背景と動機とは? わかりやすく解説

背景と動機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 07:20 UTC 版)

スラヴ人トマス」の記事における「背景と動機」の解説

820年クリスマスの日、レオン5世アモリオンの人ミカエル指示によって宮廷礼拝堂殺害されミカエル2世)がただちに皇帝即位した。ほぼ同時にトマステマ・アナトリコイ反旗を翻した正確な時期動機について史料から得られる情報分かれている。ゲオルギオス・モナコスの歴史的史料と、ミカエル2世の西の皇帝ルイ1世敬虔帝)への手紙は、トマスミカエル2世による簒奪前に既に反乱起こしていたと主張している。この時系列はゲネシオスの『続テオファネス年代記』やヨハネス・スキュリツェスを含む後のビザンツ年代記作家たちの全てによって引き継がれており、同様にジョン・バグネル・ベリーやアレクサンダー・カジュダン(英語版のような現代学者多く採用している。ポール・ルメルルはトマスとその反乱研究においてこの時系列を、ミカエル2世が彼自身反乱を、レオン5世トマス反乱の鎮圧失敗したことへの対応として正当化し、さらに反乱軍によって被った初期の敗北責任から彼自身遠ざけることを試みて後に創り出したのであるとして却下した。ルメルルに続く最近いくつかの研究シメオン・メタフラスト記録一般的に10世紀史料の中で最も正確であると考えられている-を好んで用いている。この記録ではトマス反乱レオン5世殺害数日後であり、この事件への反応として発生したとされている。 二人帝冠巡って戦いそのうち一人がそれを手にした。しかし未だ確実にそれを確保しているとは言えなかった。ミカエルには正式に選出され歓呼を受け、帝都において戴冠され、帝都掌中収めているという有利さがあった。しかし一方でトマスアジアテマのほとんどから支持受けていた。トマス反逆者とされたのは、もっぱら彼が敗北したからにすぎないジョン・バグネル・ベリー 反乱発生したことで、ビザンツ帝国分裂した。これは確立した政府対す反乱というよりは、帝位を巡る同等候補者による闘争であったミカエル2世コンスタンティノープルヨーロッパ側のテマ、そして帝国官僚機構支配権確保し恐らくは総主教によって戴冠されていた。しかし、ミカエル2世暗殺によって帝位得たのに対しトマス殺害されレオン5世復讐主張することで正当性支持得ており、アジア側のテマと、後にはヨーロッパ側のテマ双方からの支持勝ち取ったトマスレオン5世小アジア人気があったこと、尊敬される人物あり高支持得ていたことを良く知っていた。一方でミカエル2世首都外側では事実上全く知名度がなかった。彼に特筆すべき軍功もなく、満足な教育受けておらず、作法も身に着けていなかった。吃音のために彼は嘲笑を受け、彼の家族所属していた異端宗派であるアティンガノイ(英語版に対して同情的であると見られていた。 ビザンツ帝国トマス反乱についての記録では彼はコンスタンティノス6世標榜して帝位主張した説明されている。コンスタンティノス6世797年母親エイレーネーによって殺害されていた。ルメルル以来現代学者大半はこれも後世創作され物語であるとして採用していない。この話の中に何等かの真実含まれているとすれば、それはトマス即位名として「コンスタンティノス」を選択したことに端を発しているのかもしれない。だがこれを証明するようないかなる証拠存在しないコンスタンティノス6世標榜し可能性は、いくつかのビザンツ史料トマスミカエル2世聖像破壊運動支持反対する聖像崇拝支持者であったという噂が記録されていることと関係している。コンスタンティノス6世治世下では聖像への崇拝復活していた。だがそれでも、この史料中の曖昧な表現小アジアテマ多くにおける聖像破壊運動対す共感、そしてトマスアラブ人同盟したことは、彼が公に聖像イコン)に対す崇拝表明したという話に反するように思われる明らかにミカエル2世治世初期における聖像崇拝派への妥協的な姿勢聖像崇拝論争当時重要な問題ではなかったことを思わせ、現代学者トマス反乱においてこの論争がほとんど何の役割果たしていなかったと見ている。後世マケドニア朝時代史料において聖像破壊者ミカエル2世反対する聖像崇拝派の巨頭としてトマスイメージされているが、これは恐らく史料作成者たち自身の反聖像破壊派的なバイアス結果生み出されたものであろう。ウォーレン・トレッドゴールドはさらに、もしトマスコンスタンティノス6世標榜したことが真実だとしても、それは支持を得るために振りまかれた物語一部であったであろうとしている。また、トマス計画的に聖像崇拝者たちから支持惹きつけるために、聖像問題について「意図的な曖昧」さを追求していたと主張している。トレッドゴールドは、「トマスは全帝国支配者となるまでは、あらゆる主張あらゆる人間同調することが可能であった。しかし彼が消費した時間は、支持者幾ばくか失望させるのに十分であった。」と述べる。 この時のトマス反乱について『続テオファネス年代記』の記述は「奴隷主人に、兵士上官に、将校司令官対し殺害の手をあげた」と描写している。この記述主としてアレクサンデル・ワシーリエフ(Alexander Vasiliev)やゲオルク・オストロゴルスキーのような幾人かの学者に、トマス反乱重税苦し農村部人々広範な不満の表出であるという考えを抱かせた。他のビザンツ学者、特にルメルルは農村住民の不満をこの反乱第一要因とする考え斥けている。 ゲネシオスと他の年代記作家は更に、トマスが「ムスリムインド人エジプトアッシリア人メディア人、アバスジア(英語版)人、ジキア人(英語版)、イベリア英語版)人、カベイリア人(英語版)[要リンク修正]、スラヴ人フン族ヴァンダル人ゲタイ族、マニ教徒(パウロ派)、ラズ英語版)人、アラン人カルデア人アルメニア人、そして他のあらゆる種の民族」の支持勝ち取ったとしている。この記述によって、トマス反乱は非ギリシア人英語版)のエスニック・グループによる帝国への反乱示しているという現代主張導き出された。しかし、ルメルルによればこれは誇張され記録であり、敵対的な虚偽情報一部であるという。ルメルルの主張はほぼ確実に正しいが、しかし、トマス実際に帝国隣接するコーカサス人々の中の支持当てにすることができたことが、アバスジア人・アルメニア人イベリア人彼の軍隊参加しているという、ミカエル2世ルイ1世送った手紙という同時代に近い史料での言及によってわかる。コーカサス人々トマス支持した理由不明瞭である。トマスは恐らく彼らの君主たちに対して何等かの約束をしていたであろう。だがルメルルは、アルメニア人たちは彼らの同胞であったレオン5世殺害対す復讐動機としていたかもしれない主張している。

