常磐線快速電車・成田線(我孫子 - 成田)
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「JR東日本E231系電車」の記事における「常磐線快速電車・成田線(我孫子 - 成田)」の解説
常磐線快速電車用(スカート変更後) 成田線開業120周年記念に際してスカ色にラッピングされた第139編成 2001年11月から落成が始まり、2002年3月3日に営業運転を開始した。このグループは全編成が新津車両製作所製である。 運用線区:常磐線快速電車 … 上野 - 松戸 - 我孫子 - 取手常磐線の取手以北は交流電化区間であるため、取手以北に乗り入れない。 成田線 … 我孫子 - 成田 上野東京ライン…東京 - 上野 東海道線…品川 - 東京 車体の帯の色:上…■エメラルドグリーン(青緑) 、下…■ウグイス色(黄緑)同じエメラルドグリーン(青緑1号)の帯色を用いている常磐線各駅停車・東京メトロ千代田線直通用車両(203系・207系900番台・209系1000番台・E233系2000番台)との誤乗防止のため、常磐線快速電車・成田線の編成にはエメラルドグリーンの帯下にウグイス色の帯を追加している。同様の理由からE501系も帯上部が□白色 、帯下部が■エメラルドグリーン(青緑1号)の配色となっている(同系列は2007年3月17日をもって上野口の運用から離脱した)。常磐線快速電車用の第1・2編成(第101・102・121・122編成)の帯色は落成当時エメラルドグリーン単色であったが、営業運転開始の直前になってから帯色下部にウグイス色が追加され、同時に乗務員室のドアにもエメラルドグリーンのステッカー貼り付けが施された。本系列の帯のエメラルドグリーンはかつて使用されていた103系と同様のカラーである。 所属車両数(2021年4月1日現在):松戸車両センター…基本編成(10両編成)18本(180両)、付属編成(5両)19本(95両)(合計275両)通勤タイプの車両としては最長の15両編成での運用も行われている。成田線では最長10両編成で、基本編成による運用のほかに付属編成5両のみの運用や付属編成を2本連結した10両編成もある。 基本編成1本(第118編成)は、2020年8月18日付で2両(サハE231-58,60)を廃車し、8両編成として2020年10月6日付で京葉車両センターに転属、MU22編成となった。 常磐快速線向け0番台の車内 上り品川行の表示(2015年6月18日 取手駅) 常磐線快速電車・成田線では、置き換えの103系の車両数285両に対し、本系列の投入車両数は予備車を削減して280両の予定であったところ、常磐線中距離電車へE531系製造計画の決定による計画変更により265両の投入に変更し、代替に103系3編成30両を残存させた。その後、2006年3月18日のダイヤ改正で運用本数が削減され、残った103系は本系列への置き換えを行わずに廃車となり、全列車がE231系による運転となった。このダイヤ改正後は15両編成で運転する列車が増加している。 仕様は中央・総武線各駅停車向け0番台(4扉車)を基本とし、分割・併合運転に対応するための機能を追加している。内容は運用上から使用を想定していない基本編成の上野側先頭車(同車は取り付け準備工事)を除いた先頭車に電気連結器を搭載した。前面FRPは白色となり、スカート形状を変更している。外観のラインカラー帯は、エメラルド・グリーンであり、同線で使用されていた103系と同色のカラーである。側面には車外放送用スピーカーの取り付け準備をしてあり(この箇所はメクラ蓋で塞いでおり、ラインが途切れている)、合わせて乗務員室の車掌スイッチユニット内に車外放送設備の準備工事を実施した。車内は座席クッションは座り心地を見直したほか、座席下の暖房器を斜め吊り構造とすることで、暖房効率の改善を図った。また、車端部3人掛け座席部の荷棚長さを若干延長し、荷物を載せやすくした。その他、細かな変更として車内中吊り広告金具を挟み込み方式から差し込み方式に変更、また材質をアルミニウムの無塗装品としたほか、乗務員室背面の仕切り窓下に埋め込み形の手すりを新設した。 乗務員室内は次に述べるVIS装置等の機器の増加に伴い、乗務員室背面部にも機器ユニットを新設するなど配置を変更している。運転台は前面計器パネル右側にTIMS第2表示器の取り付け準備を実施したほか、運転士用の仕業表差しを大形時刻表への対応形とした。また、列車待避時等の長時間停車時における車内保温を考慮して片側4か所のドアのうち1か所を除いて閉めることが可能な「3/4閉」スイッチを設置している。走行機器などの仕様は0番台に準じたものであるが、制御装置は改良型のSC60B形VVVFインバータ装置とSC62A形静止形インバータ装置が採用されている。 乗客へのサービス向上策として地上から車上へ情報を配信するシステムとして情報提供装置 (VIS) を搭載した。これは運行情報配信センターからの運行情報をパケット通信により送信・車両側で受信して、受信データを車内の案内表示器に表示させるシステムである。