に授与することとした。
  • 2002年、平成14年8月12日政令第278号(平成15年栄典制度改正に伴う改正)により、緑綬褒章の授与対象を変更。また、褒章の制式の細目は内閣府令により別途定める旨が規定された(条例第9条)。
  • 2003年、同改正により新設された条例第9条に基づく平成15年5月1日内閣府令第55号(褒章の制式及び形状を定める内閣府令)により、新しい褒章のデザインが定められた。
  • 2003年、平成15年5月20日閣議決定により褒章の授与要件が緩和され、対象が広がった。

概要

褒章伝達式にて章記(褒章の記)を伝達する厚生労働副大臣櫻井充

褒章は天皇が授与する栄典である。法的には、戦前は大日本帝国憲法第15条の「其ノ他ノ榮典」であり、戦後は日本国憲法第第7条7号に該当する国事行為(同7条柱書き)であることに基づく。詳細は褒章条例(明治14年太政官布告第63号)により定められる。同条例1条によれば、紅綬褒章は「自己ノ危難ヲ顧ミス人命ノ救助ニ尽力シタル者」、緑綬褒章は「自ラ進デ社会ニ奉仕スル活動ニ従事シ徳行顕著ナル者」、黄綬褒章は「業務ニ精励シ衆民ノ模範タルベキ者」、紫綬褒章は「学術芸術上ノ発明改良創作ニ関シ事績著明ナル者」、藍綬褒章は「教育衛生慈善防疫ノ事業、学校病院ノ建設、道路河渠堤防橋梁ノ修築、田野ノ墾闢、森林ノ栽培、水産ノ繁殖、農商工業ノ発達ニ関シ公衆ノ利益ヲ興シ成績著明ナル者又ハ公同ノ事務ニ勤勉シ労効顕著ナル者」、紺綬褒章は「公益ノ為私財ヲ寄附シ功績顕著ナル者」にそれぞれ授与される。勲章は長年にわたる功績を対象とする側面が強く、人命救助のように一過性であっても功績顕著な行いは叙勲の対象となりにくい。これに対して褒章は勲章(叙勲)の対象とはなりにくいが、顕著な功績と認められるものに対しても授与される。

授与された褒章は、授与された本人に限り、終身これを佩用(公的な場で着用)することができる(条例4条)。褒章を佩用するときは、「左肋ノ辺」(左胸のあたり)に着ける(条例8条)。ただし授与された者が、懲役刑・禁錮刑・死刑に処された場合、褒章は没収され、褒章授与者としての地位は褫奪される(勲章褫奪令第1条・第6条)。なお、褒章は独立行政法人である造幣局が製造している(独立行政法人造幣局法3条2項、11条1項4号)。

褒章条例により表彰されるべき者が団体である場合には、でない団体はメダルを着けられないので、褒状が授与される[3](条例2条)。なお、個人に授与される場合にも褒章(メダル)とともに褒章の記が授与される。褒状、褒章の記ともに、受章者・表彰者の氏名または名称、受章・表彰理由、授与・表彰の年月日と記号番号、天皇の名で授与・表彰する旨が記されて国璽がおされ、内閣総理大臣と内閣府賞勲局長が署名・押印する[4]。日本の法令・行政上の扱いでは、褒章とは「○綬褒章」の名称をもつ褒章のみを指す。褒状、賞杯を含めるときは「褒賞」の表現を用いる(例: 受章・受賞者を掲載する官報の欄名)。

褒章の授与とともに、金銀木杯(賞杯)を授与することもある(条例5条)。特に、公益のために私財を寄附した者に授与される紺綬褒章を授与する場合には、合わせて授与される木杯の基準がその寄附額によって定められている[5]。また、本条例によって表彰されるべき者が死亡したときは、金銀木杯または褒状をその遺族に授与し、これを遺族追賞という(条例6条)。

すでに褒章を授与されている者が再度同様の理由によって褒章を授与されるべきときは、その都度銀色の飾版のみを1個授与され、すでに授与されている褒章の綬(リボン)に附加して標識とする(条例第3条第1項)。この飾版が5個(5回の受章)以上に達したときは、5個ごとに金色の飾版を1個と引き替える(同条2項)。

