かきつばたとは? わかりやすく解説

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かきつばた【杜若/燕花】

読み方:かきつばた

【一】[名]

アヤメ科多年草湿地群生は剣状で幅広く基部は鞘(さや)になりを挟む。初夏濃紫色の花を開く。外花被3枚垂れ中央に黄や白の斑紋がある。内花被3枚小さく直立する園芸種には白花もある。古くは花汁で布を染め書き付け花とよばれたという。かおよぐさ。《 夏》「—べたりと(とび)のたれてける/蕪村

襲(かさね)の色目の名。表は二藍(ふたあい)、裏は萌葱(もえぎ)。一説に、表は薄萌葱、裏は薄紅梅

紋所の名。カキツバタ葉と花図案化したもの

【二】

花の美しさから、「にほふ」「丹(に)つらふ」にかかる。

「—につらふ君を」〈・二五二一〉

花が咲くころから、「さき」にかかる。

「—佐紀沼(さきぬ)のを」〈二八一八

[補説] 曲名別項。→杜若

杜若/燕子花の画像
杜若/燕子花の画像
杜若の紋所
杜若/燕子花の画像
杜若の紋所一つ石山杜若」
杜若/燕子花の画像
杜若の紋所一つ「立杜若」
杜若/燕子花の画像
杜若の紋所一つ中山杜若」

かきつばた【杜若】

読み方:かきつばた

謡曲三番目物旅僧三河八橋(やつはし)に来ると、杜若の精が現れ伊勢物語の話をし、在原業平(ありわらのなりひら)の歌の功徳(くどく)で成仏したことなどを語る。


かきつばた

作者井伏鱒二

収載図書かきつばた・無心
出版社新潮社
刊行年月1994.7
シリーズ名新潮文庫

収載図書井伏鱒二全集 第15巻 かきつばた・晩春の旅
出版社筑摩書房
刊行年月1998.3

収載図書日常のなかの危機 新装版
出版社學藝書林
刊行年月2003.5
シリーズ名全集 現代文学発見


かきつばた (杜若)

アヤメのほかの用語一覧
アヤメ:  射干  志賀菖蒲  愛媛菖蒲  杜若  檜扇菖蒲  花菖蒲  茶菖蒲

杜若

読み方:かきつばた

  1. お手紙代り差しあげます。私の心はこの花に問ふて下さい。といふ意を含ませる。〔花言葉
  2. 花言葉にて、お手紙代り差しあげます。私の心はこの花に問ふて下さい。といふことを含ませる
  3. 〔花言〕私の心はこの花に問うて下さいとの意。

分類 花言葉

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杜若

読み方
杜若かきつばた

カキツバタ

(かきつばた から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/21 17:47 UTC 版)

カキツバタ
カキツバタ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: アヤメ科 Iridaceae
: アヤメ属 Iris
: カキツバタ I. laevigata
学名
Iris laevigata
Fisch.[1]

カキツバタ(燕子花、杜若、Iris laevigata)はアヤメ科アヤメ属植物である。

分布

シベリア南部から日本にかけて分布する[2]。具体的にはロシアイルクーツク州サハ共和国、旧チタ州ブリヤート共和国; アムール州沿海地方、クリル諸島(= 千島列島)、サハリン州ハバロフスク地方)、中華人民共和国(南中央部、満州、北中央部)、朝鮮、日本に見られ、さらにオーストラリア西部にも持ち込まれている[2]

解説

カキツバタは湿地に群生し、毎年5月から6月にかけて紫色の花を付ける。内花被片が細く直立し、外花被片(前面に垂れ下がった花びら)の中央部に白ないし淡黄色の斑紋があることなどを特徴とする。

愛知県県花でもあり、それは三河国八橋(現在の知立市八橋)が『伊勢物語』で在原業平がカキツバタの歌を詠った場所とされることに由来している[3]

ら衣
つつなれにし
ましあれば
るばる来ぬる
びをしぞ思ふ — 在原業平の詠歌

江戸時代の前半にはすでに多くの品種が成立しており、古典園芸植物の一つでもある[4]が、江戸時代後半にはハナショウブが非常に発展して、カキツバタはあまり注目されなかった。現代では再び品種改良が進められている。

漢字表記の一つ「杜若」は、本来はヤブミョウガという別種の漢名(「とじゃく」と読む)であったが、カキツバタと混同されたものである。

草高は50〜80cm程。

見分け方

アヤメIris sanguinea)が比較的乾燥している場所を好むのに対し、カキツバタは湿地を好む[5]。葉幅はアヤメのほうが狭く、カキツバタのほうが広い(ハナショウブは両者の中間)[5]

花弁の付け根は、アヤメは網目模様、カキツバタは白い一筋の線、ハナショウブは黄色になっている[5]

人との関わり

保全状況評価

準絶滅危惧(NT)環境省レッドリスト

2007年平成19年)8月レッドリスト。以前の環境省レッドデータブックでは絶滅危惧II類(VU)。

美術作品

うらえ杜若 南粋亭芳雪/画 『浪花百景

カキツバタを描いた美術作品には尾形光琳の「燕子花図屏風」などがある。

音楽作品

  • Pii「カキツバタ」(作詞/作曲/編曲 Yamanashi Ayumi & Sera Masumi)[6]
尾形光琳「燕子花図屏風」(根津美術館

シンボル

ギャラリー

脚注

  1. ^ Tropicos.org. Missouri Botanical Garden. 15 Jun 2021<http://www.tropicos.org/Name/16600241>
  2. ^ a b Barker, C. and R. Govaerts (2021). World Checklist of Iridaceae. Facilitated by the Royal Botanic Gardens, Kew. Published on the Internet; http://wcsp.science.kew.org/namedetail.do?name_id=322030[1] Retrieved 15 June 2021
  3. ^ あいちのシンボル(花・木・鳥・魚)”. 愛知県. 2018年4月20日閲覧。
  4. ^ 日本伝統の園芸植物「花菖蒲」の魅力に迫る!”. 玉川大学農学部 田淵研究室. 2020年6月4日閲覧。
  5. ^ a b c あやめの見分け方 潮来市、2022年5月10日閲覧。
  6. ^ (日本語) Pii「カキツバタ」Music Video, https://www.youtube.com/watch?v=RabGWEJ9ULU 2021年5月30日閲覧。 

関連項目


かきつばた

出典:『Wiktionary』 (2021/07/16 01:24 UTC 版)

名詞

かきつばた /

  1. アヤメ科アヤメ属属す多年草湿地群生し、6月ごろまたは白の花をつける。杜若とじゃく学名: Iris laevigata。夏の季語
  2. かさね色目いろめ一種萌葱もえぎ、裏は紅梅
  3. 紋所の名。語義1の葉と花象る

発音(?)

か↗きつ↘ばた

関連語

翻訳

成句

かきつばた /

  1. 「にほふ」、「丹(に)つらふ」、「佐紀(さき)」に掛かる枕詞

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