アヤメ属
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/10 22:56 UTC 版)
アヤメ属 | ||||||||||||||||||
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アヤメ
垂れ下がるのが外花被片、立ち上がるのが内花被片、横に伸びるのが花弁状の花柱分枝、その下に雄蕊 |
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||
Iris L. (1753) [1] |
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亜属 | ||||||||||||||||||
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アヤメ属(綾目、文目、菖蒲、鳶尾 -属、アヤメぞく、Iris)はアヤメ科の属の一つ。ラテン語表記の Iris(英:アイリス,仏:イリス)はギリシャ神話の虹の女神イーリスに由来する。虹は、女神イーリスが天と地を往復するための架け橋。「アイリスの葉は剣、ユリは騎士の花」といわれるように、そのきりりとした容姿から、「騎士の花」とも呼ばれている[2]。「アヤメ」は漢字で『菖蒲』とも表記され、これは「ショウブ」とも読めるが、アヤメ属はキジカクシ目に分類されるのに対し、ショウブ属はショウブ目に分類される全く別の種類の植物である。
特徴
多年草で地下に球茎または根茎がある。葉は剣形でふつう根生し、茎に跨状に互生する。花は両性で、1個または多数の花を総状につける。花被片は6個で、3個の外花被片と3個の内花被片の形が異なる。外花被片は大型で先が広がり下に垂れ、種によっては外花被片の中央部にとさか状の突起があり、内花被片は小型で直立する。花柱は上部が3分枝し、花柱分枝は花弁状になる。雄蕊は3個で外花被片に対生し、花柱分枝の下につく。
世界の温帯に約100種類以上、日本では帰化種も含め10種ほどが自生している[3]。
日本の花菖蒲
「菖蒲狩り」は梅雨の風流の一つ。日本では、500年以上も前から、菖蒲を栽培していた。「江戸菖蒲」「肥後菖蒲」「伊勢菖蒲」の種類がある[2]。
江戸時代、旗本の松平左金吾定朝が生涯をかけて花菖蒲の改良に取り組み、日本の花菖蒲の礎を築いた。松平左金吾定朝は、松平定信の遠縁にあたり、晩年、自ら「菖翁」と号した。花菖蒲の栽培法を著した園芸書も残しており、初め『華鏡』として出版された本は、その後『花菖培養録』と改題、何度も改訂版が出版された。現在でも原本や写本が何冊か残っており、花菖蒲愛好家のバイブルとして知られている[4]。
品種
- シャガ Iris japonica Thunb.
- ヒメシャガ I. gracilipes A.Gray
- ヒオウギ I. domestica
- イチハツ(帰化、栽培) I. tectorum Maxim.
- エヒメアヤメ I. rossii Baker
- ノハナショウブ I. ensata Thunb. var. spontanea (Makino) Nakai ex Makino et Nemoto
- ハナショウブ(栽培) I. ensata Thunb. var. ensata
- カキツバタ I. laevigata Fisch.
- アヤメ I. sanguinea Hornem.
- シロアヤメ I. sanguinea Hornem. f. albiflora Makino
- カマヤマショウブ I. sanguinea Hornem. var. violacea Makino
- ヒオウギアヤメ I. setosa Pall. ex Link
- ナスノヒオウギアヤメ I. setosa Pall. ex Link var. nasuensis H.Hara
- キリガミネヒオウギアヤメ I. setosa Pall. ex Link var. hondoensis Honda
- キショウブ(帰化)I. pseudacorus L.
園芸種
薬草
- ブルーフラッグ(学名: Iris versicolor, 英: Blue flag)
ギャラリー
参考文献
- 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎(他編)『日本の野生植物』 草本I 単子葉類、平凡社、1982年。
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
脚注
- ^ "Iris L.". Tropicos. Missouri Botanical Garden. 40031551. 2012年8月3日閲覧。
- ^ a b 瀧井康勝『366日 誕生花の本』日本ヴォーグ社、1990年11月30日、134頁。
- ^ “いずれアヤメかカキツバタ アヤメ属[中編]”. サカタのタネ 園芸通信 (2020年5月12日). 2025年5月10日閲覧。
- ^ “江戸の日本は世界的な園芸大国! 独自に発展した「菖蒲(しょうぶ)」の歴史を紐解く”. 家庭画報.com (2020年5月11日). 2025年5月10日閲覧。
関連項目
外部リンク
- アヤメとは|育て方がわかる植物図鑑 - みんなの趣味の園芸(NHK出版)
固有名詞の分類
- アヤメ属のページへのリンク