兵器 フィクションにおける兵器

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兵器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/29 03:57 UTC 版)

フィクションにおける兵器

H.G.ウェルズの『宇宙戦争』の挿絵
架空の兵器である、火星人の戦闘機械(トライポッド)と実在した水雷衝角艦などをモデルとしたイギリス海軍艦艇「サンダーチャイルド

映画漫画アニメーションといったフィクション作品、テレビゲーム、果ては伝説神話などにも兵器は登場する。実在する兵器や実在する兵器を基としたオリジナルの兵器、実際に確立された技術を用いた架空の兵器、まったく空想の技術・素材・世界観を基とした架空の兵器など、いろいろなものが登場している。

実在の兵器の性能を忠実に再現しリアリティを高めた作品がある一方、製作者側が意図した、もしくは資料・知識不足から誤った描写がされている作品も散見される。特に兵器を所有する軍隊などからの協力が得られれば、実車や実機を登場させることができる[注 9]。一方で日米共同制作の「トラ・トラ・トラ!」などの様に、既に実物が存在しないため、形状が似ているものを改造し撮影に用いた例もある。この作品では練習機の「T-6 テキサン」をベースに零式艦上戦闘機九九式艦上爆撃機が用意され、大日本帝国海軍空母赤城」にはアメリカ海軍の「レキシントン」が代用された。赤城の艦橋は左舷側にあるがレキシントンは右舷側にあるため、作中レキシントンのパネルを登場させ、役者に赤城であると言わせる念の入れようであった。

SF空想科学作品等では物語を盛り上げる小道具として、実在の兵器からまったくの空想の兵器まで多数が描かれている。リアルロボット作品では、架空の素材や技術を用いた架空の兵器である巨大ロボットに、兵器としての性格(研究開発、量産、壊れれば修理・交換・破棄、破壊、新兵器の登場で退役する)を与えることで「実在感(リアリティ)」を持たせることに成功した。例えばテレビアニメ装甲騎兵ボトムズ」に登場する「アーマードトルーパー」は、同型機同士で戦い、破壊されれば乗り捨てるなど、徹底的に消耗品として描かれている。

歴史改変ものの架空戦記などでは、大日本帝国陸軍四式中戦車富嶽ドイツ海軍の「グラーフ・ツェッペリン」など、試作のみに終わった兵器や量産が間に合わなかった兵器、計画のみの兵器の登場が多くみられる。それらは時として戦局を左右することもある。

実在する軍用機が多数登場する、ナムコ(後のバンダイナムコゲームス)の「エースコンバットシリーズ」は、それまでのフライトシミュレーションゲームとは異なり、物理法則や操作性などに関するリアリティの多くを限界まで簡略化することによりプレイのしやすさ(プレイアビリティー)の大幅な向上に成功した。結果として、一般的なフライトシミュレーションゲームの様なミサイル弾丸の残弾制限や航空機の物理法則にしたがった機動や運動といったリアリティ要素は低下したが、手軽にシューティングゲームが楽しめることから2021年時点でシリーズ累計出荷本数が1,600万本を超える人気タイトルとなった。


注釈

  1. ^ さらに言うと、戦車や戦闘機ですら、米国では個人が趣味で所有して乗り回したり飛ばしたりすることもあるわけで、個人が趣味で所有したら戦車や戦闘機ですら「兵器」扱いではなくなる。
  2. ^ なお、念のために言っておくと、軍隊が所有するありとあらゆるものが「兵器」というわけではない。「兵器」はあくまで軍事目的で重要な装置や設備のことである。軍隊が保有・使用しているものでも、軍隊の施設内に、たとえば寝台・運動用器具(ランニングマシン、ベンチプレス器具)やカラオケ装置などを保有していても、その寝台・運動用器具 等までが「兵器」というわけではない。攻撃や防御などの目的に使用されるわけでもなく、軍事的に重要な器具・装置類ではないからである。
  3. ^ 本記事では銃弾、砲弾、ミサイルの弾頭などを破壊体としたが、これらを発射体と呼ぶこともある
  4. ^ 兵器システムにおける運搬体は、プラットフォームと呼ばれることが多い
  5. ^ 欧州各国でエアバス A400Mを共同開発した例や、NATOで輸送機を共同保有する例がある
  6. ^ つまり、初期型の初飛行からほぼ1世紀運用される可能性を有している
  7. ^ 政治的に対立するイランへの部品流出を防ぐため、レーダーやエンジン等の重要備品は完全に撤去されてから引き渡されている
  8. ^ ドイツ空軍のMiG-29は西側の有する数少ない東側戦闘機として他国との共同訓練に頻繁に参加していたが、部品供給や稼働率の低さなど問題を抱え、2005年ユーロファイター タイフーンの導入により全機が退役した。しかし、その多くがポーランドに売却され、第二(第三)の人生を送っている
  9. ^ アメリカ海軍の協力が得られた「トップガン」、自衛隊の協力を得られたゴジラシリーズガメラシリーズ、「戦国自衛隊1549」など

出典

  1. ^ a b c ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「兵器」
  2. ^ a b c 出典:加藤朗著 『兵器の歴史』 芙蓉書房出版 2008年1月25日第一刷発行 ISBN 9784829504130
  3. ^ a b c d e 小学館『日本大百科全書』「兵器」
  4. ^ 宮園道明著 『発展する中国のミサイル産業』 軍事研究2008年9月号 ジャパン・ミリタリー・レビュー2008年9月1日発行 ISSN 0533-6716
  5. ^ 清谷信一著 『実需要の高い新型ジープ』 軍事研究2008年10月号 ジャパン・ミリタリー・レビュー2008年10月1日発行 ISSN 0533-6716 Page73
  6. ^ 菊池雅之著 『DLO:空中機動作戦師団』 軍事研究2008年10月号 ジャパン・ミリタリー・レビュー2008年10月1日発行 ISSN 0533-6716 Page78
  7. ^ 岩狭源清著 『中国原潜技術&漢級侵犯事件』 軍事研究2005年4月号 ジャパン・ミリタリー・レビュー2005年4月1日発行 ISSN 0533-6716 Page195
  8. ^ 三鷹聡著 『2010年アジア欧州の陸戦主力兵器』 軍事研究2005年2月号 ジャパン・ミリタリー・レビュー2005年2月1日発行 ISSN 0533-6716 Page75


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