第五章『矛盾螺旋』の登場人物
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「空の境界」の記事における「第五章『矛盾螺旋』の登場人物」の解説
臙条 巴(えんじょう ともえ) 声 - 柿原徹也(幼少期:五十嵐裕美) 誕生日:7月10日 とある事情により母親を殺害したフリーターの少年。十代後半で髪は赤い。母親を殺害した現場の小川マンションから逃げ出し、自暴自棄になって喧嘩していた時に両儀式と出会い、当面の隠れ家として式の部屋に寝泊りさせてもらう。出会った時から式に強く惹かれ、彼女を知るうちに好意を抱くようになる。そのため、『第五章』の大部分では黒桐幹也に代わって式のパートナーを務めることになる。 以前は有名なスプリンターだったが、父親が無免許で交通死亡事故を起こしてから、家族は精神的にも金銭的にも立場的に追い込まれる。家族を養うために高校を退学し、引越し屋でアルバイトをして、給料は家の借金返済に充てられていた。家族内の会話も無い家庭崩壊した状況で、小川マンションに移転後、母親が父親を殺し、直後に自分も殺されると感じて母親を殺害し、家を飛び出した。 実は本物の巴は物語以前に母親に殺されており、現在の巴(ひいては小川マンションの住人全員)はコルネリウス・アルバに造られた人形に記憶を移植されたものだった。荒耶宗蓮によって最後の1日(すなわち「死」)が繰り返される小川マンションにおいて、本来ならいつもどおりに母親に殺されて終わるはずだったが、その日だけは逆に母親を殺し、マンションから逃亡していた。完全なイレギュラーな存在で、宗蓮にとっても予想外の出来事だったが、これを逆に利用し、無意識下に式への関心を付け加えられ、彼女をマンションにおびき出す道具として利用された。 自身の真実を知り、存在意義をことごとく否定されるも、自身に宿る意思を本物として単身で宗蓮に挑む。宗蓮に敵うはずもなく消滅させられるが、その間際には自身がそこに確かに存在したことを再認識しつつ散った。また、このわずかな時間が式の回復・結界からの脱出に時間を与える結果となり、巴という存在が宗蓮の致命的なミスとなる。起源は「無価値」。 公式では猫耳属性があるという扱いになっている。 荒耶 宗蓮(あらや そうれん) 声 - 中田譲治 / 同左 一連の事件で暗躍する人物。常に黒いコートを羽織り(上着と中着も黒)、無口で強面な人相の持ち主。蒼崎橙子とは協会で同期だった魔術師。死の蒐集家。 元は台密の僧で人助けをしていたが、戦争などの人の性に絶望し、人という存在の意味の有無を求めて根源(ひいては『 』)を目指すようになる。しかし、毎回(霊長の)抑止力に阻まれ、(根源への到達は魔術師たちの最終目標とはいえ)現在では度を超え、根源を求めるだけの存在と化している。本作では『 』につながる両儀式の身体を手に入れることで根源を目指そうとし、抑止力が働かないように入念な計画を立てていた。 魔術師としての能力は穴だらけだが、結界の分野には突出しており、限定空間においては、空間の移動・圧縮・生成など魔法の域に達する。戦闘に際しては、自身の周りに三つの結界「不倶」「金剛」「蛇蝎」を敷くことで鉄壁の守りを誇る。身体能力も桁外れに高く、格闘戦を得意とする。また、橙子には及ばないが人形師としての腕もかなりのものである。さらに起源覚醒の術で、己の起源「静止」を呼び起こしており、ほぼ不老状態になり、200年以上の時を生きている。それに加えて、左手には仏舎利を埋め込んでいるため、死の線が極めて細くなっており、式を苦しめた。 抑止力に阻まれぬようにするため、式の身体を介して『 』へ至る計画を立て、式と同じ根源(性質)を持ち、それでいて相克すると考えた巫条霧絵・浅上藤乃・白純里緒の3人の望みを叶える代わりに式と戦うよう仕向けた(ただし、効果的ではなかったこと、特に里緒は失敗であったと述べている)。そして後述の実験より、偶然起きた巴の逃走を利用し、自らの拠点・工房である「小川マンション」に式を呼び込む。最初の戦いでは式を捕まえることに成功するも、霊長の抑止とは別の要因によって阻まれ式に敗北。自らの敗北を認めないまま、次世代での復活に望みを託して消え去った。 橙子に設計させた小川マンションを自らの拠点として「相克スル螺旋」と呼ぶ実験を行なっていた。これは根源に至るには死の量より質であるとし、自ら64種に分類した死の性質それぞれを反映した64人の死体と人形を用いて、死で終わる同じ1日を繰り替えさせるというものだった。ただ本人は意味のないものと述べ、良くて別の要因で死ぬ可能性が見られることを望んでいた。