枕詞の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/14 14:52 UTC 版)
※以下五十音順。 枕詞読みかかる句・備考茜さす あかねさす 日、昼、照る、紫、君 明星の あかぼしの 明く、飽く 赤ら引く あからひく 日、朝、色、肌 秋風の あきかぜの 吹上、山吹、千江(ちえ) 秋草の あきくさの 結ぶ 秋津島・蜻蛉島 あきつしま/あきづしま 大和 朝霞 あさがすみ ほのか、八重、春日(はるひ)、鹿火(かひ) 朝顔の あさがほの 穂(ほ) 朝霧の あさぎりの おほに、乱る、思ひまどふ、八重、立つ 朝霜の あさしもの 消(け)、消え 浅茅原 あさぢはら 小野(をの)、茅生(ちふ)、つばらつばら 浅茅生の あさぢふの 小野(をの) 朝露の あさつゆの 消(け)、消え、命、わが身、おく 朝鳥の あさとりの 朝立つ、通ふ 麻裳よし あさもよし 紀(き、和歌山の「紀」に係る)、城上(きのへ 葦垣の あしがきの 古る、乱る、間近し、外(ほか)、吉野(よしの) 葦が散る あしがちる 難波 葦鴨の あしがもの うち群る 葦田鶴の あしたづの 音(ね)に泣く 葦の根の あしのねの ねもころ、憂き、分く、短し 足引きの あしびきの/あしひきの 山、峰、尾の上(をのへなど 飛鳥川 あすかがは 明日(あす) あぢさはふ 目、夜昼知らず 䳑群の あぢむらの さわく 梓弓 あづさゆみ 引く、張る(はる)、射る、音、本(もと)、末(すゑ) 天雲の あまくもの たゆたふ、別る 雨隠り あまごもり 三笠 雨衣 あまごろも 田蓑 天離る あまさかる/あまざかる 日、鄙(ひな)、向かふ あまだむ 軽(かる) 天伝ふ あまづたふ 日 高照らす たかてらす 高光る たかひかる 天飛ぶや あまとぶや 雁(かり)、軽(かる)、領巾(ひれ) 天の原 あまのはら ふりさけ見る、富士 天彦の あまびこの 音(おと) 海人小舟 あまをぶね 泊瀬(はつせ)、初(はつ) 天降り付く あもりつく 天の香具山(かぐやま)、神の香具山 荒金の あらがねの 土(つち) 荒妙の あらたへの 藤(ふぢ) 新玉の・荒玉の あらたまの 年、月、日 など 洗ひ衣 あらひぎぬ 取替川、鳥養川(とりかひがは) 霰降り あられふり 鹿島、杵島、きしみ、遠(とほ) 荒磯波 ありそなみ 有り、在り 青雲の あをくもの 出づ(いづ)、白 青丹よし あをによし 奈良、国内(くぬち) 青柳の あをやぎの 糸、葛(かづら) 鯨魚取り・勇魚取り いさなとり 海、浜、灘 石上 いそのかみ 布留(ふる)、古る、降る いなのめの 明く 稲筵 いなむしろ 川 石橋の・岩橋の いははしの 近し、遠し、間(ま) 石走る・岩走る いはばしる 近江(あふみ)、垂水(たるみ)、滝、神奈備(かむなび) 射目立てて いめたてて 跡見(とみ) 窺狙ふ うかねらふ 妹が着る いもがきる 三笠 妹が袖 いもがそで 巻来(まきき) 妹に恋ひ いもにこひ あがの松原 射ゆ獣の いゆししの 心を痛み、行き死ぬ 入り日なす いりひなす 隠る(かくる) 打ち麻を うちそを 麻続、麻績(をみ) 打ち靡く うちなびく 春、草 うちひさす、うちひさつ 宮、都(みやこ)、三宅(みやけ) 打ち寄する うちよする 駿河 空蝉の うつせみの 命、世、人、身、むなし、わびし など 鶉鳴く うづらなく 古る 烏羽玉の うばたまの 黒、闇、夜、夢。「ぬばたまの」に同じ。 味酒 うまさけ 三輪、三室、鈴鹿、神奈備(かむなび)。「味酒の」、「味酒を」という派生形もある。 