リサイクル リサイクルの概要

リサイクル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/13 00:27 UTC 版)

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ポーランドでの、ガラス瓶とプラスチックボトル(ペットボトル)の分別回収のスポット。
リサイクルのために圧縮されたアルミ缶。アルミはリサイクル率が高く、「リサイクルの優等生」と呼ばれている。→#アルミニウム(アルミ缶)
現代では電子部品からレアメタルがリサイクルされている。

概説

3R

大量生産・大量消費・大量廃棄型社会からの脱却と循環型経済システムの構築が課題になっている[1]

リサイクルは、リデュース(reduce、減量、排出抑制)やリユース(reuse、再使用、再利用)と共に、「3R」のひとつと位置付けられる。

資源の再循環については1970年にアメリカのリチャード・ニクソン大統領が議会に提出した公害教書(THE FIRST ANNUAL REPORT of the COUNCIL ON ENVIRONMENTAL QUALITY)の中で、委員会勧告として「物質を最大限に再循環させ再使用することは、処理を要する固形廃棄物の量が増加するのを押さえるために必要である(Maximum recycling and reduce of materials are necessary to reduse the growing volume of solid wastes that must be disposed of)」と記述された[1]。また、日本では昭和46年(1971年)の環境白書で初めて「再生利用」という言葉が用いられた[1]

3Rの日本語訳について、2000年以降、Reduce(排出抑制)、Reuse(再利用)、Recycle(再生使用)と定義づけられることが多くなっている[1]。「3R」の概念が登場するまで日本では「リサイクル」の中に再生利用だけでなく再使用や排出抑制を含めて表現することが多かったといわれている[1]。例えば平成3年(1991年)環境白書には「新たな資源の投入を出来るだけ抑え、環境中に戻す排出物の量を最小限とするとともに、有害物質をできる限り環境に排出しない『リサイクル社会』を形成する努力を行うことが必要」との表現がみられる[1]。しかし「3R」の概念の登場により「リサイクル」の意味は「再生利用」に特化して用いられるようになった[1]。日本で「リサイクル」という言葉が初めて使われたのは1974年3月設立の「リサイクル運動市民の会」(名付け親は糸川英夫)といわれている[1]。また、環境白書で初めて「リサイクル」という言葉が用いられたのは昭和55年(1980年)版である[1]

定義

リサイクルに関する用語の定義や整理は地域により異なっている[2]

分類については後述するが、EUの各種指令ではリサイクル(recycling)は再製品化を行うマテリアルリサイクル(material recycling)のことを指し、エネルギー発生手段として利用するエネルギーリカバリー(energy recovery)などと合わせてリカバリー(recovery)という用語を使用している[2]。ただし、これはドイツなど各国の国内でのリサイクル方法の用語の整理とも違いがある[2]。日本ではマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルなどの分類が用いられる[2]

百科事典等の説明文や定義文は次のようになっている。

  • スーパーニッポニカでは「日常生活で不要な(不要となった)製品や、産業活動に伴い副次的に得られた物品を、資源として再利用、あるいは回収・再生して有効利用すること」としている。
  • ブリタニカ電子辞書版(簡略版)では、「1度使った資源(廃棄物)を回収して再利用すること」と説明している。
  • Oxford Dictionaryでは「不要物(ゴミ、廃棄物)を再利用可能な素材へと変える行動や過程[3]」としている。
  • 広辞苑第六版では「資源の節約や環境汚染防止などのために、不用品や廃棄物などを再利用すること」としている。

回収

リサイクルされるものの回収の方法は、主として次の3つの方法がある[4]。ひとつは有償買取であり、持ち込む人(あるいは組織)が分別し、リサイクル業者に持ち込み、なんらかの対価を得る、というものである。ふたつめは無償方式で、不要となったものを業者のところに持ち込むが、対価は得ない、というもの。もうひとつは個人や組織が出す不用品を何らかの機関(や代理業者)が回って回収する、というものである[4]地方自治体による回収の他にも、市民がボランティアで自主的に資源回収活動を行っている場合もある[5]。他にも様々な工夫をした回収法を導入している国もある。→#回収

リサイクルの分類

各地域での整理

EU

EUの各種指令(94年EU容器包装指令、75年EU廃棄物枠組指令付属書ⅡBなど)ではリサイクル(recycling)は再製品化を行うマテリアルリサイクル(material recycling)のことを指す[2]。エネルギー発生手段として利用することはエネルギーリカバリー(energy recovery)と呼ばれており、マテリアルリサイクルやエネルギーリカバリーなどを合わせてリカバリー(recovery)という用語を使用している[2]

なお、マテリアルリサイクルのうち微生物を使用した包装廃棄物の処理を有機リサイクル (organic recycling)と定義している[2]

ドイツ

プラスチックのリサイクル手法としては、再製品化を行うメカニカルリサイクル(mechanical recycling、materials-oriented processes)や原料レベルで再資源化するフィードストックリサイクル(feedstock recycling)がリサイクルとして扱われている[2]。エネルギーとして利用することはエネルギーリカバリー(energy recovery)と呼ばれている[2]