そして、この実験対象の1人であった巴が、繰り返される1日から外れたことが『第五章』のきっかけとなる。 基本的にはメインキャラクターとして数えられないが、本作タイトルである『空の境界』に対して「一人の魔術師が"無"に挑もうとした物語ともいえる」と述べられるほど重要人物であり、HP上で『空の境界式』が『第五章』をもって一応の幕を閉じたのも、「大タイトルである空の境界は、荒耶宗蓮という人物の物語でもある。その為、HP上では矛盾螺旋の段階で一応の幕とした。空の境界という物語は矛盾螺旋で終わっている」と解説されている。 ドラマCD版とアニメ版で声優が変わらなかった唯一の人物である(理由は中田譲治の項目を参照)。 コルネリウス・アルバ 声 - 遊佐浩二 魔術協会で蒼崎橙子・荒耶宗蓮と同期だった魔術師で、コルネリウス・アグリッパ・フォン・ネッテスハイムの直系の子孫にあたる。長いおかっぱの金髪に真紅のコートとシルクハットという出で立ちが特徴で、実年齢は50歳以上だが外見は20代の美青年。黒い犬を連れている描写もあった。 魔術師としての実力は血筋・魔術回路も含めて一流で、シュポンハイム修道院の次期院長と噂され、人形作りや高速詠唱による攻撃魔術を得意とする。特に詠唱は速度のみならず文面でも非常に洗練されており、さらに「repeat」の一言で連続再生も可能とする。また、彼オリジナルの「脳だけを生かす技術」を用い、臙条巴を含む小川マンションの多数の人形を製作した。しかし、自身の能力を過信していたり、自己顕示欲が強いなど性格にやや問題がある。 学院時代、橙子のほうが優れていると周囲に見なされた(また橙子が自分を認めなかった)ことから橙子を逆恨みするようになり、橙子を殺せる条件で宗蓮の「相克スル螺旋」に協力する。最初の対決では負けたものの宗蓮に助けてもらい、生首となった橙子を殺す。だが結果として、それが次の橙子を目覚めさせることとなり、再戦する。橙子の事実に対して、人形師としての腕、また魔術師の格の違い(橙子にとっては考え方の違い)を認めざるを得なくなり、さらに「傷んだ赤色」を口にしていたため、彼女に惨殺された。意識も消える間際に、橙子や宗蓮を自分と異なる「怪物」と認識し、関わったことに後悔した。 橙子に対する態度は、DVDの一問一答にて武内に「ヤンデレ」と称されており、学院時代は橙子の研究室に通って与太話・自慢話を頻繁に繰り返していたエピソードを持つ。大好物も、学院時代に橙子が作った蒼崎姉妹流ピザ煎餅であることが明かされている。それゆえに、学院時代から変わった「化物」としての橙子に絶望した。起源は「反証」。 「チャーリーとチョコレート工場」に登場する「工場長」ウィリー・ウォンカと特徴が似ているため、たびたびネタにされる。このことは作者である奈須きのこも認識しているようで、自身のホームページである竹箒でネタにしたこともある。 『Fate/Zero』のテレビアニメ18話の衛宮切嗣の過去に、魔術教会の魔術師として酷似した人物が登場している。 臙条 楓(えんじょう かえで) 声 - 伊藤美紀 誕生日:4月24日 臙条巴の母親。夫より1歳年上。実家は裕福な家で、エスカレーター式の女子大学出身。 結婚した際に実家とは絶縁したが、夫の交通事故後は頭を下げて実家に援助を頼む。自身も慣れないスーパーのパートタイマーで生計を助けていた。温和で何事も嫌とは言わない性格だったが、小川マンション移転後の度重なる夫の暴力に耐えかね、これを殺害。直後、自分も殺されると感じた巴によって殺される。 実際には巴に殺されたわけではなく、夫の殺害後に心中を図って巴を殺害し、自殺していた(詳しくは巴の項を参照)。 臙条 孝之(えんじょう たかゆき) 声 - 山野井仁 誕生日:9月13日 臙条巴の父親。国立大学卒で、当初は一軒家を構え、巴に家の鍵で家族を守ることを教えた良き父親であった。しかし、巴が小学生の頃に定職を失い、さらに無免許運転で死亡事故を起こす。 交通事故後、近隣住民の蔑みから逃げるように住居を転々とし、小川マンションへとやってくる。その後、精神に異常をきたしやすい小川マンションの構造の影響もあり酒浸り、さらに妻に暴力を振るうようになり、最期は妻に殺害される。 ちなみに、大学卒業後にしばらく勤めていた会社は浅上商事だった。 相川(あいかわ) 臙条巴の高校時代の同級生。路上でうずくまっていた巴を覚醒させる。 巴の父親のこともあってか、巴に対して高圧的な態度を取っていた。そのため巴の逆襲に遭い、昏倒した。
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