このため、車内案内表示器は従来の1段表示から2段表示式としており、上段には行き先・次駅案内・現在駅・ドア開方向などを表示し、下段には行き先・乗り換え案内・所要時間・運行情報・急停車・マナー文などの表示用として使用する。 順番は運行情報→運行路線→携帯電話→テロ対策で、日本語2回→英語2回で流れる。ただし、テロ対策の部分は日本語→英語→日本語→英語の順で流れる。運行情報のない時は運行路線から表示する。これは基本的には後の近郊タイプにも採用されている内容だが、常磐線快速電車・成田線仕様では始発駅停車中、または我孫子駅での増結作業中に主要駅までの所要時間を表示し、運行路線も行先まで表示する。新たな列車運行情報が入電された場合はアラート音(205系1000・3100番台などのドア開閉時のチャイム)が鳴る(始発駅発車時に入電されている場合は発車時に鳴る。また、2007年頃から他社線の情報も表示されるようになっているが、その場合でもアラート音が鳴る アラート音[ヘルプ/ファイル])。 なお、VIS装置は受信機能のほか、TIMSで取得した情報(故障情報・乗車率など)を地上側に送信する機能も持たせている。放送装置にはJR東日本の通勤形車両では初めて本格的な自動放送装置を搭載(ワンマン運転対応車両は対応済み)しており、日本語および英語による案内放送を行っている。 2015年には上野東京ラインの開業に合わせて、三鷹車両センターのミツB20編成・ミツB21編成がそれぞれマト118編成・マト119編成として転入し同年3月14日から営業運転を開始した。これらの編成はホーム検知装置が付いているほか、車外放送用スピーカーの取り付けスペースがないため上部ラインが端部から中央の行先表示器まで連続しており、車内案内表示器も従来の1段表示式となっている。転入に際しては上記の通り6扉車のサハE230がミツB22編成から捻出したサハE231に振り替えられている。 同一路線上を走る常磐線中距離列車のE531系には、2007年1月6日から2階建てグリーン車が導入されているが、本系列は連結していない。 前面・側面のLED式行先表示器は路線名と終着駅名(上り電車の品川行は日暮里まで「上野経由 品川」、品川始発の下り電車は新橋まで「東京経由 (終着駅名)」)のみを表示し、運転種別である「快速」の表示はしない。これは、本系列での種別が固定化されていて、常磐線快速電車・成田線の普通以外での運用がないためである。また、下り列車にて我孫子駅での車両解放がある場合には「我孫子・成田」「我孫子・取手」という表示を15号車の前面行先表示器に表示するが、1号車側は通常の「取手」か「成田」を表示する。取手駅始発の上り列車で我孫子での付属編成解放がある場合は、15号車の前面行先表示器の表示は「我孫子」のみの表示となっている。 なお、上野東京ラインの開業以前は他線区への投入車のような路線名との交互表示もしていなかった(行先のみの表示で固定)が、開業に合わせて路線名(「常磐線」「成田線」と成田線直通の場合の「常磐・成田線」)の表示が追加された。 ← 取手・成田 上野・品川 → 10両編成(基本編成)号車10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 形式 クハE231(Tc) サハE231(T) > モハE231(M) モハE230(M') サハE231(T) サハE231(T) サハE231(T) > モハE231(M) モハE230(M') クハE230(Tc') 搭載機器 VVVF SIV,CP VVVF SIV,CP 車両重量 (t)25.6 22.7 28.6 28.4 22.7 22.7 22.7 28.6 28.4 25.6 5両編成(付属編成)号車15 14 13 12 11 形式 クハE231(Tc) サハE231(T) > モハE231(M) モハE230(M') クハE230(Tc') 搭載機器 VVVF SIV,CP 車両重量 (t)25.6 22.7 28.6 28.4 25.6 全編成が2005年製造分以降の近郊タイプに装着されたものと同様のV字に尖がった大型形状のスカートに交換されている。また、2008年3月までに優先席付近のつり革をE233系タイプに交換した。 2015年(平成27年)度よりVVVF・ドアエンジン・SIV等の各種機器更新工事が施行された。2016年度以前の更新工事は中間付随車への施行が見送られていたが、2017年度以降は中間付随車を含む全車両を対象に行われている。また、当初更新が見送られた中間付随車についても、2017年度より順次追加更新が行われている。 2021年(令和3年)4月30日より同年10月頃まで、成田線開業120周年記念企画として第139編成の帯色が横須賀・総武快速線などで使用されているE217系の更新車の「スカ色」(■クリーム1号と■青20号のツートンカラー)と酷似した塗装に変更されていた。同編成は2021年5月31日まで記念のヘッドマークを装着し成田線内のみで、6月1日以降はヘッドマークを外して常磐快速線・上野東京ラインでも運用された。 検査に伴う東京総合車両センターへの入場後、当編成は他の編成と同じ塗装に戻されている。
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