日本

プラスチックのリサイクルでは、プラスチック再製品化(reproduction)を意味するマテリアルリサイクル(material recycling)、原料・モノマー化によるケミカルリサイクル(chemical recycling)、エネルギーとして利用するサーマルリサイクル(thermal recycling)などがある[2]

内部リサイクルと外部リサイクル

ひとつの大分類法は「内部リサイクル(internal recycling)」と「外部リサイクル(external recycling)」に分類する方法である。内部リサイクルとは、例えば、製造工程において生じた廃棄物をその工程で再利用することである。例えば銅管を製造している工場ではその製造工程で銅管の端を切ったり削ったりし(銅製の)不要物が生じるが、それを工場内で熱し溶かして、銅材として銅管の製造工程で再利用すること、は「内部リサイクル」の一例である[4]。また内部リサイクルには例えば、醸造工場で生じ不要となった「絞りかす」を原材料として用いて同工場で飼料を作る、などといった形もありうる[4]。「外部リサイクル」とは、使用済みとなったり廃棄された製品から、原材料を再生することである。例えば、新聞や雑誌を回収し再生紙工場で粉砕しパルプの状態に戻し新たにを作ることもそれにあたる[4]。広範囲に行われている「外部リサイクル」の例としては、新聞紙・雑誌類と並んで、ガラス瓶アルミ缶などの再生も挙げることができる[4]

その他の分類

  • オープンリサイクル(open-loop recycling) / クローズドリサイクル(closed-loop recycling)
  • 水平リサイクル(同種の製品にリサイクルされる場合)/カスケードリサイクル(なんらかの品質の低下があり、異種の製品にリサイクルされる場合)



  1. ^ a b c d e f g h i j リサイクルという言葉の誕生と変遷、その意義と課題”. 環境省. 2020年6月5日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j 用語の定義”. 経済産業省. 2020年6月5日閲覧。
  3. ^ The action or process of converting waste into reusable material.
  4. ^ a b c d e f Encyclopedia Britanica 。PC用の完全版。
  5. ^ a b c d スーパーニッポニカ「リサイクル」田中勝 執筆。
  6. ^ a b c リサイクルとごみのこと”. 国立環境研究所. 2020年6月5日閲覧。
  7. ^ 田崎智宏、河井紘輔、寺園淳、稲葉陸太 (2021年3月23日). “国立環境研究所循環センター・ポリシーブリーフ3「リサイクル指標」”. 2021年6月13日閲覧。
  8. ^ a b リサイクル率”. アルミ缶リサイクル協会 (2019年6月21日). 2019年9月28日閲覧。
  9. ^ Bahadir, Ali Mufit; Duca, Gheorghe (2009-08-03). The Role of Ecological Chemistry in Pollution Research and Sustainable Development. Springer. ISBN 9789048129034.
  10. ^ Green, Dan (2016-09-06). The Periodic Table in Minutes. Quercus. ISBN 9781681443294.
  11. ^ 日本の鉄鋼蓄積量 Accumulated quantity estimation of Japan” (2018年). 2020年12月13日閲覧。
  12. ^ 総務省 (2020年11月). “統計局>統計データ>日本統計年鑑>本書の内容>第七十回日本統計年鑑 令和3年>第2章 人口・世帯>2-1 人口の推移 B表(Excel)”. 2020年12月13日閲覧。
  13. ^ スチール缶リサイクル協会 (2019年). “リサイクル率”. 2020年12月13日閲覧。
  14. ^ Bottle Deposits Responsible for High PET Recycling Rate in Germany
  15. ^ リサイクル率の算出
  16. ^ 日米欧のリサイクル状況比較
  17. ^ Observations of Solid Waste Landfills in Developing Countries:Africa, Asia, and Latin America
  18. ^ 小島 2018, pp. 85-87.
  19. ^ 小島 2018, pp. 48-49.
  20. ^ また、新しく製品を製造する場合でもその原材料に有害物質が混入すると世にそれを拡散させてしまうことがあるが、リサイクルでも回収した資材に有害物質が混入した場合も、やはり薄く広く拡散させてしまうことがある。例えば「コバルト60」の事例がある。
  21. ^ 中国、年内に「ゴミ」輸入停止へ WTOに通告”. ロイター (2017年7月19日). 2018年4月20日閲覧。
  22. ^ ごみ回収拒否の「大乱」で日本式に納得”. 産経新聞社 (2018年4月12日). 2018年4月20日閲覧。
  23. ^ 中国の「ごみ輸入禁止」、リサイクル業界に変革促すか”. CNN (2018年4月23日). 2018年5月5日閲覧。
  24. ^ 2019年の日本の廃プラ輸出量は90万トン、100万トン割れは2004年以来(世界) | ビジネス短信 - ジェトロ”. www.jetro.go.jp. 2020年2月17日閲覧。
  25. ^ 特別リポート:コロナ禍で「プラ危機」、廃棄増がリサイクル圧迫”. ロイター (2020年10月7日). 2020年10月24日閲覧。






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