埋もれ木の うもれぎの 下(した)、人知れぬ 沖つ鳥 おきつとり 鴨(かも)、味経(あぢふ)、むなみる 沖つ波 おきつなみ 高し、撓む(とをむ)、立つ 沖つ藻の おきつもの 名張、靡く 置く露の おくつゆの たま、かかる 奥山の おくやまの 真木(まき)、立木(たつき) 押し照る おしてる 難波。「押し照るや」とも。 大君の おほきみの 三笠 大口の おほくちの 真神(まかみ) 大伴の おほともの 見つ 大鳥の おほとりの 羽易(はがひ) 大船の おほぶねの/おほふねの 頼み、たゆたふ、ゆくらゆくら、ゆた、津、渡り、香取 鏡なす かがみなす 思ふ、見(み) 掻き数ふ かきかぞふ 二(ふた) 杜若・燕子花 かきつばた 匂ふ、につらふ、さき 陽炎の かぎろひの 春、燃ゆ 鹿児自物 かこじもの 一人、一人子 樫の実の かしのみの 一人、一つ 片糸の かたいとの よる、あふ、くる、伏し 神垣の かみがきの 三室(みむろ) 神風の かみかぜの/かむかぜの 伊勢 神風や かみかぜや 伊勢、五十鈴川、山田の原、玉串の葉 唐衣・韓衣 からころも 着る(きる)、裁つ(たつ)、はる、袖、裾、褄(つま)、紐(ひも) 唐錦 からにしき 裁つ(たつ)、織る(おる) 刈り菰の かりこもの 乱る 刈る萱の かるかやの 穂(ほ)、乱る 君が着る きみがきる 三笠 君が差す きみがさす 肝向かふ きもむかふ 心 草枕 くさまくら 旅、度、結ふ(ゆふ)、夕(ゆふ)、結ぶ、仮、露、多胡 釧着く くしろつく 手節(たふし) 葛の葉の くずのはの うら、恨み 曇り夜の くもりよの たどきも知らず、惑ふ、あがしたばへ 雲居なす くもゐなす 遠く、心 呉竹の くれたけの 節(ふし)、よる、言の葉、むなし 紅の くれなゐの 色、うつし、ふりいづ、あさ 呉織・呉服 くれはとり/くれはどり 綾(あや) 黒髪の くろかみの 乱る、別る、長し 言喧く ことさへく 唐、韓(から)、百済(くだら)。「ことさやぐ」とも。 木の暗の このくれの しげし 高麗剣 こまつるぎ 輪(わ) 高麗錦 こまにしき 紐 薦枕 こもまくら たか、し 隠りくの こもりくの 泊瀬(はつせ) 隠り沼の こもりぬの 下 小余綾の こゆるぎの/こよろぎの 磯(いそ)、急ぐ 児等が手を こらがてを 巻向山 衣手の ころもでの た、ま、別る、かへる 坂鳥の さかどりの 朝越ゆ 三枝の さきくさの なか、みつ 割き竹の さきたけの 背向(そがひ)、とをを 桜麻の さくらあさの 苧生(をふ) 狭衣の さごろもの 小(を) 細蟹の ささがにの 雲、曇る、糸、厭ふ(いとふ)、今、命 細波の さざなみの 近江、大津、志賀、なみ、寄り(より)、夜 など。「さざなみや」とも。 細波 さざれなみ 立つ 刺す竹の さすたけの/さすだけの 君、皇子(みこ)、大宮、舎人(とねり) 猟人の さつひとの 弓月が岳(ゆつきがたけ) 真葛 さなかづら/さねかづら のちもあふ さ丹つらふ さにつらふ 君、妹(いも)、黄葉(もみち) さねさし 相模 五月蠅なす さばへなす 騒く、荒ぶる 囀らふ さひづらふ 漢女(あやめ) 小百合花 さゆりばな 後(ゆり) 小牡鹿の さをしかの 入野(いりの) 敷島の しきしまの 大和(やまと)、日本、世 敷妙の しきたへの 床(とこ)、枕、衣、袖、袂(たもと)、黒髪、家 倭文手纏 しづたまき いやしき、数にもあらぬ 息長鳥 しながどり 猪名(ゐな)、安房(あは) 階離る しなざかる 越(こし) 級照るや しなてるや 片岡山、片足羽川(かたしはがは)、鳰の湖(にほのうみ)。「しなてる/しなでる」とも。 