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背景と動機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 09:53 UTC 版)

ネットワーク仮想化」の記事における「背景と動機」の解説

NFVは、大容量マルチメディア時代ネットワーク運用をいかに改善するかについて、大手ネットワーク事業者通信事業者の間で議論されたことに端を発している。全体的な目的は、標準的なIT仮想化技術活用して多く種類ネットワーク機器業界標準大容量サーバースイッチストレージ統合することであり、これらはデータセンター、ネットワークノード、およびエンドユーザー構内配置することができる。アプローチでは、さまざまなハードウェア・プラットフォームへの依存から、少数標準化されたプラットフォーム・タイプを使用し必要なネットワーク機能提供するために仮想化技術使用するうになる電気通信業界内の製品開発は、伝統的に安定性プロトコル順守、および品質に関する厳格な基準に従っており、この信頼性を示す機器を示すためにキャリアグレードという用語が使用されていることを反映している。 このモデル過去にはうまく機能していたが、必然的に製品サイクル長くなり、開発ペース遅くなり、特注特定用途向け集積回路ASIC)などの独自のハードウェアまたは特定のハードウェア依存することになった。パブリックインターネット上で大規模に運営されている動き速い組織GoogleトークSkypeNetflixなど)との通信サービスにおける激し競争の激化により、サービスプロバイダー現状打破する方法模索するようになった

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