紅綬褒章・緑綬褒章・黄綬褒章・紫綬褒章・藍綬褒章については、勲章と同様、毎年4月29日昭和の日)および11月3日(文化の日)に発令される。各回、約800名に授与され、それぞれ「春の褒章」「秋の褒章」、併せて「春秋褒章」と呼ばれている。紺綬褒章は、表彰されるべき事績の生じた都度、各府省等の推薦に基づき審査をし授与を行うこととされ、毎月末の閣議で決定される。春秋褒章の授与は、衆議院議長参議院議長国立国会図書館長最高裁判所長官、内閣総理大臣、各省大臣会計検査院長人事院総裁宮内庁長官および内閣府に置かれる外局の長が、候補者を内閣総理大臣に推薦して行う[6]。内閣総理大臣は、推薦された候補者について審査を行い、褒章の授与について閣議の決定を求める。褒章の伝達は、「内閣総理大臣の命を受け、内閣府賞勲局長が所管大臣に伝達し、所管大臣が適宜受章者に伝達する。」と定められている[7]。褒章の授与は、官報に掲載される。


  1. ^ 勲章及び褒章の英訳名(内閣府ホームページ)
  2. ^ 例:君塚(記章説)と小川(勲章説)の著書に於ける扱い。
  3. ^ 紺綬褒状 実物全国防犯協会連合会への多額の寄付により、日本遊技機工業組合に対して授けられたもの。
  4. ^ 2003年(平成15年)の栄典制度改革の前には、褒章は内閣の名で授与されたため、褒章の記には内閣の印がおされた。
  5. ^ a b 紺綬褒章等の授与基準について、昭和55年11月28日閣議決定、内閣府賞勲局。
  6. ^ 褒章受章者の選考手続について、平成15年5月20日閣議了解、内閣府賞勲局。
  7. ^ 勲章、記章、褒章等の授与及び伝達式例、昭和38年7月12日閣議決定、内閣府賞勲局。
  8. ^ なお、救助活動を行っても、力及ばず要救助者が落命した場合には授与されない。また警察官自衛官消防吏員などの公務執行中のことであっても贈られない。彼らは危険業務従事者叙勲という特別な枠で叙勲対象になる
  9. ^ 栄典制度の改革について(平成14年8月7日閣議決定)、内閣府賞勲局、2012年。
  10. ^ 「勲章、記章、褒章等の授与及び伝達式例」(昭和38年7月12日閣議決定)、内閣府賞勲局、2012年。
  11. ^ 栄典改革以前には、内閣及び内閣総理大臣名の「褒章の記」が授与された。
  12. ^ なお、褒状の授与理由には、各褒章と同様の区別があるが名称には冠されず、単に「褒状」となる。そのため「紫綬褒状」とするのは誤りで、一般的には「褒状(紫綬)」「紫綬(褒状)」などと記載される。
  13. ^ 『官報』6342号9頁(2014年7月30日)
  14. ^ a b 時代の変化に対応した栄典授与に関する提言 平成28年5月26日 時代の変化に対応した栄典の授与に関する有識者懇談会(内閣府) 2016年9月20日閲覧
  15. ^ 小野光賢・光景 略年表”. 憑の里【たのめのさとだより】信州・両小野地区振興会 . 2019年1月29日閲覧。
  16. ^ 換算基準は「罰金等臨時措置法」の規定および、"明治~平成 値段史" コインの散歩道 (2018年7月16日閲覧) によった。
  17. ^ 褒章 紺綬褒章”. 中野文庫. 2018年7月16日閲覧。
  18. ^ 紺綬褒章等の授与基準について 内閣府 2016年9月20日閲覧
  19. ^ 紺綬褒章等の授与基準について昭和55年11月28日 閣議決定 2016年9月20日閲覧
  20. ^ 明治十四年太政官布告第六十三号
  21. ^ 褒章条例取扱手続
  22. ^ 勲章、記章、褒章等の授与及び伝達式例
  23. ^ 褒章の制式及び形状を定める内閣府令


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