潮舟の しほぶねの 並ぶ、置く 島つ鳥 しまつとり 鵜 しもと結ふ しもとゆふ 葛(かづら) 白雲の しらくもの たつ、絶ゆ 白菅の しらすげの 真野 白玉の しらたまの 緒絶の橋(をだえのばし)、姨捨山(をばすてやま) 白露の しらつゆの たま、おく 白鳥の しらとりの 鷺(さぎ)、飛ぶ 白波の しらなみの よる、いちしろし、かへる 白縫 しらぬひ 筑紫 白真弓・白檀弓 しらまゆみ 射る(いる)、張る(はる)、引く(ひく)、かへる 白妙の・白栲の しろたへの 衣(ころも)、袖、袂、紐、領巾(ひれ)、雪、雲、波、浜、木綿(ゆう)、藤(ふぢ)、富士 菅の根の すがのねの 長き、乱る、ねもころ、絶ゆ 墨染めの すみぞめの 夕べ、たそがれ、くら 空数ふ そらかぞふ 大(おほ)、大津、大坂 そらにみつ、そらみつ 大和 高座の たかくらの 三笠 高砂の たかさごの 待つ(まつ)、尾の上(をのへ) 高知るや たかしるや 天の御蔭(あめのみかげ) 高行くや たかゆくや はやぶさ 滝つ瀬の たきつせの/たぎつせの はやし 栲綱の たくづのの しら、しろ 栲縄の たくなはの 長き、千尋(ちひろ) 栲領巾の たくひれの 白、鷺(さぎ)、かけ 栲衾 たくぶすま しら たたなづく 青垣、柔膚(にきはだ) 畳薦 たたみこも 平群(へぐり) 玉垣の たまがきの 三津(みつ)、うち 玉かぎる たまかぎる 磐垣淵、夕、ほのか、日 玉勝間 たまかつま あふ、しま 玉葛 たまかづら はふ、繰る、長し 魂極る たまきはる 命、世、わ、うち 玉櫛笥 たまくしげ ふた、身、みもろ、あく、ひらく、覆ふ、奥に思ふ など 玉釧 たまくしろ 巻く、手に取り持つ 玉襷 たまだすき うね、かく、雲 玉垂れの たまだれの 緒(を)、みす、透く(すく)、たれ 玉梓の たまづさの 使ひ、妹 玉の緒の たまのをの 長し、短し、絶ゆ、継ぐ、乱る、うつし、命 など 玉鉾の たまぼこの/たまほこの 道、里、枕 玉藻刈る たまもかる 沖、敏馬(みぬめ)、乙女(をとめ)、辛荷(からに) 玉藻なす たまもなす 浮かぶ、寄る、なびく 玉藻よし たまもよし 讃岐 垂乳根の たらちねの 母、親 乳の実の ちちのみの 父 千葉の ちばの 葛(かづ)、葛野(かどの) 千早振る ちはやぶる 神、宇治(うぢ) 栂の木の つがのきの つぎつぎ 月草の つきくさの うつる、仮(かり)、消ぬ(けぬ) つぎねふや 山城(やましろ) 躑躅花 つつじばな 匂ふ(にほふ) 津の国の つのくにの 難波(なには)、ながす、こや、ながら、見つ、まろや つのさはふ 石(いは) 妻籠もる・夫籠もる つまごもる 小佐保(をさほ)、屋上の山(やかみのやま) 露霜の つゆじもの/つゆしもの 消(け)、置く、秋 剣太刀 つるぎたち 身に添ふ、とぐ、斎ふ(いはふ)、な 解き衣の ときぎぬの 乱る 時つ風 ときつかぜ 吹飯(ふけひ) 飛ぶ鳥の とぶとりの 明日香(あすか)、早く 遠つ人 とほつひと 松(まつ)、雁(かり) 灯火の ともしびの 明石 鶏が鳴く とりがなく 東(あづま) 投ぐる箭の なぐるさの 遠ざかる 夏草の なつくさの 野島、しげし、深し、かりそめ、思ひしなゆ など 夏衣 なつごろも 薄し(うすし)、一重(ひとへ)、裁つ(たつ) 夏麻引く なつさびく う、うな、命 生黄泉の なまよみの 甲斐(かひ) 弱竹の なよたけの とをよる、よ、節(ふし) 鳴る神の なるかみの 音羽(おとは) 行潦 にわたづみ 川、流る 庭つ鳥 にわつとり 鶏(かけ) 鳰鳥の にほどりの 葛飾(かづしか)、なづさふ、並ぶ、息長(おきなが) 鵼鳥の ぬえどりの のどよふ、うらなげ、片恋 射干玉の ぬばたまの/むばたまの 黒、髪、夜、夕べ、月、夢 など。「うばたまの」に同じ。 梯立ての はしだての くら、くま、嶮し(さがし) 旗薄 はたすすき 穂(ほ)、うら。「はだすすき」、「はなすすき」とも。 花細し はなぐはし 桜、葦 唐棣色の はねずいろの 移ろひやすし 柞葉の ははそばの 母 這う葛の はふくずの 遠長し、絶えず、のちもあふ 這う蔦の はふつたの 己が向き向き、別る 春霞 はるがすみ 春日(かすが)、立つ、おぼ、井の上(ゐのへ) 春草の はるくさの しげし、めづらし 春花の はるはなの 匂ふ(にほふ)、めづらし、貴し(たふとし)、うつろふ 春日 はるひ/はるび 春日(かすが)。「はるひの/はるびの」、「はるひを/はるびを」とも。 久方の ひさかたの 天(あめ、あま)、雨、月、雲、空、光 など ひな曇り ひなくもり 碓氷(うすひ) 日の下の ひのもとの 草香(くさか) 日の本の ひのもとの 大和 深海松の ふかみるの 深む、見る 藤波の ふぢなみの 思ひもとほり、並、よる、たつ 冬籠り ふゆごもり 春、張る 降る雪の ふるゆきの 消(け)、白、いちしろし 時鳥・杜鵑 ほととぎす 飛ぶ、とば 真金吹く まがねふく 吉備、丹生(にふ) 真木割く まきさく 桧(ひ) 真木柱 まきばしら 太し 真菰刈る まこもかる 大野川原、淀 益荒男の・丈夫の ますらをの 手結が浦(たゆひがうら) 真澄鏡・真十鏡 まそかがみ 見る、懸く、床(とこ)、磨ぐ(とぐ)、清し、照る、面影、蓋(ふた) 松が根の まつがねの 待つ、絶ゆる事なく 眉引きの まよびきの 横山 御食向かふ みけむかふ 淡路 御心を みこころを 広田、長田、吉野 水薦刈る みこもかる 信濃 水篶刈る みすずかる 瑞垣の みづがきの 神、久し 水茎の みづくきの 水城(みづき)、岡(をか) 三つ栗の みつぐりの 中、那賀(なか) 水鳥の みづとりの 浮き、立つ、鴨、賀茂(かも)、青(あを) みつみつし 久米くめ) 水無瀬川 みなせがは 下 蜷の腸 みなのわた か黒し 武蔵鐙 むさしあぶみ さすが、ふみ、踏む(ふむ) 群肝の・村肝の むらぎもの/むらきもの 心 群玉の むらたまの 枢(くる) 群鳥の むらどりの 立つ、むら立つ、朝立つ 望月の もちづきの 満る、足れる、めづらし 黐鳥の もちどりの かからはし 武士の もののふの 八十(やそ)、五十(い)、矢(や)、磐瀬(いはせ) 紅葉の・黄葉の もみぢばの 移る、過ぐ、朱(あけ) 百敷の ももしきの 大宮 百足らず ももたらず 八十(やそ)、五十(い) 百伝ふ ももづたふ 八十(やそ)、五十(い)、渡る、津、磐余(いはれ) 焼き太刀の やきたちの 利(と)、へつかふ 八雲立つ やくもたつ 出雲。「八雲さす」、「やつめさす」とも。 焼き太刀の やきたちの 利(と)、へつかふ 八隅知し・安見知し やすみしし わが大君 八百丹よし やほによし 築く 山川の やまがはの あさ、音(おと)、たぎつ、はやし、流る 山菅の やますげの 実(み)、乱る、背向(そがひ)、止まず 山たづの やまたづの 迎ふ 行く川の ゆくかはの 過ぐ 行く船の ゆくふねの 行く鳥の ゆくとりの 争ふ、群がる 行く水の ゆくみづの 過ぐ、とどめかぬ 木綿襷 ゆふだすき かく、結ぶ 木綿畳 ゆふだたみ 手向(たむけ)、た 木綿花の ゆふはなの 栄ゆ(さかゆ) 夕月夜 ゆふづくよ 暁闇(あかときやみ)、小倉(をぐら)、入る(いる)、いり 長庚の・夕星の ゆふつづの 夕べ、か行きかく行き 若草の わかくさの 夫、妻(つま)、新(にひ)、若、思ひつく 若菰を わかごもを 刈る(かる)、かり 我が畳 わがたたみ 三重(みへ) 吾妹子に わぎもこに 楝(あふち)、近江(あふみ)、逢坂山(あふさかやま)、淡路(あはぢ) 吾妹子を わぎもこを いざみの山、早み 海の底 わたのそこ 沖 居待ち月 ゐまちづき 明石 鴛鴦の をしどりの 憂き 小楯 をだて 大和
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